【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~12月31日)の世界経済は、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や、中国での「ゼロコロナ」政策と解除後の感染拡大、供給網の一部混乱など不安要素が長引く一方で、各国でのインフレとそれに対応した金融引き締めは転換点を迎えつつあり、軟着陸できるかどうかが焦点になりつつあります。
米国では、インフレ抑制を最優先に急ピッチの金融引き締めを進めていることから、住宅市場などを中心に下押し圧力が強まりつつある一方で、依然として労働市場は逼迫し個人消費も強く、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受けてエネルギー投資も進むなど、強弱材料が交錯する状況です。
欧州では、ロシア・ウクライナ情勢の影響を大きく被り、エネルギー供給不安と価格高騰が直撃する中でスタグフレーションのリスクも懸念されています。
中国では、「ゼロコロナ」規制が経済活動の足かせとなり、規制緩和後は感染の急拡大により消費も冷え込みましたが、感染状況の落ち着きに応じて経済は回復してくることも期待されています。
日本経済は、行動制限の緩和により個人消費が回復基調にあり、設備投資需要・IT投資需要なども堅調に推移していますが、資源高・商品高や中国の経済活動停滞も下押し圧力となり、先行き不透明な状況が続いています。
このような環境のもと、当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、次のとおりとなりました。
市況上昇を受けた食糧事業や鋼管事業、原油価格上昇により石油製品取引高が増加したエネルギー事業を中心にほぼすべての事業において増収となりました。販売台数の伸び悩みなどによる手数料収入の減少が影響したモバイル事業や、畜産物全般の夏場以降の市況反落が影響した畜産事業などでは減益となった一方、需要の回復や市況上昇によりエネルギー事業や鋼管事業、顧客の旺盛なデジタル投資需要を受けたICTソリューション事業などを中心に増益となりました。
その結果、収益は、前年同期比1,167億82百万円(20.8%)増加の6,777億23百万円となり、売上総利益も、前年同期比113億60百万円(13.9%)増加の928億51百万円となりました。営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費は増加しましたが売上総利益などの増加により、前年同期比85億40百万円(40.5%)増加の296億34百万円となりました。また、営業活動に係る利益の増加などにより、税引前四半期利益は、前年同期比78億83百万円(38.4%)増加の284億18百万円となり、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期比35億11百万円(29.2%)増加の155億23百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 電子・デバイス
収益はICTソリューション事業や電子機器・電子材料事業などの増収により前年同期比235億30百万円増加の2,033億68百万円、営業活動に係る利益はICTソリューション事業や半導体部品・製造装置事業などの増益により19億55百万円増加の133億80百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は13億55百万円増加の56億45百万円となりました。
② 食料
収益は食糧事業や畜産事業などの増収により前年同期比425億71百万円増加の2,578億円、営業活動に係る利益は食糧事業や食品事業などの増益により11億25百万円増加の54億67百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は5億15百万円増加の36億15百万円となりました。
③ 鉄鋼・素材・プラント
収益はエネルギー事業や鋼管事業などの増収により前年同期比377億64百万円増加の1,425億39百万円、営業活動に係る利益はエネルギー事業や鋼管事業などの増益により61億48百万円増加の92億42百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は23億32百万円増加の53億19百万円となりました。
④ 車両・航空
収益は航空宇宙事業などの増収により前年同期比120億15百万円増加の631億63百万円、営業活動に係る利益は車両・車載部品事業などの減益により4億90百万円減少の8億2百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は3億64百万円減少の6億41百万円となりました。
⑤ その他
収益は前年同期比9億3百万円増加の108億51百万円、営業活動に係る利益は2億1百万円減少の7億30百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1億18百万円増加の5億90百万円となりました。
(2) 財政状態に関する説明
① 資産、負債および資本の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末比460億39百万円増加の6,804億95百万円となりました。
有利子負債については、運転資金増による借入金の増加などにより前連結会計年度末比271億92百万円増加の1,706億44百万円となりました。現預金を差し引いたネット有利子負債は、前連結会計年度末比415億46百万円増加の927億88百万円となりました。なお、有利子負債にはリース負債を含めておりません。
資本のうち、親会社の所有者に帰属する持分については、親会社の所有者に帰属する四半期利益の積上げなどにより、前連結会計年度末比107億62百万円増加の1,702億46百万円となりました。
その結果、親会社所有者帰属持分比率は25.0%、ネット有利子負債資本倍率(ネットDER)は0.5倍となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比145億56百万円減少の768億64百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業収入の積上げなどによる収入があった一方で、棚卸資産を中心とした営業資金の増加などにより、124億53百万円の支出(前年同期は90億58百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の取得などの事業投資の実行により、141億57百万円の支出(前年同期は103億41百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや社債の償還などによる支出があった一方で、短期借入金の増加などにより、113億31百万円の収入(前年同期は79億43百万円の収入)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更および新たに生じた問題はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は732百万円であり、電子・デバイスセグメントにおけるシステムソリューションの開発やストレージ関連の新製品の開発、サイバー攻撃対策の研究等、様々な研究開発活動を行っております。