【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績
当第2四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。
(単位:億円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
現地通貨ベース
前 年 同 期 比
売上高
5,214
5,153
△1.2%
△5.5%
営業利益
240
100
△58.4%
△58.3%
経常利益
262
71
△72.7%
-
親会社株主に帰属
する四半期純利益
144
10
△93.1%
-
EBITDA
474
328
△30.8%
-
US$/円(平均)
123.25
135.88
+10.2%
-
EUR/円(平均)
134.89
146.91
+8.9%
-
EBITDA:親会社株主に帰属する四半期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額
当第2四半期連結累計期間(2023年1月~6月)における当社グループの業績は、売上高は前年同期比1.2%減の5,153億円でした。世界経済は、米国や欧州でのインフレ抑制を目的とした金融政策の継続、ウクライナ情勢の長期化、中国におけるゼロコロナ政策解除後の景気回復の遅れなどを背景に不透明な状況が続いており、金利情勢や景気減速への懸念などから、様々な業界分野において需要の伸び悩みや在庫抑制の動きが見られました。この状況下、当社グループが注力する主な顧客業界の需要動向としては、電気・電子やディスプレイを中心とするデジタル分野では、ディスプレイ市場はパネルメーカーによる在庫調整の進展により需要が回復した一方で、半導体市場は最終製品需要の回復が見られず、弱い動きが続きました。また、モビリティを中心とするインダストリアル分野※では、自動車市場は世界的に販売台数の回復が見られたものの、自動車向け材料についてはサプライチェーン上の余剰在庫が解消しきれていない状況が継続しました。これらの結果、ファンクショナルプロダクツを中心に高付加価値製品の出荷数量が減少しました。また、カラー&ディスプレイの顔料製品も主要市場である欧州における景気減速の影響により、塗料用顔料やプラスチック用顔料などの出荷が落ち込みました。
営業利益は、前年同期比58.4%減の100億円でした。各セグメントにおいて、コスト増加分を中心に価格対応に努め、パッケージング&グラフィックでは増益を確保しましたが、電気・電子やモビリティに関連した高付加価値製品や顔料製品の出荷数量が減少した影響を補えず、全体として大幅な減益となりました。
経常利益は、前年同期比72.7%減の71億円でした。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比93.1%減の10億円でした。
EBITDAは、前年同期比30.8%減の328億円でした。
※インダストリアル分野とは、自動車、鉄道、船舶などのモビリティ用途と建設機械、産業機械などの一般工業用途に係る製品分野の総称です。
また、各セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:億円)
セグメント
売 上 高
営 業 利 益
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
パッケージング&
グラフィック
2,574
2,666
+3.5%
△1.3%
77
83
+7.7%
+6.8%
カラー&ディスプレイ
1,339
1,178
△12.0%
△17.9%
78
△1
赤字化
赤字化
ファンクショナル
プロダクツ
1,532
1,494
△2.5%
△4.6%
133
67
△50.0%
△51.8%
その他、全社・消去
△231
△185
-
-
△48
△48
-
-
計
5,214
5,153
△1.2%
△5.5%
240
100
△58.4%
△58.3%
[パッケージング&グラフィック]
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
現地通貨ベース
前 年 同 期 比
売 上 高
2,574
億円
2,666
億円
+3.5%
△1.3%
営 業 利 益
77
億円
83
億円
+7.7%
+6.8%
売上高は、前年同期比3.5%増の2,666億円でした。現地通貨ベースでは1.3%の減収となりました。食品包装を主用途とするパッケージ用インキは物価上昇の影響を受けて各地域で出荷が落ち込むなか、価格対応に努めた結果、ほぼ前年並となりました。商業印刷や新聞を主用途とする出版用インキについては、各地域で価格対応に努めましたが、米州や欧州とアジアでの需要減少や価格競争などが原因で出荷数量が落ち込んだ結果、減収となりました。デジタル印刷で使用されるジェットインキは、米国や欧州でのインフレや金利情勢を背景に、海外の顧客を中心に在庫を抑制する動きが顕著に見られ、全般的に需要が落ち込んだ結果、減収となりました。
