【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第2四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年6月30日)における営業収益は、第2四半期としては過去最大となる53,649百万円(前年同期比59.3%増)となりました。営業利益は、8,605百万円(前年同期比34.7%減)と、Nexus Bank株式会社(以下、「Nexus Bank」という。)の取得に伴う負ののれん発生益を計上した前第2四半期連結累計期間に比べ減少いたしましたが、第2四半期連結累計期間としては、前第2四半期連結累計期間に次いで、過去2番目の利益を計上しました。親会社の所有者に帰属する四半期利益は、Nexus Bankの吸収合併に伴い繰延税金負債6,548百万円を取崩したこと等により16,031百万円(前年同期比22.7%増)となりました。これは、第2四半期としては、当社グループが2018年3月期に国際財務報告基準(IFRS)に移行して以来、過去最大となっております。
このような順調な業績の背景としては、東南アジアにおける銀行事業の成長に負うところが大きいほか、株式会社ミライノベート(以下、「ミライノベート」という。)やNexus Bankの吸収合併を行うなど、M&Aを活用して、事業再生や成長につなげていくというこれまでの経営努力の成果であると考えております。
こうした事業ポートフォリオの見直しを踏まえて、第1四半期連結会計期間より、不動産及び再生可能エネルギー事業を新たなセグメント「不動産・再生可能エネルギー事業」として区分し、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析を行っております。なお、ミライノベート傘下の合同会社5社が保有していた太陽光発電設備を売却したことから、報告セグメントの名称を、当第2四半期連結会計期間より「不動産事業」に変更しております。また、前第1四半期連結会計期間及び前第2四半期連結会計期間において行われた企業結合に係る暫定的な会計処理を、前第4四半期連結会計期間に確定させたため、前第2四半期連結累計期間の関連する数値を遡及修正しております。
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間においても、東南アジアにおける銀行事業が当社グループの成長を牽引しております。PT Bank JTrust Indonesia Tbk.(以下、「Jトラスト銀行インドネシア」という。)が、厳格な審査体制を維持してNPL比率を低下させつつ、貸出金残高を着実に増加させる一方で、金利上昇を予め見込んで、調達コストの増加に見合う貸出金利の引上げを柔軟に行い得る体制の構築、保有債券からの損失発生の抑制、貸倒引当金(損失評価引当金)の予防的積み増しなどを行ってきたことから、営業収益が10,589百万円(前年同期は6,471百万円)、セグメント利益が875百万円(前年同期は430百万円)となるなど順調な成長を遂げております。また、J Trust Royal Bank Plc.(以下、「Jトラストロイヤル銀行」という。)も、営業収益が6,369百万円(前年同期は5,168百万円)、セグメント利益が369百万円(前年同期は356百万円)となるなど好調を維持しております。
韓国における貯蓄銀行事業においては、金利上昇に伴う調達コストの増加に貸出金利の引上げが追いついていなかったことから、昨年末以降、業績が悪化しており、当第2四半期連結累計期間においても、JT貯蓄銀行株式会社(以下、「JT貯蓄銀行」という。)は43百万円のセグメント利益(前年同期は2,227百万円)を計上したものの、JT親愛貯蓄銀行株式会社(以下、「JT親愛貯蓄銀行」という。)は1,250百万円のセグメント損失(前年同期は10,392百万円のセグメント利益)となっております。しかしながら、韓国の中央銀行にあたる韓国銀行による基準金利の引き上げが既に一段落し調達金利が低下傾向に転じたことから、その損失は、当期初に見込んでいたほどの額とはなっておらず、当連結会計年度後半からの回復を見込んでおります。
日本においては、日本金融事業が利益水準を上昇させてきており、特に、Nexus Card株式会社(以下、「Nexus Card」という。)の割賦売掛金残高が顕著に増加し、債権回収も当初の予想以上に進捗しております。また、不動産事業においても、ミライノベートを吸収合併したことに伴い、日本基準によって会計処理を行っていたミライノベートの資産及び負債を、当社グループが適用する国際財務報告基準(IFRS)により調整したことから、9,328百万円の負ののれん発生益を計上するなど大幅なセグメント利益となっております。
当第2四半期連結会計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)における当社グループの新たな事業展開の詳細は以下のとおりとなります。
(日本での事業展開について)
当社は、2023年4月に子会社であるNexus Bankを吸収合併いたしました。また、Jグランド株式会社(以下、「Jグランド」という。)は、2023年5月に販売不動産に係る賃貸管理事業の強化を目的として、収益力の強化等シナジー効果も期待できる株式会社ライブレント(以下、「ライブレント」という。)を子会社化いたしました。
他方で、ミライノベート傘下の合同会社5社が、太陽光発電設備の運営等太陽光発電事業を行っておりましたが、2023年6月、当該事業に係る資産等を一括して売却し当該事業から撤退いたしました。
(海外での事業展開について)
