【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績
当第3四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。
(単位:億円)
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同期比
現地通貨ベース
前 年 同 期 比
売上高
6,158
7,952
+29.1%
+22.0%
営業利益
333
329
△1.2%
+1.6%
経常利益
339
356
+5.0%
-
親会社株主に帰属
する四半期純利益
153
178
+16.5%
-
EBITDA
513
681
+32.8%
-
US$/円(平均)
108.50
127.87
+17.9%
-
EUR/円(平均)
129.68
136.26
+5.1%
-
EBITDA:親会社株主に帰属する四半期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額
当第3四半期連結累計期間(2022年1月~9月)における当社グループの業績は、売上高は前年同期比29.1%増の7,952億円でした。世界的なインフレ圧力の高まり、ウクライナ情勢の長期化や中国でのゼロコロナ政策による行動制限などがグローバル経済に影響を及ぼすなか、引き続き全てのセグメントにおいて、エネルギー、物流及び原料コストの増加に対する価格対応を進めたことに加え、円安による為替換算影響を受けた結果、大幅な増収となりました。また、カラー&ディスプレイセグメントにおいて、前第2四半期までは連結対象外であったC&E顔料事業の売上が加わったことが増収幅を押し上げました。一方、直近において欧州での景気減速や中国でのロックダウンからの回復の遅れが見られたことに加え、第3四半期(7月~9月)に入って電気・電子やディスプレイを中心としたデジタル分野などで需要が落ち込んだことにより、各地域で多くの製品の出荷が停滞しました。
営業利益は、前年同期比1.2%減の329億円でした。多くの製品の出荷が停滞したことや、価格対応を進めたもののコスト増加分の転嫁が追い付かなかったことなどにより、全体的に利益が落ち込みました。一方、前第3四半期連結累計期間においては、C&E顔料事業の統合に伴う一時費用を42億円計上しましたが、当第3四半期連結累計期間は同様の費用計上がなかったことにより、小幅な減益にとどまりました。
経常利益は、前年同期比5.0%増の356億円でした。為替差益の増加などにより、増益となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比16.5%増の178億円でした。
EBITDAは、前年同期比32.8%増の681億円でした。
また、各セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:億円)
セグメント
売 上 高
営 業 利 益
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
前第3四半期連結累計期間
当第3四半期連結累計期間
前年
同期比
現地通貨
ベース
前年同期比
パッケージング&
グラフィック
3,224
3,973
+23.3%
+17.3%
161
138
△14.1%
△4.4%
カラー&ディスプレイ
1,091
1,953
+78.9%
+62.7%
32
72
+127.5%
+121.8%
ファンクショナル
プロダクツ
2,085
2,345
+12.5%
+7.6%
204
188
△7.8%
△11.3%
その他、全社・消去
△242
△320
-
-
△64
△70
-
-
計
6,158
7,952
+29.1%
+22.0%
333
329
△1.2%
+1.6%
[パッケージング&グラフィック]
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同期比
現地通貨ベース
前 年 同 期 比
売 上 高
3,224
億円
3,973
億円
+23.3%
+17.3%
営 業 利 益
161
億円
138
億円
△14.1%
△4.4%
売上高は、前年同期比23.3%増の3,973億円でした。食品包装を主用途とするパッケージ用インキは各地域ともに価格対応を進めた結果、増収となりました。しかしながら出荷数量ベースで見ると、アジアでは、ゼロコロナ政策が続く中国での出荷が停滞した影響により、前年を下回りました。商業印刷や新聞を主用途とする出版用インキについては、国内でチラシやイベント関連印刷物の需要が回復しなかったことや、欧州で景気減速を背景に需要が落ち込んだことから、それぞれの地域で出荷が落ち込みましたが、全地域で価格対応を積極的に進めたことにより、増収となりました。デジタル印刷で使用されるジェットインキは屋外広告(看板・ポスター)やバナーなどの産業用や商業印刷用の需要が落ち込みましたが、円安による為替換算影響により、増収となりました。2022年1月に買収を完了したイタリアの接着剤メーカーSapici S.p.A.の売上が加わったことも増収要因となりました。
