【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状況及び経営成績の状況
当社グループは、Open Doorという企業理念のもと、いまだ誰も突破できていない障壁のある生活に密着した分野で、誰よりも先んじて事業機会を創造し、事業を展開し、産業構造を変え、あるべき社会を実現すべく、さまざまな事業に取り組んでおります。特に、新しいIT技術を活用した通信環境の提供によりフィリピンの社会課題を解決し、SDGsに貢献しつつ、事業の拡大を図っております。
当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルスワクチン接種の普及や各種政策の効果などにより世界各国では経済活動の正常化が進みましたが、日本を除き世界的な物価の上昇に対処するため、インフレ鎮静化に向けて日本を除く世界各国では金融引き締めが続いております。また、急激な為替相場の変動やウクライナ侵攻の長期化に起因する原材料・エネルギー価格の高騰など、依然として経済の先行きは不透明な状況となっております。日本においては、まん延防止等重点措置が昨年3月下旬に全国的に解除されて以降、政府による行動制限は行われず、社会活動の正常化が進んでおります。また、経済においても景気の持ち直しが期待されておりますが、海外景気の下振れが日本の景気を押し下げるリスクになるとみられております。当社グループの主要市場の一つであるフィリピンにおいては、新型コロナウイルス感染者数は低く推移しており、2022年のGDP成長率は前年比7.6%となるなどコロナ禍以前の水準を上回り、社会経済活動が回復してきております。一方で、フィリピンにおいても2022年の消費者物価指数は上昇率平均5.8%と高い値で推移しており、急激な物価上昇を抑えるために中央銀行による金融引き締めが行われております。新型コロナウイルス感染症の影響をきっかけに、人々の新しい生活様式、リモートワークを前提とした新しい働き方への変化など、社会の変化が急速に進んでおり、通信回線を介してのコミュニケーションの重要性がさらに増大しています。社会を支える生活基盤としての通信回線の整備・拡充は、日本・フィリピンを始め世界中において急務となっており、今後とも積極的に事業の拡大を図ってまいります。
当社グループでは、2020年と2021年それぞれにフィリピンとシンガポール・香港を結ぶ海底ケーブル(City-to-City Cable System、以下「C2C回線」)の使用権の一部及び各国の陸上回線から成る国際通信ネットワーク(以下「国際通信ネットワーク」)を取得して、キャリアズキャリア(通信事業者のための卸売業者)としてのポジションも確立し、拡大する通信需要に応えると共に、フィリピン国内基幹回線の拡充などを図るためフィリピン国内海底ケーブルの共同建設を2022年7月に開始するなど、事業の拡大に努めております。
日本においては、コールセンター事業者を中心に、ソフトウエア、通信回線及びコンサルテーションを顧客毎に最適化したサービスの提供が拡大しています。
マニラ首都圏地域においてクリニックを運営しているShinagawa Lasik & Aesthetics Center Corporation(以下「SLACC」)では、お客様が安心して受診できるように徹底した新型コロナウイルス感染症予防対策に努めており、レーシックの件数が前年度に比べ大幅に増加しています。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は12,346百万円(前期比15.1%増)、営業利益は3,311百万円(同34.8%増)となりました。また、円安の進行に伴い為替差益を210百万円計上したことにより経常利益は3,464百万円(同19.6%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は2,292百万円(同21.4%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(国際通信事業)
当期における国際通信事業は、引き続きフィリピンにおける通信回線の需要拡大を捉え、当社グループが使用権を保有する国際通信ネットワークC2C回線の販売を強化し、ストック型ビジネスの拡大を図るとともに、今期はフィリピンのCATV事業者などに対する通信機器の販売の計上がありました。
その結果、当期の国際通信事業の売上高は5,167百万円(前期比40.3%増)、セグメント利益は1,704百万円(同68.5%増)となりました。
(フィリピン通信事業)
当期におけるフィリピン通信事業では、コロナウイルス感染症による移動制限などが緩和されたことに対応し、マニラ首都圏での法人向けインターネット接続サービスの販売を強化するため、営業員の積極的な増強などの先行投資を行いました。また、フィリピン国内の基幹回線網を整備し、さらなる事業拡大を図るため、2022年7月に建設を開始したルソン島、ビサヤ諸島、ミンダナオ島を結ぶフィリピン国内海底ケーブルシステムの共同建設は順調に進捗し、2023年4月に海底における敷設作業が終了いたしました。
当期の売上高は1,181百万円となり、営業員の増強などにより法人向けインターネット接続サービス(Enterprise)の売上が増加しましたが、前期には大口の通信機器の販売による売上計上があったことから、前期比33.8%減となりました。セグメント利益は先行投資の増加を吸収し、229百万円(同2.5%増)となりました。
(国内通信事業)
当期における国内通信事業においては、同事業の意思決定の迅速化や機動的な企業運営を強化するため、2022年7月1日に会社分割により分社化し、株式会社アイ・ピー・エス・プロを設立いたしました。当期も引き続き日本国内の販売代理権を有する、インドのDrishti-soft Solutions Pvt. Ltd.が開発したコールセンターシステム「AmeyoJ」と、大手電気通信事業者が提供している着信課金サービス(フリーダイヤル)を大量に仕入れて、コールセンター事業者向けに秒単位で販売する秒課金サービスを組み合わせたコールセンター向けソリューションの販売などが増加いたしました。
この結果、売上高は4,275百万円(前期比7.2%増)、セグメント利益は919百万円(同12.3%増)となりました。
(メディカル&ヘルスケア事業)
当期におけるメディカル&ヘルスケア事業は、SLACCにおいてレーシック件数が増加し、好調に推移いたしました。また、今後のレーシックの需要拡大に備え、オルティガス院の拡張工事を実施いたしました。
