【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態の状況
当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産が43,629百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,088百万円増加しました。一方、負債は19,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,665百万円増加しました。また、純資産は24,589百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,422百万円増加しました。
②経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和に伴い社会経済活動の正常化が進み、個人消費の回復などにより景気に持ち直しの動きがみられたものの、ウクライナ情勢や急激な円安の進行等を背景とした資源価格の高騰や物価高の影響に加え、部材供給難の長期化や米国による中国への輸出規制強化など、先行きについては依然として不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当社グループにおける当連結会計年度の業績につきましては、半導体設計用(EDA)ソフトウェアや決済端末の販売が堅調に推移したものの、研究開発への注力や事業拡大に伴う人員増などが影響したことから、売上高38,629百万円(前期比3.7%増)、営業利益2,319百万円(同10.3%減)、経常利益2,480百万円(同16.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,666百万円(同24.1%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動により1,680百万円(前期比38.7%減)の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)を得た一方、投資活動において1,692百万円(同47.1%増)、財務活動において517百万円(同42.5%減)を使用した結果、当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ346百万円減少し、6,134百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
テストソリューション事業(千円)
9,773,699
96.19
半導体設計関連事業(千円)
2,971,573
99.69
システム・サービス事業(千円)
6,421,464
137.80
合計(千円)
19,166,736
107.67
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.一部の自社製品については、社外へ委託生産を行っており、上表の金額は外部委託先からの仕入価格を基準に記載しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
テストソリューション事業(千円)
3,037
2.70
半導体設計関連事業(千円)
7,366,303
108.03
システム・サービス事業(千円)
1,739,789
74.16
合計(千円)
9,109,130
98.19
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
c.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
テストソリューション事業
14,246,610
100.45
2,742,076
112.68
半導体設計関連事業
14,521,642
118.62
12,467,595
110.99
システム・サービス事業
12,213,066
112.60
3,833,498
126.74
合計
40,981,319
109.95
19,043,170
114.09
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
テストソリューション事業(千円)
13,938,015
96.47
半導体設計関連事業(千円)
13,287,564
106.90
システム・サービス事業(千円)
11,404,181
110.07
合計(千円)
38,629,761
103.74
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容
a.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、25,957百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,767百万円増加しました。これは主に、部材不足の対応に伴う先行手配等により棚卸資産が増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、17,671百万円となり、前連結会計年度末に比べ320百万円増加しました。これは主に、連結子会社における機械装置及び運搬具の取得によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、17,068百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,456百万円増加しました。これは主に、固定負債からの振替により1年内償還予定の社債が増加したほか、支払手形及び買掛金や前受金が増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、1,970百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,790百万円減少しました。これは主に、長期借入金の調達を実行した一方、流動負債への振替により社債が減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、24,589百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,422百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによるものであります。この結果、自己資本比率は54.1%となり、前連結会計年度末に比べ0.7ポイント減少しております。
b.経営成績
(売上高、売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上高は、半導体設計用(EDA)ソフトウェアや決済端末の販売が堅調に推移したことなどから38,629百万円となり、前連結会計年度に比べ3.7%増加しました。一方、売上高に対する売上原価の比率は、一部の事業において部材価格高騰の影響が継続したものの、決済端末事業の需要回復や自社製テストシステム事業における新製品の販売好調が寄与したことなどにより、前連結会計年度に比べ1.6ポイント減少し68.3%となりました。また、販売費及び一般管理費は、新製品の開発や業容拡大に伴い研究開発費や給与手当が増加したことなどにより前連結会計年度に比べ14.9%増加し、9,922百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ10.3%減少し、2,319百万円となりました。
報告セグメント別の経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
〔テストソリューション事業〕
