【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和に伴い経済活動の持ち直しが見られるなか、個人消費の伸長が期待されました。しかしながら、ロシア・ウクライナ紛争等に起因する世界的なエネルギー価格や原材料価格の高騰、急激な円安による為替相場の変動等により消費者物価は上昇し、依然として先行きの不透明な状況が続いております。靴業界におきましても、行動制限の緩和により消費動向は回復基調となったものの、コロナ禍を契機とした価値観の変化、ワークスタイルの多様化等の影響により、革靴の市場規模全体が縮小傾向にあり、加えて消費者物価の上昇に伴う慎重な購買行動や原材料価格、商品仕入原価の高騰等により厳しい経営環境が続いております。このような環境のなか、当社グループは、抜本的な構造改革による収益性の早期改善を重点課題に掲げ、グループ全体の経営資源の再配分等を行うことで各種コストの削減を図るとともに、需要と供給の見込み精度を上げ、棚卸資産の圧縮を図ることで在庫効率の改善を推し進めております。更にお客さまのニーズやライフスタイルの変化に適切かつ迅速に対応した商品・店舗開発等を行うとともに、デジタルマーケティングの推進に注力し、コーディネートや商品提案、当社商品を介したお客さまとの情報共有等販促施策を積極的に展開し、顧客経験価値の向上と店頭売上を重視したビジネスモデルの構築に取り組んでまいりました。売上高につきましては、行動制限の緩和により小売店舗や百貨店の集客は徐々に回復し、オフィス需要やオケージョン需要の増加でビジネスシューズが回復基調となったことに加え、外出機会の増加による旅行やレジャー、アウトドアファッションに対応したカジュアルシューズが堅調に推移したこともあり、全体の売上高は前年同四半期比で10.0%の増収となりました。利益面につきましては、原材料価格や物流コスト、商品仕入原価の高騰等により一部商品の価格改定を行うとともに、展開アイテムの適正化及び在庫効率改善施策を実施し値引額が減少したこと等により、売上総利益額は前年同四半期比で17.1%の増益、売上総利益率につきましても前年同四半期比で 2.9ポイント、コロナ禍以前の2019年同四半期比でも 3.8ポイント改善いたしました。なお、第1四半期連結会計期間からグループ通算制度を適用したことに伴い、当社及び主要な国内連結子会社において、繰延税金資産の回収可能性が見込まれる部分について繰延税金資産を計上したことにより、法人税等調整額を第1四半期連結会計期間にて 197百万円計上いたしましたので、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同四半期と比較して大幅な利益計上となりました。以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は16,131百万円
(前年同四半期比 10.0%増) 、営業利益は133百万円
(前年同四半期は営業損失362百万円) 、経常利益は280百万円
(前年同四半期は経常損失216百万円) 、親会社株主に帰属する四半期純利益は457百万円
(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失307百万円) の計上となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
① 靴小売事業靴小売事業では、行動制限の緩和により通勤者数や休日の外出機会が増加するなか、コロナ禍を契機とした価値観の変化等により、顧客動向は安心感のあるベーシックな定番商品が見直されるとともに、良いものを長く使いたい品質重視の傾向もあり、主力のビジネスシューズ需要が増加しました。加えてON・OFF兼用の革靴や旅行やレジャーに対応したカジュアルシューズの需要も回復基調となりました。国内直営小売店の売上高は、主力の「リーガルシューズ店」につきましては、WEBコンテンツを介したコーディネート・商品提案等オムニチャネル化の推進に加え、パーソナル需要に対応したパターンオーダー販促施策にも注力し、前年同四半期比で14.9%の増収となりました。また、「アウトレット店」の売上高は前年同四半期比で 9.0%の増収、ECサイトである「オンラインショップ」は 9.5%の増収と靴小売事業全体の伸長率と比較してやや低いものの、両業態ともに利益面では、在庫効率改善施策等の効果もあり値引額が減少し、売上総利益額は「アウトレット店」では前年同四半期比で14.5%の増益、「オンラインショップ」では15.9%の増益となりました。サステナビリティへの取組みとしましては、小売店舗内に有料の「シューケアサービスコーナー」を積極的に展開し、お客さまが購入後の靴を適切なメンテナンスやケアにより長くご愛用いただけるようサポートしております。(直営小売店106店舗設置済)また、新たな施策として、昨年12月よりロングユースへの思いを込めたアップサイクル&リテールプログラムを開始いたしました。東京都渋谷区のコンセプトストア「REGAL Shoe & Co.」のみのトライアルとなりますが、お客さまの愛着のある靴を引き取り、リペア・メンテナンスを施し、再販することで新たな価値を創造してまいります。これらの取組みを通して、環境負荷の低減を図ってまいります。当第3四半期連結累計期間の店舗展開につきましては、3店舗を出店し、不採算店舗を4店舗閉店いたしました。(直営小売店の店舗数117店舗、前連結会計年度末比1店舗減)この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は9,816百万円
(前年同四半期比13.1%増) 、営業利益は202百万円
(前年同四半期は営業損失36百万円) となりました。
