【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容
①全般的状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響緩和に伴う経済活動の回復により、景気持ち直しの動きが見られましたが、ウクライナ情勢等に起因する、欧州を中心とした原燃料価格高騰が景気を下押ししたほか、中国においては、ゼロコロナ政策は解除されたものの、断続的なロックダウンが景気に影響を与えました。
日本経済においても、経済活動の正常化が進み、景気持ち直しの動きが見られたものの、一方で、原燃料価格の高止まりや物価上昇等に伴う景気の下振れへの懸念が高まりました。
また、化学工業界においては、川下製品の需要鈍化の影響を受け、国内のナフサクラッカーの稼働率は前期に比べて低下しました。
このような情勢のもとで、当社グループは、成長領域の「ライフ&ヘルスケア・ソリューション」、「モビリティソリューション」、「ICTソリューション」の拡大・成長、「次世代事業」の創出・育成、「ベーシック&グリーン・マテリアルズ」の更なる競争力強化に取り組みました。
ライフ&ヘルスケア・ソリューション領域では、先進国の少子高齢化や新興国の経済成長・人口増加に伴い、生活の質(QOL)向上や、食資源の不足等の社会課題への関心が高まっています。世界トップシェアのビジョンケア材料では、植物由来の原料を使用した高屈折率レンズ材料「Do Green™」シリーズに屈折率1.60の「MR-160DG™」をラインナップに加え、販売を開始しました。また、子会社であるSDC Technologies, Inc.が、メガネレンズ加工機器の開発・製造・販売を行うCoburn Technologies,Inc.を買収し、メガネレンズ産業におけるソリューションビジネスを拡大しました。農業化学品においては、子会社である三井化学クロップ&ライフソリューション㈱が、マラリア媒介蚊防除剤「VECTRON™ T500」で世界保健機関(WHO)による事前認証を取得しました。
モビリティソリューション領域では、自動車業界において燃費向上ニーズや電動化へのシフトに加え、軽量化・快適性の向上といった多様化したニーズが生まれています。柔軟で軽量な特長を有する「タフマー®」は、従来の自動車用部品用途に加え、太陽電池関連部材等の幅広い分野で使用されています。既存用途の伸長に対応するとともに新規用途需要の獲得を目指し、子会社のMitsui Elastomers Singapore Pte Ltd.にプラントを新設し生産能力を増強することを決定しました。また、自動車の軽量化に貢献するポリプロピレン・コンパウンドでは、世界に主要な9つの生産拠点と7つの研究拠点を有し、自動車メーカーのグローバル戦略にスピーディに対応できる体制を構築しております。このような素材提供型ビジネスに加え、素材とサービスを融合した新たなソリューションを提供することにより、社会課題解決に貢献します。
ICTソリューション領域では、高速通信、AIの開発等、世界的なデジタル化の進展に伴い、安全・快適なインフラ、持続可能な地球環境を支えるAI、Beyond 5G等の情報通信(ICT)分野における進化の重要性が高まっております。半導体・実装ソリューションにおいて、高度な技術と強固な技術基盤を有する旭化成㈱から、ペリクル事業を買収しました。また、半導体製造工程用の保護テープとして世界トップシェアを有する「イクロステープ®」は、2023年10月の営業運転開始を目指し、子会社である台灣東喜璐機能膜股份有限公司の製造設備の増強を行うとともに、事業領域拡大に向けて、耐熱性やピックアップ性を両立した機能性ダイシングテープや熱剥離粘着テープ等新領域への開発にも注力しております。
ベーシック&グリーン・マテリアルズ領域では、石化・基礎化学品を中心とする従来の基盤素材領域にグリーンケミカル事業推進を加え、事業再構築によるボラティリティ低減及びダウンフロー強化を通じた高機能・ニッチ品の拡大を進めております。その一環として、子会社であったMitsui Phenols Singapore Pte. Ltd.の全株式をINEOS Holdings Limitedに売却しました。さらに、大牟田工場におけるトルエンジイソシアネートの生産能力最適化(生産能力縮小)を決定しました。また、グリーンケミカル事業の推進加速に向けて、バイオマス原料やプラスチックリサイクル、CCUS(Carbon dioxide Capture Utilization and Storage)等の幅広い分野での事業化を目指しております。当期においては、バイオマスナフサ原料となる廃食用油で東南アジア・中国地域最大級の集荷・販売会社であるApeiron AgroCommodities Pte. Ltd.へ出資しました。
これらの取組みにより、当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。
なお、当社は経営指標の一つとしてコア営業利益を採用しております。コア営業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しております。
売上収益
コア営業利益
営業利益
親会社の所有者に
帰属する当期利益
当連結会計年度(億円)
18,795
1,139
1,290
829
前連結会計年度(億円)
16,127
1,618
1,473
1,100
増減率(%)
16.5
△29.6
△12.4
△24.6
売上収益は、前連結会計年度に比べ2,668億円増(16.5%増)の1兆8,795億円となりました。これは、ナフサなどの原燃料価格の上昇に伴う販売価格上昇などによるものです。