テストソリューション事業は、半導体メモリー市場等の顧客を中心に当社グループのエンジニアリング力を活かし、高付加価値製品の提供に注力するとともに、顧客ニーズに対応した製品の開発や新規市場の開拓に積極的に取り組んでまいりました。当事業においては、半導体不足に伴う一部部材の長納期化や価格高騰の影響を受けましたが、設計変更による代替部品への切り替えや新規調達先開拓などの対応により影響の最小化に努めてまいりました。自社製テストシステムは、市況悪化に伴う国内顧客の投資抑制によりメモリー向けテスターの需要が減退したことに加え、海外向け販売も低迷したことから減収となり、これに伴う在庫評価損を計上したものの、新製品の販売好調により一定の収益性は確保しました。台湾のSTAr Technologies, Inc.は、信頼性試験装置の需要が堅調に推移したものの、プローブカード販売の伸び悩みや部材調達難、研究開発への注力や事業拡大に伴う人員増などにより収益性は低下しました。
その結果、当事業の売上高は13,938百万円(前期比3.5%減)、セグメント利益は957百万円(同37.6%減)となりました。
〔半導体設計関連事業〕
半導体設計関連事業は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和により社会経済活動の正常化が進むなか、インターネット等の活用に加え対面での営業活動を再開し、売上拡大及び収益の安定化に努めてまいりました。主力商品の半導体設計用(EDA)ソフトウェアは、新規顧客への販売が増加したほか、既存顧客からの受注が伸長したことなどにより増収となりました。三栄ハイテックス株式会社のLSI設計受託ビジネスは、海外事業がロックダウンの影響を受け伸び悩んだものの、国内における主力顧客の需要が概ね堅調に推移し増収となりました。株式会社モーデックのシミュレーションモデル製品販売や設計支援サービスも半導体や自動車関連向けを中心に概ね堅調に推移いたしました。
その結果、当事業の売上高は13,287百万円(前期比6.9%増)、セグメント利益は632百万円(同4.3%増)となりました。
〔システム・サービス事業〕
システム・サービス事業は、当社グループのエンジニアリング力を活かし、特徴ある製品の開発やサービスの提供に注力してまいりました。当事業においても、半導体不足やサプライチェーンの混乱等による一部部材の長納期化や価格の高騰が続いておりますが、先行手配や新規調達先開拓、代替部品への変更などの柔軟な対応により影響の最小化に努める一方、展示会への出展を再開し新規顧客の獲得や商談件数の増加を図るなど積極的な営業活動を行ってまいりました。自社製CPUボードやBOX型コンピューターなどの組込み製品は、社会インフラや産業機械向けなどを中心とした需要の高まりを受け増収となりました。アイティアクセス株式会社は、社会経済活動の正常化などに伴い決済端末の需要が回復したことに加え、クラウド決済サービスの収益も貢献し増収増益となりました。ガイオ・テクノロジー株式会社は、自動車関連の需要が本格的な回復に至らないなか、車載向け組込みソフト検証ツール販売は伸び悩んだものの、エンジニアリングサービスの需要が回復し増収増益となりました。一方、株式会社レグラスのAIカメラシステムは、建設機械向けの販売が増加したものの、量産案件が低迷したことに加え、受託開発もプロジェクトの遅れなどにより伸び悩み減収となりました。
その結果、当事業の売上高は11,404百万円(前期比10.1%増)、セグメント利益は1,333百万円(同19.6%増)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の不動産賃貸料は、テナントの一部退去があったことなどから447百万円となり、前連結会計年度に比べ1.9%減少しました。また、主に海外子会社における助成金収入や為替差益も減少しました。一方、不動産賃貸費用は、資源価格高騰に伴う水道光熱費の増加などにより、前連結会計年度に比べ3.2%増加の336百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ16.9%減少し、2,480百万円となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益を計上したことなどにより2百万円となりました。一方、特別損失は、国内子会社において補助金収入に係る固定資産圧縮損を計上したことなどから、0百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ16.6%減少し、2,482百万円となりました。
(法人税等)
当連結会計年度の法人税等は、海外子会社の税金費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ10.7%増加し、767百万円となりました。
この結果、当期純利益は、前連結会計年度に比べ24.9%減少し、1,714百万円となりました。
また、法人税等の税金等調整前当期純利益に対する比率は30.9%となり、前連結会計年度に比べ7.6ポイント増加しました。
(非支配株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は、主にSTAr Technologies, Inc.が減益となったことから、前連結会計年度に比べ45.6%減少し、48百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ24.1%減少し、1,666百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
当社グループの当連結会計年度末における資金の残高は、前連結会計年度末に比べ346百万円減少し、6,134百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は1,680百万円(前期比38.7%減)となりました。これは主に、棚卸資産及び前渡金が1,946百万円増加したものの、税金等調整前当期純利益を2,482百万円、減価償却費を1,197百万円それぞれ計上したことなどにより資金を得たためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は1,692百万円(同47.1%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得に1,076百万円、無形固定資産の取得に493百万円の資金を使用したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は517百万円(同42.5%減)となりました。これは主に、長期借入れにより1,000百万円を得たものの、配当金の支払に918百万円、長期借入金の返済に530百万円の資金を使用したことなどによるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品や原材料等の仕入代金や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は経常的に発生するものではありませんが、生産設備を有する一部の子会社の設備投資や事業買収に係る費用等があります。これらの資金需要に対しては、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を使用し、不足分について金融機関からの借入などによる調達を実施することとしております。長期借入金や社債などの長期資金の調達につきましては、金利動向などの調達環境を考慮のうえ、調達規模や調達手段を適宜判断して実施することとしております。
また、自己株式の取得につきましては、「資本政策に関する基本方針」に基づき、実行の是非を判断することとしております。
③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準により作成されております。
連結財務諸表の作成にあたって、経営者が採用した会計基準や、資産・負債及び収益・費用の計上並びに開示に影響を与える見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。