② 靴卸売事業靴卸売事業では、取引先の減少・売場縮小の影響に加え、地政学リスク等に起因するサプライチェーンの混乱は続いており、原材料の供給遅延、インポートブランドやカジュアルシューズ等海外調達商品の納期遅延や欠品が発生しており、徐々に改善には向かっているものの計画どおりの商品展開が出来ない状況が続いております。業態別では、百貨店業態につきましては、靴小売事業同様にオフィス需要や外出機会の増加等により来店客数は回復傾向にあり、ビジネスシューズを中心に堅調に推移いたしました。一方で量販業態では、大型チェーン店等で展開アイテムの再構築が進んでおり、PB商品や低価格商品へのシフトが顕著となり、中価格帯の当社商品の取り扱いが減少したことなどにより低調に推移いたしました。全般的には、消費者物価の上昇により慎重な購買行動が見られるなか、取引先における顧客動向は、業態やロケーションによって品質重視志向や低価格志向等多様な傾向が見られ、取引先のニーズに対応した商品提案の重要性が高まっております。また、靴製造業としての強みを生かし、各種企業向け OEM等の企画・開発・製造の提案を行うなど、減少傾向にある既存取引先以外にも販路の拡大を目指してまいります。この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は6,295百万円
(前年同四半期比 5.2%増) 、営業損失は94百万円
(前年同四半期は営業損失417百万円) となりました。
③ その他報告セグメントに含まれない不動産賃貸料の収入など、その他事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は113百万円
(前年同四半期比29.3%増) 、営業利益は10百万円
(前年同四半期比33.7%減) となりました。
b.財政状態当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ 789百万円減少し、26,594百万円となりました。このうち、流動資産の残高は17,120百万円と、前連結会計年度末に比べ 715百万円減少しております。これは、商品及び製品が 395百万円、原材料及び貯蔵品が 106百万円増加したものの、現金及び預金が 968百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が 348百万円減少したことなどが主な要因であります。固定資産の残高は 9,473百万円と、前連結会計年度末に比べ 73百万円減少しております。これは、第1四半期連結会計期間からグループ通算制度を適用したことに伴い、当社及び主要な国内連結子会社において繰延税金資産を計上したことにより、投資その他の資産が 223百万円増加したものの、山形県米沢市の土地等を売却したことにより、有形固定資産が 370百万円減少したことなどが主な要因であります。当第3四半期連結会計期間末における負債の部の合計は、前連結会計年度末に比べ 1,324百万円減少し、15,777百万円となりました。このうち、流動負債の残高は 9,795百万円と、前連結会計年度末に比べ 820百万円減少しております。これは、支払手形及び買掛金が 682百万円、短期借入金が 256百万円減少したことなどが主な要因であります。固定負債の残高は 5,982百万円と、前連結会計年度末に比べ 503百万円減少しております。これは、長期借入金が 489百万円減少したことなどが主な要因であります。当第3四半期連結会計期間末における純資産の部の合計は、10,816百万円と、前連結会計年度末に比べ 535百万円増加しております。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益 457百万円を計上したことなどにより利益剰余金が 425百万円増加したことなどが主な要因であります。
(2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等について、重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は77百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数
当第3四半期連結累計期間において、従業員数に著しい変動はありません。
(7) 生産、商品仕入、受注及び販売の実績販売実績の変動については (1) 財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであり、生産、商品仕入及び受注の実績についても販売実績の変動に伴うものであります。
(8) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、以下の主要な設備の売却を行っております。
会社名
事業所名(所在地)
セグメントの名称
設備の内容
前期末帳簿価額
(百万円)
売却年月
株式会社リーガルコーポレーション
旧米沢工場(山形県米沢市)
―
建物及び構築物、土地
298
2022年11月
(注) 2021年4月30日をもって解散し、2021年12月15日をもって清算結了しております米沢製靴株式会社分であります。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因今後、関税割当制度が廃止され、革靴輸入の完全自由化が実施されることになりますと当社グループのみならず、わが国の靴産業に多大な影響をもたらす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、百貨店業態や商業施設及び店舗の臨時休業や営業時間の短縮に加え、外出自粛等による客数の減少や消費者の購買意欲の低下により、当社グループの業績は多大な影響を受けました。今後、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化や緊急事態宣言の発出などは、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの運転資金及び設備投資資金については、自己資金、金融機関からの借入金により資金調達を行っております。運転資金は自己資金及び短期借入金を基本としており、設備投資資金は長期借入金を基本としております。当第3四半期連結会計期間末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は10,630百万円となっております。また、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は 6,857百万円となっており、手元流動性は十分と認識しております。
#C7938JP #リーガルコーポレーション #その他製品セクター