【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度における日本経済は、内需主導での緩やかな回復を基調としつつも、ウクライナ問題に伴う資源価格高騰や世界的な金利上昇、急激な円安進行など景気後退の懸念材料もあり、景気持ち直しの動きに一部弱さが見られました。国内広告市場(注1)は、夏場に東京五輪の反動影響によって大きく前年を下回ったことに加え、下期以降も軟調な経済環境を背景に前年並みの水準に留り、1年を通じて低調な市場動向となりました。
① 売上高及び収益当連結会計年度の売上高(注2)は1兆6,343億40百万円(前期比7.6%増収)、収益は9,911億37百万円(同10.7%増収)となりました。当連結会計年度の売上高を種目別に見ますと、4マスメディアでは雑誌を除いて前年を下回りました。一方、インターネットメディアが高い伸びとなり、マーケティング/プロモーションにおける大型案件の寄与もあり、その他の全種目で前年を上回りました。また、得意先業種別では、「飲料・嗜好品」及び「交通・レジャー」などで前年を下回りましたが、「官公庁・団体」及び「外食・各種サービス」で前年を大きく上回り、21業種中、約半分の11業種が前年を上回りました。(注3)
② 売上総利益及び営業利益売上総利益に関しても、4,035億64百万円(前期比4.3%増加)と前期より164億70百万円の増加となりました。なお、このうち国内事業については3,075億37百万円と1.1%の減少、海外事業についてはアジアにおける回復基調に加えて為替影響もあり、1,020億49百万円と29.1%の増加となりました。販売費及び一般管理費において、中期的な成長を見据えた戦略費の投下や活動費の戻りによる費用の増加があった結果、営業利益は554億9百万円(同22.7%減少)となりました。
③ 営業外損益及び経常利益営業外収益は、受取配当金が22億22百万円、条件付取得対価に係る公正価値変動額が16億84百万円計上されたこと等により、前年同期比2億27百万円減少の74億56百万円となりました。営業外費用は、支払利息が6億70百万円、投資事業組合運用損が5億97百万円計上されたこと等により、前年同期比10億98百万円減少の24億86百万円となりました。以上の結果、経常利益は前年同期比20.3%減少の603億78百万円となりました。
④ 特別損益及び税金等調整前当期純利益投資有価証券売却益を24億78百万円計上したこと等の結果、特別利益は44億88百万円となりました。また投資有価証券評価損を17億19百万円、特別退職金を12億6百万円計上したこと等の結果、特別損失は56億56百万円となりました。以上を加味した税金等調整前当期純利益は592億10百万円(前期比37.5%減少)となりました。
⑤ 法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計は、前年同期比101億22百万円減少の257億24百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は、前年同期比12億7百万円減少の24億76百万円となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は310億10百万円(前期比43.8%減少)となり、前期より241億69百万円の減益となりました。
(注1)「特定サービス産業動態統計調査」(経済産業省)によります。(注2)「売上高」は従前の会計基準に基づくものですが、財務諸表利用者にとって有用であると考えていることから、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等に準拠した開示ではないものの、自主的に開示しております。(注3) 当社の社内管理上の区分と集計によります。
(2) 財政状態当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ266億円減少し、1兆264億15百万円となりました。主な増減は、現金及び預金の減少210億2百万円、受取手形及び売掛金の減少272億96百万円、棚卸資産の減少191億98百万円、のれんの増加265億80百万円であります。負債は、前連結会計年度末に比べ290億円減少し、6,366億1百万円となりました。主な増減は、1年内返済予定の長期借入金の増加1,045億7百万円、賞与引当金の減少122億8百万円、未払法人税等の減少219億36百万円、長期借入金の減少1,048億30百万円であります。純資産は、前連結会計年度末に比べ24億円増加し、3,898億14百万円となりました。主な増減は、その他有価証券評価差額金の減少107億50百万円、利益剰余金の増加169億61百万円であります。
