【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
当連結会計年度における経済状況としては、ロシアによるウクライナ侵攻や急速な円安の進行等に伴う資源エネルギー及び原材料等の価格高騰や関連する物価の上昇傾向により、先行き不透明な状況が続いております。また、新型コロナウイルス感染症においては、未だ感染の収束には至っていないものの、行動制限の解除により、経済活動については、徐々に活発になる兆しを見せております。
物流業界においては、昨年度から続く資源エネルギー価格の高騰や昨年10月の最低賃金の上昇によって物流原価が高騰する厳しい状況が続いております。そうした状況下において、AIやIoTを取り入れた物流のデジタルトランスフォーメーションによって、物流管理コストの圧縮や配送コースの効率化を行うことで物流原価の低減に取り組み始める企業がでております。
このような社会情勢の下、当社グループは「生活物資に特化した物流への経営資源の集中投資」「関東から全国への展開を見据えた物流基盤の構築」「将来を見据えAI・ITを導入した物流システムの構築」の3つを成長戦略とした中期経営計画を推進しております。
当連結会計年度においては、物流原価の高騰はあるものの、コロナウイルス感染症に関する行動制限の解除も重なり、上半期に今期計画の新規物流拠点の開設を集中させ、将来の収益基盤を確保していくなかで、業務効率の見直しや配送の合理化による営業原価の圧縮を進めております。また、前年に稼働した新規業務についても安定稼働しており、既存業務と併せて堅調に事業を拡大しております。
今期の新規拠点開設においては、1月に「関西酒類DC」、4月に「静岡TC」、5月に「静岡低温センター」、「愛知低温センター」、「白山南センター」、6月に「京都低温センター」を開設、7月に既存業務の拡大に伴い「関西第2TC」を追加し、合計7つの新規物流拠点を開設しております。また、6月には既存の座間センターにおいて新規の3PL業務を稼働し拡大しております。これらの物流センター開設によりイニシャルコストが発生しており、営業原価が増加しております。
また、来期の業務拡大に向けて着工しておりました、白山センターの増改築工事が12月に完了しており、新たな業務稼働に向けた準備を進めております。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における経営成績は、営業収益23,022百万円(前年同期比14.9%増)、営業利益1,301百万円(前年同期比16.4%増)、経常利益1,376百万円(前年同期比13.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益873百万円(前年同期比2.5%増)となりました。
なお、当社グループは「物流事業」を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,711百万円となり、前連結会計年度末に比べ93百万円増加いたしました。これは主に営業未収入金が347百万円増加した一方で、現金及び預金が184百万円減少したことによるものであります。固定資産は7,851百万円となり、前連結会計年度末に比べ380百万円増加いたしました。これは主に建物及び構築物が437百万円、機械装置及び運搬具が61百万円及び建設仮勘定が46百万円増加した一方で、リース資産が168百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、14,562百万円となり、前連結会計年度末に比べ474百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は5,861百万円となり、前連結会計年度末に比べ750百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が1,000百万円及びその他流動負債が255百万円増加した一方で、1年内返済予定長期借入金が471百万円減少したことによるものであります。固定負債は3,595百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,081百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が955百万円及びリース債務が127百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、9,456百万円となり、前連結会計年度末に比べ330百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は5,105百万円となり、前連結会計年度末に比べ804百万円増加いたしました。これは主に資本金が15百万円、資本剰余金が15百万円及び利益剰余金が740百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は33.7%(前連結会計年度末は29.4%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ195百万円減少し、当連結会計年度末には3,587百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,269百万円(前年同期は1,540百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,409百万円、減価償却費640百万円及び売上債権の増加347百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は524百万円(前年同期は1,234百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出618百万円、投資有価証券の売却による収入34百万円及び助成金の受取額55百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は940百万円(前年同期は802百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入れによる収入1,000百万円及び新株予約権の行使による株式の発行による収入31百万円がありましたが、長期借入金の返済による支出1,427百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出351百万円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