海外売上収益は9,201億円となり、売上収益全体に占める割合は前連結会計年度に比べ1.2ポイント増の49.0%となりました。
コア営業利益は、前連結会計年度に比べ479億円減(29.6%減)の1,139億円となりました。これは、ビスフェノールA等の海外市況の下落等や、固定費他の増加があったことなどによるものです。
なお、当連結会計年度の為替レートは135円/$、国産ナフサ価格は76,600円/KLとなりました。
営業利益は、連結子会社の異動に伴う株式譲渡益の計上があったものの、コア営業利益の減少に伴い、前連結会計年度に比べ183億円減(12.4%減)の1,290億円となりました。
金融収益・費用は、前連結会計年度に比べ57億円悪化の117億円の損失となりました。
以上により、税引前利益は、前連結会計年度に比べ240億円減(17.0%減)の1,173億円となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ271億円減(24.6%減)の829億円となり、基本的1株当たり当期利益は431.17円となりました。
②セグメント別の状況
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
なお、当社は長期経営計画「VISION 2030」の実現に向け、事業ポートフォリオの改定及び、それに伴う報告セグ
メントの見直しを行っております。詳細は「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」及び、2021年11月25日リリースの「2022年4月全社組織改正について(注)」をご参照ください。
(注)https://jp.mitsuichemicals.com/sites/default/files/media/document/2021/211125.pdf
また、前連結会計年度のセグメントにつきましても、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
(ライフ&ヘルスケア・ソリューション)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ330億円増の2,582億円、売上収益全体に占める割合は14%となりました。また、コア営業利益は、主に農業化学品の販売が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ43億円増の292億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・増益となりました。
ビジョンケア材料のメガネレンズ用材料は、販売が堅調に推移しました。
オーラルケア材料は、販売が前連結会計年度並で推移しました。
農業化学品は、海外の販売が堅調に推移しました。
(モビリティソリューション)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ889億円増の5,216億円、売上収益全体に占める割合は28%となりました。また、コア営業利益は、主に価格改定及び為替差により交易条件が改善したことにより、前連結会計年度に比べ161億円増の493億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・増益となりました。
エラストマーは、価格改定及び為替差により交易条件が改善しました。
機能性コンパウンド及びPPコンパウンド事業は、自動車生産台数の回復に伴い販売が増加しました。また、価格改定及び為替差により交易条件が改善しました。
ソリューション事業は、試作・開発案件の延期等が長期化し、販売は前年同期並で推移しました。
(ICTソリューション)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ286億円増の2,357億円、売上収益全体に占める割合は12%となりました。一方、コア営業利益は、為替差等により交易条件が改善したものの、主に半導体需要鈍化の影響により、前連結会計年度に比べ64億円減の238億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・減益となりました。
半導体・光学材料及びコーティング・機能材は、販売が減少しましたが、為替差等により交易条件が改善しました。
産業用フィルムは、主に半導体需要鈍化の影響により販売が減少しました。
(ベーシック&グリーン・マテリアルズ)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ1,119億円増の8,490億円、売上収益全体に占める割合は45%となりました。一方、コア営業利益は、ビスフェノールA等の海外市況の下落及び在庫評価益の縮小等により、前連結会計年度に比べ600億円減の178億円となりました。以上により、セグメント全体では、増収・減益となりました。
ポリオレフィン及びフェノール類の販売は、需要鈍化の影響を受けました。また、ナフサクラッカーの稼働率は、川下製品の需要鈍化の影響を受け、前年同期に比べ低下しました。
(その他)
当セグメントの売上収益は、前連結会計年度に比べ44億円増の150億円、売上収益全体に占める割合は1%となりました。一方、コア営業損失は、前連結会計年度に比べ23億円増の28億円となりました。
売上収益とコア営業利益のセグメント別増減内訳はそれぞれ以下のとおりであります。
(売上収益)
(単位:億円)
第25期
第26期
増減
計
数量差
価格差
ライフ&
ヘルスケア・
ソリューション
2,252
2,582
330
165
165
モビリティ
ソリューション
4,327
