【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~6月30日)の世界経済は、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や、各国での根強いインフレ、金融引締め継続による景気減速のリスクなど、不透明な状況が続いています。
米国では、インフレの鈍化傾向を受けて金融引締めが転換点を迎えつつある一方で、依然として雇用情勢は堅調で個人消費も底堅く、強弱材料が交錯する中、金融引締め継続による景気の下振れリスクも懸念されます。
欧州では、ロシア・ウクライナ情勢の影響によるエネルギー需給や資源高は落ち着く一方で、インフレ圧力が根強い中、金融引締め継続により景気は減速しており、回復の見通しは不透明な状況です。
中国では、「ゼロコロナ」政策の解除後、消費が戻りつつある一方で、雇用悪化や不動産市況の低迷により、景気下押し圧力も懸念されます。
日本経済は、行動制限の解除により個人消費やインバウンド需要が回復するなど、経済活動正常化の動きが続く中、設備投資需要・IT投資需要は堅調に推移し、景気は緩やかに回復しています。一方で、海外経済の減速、資源・エネルギー価格や原材料価格の上昇など各種コストの上昇は下押し圧力となりました。
このような環境のもと、当第1四半期連結累計期間の当社グループの業績は、次のとおりとなりました。
エネルギー需要が堅調に推移したエネルギー事業や市況上昇を受けた食糧事業、半導体部品の販売が好調に推移した半導体部品・製造装置事業を中心に増収となりました。堅調に推移したICTソリューション事業や、航空機関連部品の販売が伸長した航空宇宙事業などが増益となった一方、海外の相場高や円安などの影響を受けた畜産事業や、主要穀物相場が軟調に推移した食糧事業は、好調に推移した前年同期に対して減益となったことに加え、販売台数の減少や店舗再編などにかかるコスト先行が影響したモバイル事業なども減益となりました。
その結果、収益は、前年同期比100億26百万円(4.7%)増加の2,244億92百万円となり、売上総利益は、前年同期比16億35百万円(5.5%)増加の312億43百万円となりました。営業活動に係る利益は、前年同期比1億17百万円(1.2%)増加の95億67百万円となりました。税引前四半期利益は、支払利息の増加などの影響により、前年同期比4億85百万円(5.2%)減少の88億72百万円となり、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期比9億5百万円(14.3%)減少の54億40百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 電子・デバイス
収益は半導体部品・製造装置事業やモバイル事業、ICTソリューション事業の増収により、前年同期比42億19百万円増加の637億67百万円、営業活動に係る利益は電子機器・電子材料事業やモバイル事業の減益により3億41百万円減少の27億51百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は64百万円減少の16億33百万円となりました。
② 食料
収益は食糧事業や食品事業の増収により前年同期比10億35百万円増加の838億49百万円、営業活動に係る利益は畜産事業の減益により59百万円減少の31億32百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は8億58百万円減少の17億10百万円となりました。
③ 鉄鋼・素材・プラント
収益はエネルギー事業や鋼管事業の増収により前年同期比69億8百万円増加の517億3百万円、営業活動に係る利益は鋼管事業などの増益により3億83百万円増加の26億35百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1億86百万円減少の11億57百万円となりました。
④ 車両・航空
収益は航空宇宙事業の減収により前年同期比14億21百万円減少の221億72百万円、営業活動に係る利益は航空宇宙事業や車両・車載部品事業の増益により2億4百万円増加の8億47百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は2億15百万円増加の6億97百万円となりました。
⑤ その他
収益は前年同期比7億15百万円減少の29億98百万円、営業活動に係る利益は62百万円減少の2億1百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は88百万円減少の2億11百万円となりました。
(2) 財政状態に関する説明
① 資産、負債および資本の状況
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末比178億96百万円増加の6,954億84百万円となりました。
有利子負債については、長期借入金の増加などにより前連結会計年度末比59億63百万円増加の2,338億57百万円となりました。現預金を差し引いたネット有利子負債は、前連結会計年度末比39億45百万円増加の1,518億93百万円となりました。なお、有利子負債にはリース負債を含めておりません。
資本のうち、親会社の所有者に帰属する持分については、親会社の所有者に帰属する四半期利益の積上げおよび円安に伴うその他の資本の構成要素の増加などにより、前連結会計年度末比84億75百万円増加の1,370億円となりました。
その結果、親会社所有者帰属持分比率は19.7%、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は1.1倍となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比20億45百万円増加の815億7百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業収入の積上げなどにより、10億72百万円の収入(前年同期は51億39百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却などにより、21億21百万円の収入(前年同期は27億46百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第1四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の増加による収入があった一方で、配当金の支払いやリース負債の返済などにより、17億87百万円の支出(前年同期は52億70百万円の支出)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更および新たに生じた問題はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は291百万円であり、電子・デバイスセグメントにおけるクラウドサービスの開発やITインフラのマネージドサービスの整備、サイバー攻撃対策の研究等、様々な研究開発活動を行っております。