【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における国内の経済は、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」へと移行する方針が固まるなど、経済社会活動の正常化が進みました。国内の電子工業は、電子部品の供給は用途別に解消の動きが見られるものの、依然として不安定さが続き電子機器の生産に影響を及ぼしております。
また、原材料・エネルギー価格の高騰や円安進行による為替動向の懸念、物価の上昇等により、依然として経済の見通しは不透明であります。
このような経済環境の中、当社では、当事業年度から2030年度に渡る「長期ビジョンに基づく中期経営計画」をスタートいたしました。第1次中期計画のテーマを「飛躍に向けての基盤整備」とし、既存のEコマース事業、EMS事業の拡大・強化の足固めを行うことにより、新たな事業創出の資源を拡大しております。
当事業年度は、電子部品の不足による影響で第1四半期の売上高が前期比減となったものの、第2四半期以降は市場環境が改善され、前事業年度を上回る結果となりました。
プリント基板Eコマース「P板.com」事業では、主力の基板製造サービスの売上が伸長、次ぐ部品実装サービスは、電子部品不足により実装台数が限られたものの、受注件数が伸長し、売上増となりました。
売上規模拡大に向けた取り組みの一つである「仕組み(知的資本)×人間(人的資本)」のハイブリッドによる中堅・大手企業顧客層への拡販戦略として、営業事業部門を横断したプロジェクトによる個別訪問を積極的に実施しました。また、仕組みの面では、「一番使いやすいP板.comへ」「部品実装サービスの劇的リノベーション」をテーマに、WEBサイトの見積画面や、注文状況の確認画面の刷新を開始し、どこよりも分かりやすく、手間なく注文が出来るサービスを目指しております。
EMS事業では、引き続き電子部品不足の影響により国内の電機電子機器メーカの生産がコロナ禍以前の水準に戻らないものの、前事業年度比では受注が増加し、正常化に向かっております。市場環境の回復に備え顧客接点の強化を図り、第2の事業の柱として成長軌道に乗せる準備を進めました。
新規事業の探索活動として、次世代の優れた技術を持つハードウェアスタートアップ企業との協同による、ワイヤレス給電導入サービス、触覚センサ導入サービスをリリースしました。他にも、当社の7万名を超える顧客基盤のニーズを深掘りし、新サービスの開発を進め、競合との差別化を図ってまいりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,015,003千円(前期比4.3%増)、販売費及び一般管理費は485,444千円(前期比4.9%増)、営業利益は182,944千円(前期比7.5%減)、経常利益は182,087千円(前期比8.5%減)、当期純利益は92,902千円(前期比32.4%減)となりました。
当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ101,232千円減少し、1,051,809千円となりました。キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は104,938千円(前事業年度は228,573千円の増加)となりました。これは、税引前当期純利益179,322千円の計上、減価償却費20,133千円の計上、株式報酬費用の計上7,465千円、仕入債務の減少10,391千円、売上債権の増加32,543千円、棚卸資産の増加5,408千円、法人税等の支払額59,318千円等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は37,612千円(前事業年度は57,064千円の減少)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出18,126千円、投資有価証券の取得による支出14,818千円、保険積立金の積立による支出2,820千円等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は168,563千円(前事業年度は26,039千円の減少)となりました。これは、自己株式の取得による支出129,828千円、配当金の支払による支出38,735千円によります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、生産活動を行っていないため、生産実績は記載しておりません。
b.商品仕入実績
当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における仕入実績は次のとおりであります。
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
1,352,021
107.5
(注)金額は仕入価格によっております。
c.受注状況
当社は受注から販売までの期間が短く、販売実績と近似するため記載を省略いたします。
d.販売実績
当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は次のとおりであります。
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
2,015,003
104.3