インドネシアでは、Jトラスト銀行インドネシアにおいて、前年度に引き続き、日系大手デベロッパーの現地法人やインドネシアのデベロッパーとの間で住宅販売に係る業務提携を拡大しており、2023年6月末現在、Jトラスト銀行インドネシアが提携するプロジェクト数は20カ所となりました。引き続き、インドネシアの皆様の豊かな社会づくり及び生活に貢献できるよう、SDGs目標の一つである「住み続けられるまちづくりを」に取り組み、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えております。
他方で、JTRUST ASIA PTE.LTD.は、子会社のPT JTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCE(以下、「JTO」という。)において、中古車市場のデジタルトランスフォーメーション(DX)化等に伴い従来型のビジネスモデルに限界が生じてきた中で、JTOのマルチファイナンスの免許を基にDX化したイスラム金融を目指すという買収の申し出があったことから、2023年6月16日に保有する全株式に係る条件付株式売買契約書を締結いたしました。
セグメントごとの経営成績の詳細は次のとおりです。
なお、文中の営業債権の残高につきましては、貸倒引当金(損失評価引当金)控除前の残高で記載しております。
(日本金融事業)
信用保証業務につきましては、株式会社日本保証(以下、「日本保証」という。)が、国内の債権回収業務につきましては、主に日本保証、パルティール債権回収株式会社が、その他の金融業務につきましては、日本保証が、クレジット・信販業務につきましては、Nexus Cardが、金融商品取引法に基づく金融商品取引業(以下、「証券業務」という。)につきましては、Jトラストグローバル証券株式会社(以下、「Jトラストグローバル証券」という。)が行っております。
営業債権の残高は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2022/6
2023/6
増減額
増減率
主な増減要因
債務保証残高
206,446
211,605
5,158
2.5%
有担保
198,604
205,784
7,179
3.6%
アパートローンに対する保証の取扱い拡大による増加
無担保
7,842
5,821
△2,020
△25.8%
個品割賦に対する保証について取扱いが減少
買取債権残高
16,120
16,235
114
0.7%
商業手形残高
1,670
-
△1,670
△100.0%
日本保証における期日決済による減少
営業貸付金残高
1,847
1,141
△706
△38.2%
日本保証及びNexus Cardにおける大口返済による減少
割賦立替金残高
2,282
11,544
9,261
405.8%
割賦取扱高の増加
証券業に関連する資産
28,958
32,527
3,569
12.3%
預託金及び株価上昇等による信用取引資産の増加
営業収益は、前第2四半期連結会計期間に損益上連結対象としたJトラストグローバル証券やNexus Cardの業績が期初から寄与したことや、Nexus Cardにおける割賦取扱高の増加に伴い、証券業務やクレジット・信販業務に係る役務収益等が増加したこと等により6,820百万円(前年同期比30.9%増)となりました。セグメント利益は、債権回収が好調に進み、また、保証事業が安定的に推移したこと等により2,271百万円(前年同期比8.3%増)となりました。
(韓国及びモンゴル金融事業)
韓国において、JT親愛貯蓄銀行及びJT貯蓄銀行が貯蓄銀行業務を、TA資産管理貸付株式会社が不良債権の買取及び回収業務を行っております。また、モンゴルにおいて、J Trust Credit NBFIが金融業務を行っております。
営業債権の残高は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2022/6
2023/6
増減額
増減率
主な増減要因
銀行業における貸出金残高
432,849
413,937
△18,912
△4.4%
与信基準の厳格化により、
貸出金の増加を抑制
営業貸付金残高
1,654
1,642
△12
△0.8%
買取債権残高
1,760
2,315
555
31.5%
定期的な債権買取による増加
営業収益は、前第2四半期連結会計期間に損益上連結対象としたJT親愛貯蓄銀行の業績が期初から寄与したことや、銀行業における貸出金残高の増加により貯蓄銀行業務における利息収益が増加したことから22,882百万円(前年同期比48.1%増)となりました。セグメント損益は、韓国銀行による基準金利の段階的引き上げにより預金金利が上昇したことや、貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額が増加したこと等により1,196百万円のセグメント損失(前年同期は12,467百万円のセグメント利益)となりましたが、期初に見込んだほどの額とはなっておらず、当連結会計年度後半から回復が見込める状況となっております。
(東南アジア金融事業)
インドネシアにおいて、主にJトラスト銀行インドネシアが銀行業務を、PT JTRUST INVESTMENTS INDONESIA及びPT TURNAROUND ASSET INDONESIAが債権回収業務を、JTOが農機具ローン等のファイナンス業務を行っております。また、カンボジアにおいて、Jトラストロイヤル銀行が銀行業務を行っております。
営業債権の残高は以下のとおりです。
(単位:百万円)
2022/6
2023/6
増減額
増減率
主な増減要因
銀行業における貸出金残高
269,787
344,383
74,595
27.6%
