【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年9月30日)におけるわが国経済は、4~6月においては、新型コロナウィルスの感染ピークアウトに伴う行動制限の緩和により、飲食業や小売り・娯楽施設を中心に個人消費の持ち直しが見られたものの、7月以降急速に広まった「第7波」が足かせとなってサービス消費が伸び悩み、回復ペースは鈍化しました。また、9月には1ドル=140円台に突入し、歴史的な円安が進むなか、輸出企業には輸出量の拡大や利益の改善をもたらしているものの、多くの企業にとっては輸入物価の上昇でコスト増要因となっており、日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)では大企業製造業の業況判断指数(DI)は3期連続で悪化となっています。一方、世界経済に目を移すと、ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー供給不安に続いて、9月の米国の消費者物価指数(CPI)が前年同月比8.2%上昇し家計を圧迫、中国においては、スマートフォン市場の低迷が続いており、2022年1月~6月期の出荷台数は前年同期比2割減り、22年通年では10年振りの低水準になる見通しとなっています。加えて中国のゼロコロナ政策継続や台湾情勢の緊迫などの懸念もあるなど、更に先行きの不透明感が増しています。このような想定外の為替変動含め様々な地政学的リスクが顕在化した経営環境のなか、当社グループにおいては、2025年度を最終年度とする5年間(2021年4月~2026年3月)に亘る第三次中期経営計画の2年目を迎えました。戦略の一部修正も行いつつ、営業・研究・生産部門が連携を強化し、現有ビジネスの深掘りと新規ビジネスの探索に注力したものの、販売主要マーケットのひとつである中国市場の需要停滞の影響から、売上高は前年同期と比べて大きく減少しました。また、値上げによる採算改善及び販管費を中心にコスト削減を図ったものの、急激な円安やそれに伴う原材料価格、燃料費及び仕入商品が更に高騰したこと、売上高減少や新生産ラインの安定稼働の遅れに伴い、生産数量も減少したこと等により製造原価が上昇しました。加えて、市況の低迷により長期不動在庫に対する評価損がほぼ解消できなかった等により、売上原価が大幅に上昇したことから、利益面でも極めて厳しい結果となりました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は95億3百万円(前年同期比12.8%減)となりました。営業損失は8億5百万円(前年同期は1億22百万円の営業利益)、外貨建て債権にかかる為替差益2億64百万円を営業外収益として計上したものの経常損失は4億87百万円(前年同期は2億4百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は3億46百万円(前年同期は57百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
当社グループは、粘着テープの製造・販売を行っておりますが、製品部門別の売上高状況は以下の通りです。
(梱包・包装用) 物価高による消費者の買い控えの影響により、ホームセンター向けが低調に推移し、当製品部門の売上高は12億33百万円(前年同期比13.2%減)となりました。
(電機・電子用) 輸出製品については、円安による為替差益のプラス要因はあったものの、中国のロックダウンおよび世界的なICチップ供給不足に伴う自動車・スマートフォンなどの生産調整により電子部品用テープが低調に推移したため、当製品部門の売上高は48億16百万円(前年同期比18.3%減)となりました。
(産業用) 梱包・包装用同様、物価高による消費者の買い控えの影響により、ホームセンター向けやオフィス系通販及び建築・土木向けポリエチレンクロステープが低調に推移し、当製品部門の売上高は34億53百万円(前年同期比3.8%減)となりました。
(ご参考)販売実績
(単位:百万円)
粘着テープ事業製品部門別
前第2四半期連結累計期間2021年4月1日から2021年9月30日まで
当第2四半期連結累計期間2022年4月1日から2022年9月30日まで
前年同期比
金額
構成比
金額
構成比
増減金額
増減率
梱包・包装用
(132)1,420
13.0
%
(69)1,233
13.0
%
△187
13.2%減
電機・電子用
(2,799)5,893
54.1
%
(2,610)4,816
50.7
%
△1,077
18.3%減
産業用
(147)3,588
32.9
%
(100)3,453
36.3
%
△134
3.8%減
合計
(3,079)10,902
100.0
%
(2,780)9,503
100.0
%
△1,398
12.8%減
(注) (
)内の数字は海外売上高
(2) 財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ3.0%減少し363億5百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べ6.8%減少し169億61百万円となりました。これは、主として売上の減少に伴う売上債権の減少によるものです。固定資産は、前連結会計年度末と比べ0.5%増加し193億44百万円となりました。これは、主として設備投資による建設仮勘定の増加によるものです。当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ14.0%減少し71億82百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末と比べ17.6%減少し52億24百万円となりました。これは、主として設備関係の債務の減少によるものです。固定負債は、前期末と比べ2.7%減少し19億58百万円となりました。これは、主として繰延税金負債の減少によるものです。当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ0.1%増加し291億22百万円となりました。これは、主として為替換算調整勘定の増加によるものです。以上の結果、自己資本比率は80.2%(前期末77.7%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ2億17百万円増加し50億31百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による資金の増加は、8億65百万円(前年同期は87百万円)となりました。これは、主に売上債権の回収によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によって使用した資金は、6億70百万円(前年同期は11億97百万円)となりました。これは、主に有形固定資産の取得によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金の減少は、60百万円(前年同期は47百万円)となりました。これは、主に配当金の支払いによるものです。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5億9百万円であります。