【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響下においても経済社会活動の正常化が進み、個人消費などを中心に緩やかな回復基調にありますが、一方で世界的な金融引締めに伴う海外景気の後退が我が国の景気を下押しすることも懸念されています。
原油CIF価格は、年度当初の1バレル100ドル台後半から、ウクライナ危機を受けた原油需給のひっ迫により上昇し、年度前半に110ドル台後半に達しました。その後、中国における新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う需要鈍化懸念や、米国連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ等による米国経済への影響の懸念から下落傾向にあり、年度末では80ドル台半ばとなっております。
為替相場は、年度当初は1米ドル120円台前半であり、年度前半から後半にかけて円安傾向が強まりました。1月以降、円高に転じたものの、年度末時点では130円台半ばとなっております。この結果、当社グループの原油販売価格は、前年度に比べ、年度平均では上昇しました。
一方、国内の天然ガス販売については、石油製品等の競合燃料との価格競争に加え、電力・ガス小売全面自由化のもとエネルギー業界全体で競争が継続し、市場環境は当社グループにとって厳しい状況にありました。
近年、世界的な脱炭素化の更なる加速など、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しております。これらの事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するため、当社グループでは、世界的な2050年のCO₂実質排出量ゼロ達成のために、当社が果たすべき責務と取り組む課題を整理し、今後の当社の対応方針及び事業展開の方向性を示した「JAPEX2050~カーボンニュートラル社会の実現に向けて~」を2021年5月に、また、収益力の強化と2030年以降を見据えた事業基盤の構築を基本方針とする「JAPEX経営計画2022-2030」を2022年3月に、それぞれ策定・公表し、これらに基づき、鋭意事業を推進しております。
当連結会計年度の売上高は336,492百万円と前連結会計年度に比べ87,351百万円の増収(+35.1%)となり、売上総利益は、96,111百万円と前連結会計年度に比べ46,208百万円の増益(+92.6%)となりました。前連結会計年度に比べ増収増益となった主な要因は、前連結会計年度にカナダ・オイルサンドプロジェクトを推進する連結子会社であったJapan Canada Oil Sands Limited(以下、「JACOS」)の全株式を譲渡したことにより希釈ビチューメンの販売が無くなった一方で、原油価格やLNG価格の上昇により国内の原油及び天然ガスの販売価格が上昇したことなどによるものです。
探鉱費は、2,885百万円と前連結会計年度に比べ2,525百万円増加(+702.0%)し、販売費及び一般管理費は、31,139百万円と前連結会計年度に比べ1,405百万円増加(+4.7%)した結果、営業利益は62,085百万円と前連結会計年度に比べ42,276百万円の増益(+213.4%)となりました。
経常利益は、主にデリバティブ利益を計上したことなどにより、83,130百万円と前連結会計年度に比べ39,456百万円の増益(+90.3%)となりました。
税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度に計上したJACOS全株式の譲渡による子会社株式売却損や、JAPEX Montney Ltd.(以下、「JML」)が保有していたカナダ国ブリティッシュ・コロンビア州ノースモントニー地域のシェールガス鉱区の権益譲渡による権益譲渡損がなくなったことなどにより、前連結会計年度に比べ101,585百万円増益の83,084百万円の税金等調整前当期純利益(前連結会計年度は18,501百万円の税金等調整前当期純損失)となり、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ98,383百万円増益の67,394百万円の親会社株主に帰属する当期純利益(前連結会計年度は30,988百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、売上高の内訳は次のとおりであります。
(イ)E&P事業
E&P事業の売上高は、原油の販売価格は上昇したものの、JACOS全株式の譲渡により希釈ビチューメンの販売が無くなったことなどにより、56,063百万円と前連結会計年度に比べ17,359百万円の減収(△23.6%)となりました。
(ロ)インフラ・ユーティリティ事業
インフラ・ユーティリティ事業の売上高は、天然ガス(国内)や電力の販売量は減少したものの、原油価格やLNG価格の上昇により販売価格が上昇したことなどに伴い、213,657百万円と前連結会計年度に比べ93,812百万円の増収(+78.3%)となりました。