インドネシアにおける積極的な貸出残高増強策
インドネシア
138,271
206,689
68,417
49.5%
厳格な審査体制の下で積極的な貸出増強策を推進
カンボジア
131,515
137,693
6,178
4.7%
預金残高とのバランスを考慮した貸出残高計画に基づく
営業貸付金残高
1,103
1,271
167
15.2%
ファイナンスのスキーム変更による増加
買取債権残高
27,882
29,733
1,851
6.6%
他社債権買取による増加
営業収益は、銀行業における貸出金や保有有価証券の増加に伴う利息収益の増加により17,575百万円(前年同期比40.5%増)となりました。また、セグメント利益は、調達金利の上昇により預金利息費用が増加したものの、市場実勢に合わせて貸出金利を引き上げたことにより620百万円(前年同期比160.3%増)となりました。
(不動産事業)
不動産事業につきましては、前連結会計年度ではその他の事業に区分しておりましたが、金額的重要性が増加したため、第1四半期連結会計期間から新たなセグメントとして区分しております。
Jグランド、株式会社グローベルス及びライブレントが国内での不動産事業を行っており、Prospect Asset Management, Inc.が米国ハワイ州で不動産事業を行っております。
営業収益は、2023年2月から株式会社グローベルスが、2023年5月からライブレントが、それぞれ子会社となったことや、Jグランドにおいて、不動産の販売が本格化してきたことにより6,300百万円(前年同期は461百万円)となりました。また、セグメント損益につきましては、ミライノベートの吸収合併に伴い負ののれん発生益9,328百万円を計上した結果、9,308百万円のセグメント利益(前年同期は45百万円のセグメント損失)となりました。
(投資事業)
投資事業につきましては、主にJTRUST ASIA PTE.LTD.が投資事業及び投資先の経営支援を行っております。
営業収益は104百万円(前年同期比35.4%減)、セグメント損失は訴訟費用の削減に努めたものの、960百万円(前年同期は655百万円のセグメント損失)となりました。
(その他の事業)
その他の事業につきましては、主にJ Sync株式会社が当社グループのシステム開発、コンピュータの運用及び管理業務を行っております。
営業収益は289百万円(前年同期比10.7%増)、セグメント利益につきましては65百万円(前年同期比215.7%増)となりました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第2四半期連結会計期間末における資産は、前連結会計年度末に比べ158,471百万円増加し1,274,415百万円となりました。これは主に、銀行業における貸出金が48,745百万円、その他の金融資産が74,248百万円増加したことや、ミライノベートの吸収合併等により棚卸資産が16,031百万円増加したこと等により増加したものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ120,830百万円増加し1,104,423百万円となりました。これは主に、銀行業における預金が101,160百万円増加したこと等により増加したものです。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ37,641百万円増加し169,991百万円となりました。これは主に、ミライノベートの吸収合併等により資本剰余金が11,641百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益を16,031百万円計上したことにより利益剰余金が14,879百万円、海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が9,558百万円増加したこと等により増加したものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8,310百万円減少し123,650百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の減少は25,450百万円(前年同期は6,211百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税引前四半期利益を10,284百万円計上したことや、銀行業における預金の増加額が29,636百万円と資金が増加した一方で、負ののれん発生益を9,328百万円計上したことや、その他の金融資産の増加額が42,887百万円、制限付預金の増加額が14,540百万円とそれぞれ資金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は987百万円(前年同期は17,661百万円の資金の増加)となりました。これは主に、銀行業における有価証券の売却及び償還による収入が69,302百万円と資金が増加した一方で、銀行業における有価証券の取得による支出が68,320百万円、定期預金の増加額が4,041百万円と資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は1,845百万円(前年同期は567百万円の資金の減少)となりました。これは主に、長期借入金の純増額が1,113百万円と資金が増加した一方で、短期借入金の純減額が2,020百万円と資金が減少したことによるものです。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
#C8508JP #Jトラスト #その他金融業セクター