2022年6月に、フィリピンにおいて人間ドック・健診センターを運営する子会社Shinagawa Healthcare Solutions Corporationを設立いたしました。同社が運営する人間ドック・健診センター「Shinagawa Diagnostic & Preventive Care Center」には最新の医療機器を導入し、日本の専門医による画像診断の遠隔二次読影を実施するなど高品質な医療サービスの提供の準備を行い、2023年4月26日に開院いたしました。
この結果、売上高は1,690百万円(前期比35.9%増)、セグメント利益は536百万円(同27.8%増)となりました。
(その他)
海外送金事業者の提供する在留外国人向け国際送金サービスの利用促進が主力サービスです。
売上高は31百万円(前期比16.2%増)、セグメント利益は17百万円の損失(前期は19百万円の損失)となりました。
また、財政状態は次のとおりであります。
(資産の状況)
当連結会計年度末の流動資産は14,270百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,246百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が1,102百万円、貯蔵品が82百万円、売掛金が562百万円それぞれ増加したことによるものです。
また、有形固定資産は8,171百万円となり前連結会計年度末に比べ4,395百万円増加いたしました。これは主に、建設仮勘定が3,973百万円、土地が78百万円増加したことによるものです。無形固定資産は1,760百万円となり、前連結会計年度末に比べ39百万円増加いたしました。これは主に、通信回線使用権が45百万円増加したことによるものです。この結果、資産合計は25,129百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,708百万円増加いたしました。
(負債の状況)
当連結会計年度末の流動負債は12,250百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,385百万円増加いたしました。これは主に、短期借入金が4,382百万円、買掛金が748百万円、未払法人税等が323百万円それぞれ増加し、未払金が1,299百万円、リース債務2百万円、一年内返済予定の長期借入金が58百万円それぞれ減少したことによるものです。
また、固定負債は1,014百万円となり前連結会計年度末に比べ404百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が443百万円減少したことによるものです。
この結果、負債合計は13,265百万円となり、前連結会計年度に比べ3,981百万円増加いたしました。
(純資産の状況)
当連結会計年度末の純資産は11,864百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,727百万円増加いたしました。これは主に、非支配株主持分が610百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益2,292百万円の計上により利益剰余金が同額増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は37.2%(前連結会計年度末は39.7%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,102百万円増加し、当連結会計年度における残高は6,881百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動において獲得した資金は2,636百万円となり、前年同期に比べ944百万円減少しました。これは主に、税金等調整前当期純利益が3,466百万円、仕入債務685百万円、前受金159百万円がそれぞれ増加した一方、未払金の減少1,312百万円、売上債権の増加438百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用した資金は5,506百万円となり、前年同期に比べ2,848百万円増加しました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5,323百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において獲得した資金は3,578百万円となり、前年同期に比べ2,511百万円増加しました。これは主に、短期借入金の増加が4,335百万円あった一方、長期借入金の返済による支出501百万円と配当金の支払額527百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社の国内通信事業及び国際通信事業においては、提供するサービスの性質上、有形の物品ではなく無形の資産(通信回線の使用権)に対しての支払が原価の大部分を占めておりますため、これらを仕入と見做します。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(百万円)
前年同期比(%)
国際通信事業
2,233
100.2
フィリピン通信事業
593
61.0
国内通信事業
2,720
109.8
メディカル&ヘルスケア事業
643
146.3
その他
-
-
合計
6,190
101.1
(注)1.セグメント間取引は相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループは受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
国際通信事業
5,167
140.3
フィリピン通信事業
1,181
66.2
国内通信事業
4,275
107.2
メディカル&ヘルスケア事業
1,690
135.9
その他
31
116.2
合計
12,346
115.1
(注)1.セグメント間取引は相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
販売高
(百万円)
割合(%)
販売高
(百万円)
割合(%)
株式会社NTTドコモ
1,104
10.3
-
-
Sky Cable Corporation
-
-
1,401
11.3
Globe Telecom, Inc.
