【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境」に記載しました当連結会計年度の環境の下、採算性を重視した営業活動及び拡販活動に取り組み、建設コスト高を反映した価格改善や連結子会社との連携による工事受注の確保に注力してまいりました。なお、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により当連結会計年度の財政状態及び経営成績に与える影響はありませんでした。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ4億28百万円増加し、437億32百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3億36百万円減少し、155億13百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ7億65百万円増加し、282億19百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は351億4百万円(前年同期比10.1%増)となりました。利益につきましては、営業利益10億63百万円(前年同期比90.1%増)、経常利益15億48百万円(前年同期比60.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億38百万円(前年同期比38.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ、10億14百万円減少の33億29百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は7億56百万円の増加(前年同期は15億72百万円の増加)となりました。主な増加項目は税金等調整前当期純利益15億98百万円、仕入債務の増加額13億72百万円であり、主な減少項目は売上債権及び契約資産の増加による資金の減少額22億38百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は1億61百万円の減少(前年同期は5億47百万円の増加)となりました。主な減少項目は有形及び無形固定資産の取得による支出額2億59百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は16億9百万円の減少(前年同期は13億6百万円の減少)となりました。主な減少項目は短期借入金の減少額13億円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業の部門で示すと、次のとおりであります。
部門の名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
工場部門
1,392
3.6
(注)金額は受注加工製作額であり、販売価格によっております。
b.受注実績
工事及び製作加工は、取引先との契約締結後、ごく短い期間で工事施工開始又は製作加工品を納入するという業界の慣習・取引形態の特殊性により、受注高の集計は行っておりません。
c.販売実績
営業部門は取扱商品別に分かれておりません。当連結会計年度における売上形態区分別内訳は次のとおりであります。
区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
販売
14,830
23.0
賃貸
4,423
△2.5
工事
10,167
4.8
加工受託
2,708
2.6
運送受託
2,974
0.9
合計
35,104
10.1
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は437億32百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億28百万円の増加となりました。その主な内容は、受取手形、売掛金及び契約資産と電子記録債権をあわせた売上債権が増加、現金及び預金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は155億13百万円となり、前連結会計年度末と比較して3億36百万円の減少となりました。その主な内容は、返済により短期借入金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は282億19百万円となり、前連結会計年度末と比較して7億65百万円の増加となりました。その主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.1ポイント増加した64.5%となりました。
b.経営成績の分析
当社グループが属する建設業界におきましては、建設投資に底堅い動きが見られるものの、建設資材・労務価格の高騰や建設業従事者の高齢化と人材確保の問題など、受注環境は依然として厳しい状況が続いております。このような環境の下、当連結会計年度の売上は、販売収入が前年同期比23.0%増の148億30百万円、賃貸収入が前年同期比2.5%減の44億23百万円、工事収入が前年同期比4.8%増の101億67百万円、加工料収入が前年同期比2.6%増の27億8百万円、運送収入が前年同期比0.9%増の29億74百万円と、賃貸収入以外では増収となり、総売上高は前年同期比10.1%増の351億4百万円となりました。売上原価は前年同期比で原価率が0.8ポイント減少した295億94百万円(前年同期比9.0%増)、販売費及び一般管理費は44億47百万円(前年同期比6.5%増)となりました。この結果、営業利益は10億63百万円(前年同期比90.1%増)となりました。販売収入の増加と利益率改善により、当社グループ全体では増収増益となりました。
営業外収益5億65百万円(前年同期比8.9%増)、営業外費用80百万円(前年同期比29.5%減)を加減し、経常利益は15億48百万円(前年同期比60.5%増)となりました。特別利益合計50百万円及び法人税等合計5億60百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は10億38百万円(前年同期比38.6%増)となりました。
以上の結果、売上高営業利益率は、前年同期と比べ1.2ポイント上昇した3.0%となりました。また、自己資本利益率は、前年同期と比べ1.0ポイント上昇した3.7%となりました。
c.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの業績は建設業界を取り巻く環境に左右されます。足元では都市部の再開発事業を中心とした民間の設備投資プロジェクトや2025年まで実施される「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を柱とするインフラ基盤整備計画による需要の進捗や政府の補正予算の下支えが期待され、建設需要は引き続き底堅い推移が見られます。一方では、従来からの技術労働者不足に加え、昨年から続く原材料や鋼材価格の高騰により、建設コストの大幅な上昇が見られます。このような背景から企業の設備投資意欲の減退や、更なる受注競争の激化による採算面での厳しさが予想されます。
このような環境の下、当社グループは引き続き採算面での徹底した管理を行いながら受注活動に取り組んでまいります。
d.経営者の問題認識と今後の方針について
今後の経営環境につきましては、欧米主要国の金融引き締め政策を進める中で暫くは円安傾向が続くものと見られます。国内経済はアフターコロナに向けた経済活動の本格的な再開と政府の需要喚起策が相まって、景気の回復基調が持続するものと期待されます。しかしながら、長期化するロシア・ウクライナ情勢などの地政学的リスク、欧米の一部金融機関の経営破綻による金融市場の動揺、国内外のインフレ政策などが経済に与える影響を注視する必要があります。
建設業界を取り巻く環境は、従来からの技術労働者不足に加え、昨年から続く原材料や鋼材価格の高騰により、建設コストの大幅な上昇が見られます。このような背景から企業の設備投資意欲の減退や、更なる受注競争の激化による採算面での悪化が心配される一方で、都市部の再開発事業を中心とした民間の設備投資プロジェクトや2025年まで実施される「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を柱とするインフラ基盤整備計画による需要の進捗や政府の補正予算の下支えが期待され、建設需要は引き続き底堅い推移が見込まれます。
このような環境の下、当社グループはリース事業を柱とする収益力の強化を図るとともに高付加価値事業への経営資源の再配分、組織・体制の全体最適化を図ってまいります。重点課題である経営資源の最適化に向けて、各工場の保有資材を効率的に運用するための集中管理体制を構築し、在庫の適正化と稼働率向上に努めてまいります。また、工事子会社保有分も含めた建設用重機の積極的運用を推進しつつ、工期短縮と環境負荷低減を両立する新工法の提案により工事受注の拡大に取り組んでまいります。加えて、各工場の加工能力と生産性の向上を図るべく適正な投資を行い、資材の効率稼働と受注加工の収益力強化に取り組んでまいります。当社グループが策定した中期経営計画は2024年3月期が最終年度となります。当社グループのビジョン実現に向けて「重仮設事業の収益構造の強化」、「成長の礎となる経営基盤の強化」、「業務プロセス改革の推進」の3つを軸とした基本戦略を実行することで、今後の成長に繋げてまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に必要な運転資金として材料費、外注費、修理費、製作加工費、労務費等が主要な内容であります。経常的な運転資金については、一定水準の資金を確保しておく必要があります。設備投資などの資金の財源については、営業活動による収入で得た資金を投入し、不足する場合は有利子負債による資金調達を実施しております。なお、当社においては、運転資金の安定的な調達を行うために総額10億円の貸出コミットメント契約を締結しております。