(ハ)その他の事業
請負(掘さく工事及び地質調査の受注等)、液化石油ガス(LPG)・重油等の石油製品等の販売及びその他業務受託等の売上高は、66,771百万円と前連結会計年度に比べ10,898百万円の増収(+19.5%)となりました。
主なセグメントごとの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりであります。
日本
日本セグメントの売上高は、主に原油、天然ガス(LNG含む)、電力、請負及び石油製品等により構成されております。当連結会計年度における売上高は、原油や天然ガス、電力の販売価格が上昇したことなどにより、303,047百万円と前連結会計年度に比べ110,378百万円の増収(+57.3%)となりました。セグメント利益は、価格上昇による販売収支の改善などにより、前連結会計年度に比べ44,115百万円増益(+178.3%)の68,855百万円となりました。
北米
北米セグメントの売上高は、主に原油及び天然ガス(希釈ビチューメン含む)により構成されております。当連結会計年度における売上高は、主にJACOS全株式の譲渡により希釈ビチューメンの販売が無くなったことなどにより、9,161百万円と前連結会計年度に比べ24,652百万円の減収(△72.9%)となりました。セグメント利益は、価格上昇による販売収支の改善などにより、前連結会計年度に比べ2,420百万円増益(+135.3%)の4,210百万円となりました。
欧州
欧州セグメントにおいては、英領北海アバディーン沖合に位置する海上鉱区での開発作業を実施しております。当連結会計年度におけるセグメント損失は、170百万円(前連結会計年度は151百万円のセグメント損失)となりました。
中東
中東セグメントの売上高は、原油により構成されております。当連結会計年度における売上高は、24,283百万円と前連結会計年度に比べ1,626百万円の増収(+7.2%)となりました。セグメント損益は、前連結会計年度に比べ2,757百万円減益の112百万円のセグメント損失(前連結会計年度は2,644百万円のセグメント利益)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ96,238百万円増加し、568,180百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ54,871百万円の増加となりました。これは、現金及び預金ならびに原材料及び貯蔵品が増加したためであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ41,367百万円の増加となりました。これは、有形固定資産における坑井及び建設仮勘定の計上が、増加したことなどによるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ41,839百万円増加し、111,010百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ39,009百万円の増加となりました。これは、支払手形及び買掛金、未払法人税等ならびにその他に含まれる未払金が、それぞれ増加したことなどによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ2,830百万円の増加となりました。これは、繰延税金負債が増加したことなどによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ54,399百万円増加し、457,169百万円となりました。
これは、主に利益剰余金が増加したことなどによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ41,653百万円増加し、186,166百万円となりました。主な内訳は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は104,581百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益83,084百万円の計上及び仕入債務の増加21,537百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は52,723百万円となりました。これは主に、利息及び配当金の受取額8,974百万円の資金を得ましたが、有形固定資産の取得による支出35,973百万円及び生産物回収勘定の支出27,729百万円などの資金を使用したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は14,506百万円となりました。これは主に、配当金の支払額9,531百万円及び自己株式の取得による支出4,263百万円などの資金を使用したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