1,303
12.2
-
-
前連結会計年度のSky Cable Corporation及び当連結会計年度の株式会社NTTドコモとGlobe Telecom, Inc.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
1)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、12,346百万円(前年同期比15.1%増)となりました。これは主に、国際通信事業の売上高5,167百万円(前年同期比40.3%増)、並びに国内通信事業の売上高4,275百万円(前年同期比7.2%増)によるものであります。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は3,311百万円(前年同期比34.8%増)となりました。これは主に、国際通信事業のセグメント利益が1,704百万円(前年同期比68.5%増)、並びに国内通信事業のセグメント利益が919百万円(前年同期比12.3%増)となったことによるものであります。
(経常利益)
営業外収益として受取利息及び配当金を82百万円、為替差益を210百万円、営業外費用として支払利息を125百万円計上したこと等により、経常利益は3,464百万円(前年同期比19.6%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税として977百万円、非支配株主に帰属する当期純利益として261百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は2,292百万円(前年同期比21.4%増)となりました。
なお、セグメントの概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
2)財政状態の分析
財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
国内通信事業が、コールセンター向けの電話サービスについて、競合事業者からの顧客獲得が進んだことや同サービスの認知度の向上により、大きな投資を伴わない形で、収益が拡大しております。
一方回線の敷設が必要な、フィリピン通信事業は、地方での回線敷設も増え、社内の多くのリソースを割く必要が出てきました。売上は、1,181百万円、セグメント利益は229百万円となりました。
これまで設備投資は、InfiniVAN社の現地資本に対する増資と手許資金で行ってまいりましたが、今後は、長期借入金を中心とした調達をすることを計画しております。
3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末(投資活動によるキャッシュ・フロー)における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は6,881百万円となり、投資活動において使用した資金は5,506百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出5,323百万円によるものであります。
当社グループは、今回取得した国際海底ケーブルを利用する通信トラフィックをフィリピン各地で獲得するため、今後も、フィリピン国内の通信回線設備の構築等の投資が必要となります。当社グループによる回線構築にあたっては、他の事業者と共用できるように事前に他の事業者と調整する等、当社グループの負担額を抑えることに努めておりますが、当面の間は、投資の需要が大きいことが見込まれます。投資に振り向ける資金の調達は、営業キャッシュ・フロー、銀行からの長期借入金を充てることを想定しております。手許資金については、今後少なくなることが見込まれますが、銀行からの当座貸越枠の設定・拡大等を通じて対応していく計画です。
フィリピン国内の都市間中継回線・マニラ首都圏地域の設備投資が落ち着き、収益が安定したときは、手許資金を積極的に株主に還元していくことを予定しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループは、過去の実績や取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産、負債の帳簿価額及び収益、費用の全般に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財政状態及び経営成績に関する以下の分析が行われております。なお、本項に記載した予想、見込み、見通し、方針等の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性があるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
③ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の構造や変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
(3)資金調達と資金の流動性についての分析
当社グループの資金調達は、金融機関からの借入による間接調達及び資本市場からの調達による直接調達で構成されております。
長期運転資金及び設備投資資金につきましては、営業活動により得られたキャッシュ・フロー、金融機関からの長期借入やリースによる間接調達及び株式発行による直接調達を基本としております。
短期資金需要につきましては、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び当座貸越契約の融資枠の利用を含めた金融機関からの短期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は6,930百万円、現金及び現金同等物の残高は6,881百万円となりました。
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