営業利益は、前年同期比14.1%減の138億円でした。各地域でエネルギー、物流及び原料コストの増加分に対する価格対応に取り組みましたが、転嫁が追い付かず減益となりました。また、新興国通貨安による換算目減りが利益を押し下げました。この状況下、Sapici S.p.A.につきましては、欧州での接着剤製品の拡販を進めたことで、利益を着実に上げました。
[カラー&ディスプレイ]
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同期比
現地通貨ベース
前 年 同 期 比
売 上 高
1,091
億円
1,953
億円
+78.9%
+62.7%
営 業 利 益
32
億円
72
億円
+127.5%
+121.8%
売上高は、前年同期比78.9%増の1,953億円でした。C&E顔料事業が加わったことにより、塗料用、プラスチック用及び化粧品用顔料が特に大幅な増収となりました。こうしたなか、化粧品用顔料につきましては、米州や欧州に加えてアジアでも需要回復が見られ、出荷を伸ばしました。一方で、ディスプレイ用途であるカラーフィルタ用顔料は、パネルメーカーの減産とそれに伴う在庫調整により、出荷が落ち込んだ結果、大幅な減収となりました。光輝材を中心としたスペシャリティ用顔料は、農業用については引き続き堅調に推移しましたが、建材用発泡コンクリートで使用される建築用は、主な需要地である欧州で出荷が落ち込みました。
営業利益は、前年同期比127.5%増の72億円でした。前第3四半期連結累計期間においては、C&E顔料事業の統合に伴う一時費用を42億円計上しましたが、当第3四半期連結累計期間は同様の費用計上がなかったことにより、大幅な増益となりました。この一時要因の影響を除くと、カラーフィルタ用、スペシャリティ用などの高付加価値製品の落ち込み、欧州でのエネルギーコストの増加や第3四半期(7月~9月)におけるTFT液晶の出荷大幅減の影響などにより、全体的に利益が押し下げられました。
[ファンクショナルプロダクツ]
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前年同期比
現地通貨ベース
前 年 同 期 比
売 上 高
2,085
億円
2,345
億円
+12.5%
+7.6%
営 業 利 益
204
億円
188
億円
△7.8%
△11.3%
売上高は、前年同期比12.5%増の2,345億円でした。電気・電子やディスプレイを中心とするデジタル分野については、半導体を主用途するエポキシ樹脂は、中国でのゼロコロナ政策や電子デバイス市場減速の影響により、特に海外で出荷が大きく落ち込みましたが、国内外で価格対応を進めたことで増収となりました。スマートフォンなどのモバイル機器を主用途とする工業用テープは、需要の着実な取り込みにより、増収となりました。モビリティ(自動車)を中心とするインダストリアル分野については、特に中国で需要が落ち込みましたが、それぞれ価格対応を進めた結果、主要製品はいずれも増収となりました。PPSコンパウンドは、自動車向けの出荷数量が国内及び海外で落ち込むなか、引き続き価格対応を進めたことや、住設機器向けなど自動車以外の用途で出荷を伸ばした結果、増収となりました。
営業利益は、前年同期比7.8%減の188億円でした。各製品において、エネルギー、物流及び原料コストの増加に対する価格対応を着々と進めたものの、デジタル分野を中心にエポキシ樹脂など高付加価値製品の出荷が落ち込んだことにより、減益となりました。
(2)財政状態
(資産、負債及び純資産の状況に関する分析)
当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、運転資本の増加や子会社の買収などにより、前連結会計年度末と比べて2,479億円増加し、1兆3,194億円となりました。負債の部は、主に借入金の増加により、前連結会計年度末比1,812億円増の8,716億円となりました。また、純資産の部は、為替の影響などにより、前連結会計年度末比667億円増の4,477億円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当四半期連結累計期間は第3四半期連結累計期間であり、四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成していません。このため、キャッシュ・フローの状況に関する分析について記載していません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費は、11,058百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、10,977百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の体制及び方針に重要な変更はありません。