・日本
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
E&P事業
原油(kL)
232,919
△17.1
天然ガス(千㎥)
509,861
△6.0
インフラ・ユーティリティ事業
液化天然ガス(t)
1,258
△41.1
電力(千kWh)
2,509,471
△5.5
・北米
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
E&P事業
原油(kL)
120,959
226.9
天然ガス(千㎥)
14,136
△89.3
インフラ・ユーティリティ事業
液化天然ガス(t)
-
-
電力(千kWh)
-
-
・中東
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
E&P事業
原油(kL)
397,737
△18.6
天然ガス(千㎥)
-
-
インフラ・ユーティリティ事業
液化天然ガス(t)
-
-
電力(千kWh)
-
-
(注)天然ガスの生産量の一部は、液化天然ガスの原料として使用しております。
b. 受注実績
当社及び連結子会社は受注生産を行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
・日本
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
数量
金額
(百万円)
数量
金額
E&P事業
原油(kL)
259,179
22,618
△17.0
33.4
天然ガス(海外)(千㎥)
-
-
-
-
小計
22,618
33.4
インフラ・ユーティリティ事業
天然ガス(国内)(千㎥)
989,051
97,360
△6.8
67.8
液化天然ガス(t)
340,503
51,572
15.2
128.2
電力(千kWh)
3,005,864
58,735
△0.6
71.1
その他
5,988
22.1
小計
213,657
78.3
その他の事業
請負
7,750
21.2
石油製品・商品
56,573
19.5
その他
2,447
15.3
小計
66,771
19.5
合計
303,047
57.3
・北米
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
数量
金額
(百万円)
数量
金額
E&P事業
原油(kL)
128,821
8,800
229.4
507.7
天然ガス(海外)(千㎥)
11,494
360
△91.2
△71.0
小計
9,161
△72.9
インフラ・ユーティリティ事業
天然ガス(国内)(千㎥)
-
-
-
-
液化天然ガス(t)
-
-
-
-
電力(千kWh)
-
-
-
-
その他
-
-
小計
-
-
その他の事業
請負
-
-
石油製品・商品
-
-
その他
-
-
小計
-
-
合計
9,161
△72.9
・中東
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
数量
金額
(百万円)
数量
金額
E&P事業
原油(kL)
307,631
24,283
△3.5
7.2
天然ガス(海外)(千㎥)
-
-
-
-
小計
24,283
7.2
インフラ・ユーティリティ事業
天然ガス(国内)(千㎥)
-
-
-
-
液化天然ガス(t)
-
-
-
-
電力(千kWh)
-
-
-
-
その他
-
-
小計
-
-
その他の事業
請負
-
-
石油製品・商品
-
-
その他
-
-
小計
-
-
合計
24,283
7.2
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「原油」には、当社グループが鉱山より産出した原油及び他社から購入した原油が含まれております。
3.インフラ・ユーティリティ事業の「天然ガス(国内)」は、国内において導管により供給されるガスであり、国産天然ガスとLNG気化ガスの合計です。国産天然ガスの生産拠点と、気化ガスの製造拠点であるLNG基地とは当社パイプライン網で連結され、これらのガスは当社供給ネットワークで一体となって販売されることから、インフラ・ユーティリティ事業に区分しております。
4.インフラ・ユーティリティ事業の「その他」には天然ガスの受託輸送及び発電燃料用LNGの気化受託等が含まれております。
5.その他の事業の「石油製品・商品」には、液化石油ガス(LPG)、重油、軽油、灯油等が、「その他」にはその他業務受託等が含まれております。
6.主要な販売先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。なお、前連結会計年度においては総販売実績の100分の10を占める販売先がないため、記載を省略しております。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
東北天然ガス㈱
-
-
38,133
11.3
④ 当社グループの埋蔵量
