【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、経済活動正常化に向けた動きが進み景気に緩やかな持ち直しの動きがみられたものの、不安定な為替動向や原材料価格の高騰、ウクライナ情勢の長期化等、先行きにつきましては不透明な状況が続きました。
ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、当社グループの主要顧客である医療・介護関連機関においては、感染拡大に伴うクラスターの発生への対応など、大きな影響を受けております。当社グループといたしましては、さまざまな製品及びサービス業務の提供を継続していくことで医療・介護体制の維持に貢献したいと考えております。
当社グループは2020年4月1日付で、2030年に向けた目指すべき姿「パラマウントビジョン2030」を策定いたしました。「医療・介護から健康まで、すべての人に笑顔を」を掲げ、医療・介護の分野で長年培ってきた技術や知見をもとに、健康の分野でも皆様に貢献することを目指しております。
また同ビジョンに基づく中期経営計画では、第Ⅰフェーズ(2020年度から2023年度)の重点施策である「現行ビジネスの拡大」「健康事業の本格化」「変革への基盤構築」及び第Ⅱフェーズ(2024年度から2026年度)の重点施策「リカーリングビジネスの拡大」「健康事業の進化」「アジア注力エリアでの飛躍」に注力し、2026年度の業績目標として売上高1,200億円、営業利益170億円を目指しております。
当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高では医療・介護・健康の各事業が引き続き前年同期を上回りました。医療事業では国内医療機関の医療スタッフの働き方改革への取組推進等に伴う需要の増加にフレキシブルに対応し、製品販売やメンテナンスサービス、リカーリングビジネス等が売上を伸ばしました。介護事業におきましては、在宅介護向けでは介護ベッドの販売が引き続き好調なことに加え、福祉用具レンタル卸も堅調に推移いたしました。介護施設向けでは各種補助金等の効果もあり更新需要が拡大する一方で、新型コロナウイルス感染症第8波の影響により、製品・サービスの導入が延期となる案件が発生しております。健康事業につきましては、物価上昇に伴う耐久消費財への消費マインドに停滞感が見られましたが、プロモーション活動等、認知度の向上に努めたこと等により新製品の販売を中心に伸長いたしました。
介護事業のトピックスといたしましては、福祉用具レンタル卸事業を展開するパラマウントケアサービス株式会社が、レンタル用品のメンテナンス等を行う大規模基幹拠点を2022年5月に大阪府高槻市、同年11月に神奈川県厚木市にてそれぞれ開設いたしました。同社の大規模基幹拠点は千葉大平メンテナンスセンター(千葉県山武市)とあわせて、3拠点体制となります。近隣のセンターが担当しているレンタル用品のメンテナンス・消毒・保管業務を集約して効率化・省力化を推進するほか配送体制を見直し、拡大する需要に迅速に対応できる体制構築を推進します。また、同社は2022年5月、全国23のメンテナンス拠点すべてにおいて、貸出福祉用具のメンテナンス工程の管理に関する標準規格「JIS Y2001」の要求事項に適合していることを認定されました。この認定は「あんぜん整備認定制度」とも呼ばれ、「貸出福祉用具メンテナンス事業者」の安全に対する工程管理を「JIS Y2001」に従って第三者機関が評価、認定するもので、パラマウントケアサービスは全国初の認定となりました。
製品開発におきましては2022年11月、ひとつのペダル操作ですべてのキャスターをロック・解除できる介護向け「移動ロック付きベッドサイドテーブル」を発売いたしました。脚部の形状を見直すことでご利用者の使い勝手も向上しました。
事業の多角化の一環といたしましては2022年10月、パラマウントベッド株式会社がSBIインベストメント株式会社と共同で、医療・介護・健康の各領域に強みを持つ国内外の有望なスタートアップ企業を投資対象とするCVC(コーポレート ベンチャー キャピタル)ファンド「PARAMOUNT BED-SBI Healthcare Fund1号投資事業有限責任組合」を設立いたしました。当該ファンドを通じて、自社と外部ベンチャー企業の技術やノウハウ、人脈などを組み合わせ、新たなシナジーを発揮することで、「パラマウントビジョン2030」の実現に向けて新規事業の機会創出を図ります。同年11月には第1号投資案件として、住宅向けIoTプラットフォームを提供する株式会社リンクジャパンに対して出資を行いました。
10月20日には、当社グループ初の統合報告書「パラマウントベッドホールディングス統合報告書2022」を公開いたしました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間は、売上高は前年同期比71億47百万円増(11.2%増)の711億5百万円となりました。営業利益は、原材料価格や運送費等の高騰の影響のほか、大規模拠点の新設や中長期成長に向けた基盤構築のための費用増等により同1億85百万円減(1.9%減)の97億96百万円、経常利益は同5億59百万円減(5.2%減)の102億97百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は非連結のメキシコ子会社に対する株式評価損を特別損失に計上したため同8億38百万円減(11.2%減)の66億45百万円となりました。なお、パラマウントベッド ベトナムは、当社グループにおける重要性が増したため、第1四半期連結累計期間より連結子会社としております。
また、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、1,663億11百万円となり、前連結会計年度末より20億29百万円増加いたしました。増加の主な要因は、賃貸資産が増加したことによるものです。
負債につきましては、397億94百万円となり、前連結会計年度末より28億12百万円減少いたしました。減少の主な要因は、未払法人税等が減少したことによるものです。
純資産につきましては、1,265億17百万円となり、前連結会計年度末より48億42百万円増加いたしました。増加の主な要因は、利益剰余金が増加したことによるものです。
この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.0ポイント増加し、76.1%となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動に要した金額は12億91百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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