(3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて216億15百万円減少し、1,590億81百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益(592億10百万円)の計上等に対して、売上債権の減少(361億28百万円)、前受金の減少(△253億17百万円)、法人税等の支払額(△519億19百万円)等があり、380億35百万円の増加(前連結会計年度末は208億52百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出(△109億3百万円)、子会社株式及び出資金の取得による支出(△86億30百万円)等により、327億92百万円の減少(前連結会計年度末は112億92百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出(△67億13百万円)、長期借入金の返済による支出(△49億82百万円)、配当金の支払額(△123億25百万円)等により、288億39百万円の減少(前連結会計年度末は86億98百万円の減少)となりました。
(4) 生産、受注及び販売の状況当社グループは、広範囲かつ多種多様にわたる広告業務サービスの提供を主たる事業としており、その内容、構造、形式が必ずしも一様ではないため、生産実績及び受注実績について、その金額あるいは数量を記載しておりません。また、販売実績については、(1) 経営成績に含めて記載しております。
(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、2019年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表し、各種取り組みを進めてきましたが、コロナ禍の影響によりビジネス環境が激変したことを受け、一旦目標をとり下げ、2022年2月に、2022年3月期から3ヵ年の見直し中期経営計画を発表しました。同計画では、中期経営目標及び同目標を達成するにあたり注視すべき重点指標を掲げております。当連結会計年度においては、広告需要の回復の取り込みに加えて、為替影響やM&Aの押し上げ効果もあり、積極的な戦略投資を行いながらも、中期経営目標として掲げた投資事業の影響を除外した調整後連結売上総利益及び調整後連結のれん償却前営業利益の基準年(注)からの年平均成長率は、ともに二桁増の水準を維持しております。投資事業の損益を含めた連結のれん償却前営業利益も同様に、基準年から年平均二桁以上の伸びを継続しております。重点指標として掲げている、調整後連結のれん償却前オペレーティング・マージンは、変革を進めるための積極的な戦略投資や行動制限の緩和にともなう活動費の戻りといったコスト増の要因がある一方で、これまで取り組んできたコスト構造改革の効果もあり、目標として掲げている15%を上回る水準での着地となりました。のれん償却前ROEについても、13.1%と目標値である10%以上の水準を維持しております。また、中期経営計画では本計画期間を「提供サービスと事業基盤の変革を加速する期間」と位置付けておりますが、“生活者データ・ドリブン”フルファネルマーケティングの実践をはじめとする、掲げた各種戦略は着実に進捗しています。具体的な取り組みとしては、2022年4月に子会社化した、地方や中小、ベンチャー企業向けのデジタルサービスの提供に強みを持つソウルドアウト㈱のグループ内連携や、H-AIシリーズに代表されるAI技術を活用した多様なソリューションの開発/提供の積極的な推進、グループのコーポレート機能の高度化・効率化を推進する博報堂DYコーポレートイニシアティブの設立などが挙げられます。依然として、国内外の経済の先行きは不確実性の高い状況にありますが、引き続き、掲げた中期戦略の推進に一層注力し、中期経営計画の達成を目指してまいります。(注)基準年:2021年3月期
(6) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは、経営環境のいかなる変化のもとでも事業活動を安定的に継続させる為に必要な手元流動性を確保した上で、事業活動から生み出されるネットキャッシュを、中期経営計画に基づき成長分野に重点的に投下することを基本方針としております。また、安定かつ継続的に株主に配当を実施することを株主還元の基本方針とし、資金需要の状況、業績の動向及び内部留保の充実等を総合的に勘案の上、配当額を決定しております。将来の成長の為に必要な投資資金や株主還元の為の資金は、前述の通り自己資金から賄うことを基本方針としておりますが、M&Aや設備投資は個別案件毎の規模やタイミングにも依存するため、状況次第では手元資金のみで賄えない場合も想定されます。このような場合には、当社グループの財務状況や金融・資本市場の動向を鑑み、コストや機動性等を精査した上で、金融機関からの借入等の適切な手段で資金調達を実行する所存であります。なお、現在の当社グループの財政状態等から勘案すると、十分な資金調達能力を有していると判断しております。
(7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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