2023年3月31日現在、提出会社及び連結子会社の保有する確認埋蔵量並びに持分法適用会社が保有する確認埋蔵量の当該会社に対する提出会社出資比率相当量は下表のとおりです。
確認埋蔵量
連結対象会社
持分法適用会社
合計
国内
海外
小計
原油
千kL
ガス
百万㎥
原油
千kL
ガス
百万㎥
原油
千kL
ガス
百万㎥
原油
千kL
ガス
百万㎥
原油
千kL
ガス
百万㎥
2022年3月31日現在
1,616
7,187
11,510
371
13,127
7,557
3,808
995
16,934
8,552
拡張及び発見等による増加
63
9
–
–
63
9
–
–
63
9
前期評価の修正による増減
160
287
△51
△122
109
165
△3,645
△341
△3,535
△177
買収・売却による増減
–
–
1,510
427
1,510
427
–
–
1,510
427
生産による減少
△233
△538
△432
△13
△665
△551
△163
△296
△827
△847
2023年3月31日現在
1,606
6,944
12,538
662
14,144
7,606
0
357
14,144
7,964
(注)1.以下の連結子会社保有量には、非支配株主に帰属する数量を含んでおります。(括弧内は非支配株主比率)
国内:日本海洋石油資源開発㈱(29.39%)、海外:㈱ジャペックスガラフ(45.00%)
2.連結子会社及び持分法適用会社のうち、決算日が連結決算日と異なる会社については、各社の事業年度における埋蔵量を計上しております。
3.当社の持分法適用会社であるサハリン石油ガス開発株式会社(以下、「SODECO」)を通じて参画しているサハリン1プロジェクトは、ロシア連邦大統領令第723号(2022年10月7日付)及びロシア連邦政府令第1808号(同10月12日付)に基づき、新たな事業主体Sakhalin-1 Limited Liability Company(以下、「S-1 LLC」)が同10月14日に設立され、生産物分与契約に基づく契約上の権利義務はS-1 LLCに承継されました。SODECOはロシア連邦政府からサハリン1プロジェクトにかかる同社の権益比率(30%)に応じたS-1 LLCの持分引受の許可を得ておりますが、当社として埋蔵量評価に必要な情報が入手困難であるため、SODECOの埋蔵量を除外しております。除外により減少する数量は、持分法適用会社の「前期評価の修正による増減」に含んでおります。
上表における確認埋蔵量とは、評価時点において既知の油・ガス層から地質的、工学的データに基づき経済的にも操業面からも今後確実に採取可能であろうと予測された油・ガスの地上状態での数量であり、過去の生産量、未発見鉱床に係る資源量は含んでおりません。
埋蔵量の定義については、石油技術者協会(SPE)、世界石油会議(WPC)、米国石油地質技術者協会(AAPG)及び石油評価技術協会(SPEE)の4組織により2007年に策定されたPetroleum Resources Management System(PRMS)が国際的な基準として知られています。
上表の確認埋蔵量は、2018年に改定されたPRMSにおける「確認埋蔵量(Proved Reserves)」の定義に準拠した当社自身による評価に基づく数値であり、PRMSにおいて確認埋蔵量よりも将来の採取可能性の不確実性が高いものとして区分されている「推定埋蔵量(Probable Reserves)」や「予想埋蔵量(Possible Reserves)」に該当する埋蔵量は含んでおりません。また、同定義においては、例えば、資源の賦存が確認されている鉱区であっても商業開発計画が未確定な段階のプロジェクト等については、埋蔵量(Reserves)とは区分して「条件付資源量(Contingent Resources)」に分類することとされており、当社グループにおいても、開発計画が未確定な地域の「条件付資源量」に該当する数量は、上表の数値に含めておりません。
なお、PRMS以外には、米国証券取引委員会(SEC)による確認埋蔵量の定義が米国の投資家を中心に広く知られており、SECによる確認埋蔵量の定義は、PRMSと基本的には類似しています。
当社は、PRMSによる「確認埋蔵量(Proved Reserves)」の定義に準拠して当社自身の判断に基づく値を開示しております。また、海外プロジェクト会社の保有埋蔵量については、各プロジェクト会社の現地政府等との契約による経済的取分に基づく数量を示しております。
また、当社は、当社自身による埋蔵量評価・判断の妥当性を検証するため、上表に示した2023年3月31日現在の国内における当社及び連結対象会社の確認埋蔵量の約73%に相当する部分[1]について、Ryder Scott Company, L.P.へ第三者評価・鑑定を委託しております。また、海外については、Japex (U.S.) Corp.、JAPEX UK E&P Ltd.及びKangean Energy Indonesia Ltd.の埋蔵量について第三者評価を受けております。上表の2023年3月31日現在の確認埋蔵量総計のうち約47%に相当する部分[2]について第三者評価を受けております。当社自身による評価値と第三者評価の値は近似しており、当社は、上表の当社自身の評価による確認埋蔵量の値は妥当であると判断しております。