営業利益は、前年同期比7.7%増の83億円でした。国内では、高付加価値製品であるジェットインキの売上減少に加え、パッケージ用インキと出版用インキのコスト増加分に対する価格対応が追い付かず減益となりました。一方で、海外においては、特に米州や欧州でパッケージ用インキと出版用インキの価格対応に努めた結果、全体として増益となりました。
[カラー&ディスプレイ]
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
現地通貨ベース
前 年 同 期 比
売 上 高
1,339
億円
1,178
億円
△12.0%
△17.9%
営 業 利 益
78
億円
△1
億円
赤字化
赤字化
売上高は、前年同期比12.0%減の1,178億円でした。売上の割合が大きい塗料用顔料とプラスチック用顔料は、主要市場である欧州の景気減速に伴う需要減と顧客による在庫抑制の動きなどから、全般的に出荷数量が減少しました。高付加価値製品については、ディスプレイ用途であるカラーフィルタ用顔料は、パネルメーカーによる在庫調整の進展により需要が回復した結果、増収となりました。化粧品用顔料は、米国や欧州において景況感の悪化を背景に出荷が伸び悩みましたが、脱マスクの動きによりアジアの需要が引き続き回復しました。スペシャリティ用顔料は、農業向けの出荷が顧客の在庫調整の影響により伸び悩んだほか、建築向けもウクライナ情勢の長期化を背景に主な需要地である欧州での出荷が引き続き低調に推移しました。
営業利益は、1億円の赤字となりました。カラーフィルタ用顔料の出荷が回復したものの、塗料用顔料、プラスチック用顔料の出荷が欧州を中心に落ち込んだことに加え、高付加価値製品であるスペシャリティ用顔料の出荷が停滞した影響を受けました。
[ファンクショナルプロダクツ]
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
前年同期比
現地通貨ベース
前 年 同 期 比
売 上 高
1,532
億円
1,494
億円
△2.5%
△4.6%
営 業 利 益
133
億円
67
億円
△50.0%
△51.8%
売上高は、前年同期比2.5%減の1,494億円でした。電気・電子やディスプレイを中心とするデジタル分野については、半導体を主用途とするエポキシ樹脂は市況が低迷し、全般的に出荷が落ち込んだ結果、減収となりました。スマートフォンなどのモバイル機器を主用途とする工業用テープにつきましても、同様の理由により減収となりました。モビリティを中心とするインダストリアル分野については、自動車向け材料の出荷が滞りましたが、2022年7月から連結対象となった中国のコーティング用樹脂メーカーGuangdong DIC TOD Resins Co., Ltd.の売上が加わったことにより、増収となりました。PPSコンパウンドは、自動車向けについて出荷が回復途上であるものの、価格対応などにより、増収となりました。
営業利益は、前年同期比50.0%減の67億円でした。各製品において、コスト増加分に対する価格対応に努めましたが、電気・電子やモビリティに関連した高付加価値製品の出荷が落ち込んだことにより、大幅な減益となりました。
(2)財政状態
(資産、負債及び純資産の状況に関する分析)
当第2四半期連結会計期間末の資産の部は、主に為替の影響や子会社の買収などにより、前連結会計年度末と比べて796億円増加し、1兆3,413億円となりました。負債の部は、主に有利子負債の増加により、前連結会計年度末比455億円増の8,860億円となりました。また、純資産の部は、為替の影響などにより、前連結会計年度末比341億円増の4,552億円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
72億円 (前第2四半期連結累計期間
△248億円)
当第2四半期連結累計期間は、税金等調整前四半期純利益が53億円、減価償却費が243億円となりました。また、法人税等に49億円を支払い、運転資本の増加により45億円の資金を使用しました。以上の結果、営業活動により得られた資金の総額は72億円となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
△452億円 (前第2四半期連結累計期間
△331億円)
当第2四半期連結累計期間は、子会社株式の取得に141億円、有形及び無形固定資産の取得に309億円の資金を使用しました。以上の結果、投資活動に使用した資金の総額は452億円となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
471億円 (前第2四半期連結累計期間
1,062億円)
当第2四半期連結累計期間は、借入等により548億円の資金を調達した一方で、剰余金の配当として47億円を支払いました。以上の結果、財務活動により得られた資金の総額は471億円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費は、7,984百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、7,341百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の体制及び方針に重要な変更はありません。