5,216
889
118
771
ICT
ソリューション
2,071
2,357
286
△157
443
ベーシック&
グリーン・
マテリアルズ
7,371
8,490
1,119
△535
1,654
その他
106
150
44
-
44
消去又は全社
-
-
-
-
-
合計
16,127
18,795
2,668
△409
3,077
(コア営業利益)
(単位:億円)
第25期
第26期
増減
計
数量差
交易条件
固定費差他
ライフ&
ヘルスケア・
ソリューション
249
292
43
47
55
△59
モビリティ
ソリューション
332
493
161
23
260
△122
ICT
ソリューション
302
238
△64
△90
80
△54
ベーシック&
グリーン・
マテリアルズ
778
178
△600
△174
△265
△161
その他
△5
△28
△23
-
-
△23
消去又は全社
△38
△34
4
-
-
4
合計
1,618
1,139
△479
△194
130
△415
(注) 交易条件=価格差+変動費差(主として原燃料価格差)
③経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、以下のとおりであります。なお、当社グループは、ライフ&ヘルスケア・ソリューション、モビリティソリューション、ICTソリューション及びベーシック&グリーン・マテリアルズの各セグメントにおいて、多種多様な製品を取り扱っており、それぞれの製品によって経営成績に影響を与える要因及びその程度は異なります。
a 売上収益について
売上収益は、販売数量及び販売価格等により変動します。
販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。
販売価格については、主にナフサ等の原燃料価格の変動の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。
b コア営業利益について
コア営業利益は、販売数量、交易条件及び固定費等により変動します。
販売数量については、主に顧客の状況、市場環境及び競合他社の事業展開等の要因によって影響を受ける可能性があります。
交易条件については、主にナフサ等の原燃料価格の変動、原燃料価格の製品価格への転嫁状況、製品市況の変動及び為替変動等の要因によって影響を受ける可能性があります。
固定費については、主に生産設備の新増設、研究開発の状況等の要因によって影響を受ける可能性があります。
④生産、受注及び販売の実績
a 生産実績及び受注実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産実績及び受注実績については、「(1) 経営成績の概況、認識及び分析・検討内容 ②セグメント別の状況」におけるセグメント別の業績に関連付けて示しております。
b 販売実績
セグメントの名称
当連結会計年度
自 2022年4月1日
至 2023年3月31日
前年同期比(%)
ライフ&ヘルスケア・ソリューション(百万円)
258,226
14.7
モビリティソリューション(百万円)
521,574
20.5
ICTソリューション(百万円)
235,681
13.8
ベーシック&グリーン・マテリアルズ(百万円)
848,976
15.2
報告セグメント計(百万円)
1,864,457
16.4
その他(百万円)
15,090
42.0
合計(百万円)
1,879,547
16.5
(注)1.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
自 2021年4月1日
至 2022年3月31日
当連結会計年度
自 2022年4月1日
至 2023年3月31日
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
三井物産㈱
333,659
20.7
383,221
20.4
(2) 財政状態の概況、認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,332億円増の2兆682億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ570億円増の1兆1,849億円となりました。また、有利子負債は796億円増の7,947億円となりました。この結果、資産合計に対する有利子負債の比率は前連結会計年度末に比べ1.4ポイント増の38.4%となりました。
第22期
第23期
第24期
第25期
第26期
有利子負債残高(億円)
4,850
5,994
5,638
7,151
7,947
有利子負債比率(%)
32.3
39.2
36.2
37.0
38.4
※第22期の指標については日本基準の値を記載しております。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ762億円増の8,833億円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末に比べ1.2ポイント増の38.0%となりました。
以上により、当連結会計年度末のネットD/Eレシオ(ネット有利子負債(有利子負債-現預金・長期性預金)/親会社の所有者に帰属する持分)は、前連結会計年度末に比べ0.02ポイント増の0.77となりました。
ネットD/Eレシオの推移は以下のとおりであります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
①キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ51億円増加し、当連結会計年度末には1,863億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ86億円増の1,012億円となりました。これは主に、税引前利益の悪化があったものの、運転資本が減少したことなどによるものです。
この結果、営業キャッシュ・フローに対する有利子負債の比率は前連結会計年度の7.7から7.8に増加し、インタレスト・カバレッジ・レシオは23.3倍から17.2倍に減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用された資金は、前連結会計年度に比べ989億円減の1,063億円となりました。これは主に、持分法で会計処理されている投資の取得による支出が減少したことや、投資有価証券の有償減資による収入があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ867億円減の25億円となりました。これは主に、有利子負債の借入額が減少したことなどによるものです。
なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりであります。
第22期
第23期
第24期
第25期
第26期
親会社所有者帰属持分比率(%)
36.8
34.6
39.0
36.8
38.0
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)
34.7
25.6
44.0
30.9
31.3
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
4.4
4.2
3.2
7.7
7.8
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
19.9
25.5
37.1
23.3
17.2
(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※第22期の指標については日本基準の値を記載しております。
キャッシュ・フローの推移は以下のとおりであります。
②資金の調達について
当社グループの資金調達については、
1)高い格付けを維持し、資金需要に応じて都度、社債、借入及びコマーシャル・ペーパーを主体に低コストの資金調達を行うこと。
2)一定割合の間接金融を導入し、資金調達の安定化を図ること。
3)売上債権流動化等の資産の流動化により、資金調達の多様化を図ること。
を基本的な考え方として実施しております。
また、子会社(日米欧、中国、シンガポール)の資金調達については、原則として、当社及び地域統括会社を通じたグループファイナンスを行うことにより、グループ全体での有利子負債削減と資金効率の向上に努めております。
③資金の流動性について
資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、手元流動性を確保すると共に、コミットメント・ライン、当座貸越枠等の代替調達手段を備えております。
④資本政策のための基本方針
当社は、資本コストを意識した経営が重要との認識の下、投資効率性の向上と資本コストの低減に向けた取り組みを通じて、企業価値の最大化を図っております。投資効率性向上の取り組みとして、当社は「ポートフォリオマネジメント」、「KPIマネジメント」、「投資評価適正化」を推進しています。一方資本コスト低減に向けては、「収益ボラティリティの低減」、「最適資本構成の実現」、「投資家とのコミュニケーション強化」に取り組んでおります。
このうち、最適資本構成については、財務健全性と資本コスト最小化を両立できる資本構成を追及しております。足下のネットD/Eレシオの状況は財政状態に記載のとおり安定して推移しており、営業キャッシュ・フローも高水準な状況が継続しております。
今後につきましては、現状の財政状態の水準を維持しつつ、積極投資を継続して事業の成長・拡大による更なる企業価値の向上を推進してまいります。
一方で、当社は株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と位置づけています。当社の株主還元方針としては、業績の動向を踏まえながら、安定的かつ継続的な配当の実現と、機動的かつ柔軟な自己株式の取得により、株主還元の充実を図ることといたします。
(4) 目標とする経営指標の達成状況等
2030年度長期経営目標に対する2022年度の達成・進捗状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度(計画)
当連結会計年度
(実績)
当連結会計年度
(計画比)
2030年度長期経営目標
コア営業利益
1,400億円
1,139億円
261億円減
(18.6%減)
2,500億円
親会社の所有者に帰属する当期利益
1,000億円
829億円
171億円減
(17.1%減)
1,400億円
親会社所有者帰属持分当期利益率
(ROE)
13.6%
11.1%
2.5ポイント減
10%以上
Net D/E
0.76
0.77
0.01ポイント増
0.8以下
投下資本利益率
(ROIC)
6.7%
5.4%
1.3ポイント減
8%以上
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しております。また、当社は連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定を適用しております。連結財務諸表の作成に当たり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。