埋蔵量は、元来、不確実性を内包した将来の生産可能量の見通しであり、当社は、現時点において入手可能な地質的・工学的データ等の科学的根拠に基づき正確な評価の実施に努めておりますが、今後新たに取得されるデータ等に基づく見直しや経済条件の変動及び国際的に認知された埋蔵量定義の変更等によって、上方にも下方にも修正される可能性があります。
[1] 原油1kL=天然ガス1,033.1m3(1BOE=5.8Mscf)として計算しております。
[2] [1]と同様。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、図表1「当期純損益の主な増減要因(前期比)」に示すように、前連結会計年度に比べ983億円増益の673億円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。この主たる増減要因を段階利益ごとに以下に分析します。
図表1:当期純損益の主な増減要因(前期比)
(営業利益+422億円)
営業利益の422億円増益の主な内訳は、原油、天然ガス及び電力の販売価格の上昇を受け国内E&P事業及びインフラ・ユーティリティ事業がそれぞれ210億円の増益となったことによるものであります。
a.海外E&P事業
海外E&P事業は、主に北米セグメントに含まれるJUS、中東セグメントに含まれる㈱ジャペックスガラフを対象としております。なお、前連結会計年度では北米セグメントにJACOS及びJMLが含まれていましたが、前連結会計年度中にJACOSの全株式譲渡及びJMLの保有する全てのシェールガス鉱区の権益譲渡を実施しております。
海外E&P事業の7億円減益の主な要因は、JUSにおいてタイトオイル開発に伴う原油増産等により40億円の増益となった一方で、JACOSにおいて全株式譲渡に伴う前連結会計事業年度の営業利益の剥落及び㈱ジャペックスガラフにおいて一過性コストの発生によりそれぞれ18億円及び27億円の減益となったことによるものです。
b.国内E&P事業
国内E&P事業は、日本セグメントに含まれる当社及び連結子会社である日本海洋石油資源開発㈱の原油・天然ガスの生産及び販売活動を主な対象としております。国産原油は外部顧客への販売を認識する一方、国産天然ガスはインフラ・ユーティリティ事業に供給する内部管理上の取引を販売として認識しております。
国内E&P事業の210億円増益の主な要因は、原油及び天然ガスの販売価格※の上昇によるものであります。図表2「原油価格・為替等の前期比較」に示すように、原油CIF価格は前連結会計年度の73.28米ドル/バレルから当連結会計年度は102.26米ドル/バレルと28.98米ドル/バレル(+39.5%)上昇しており、増益要因となっております。
※国産天然ガスの販売価格は、国内E&P事業からインフラ・ユーティリティ事業への内部管理上の取引価格
図表2:原油価格・為替等の前期比較
c.インフラ・ユーティリティ事業
インフラ・ユーティリティ事業は、主に当社のガスパイプライン網を通じて沿線地域の需要家への天然ガス(国産天然ガス及びLNG気化ガス)の販売、パイプライン沿線以外の地域における天然ガスの需要に対応するためにタンクローリーを利用したLNGサテライト供給や電力の販売を対象としております。
インフラ・ユーティリティ事業の210億円増益の主な要因は、LNGスポット価格の高騰によりLNG平均輸入価格が上昇し、天然ガス及び電力の販売価格が上昇したことに加え、前連結会計年度における一過性要因(LNG調達先の生産トラブルを受けての代替ソースのスポット調達によるコスト増加)が無くなったことによるものです。
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ394億円増益(+90.3%)の831億円となりました。図表1「当期純損益の主な増減要因(前期比)」に示すように、394億円増益の要因は、上述の営業利益の増益及び、営業外損益の28億円減益からなります。
(営業外損益△28億円)
為替差損益46億円の減益は、主に当社の外貨建金銭債権及び外貨預金に係る為替差益が前連結会計年度に比べ縮小したことによるものであります。
持分法による投資損益の71億円の減益は、主にサハリン石油ガス開発㈱において原油販売数量が減少したことによるものであります。
その他の営業外損益89億円の増益は、主にLNGのブック・アウト取引(現物の引取りに替えて、合意された市場価格で売り戻す取引)にかかるデリバティブ利益が60億円発生したことによるものであります。
当連結会計年度の税金等調整前当期純損益は前連結会計年度に比べ1,015億円増益の830億円の税金等調整前当期純利益となりました。図表1「当期純損益の主な増減要因(前期比)」に示すように、1,015億円増益の要因は、上述の経常利益の増加及び特別損益の621億円の増益からなります。