物流事業
22,452
15.2
その他
569
3.9
合計
23,022
14.9
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
株式会社クスリのアオキ
4,783
23.8
6,458
28.0
三菱食品株式会社
3,657
18.2
3,680
15.9
株式会社PALTAC
1,865
9.3
1,810
7.8
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者による会計上の見積りは、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、会計上の見積りには不確実性があるため、実際の結果と見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(営業収益)
前連結会計年度末に立ち上げた業務が通年稼働したことや、既存業務の拡大により、堅調に増収しております。また、新規業務受託に伴い、「関西酒類DC」、「静岡低温センター」、「愛知低温センター」、「京都低温センター」の5拠点を開設、既存業務の配送効率向上を図るため、「静岡TC」、「白山南センター」の2拠点を開設したことにより、新たに7拠点を開設しております。この結果、営業収益は23,022百万円(前連結会計年度比14.9%増)となりました。
(営業原価、営業総利益)
新規業務及び新規物流センター稼働に伴う一括経費の発生や燃料単価高騰による燃料費及び水道光熱費の上昇等の影響から営業原価が増加しましたが、配送コースの見直しや業務形態の変更による物流業務の合理化に取り組み営業原価の圧縮を図ったことにより、営業原価は20,527百万円(同15.5%増)となりました。この結果、営業総利益は2,494百万円(同10.4%増)となりました。また、営業総利益率は10.8%(前連結会計年度は11.2%)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
管理スタッフの増員による労務費の増加、新型コロナウイルス感染症の規制緩和に伴う旅費交通費の増加、システム保守費用が増加したことにより、販売費及び一般管理費は1,193百万円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。この結果、営業利益は1,301百万円(同16.4%増)となりました。
(営業外収益・営業外費用及び経常利益)
助成金収入86百万円、受取保険金16百万円等を計上したこと等により営業外収益は134百万円となりました。また、支払利息27百万円、シンジケートローン費用等31百万円等を計上したことにより営業外費用は59百万円となりました。この結果、経常利益は1,376百万円(同13.9%増)となりました。
(特別利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
固定資産売却益13百万円及び投資有価証券売却益20百万円を計上したことにより特別利益は33百万円となりました。法人税等を472百万円、非支配株主に帰属する当期純利益64百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は873百万円(同2.5%増)となりました。
また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の各指標等の達成・進捗状況については、以下のとおりであります。
経営指標
前連結会計年度
(2021年12月31日)
当連結会計年度
(2022年12月31日)
実 績
計 画
実 績
顧客数(社)
24
24
24
拠点数(拠点)
51
52
58
輸送力(台)
1,073
1,157
1,253
(注)1.顧客数は、年間の営業収益が1億円以上の取引先のみ記載しております。
2.拠点数は、新たに7拠点開設したことにより、2022年12月31日現在58拠点となりました。
3.輸送力は、新規拠点開設に伴う自社車両の増加や新たな協力会社が増加した結果、2022年12月31日現在1,253台となりました。なお、総台数における自社車両台数は305台であります。
上記のとおり、当連結会計年度においては、順調に進捗しており、当社グループの中長期的な経営戦略は概ね計画どおりに進捗しているものと判断しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動における資金需要としては、事業運営を円滑に行うための費用や一般管理費等の営業費用として充当される運転資金と物流センター等の事業拠点の新設や車両の入替のために充当される設備資金があります。なお、当社グループの設備投資計画等の内容については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
また、これらの必要資金の財源については、いずれも原則として内部留保による手元資金の充当及び社債や銀行借入れ等の有利子負債により調達しております。なお、設備資金のための銀行借入については、株式会社三菱UFJ銀行をエージェントとするシンジケートローンを締結しており、当連結会計年度末における借入金実行残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結貸借対照表関係」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 貸借対照表関係」に記載しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。