(注)主要な相手先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略いたします。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
なお、当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。なお、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 財政状態の分析
a.資産の部
当事業年度末における総資産は1,526,747千円となり、前事業年度末と比較して81,336千円の減少となりました。主な要因は、電子記録債権4,620千円、売掛金27,923千円、商品5,408千円、投資有価証券12,998千円、保険積立金2,820千円が増加した一方、現金及び預金101,232千円、ソフトウエア2,410千円、繰延税金資産が32,660千円減少したこと等によります。
b.負債の部
当事業年度末における負債合計は295,538千円となり、前事業年度末と比較して11,621千円の減少となりました。主な要因は、未払金3,788千円、未払費用2,051千円が増加した一方、買掛金10,391千円、未払消費税等3,179千円、未払法人税等5,681千円が減少したこと等によります。
c.純資産の部
当事業年度末における純資産合計は1,231,208千円となり、前事業年度末と比較して69,715千円減少となりました。主な要因は、利益剰余金が当期純利益を計上したことにより92,902千円増加、配当金の支払により利益剰余金が38,733千円減少したことに加え、自己株式の取得などにより自己株式が118,774千円増加したこと等によります。
資金の運用は安全性の高い商品による運用方針としており、現状は現金及び預金が総資産の中心です。当期末時点の自己資本比率80.6%、また流動比率485.7%と、安全性の高い財務体質を目指しております。
③ 経営成績の分析
a.売上高
当事業年度の売上高は、2,015,003千円と前事業年度と比べ82,258千円(4.3%)の増収となりました。主力事業であるプリント基板Eコマース事業が前年比で増加した等によるものです。
詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b.売上原価
当事業年度の売上原価は、1,346,613千円と前事業年度と比べ74,320千円(5.8%)の増加となりました。主な要因としては、売上高が前事業年度と比べ増加したこと等によるものです。
c.販売費及び一般管理費
当事業年度の販売費及び一般管理費は、485,444千円と前事業年度と比べ22,871千円(4.9%)の増加となりました。主な要因としては、人員の増員により給料手当が2,864千円、ソフトウエアへの投資が増加したことにより減価償却費が2,202千円増加したこと等によります。
d.営業外収益、営業外費用
当事業年度の営業外収益は、2,219千円と前事業年度と比べ16千円(0.7%)の減少となりました。主な要因としては、保険解約返戻金が627千円減少した一方で、協賛金収入が750千円増加したこと等によるものです。
当事業年度の営業外費用は、3,076千円と前事業年度と比べ1,983千円(181.4%)の増加となりました。主な要因としては、投資事業組合運用損が1,819千円増加したこと等によるものです。
e.特別損失、法人税等
当事業年度の特別損失は、2,764千円となりました。要因としては、固定資産除却損2,764千円によるものです。
当事業年度における法人税等は、86,420千円と前事業年度と比べ24,763千円(40.2%)の増加となりました。主な要因としては、評価性引当額の計上により法人税等調整額が31,700千円増加したこと等によります。
これらの結果により、当事業年度の営業利益は182,944千円、経常利益は182,087千円、当期純利益は92,902千円となりました。
④ キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、提携仕入先への仕入原価のほか、人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。なお、これらの資金需要に対しては、内部資金によりまかなっており、有利子負債による資金調達は行っておりません。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。 当社は、「開発環境をイノベーションする」という経営理念を掲げ、国内の電気電子企業のDX化を推進するサービスを提供しております。IoTや5Gといった市場が今後本格化していき、様々な業界の新規参入が見込まれております。当社が展開しているEコマース事業の形態は、新規参入の企業にとって利用しやすい形態であり、市場の成長と共に当社の事業も拡大していくものと見込んでおります。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社が今後の事業を拡大し、継続的な成長を行うために、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。今後の市場拡大のニーズを取り込むためには、コア事業の「P板.com」、サービス領域を拡大した「P板.com EMS」の事業の成長が不可欠であり、さらに、それらの受発注を少数精鋭で効率的に行うことにより、事業の成長を図っていく方針であります。
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