特別損益の増益は、前連結会計年度に発生した政策保有株式の一部売却による398億円の投資有価証券売却益が無くなった一方で、同じく前連結会計年度に発生したJML保有のシェールガス鉱区権益譲渡による権益譲渡損447億円及びJACOSの全株式譲渡による子会社株式売却損943億円が無くなったことなどによるものであります。
親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ983億円増益の673億円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。図表1「当期純損益の主な増減要因(前期比)」に示すように、983億円増益の要因は、上述の税金等調整前当期純利益の増加、法人税等の増加による54億円の減益、及び非支配株主損益の22億円の増益からなります。
当連結会計年度の「法人税、住民税及び事業税」に「法人税等調整額」を加えた法人税等の金額は151億円となりました。これは、主に当社において収支が大幅に改善したことにより、法人税、住民税及び事業税で69億円増加したことによるものであります。また、当連結会計年度の非支配株主損益の金額は5億円となりました。これは、主に当連結会計年度において㈱ジャペックスガラフにおける当期純利益が減少したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(基本方針)
当社グループでは、事業継続及び新規投資等のために必要となる資金について、「有利子負債/EBITDA<2」を目安とした財務規律のもと、財務の健全性を維持しつつ確保することとしております。前連結会計年度と当連結会計年度の同倍率の推移は、図表3「EBITDA有利子負債倍率の推移」に示す通りであります。
当連結会計年度において、関連会社である(同)網走バイオマス第2発電所及び(同)網走バイオマス第3発電所の金融機関からの借入金等に対する債務保証を43億円行っていることなどにより、有利子負債が増加しておりますが、前連結会計年度に引き続き「有利子負債/EBITDA<2」は達成されております。
図表3:EBITDA有利子負債倍率の推移
(調達手段)
当社グループでは、資金需要に応じて、内部資金及び銀行借入を有効に活用することにより、必要資金を確保しております。
運転資金等は、主に内部資金により賄っており、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、資金の効率化及び流動性の確保を図っております。
なお、LNGの購入などに備え、外貨を調達する場合等には、為替変動リスクをヘッジすることを目的として適宜、先物為替予約等を締結しております。
また、機動的な資金調達を目的として、複数の取引銀行と円及び米ドルでの借入が可能な貸出コミットメント契約を締結しております。
(資金使途・配分方法)
a.連結財務状況及び資金配分方針
当社グループでは、図表4「JAPEX経営計画2022-2030資金配分方針」に示す通り2022年度から2030年度までの9年間で、E&P、インフラ・ユーティリティ、カーボンニュートラルからなる各分野への成長投資に4,500億円、株主還元に500億円を配分することとしております。また、株主還元の基本方針に連結配当性向を導入し、30%を目安に各期業績に応じた配当を行います。
なお、資金配分の原資となる5,000億円は、営業キャッシュ・フローにより3,800億円、手元資金及び銀行借入により1,200億円を確保する想定としております。
図表4:JAPEX経営計画2022-2030資金配分方針
b.保有資金の考え方
主にE&P事業に関しては、多額の投資を要する一方、事業に着手してから投資額を回収するまで長いリードタイムを要するのが通例であり、この間、事業環境が変化するリスクに晒されます。このような事業特性に照らし、円滑な事業運営に必要な水準の手元流動性を確保できるように月次にて資金計画を作成する等の方法により、資金管理を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内において、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し継続評価しており、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらとは異なる場合があります。
当連結会計年度において、不確実性の高い会計上の見積りとして、繰延税金資産の回収可能性があります。この項目は、その判断において当社グループが主たる事業活動から将来にわたり稼得する収益や生み出すキャッシュ・フローの見積りに大きく依拠しており、特に原油価格や為替などの市況要因と埋蔵量の見積りの影響を直接的に受けることになります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、上記の重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
