【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当第2四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年6月30日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上での扱いが5類に移行したことに伴い経済社会活動の正常化が進んだことや、訪日外国人客の増加が支えになり、緩やかな景気回復がみられる状況です。一方で、資源・エネルギー価格の高騰は一服するものの販売価格へ転嫁する動きが続き、賃金の上昇を上回る物価上昇を背景に、個人消費の伸びにやや力強さを欠く中で推移しました。国内化粧品市場においては、経済活動の正常化による外出機会の増加に加え、円安や足元の株高傾向も個人消費が拡大する後押しとなりました。また、訪日外国人客の増加によるインバウンド需要の回復もみられました。一方で、人々のライフスタイルの変容による消費行動や消費構成の変化、販売チャネルの構造変化、EC市場での広告費の高騰等がみられており、環境変化への対応により一層の工夫が求められる状況にあります。海外化粧品市場においては、コロナ禍の混乱から経済社会活動は回復傾向にありますが、物価高や高インフレの常態化、欧米の急速な利上げによる金融不安、米国経済の先行き不透明感の強まり等、経済・消費を下押しする様々な圧力により一部の地域において弱さがみられる状況です。中国市場においては、ゼロコロナ政策の解除により経済活動が正常化へと向かい、人の流れが活発化してサービス消費を中心に回復がみえるものの、雇用不安等の影響で足元の景気回復は減速感が強まる状況にあります。このような市場環境のもと、2021年からスタートした中期経営計画(2021年から2023年)に基づき、「国内ダイレクトセリングの進化」「海外事業の利益ある成長」「育成ブランドの利益貢献」「経営基盤の強化」「新ブランド、“美”に関する領域拡張」を重点テーマに掲げ、取り組んでまいりました。以上の結果、当第2四半期連結累計期間における業績は次の通りとなりました。当第2四半期連結累計期間の売上高は、国内、海外ともにコロナ禍の混乱からの回復を受けて前年同期比9.0%増の85,836百万円となりました。営業利益は売上増加による粗利の増加により、前年同期比82.3%増の8,966百万円、経常利益は為替差益が減少した影響により、前年同期比28.3%増の11,389百万円となりました。以上の結果に加え、前年に計上した法人税等調整額の減少等の影響により、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比32.1%減の7,404百万円となりました。
[業績の概要]
前第2四半期連結累計期間(百万円)
当第2四半期連結累計期間(百万円)
前年同期
増減額(百万円)
増減率(%)
売上高
78,748
85,836
7,088
9.0
営業利益
4,917
8,966
4,049
82.3
経常利益
8,876
11,389
2,513
28.3
親会社株主に帰属する四半期純利益
10,904
7,404
△3,499
△32.1
[セグメント別の業績]売上高(外部顧客への売上高)
前第2四半期連結累計期間(百万円)
当第2四半期連結累計期間(百万円)
前年同期
増減額(百万円)
増減率(%)
ビューティケア事業
76,420
83,529
7,108
9.3
不動産事業
1,039
1,036
△3
△0.3
その他
1,287
1,270
△17
△1.4
合 計
78,748
85,836
7,088
9.0
セグメント利益又は損失(△)(営業利益又は損失(△))
前第2四半期連結累計期間(百万円)
当第2四半期連結累計期間(百万円)
前年同期
増減額(百万円)
増減率(%)
ビューティケア事業
5,246
8,713
3,467
66.1
不動産事業
316
277
△39
△12.4
その他
71
30
△40
△56.7
セグメント利益の調整額(注)
△716
△55
661
-
合 計
4,917
8,966
4,049
82.3
(注) セグメント利益の調整額とは、グループの内部取引に伴う利益及びセグメントに含まれない経費等を連結時に消去・加算した金額であります。なお、セグメント利益の調整額の詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) 1 報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報(注2)」をご覧ください。
(ビューティケア事業)ビューティケア事業は、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」を、海外ブランドとして「Jurlique」を、育成ブランドとして「THREE」「DECENCIA」「FIVEISM×THREE」「FUJIMI」を展開しております。POLAブランドでは、エイジングケア・美白を中心とした高機能商品の投入による更なるブランド価値の向上と、中長期的な顧客基盤構築を進めております。国内事業では、オンラインとオフラインのチャネル融合(OMO:Online Merges with Offline)の推進により、各チャネルの特性や強みを活かした高LTV事業の実現に取り組んでおります。2023年4月より新メンバーシッププログラム「ポーラ プレミアム パス」を始動し、全ての販売チャネルの顧客IDを統合して、国内全てのお客様に共通のサービス体験のお届けを開始いたしました。経済活動の正常化による人流の戻りや訪日外国人客の戻りに加えて、「B.Aミルクフォーム」等の新商品やエステの好調により国内全ての事業が前年を上回る実績で推移しております。海外事業では、引き続き、最重点市場である中国でブランドプレゼンスの確立のための顧客接点の拡充に取り組んでおります。アフターコロナにおける需要回復には一定の時間を要するものの、新商品を軸としたマーケティング活動も奏功し、海外事業全体では前年を上回る実績となりました。以上の結果、POLAブランドは前年同期を上回る売上高・営業利益となりました。ORBISブランドでは、高収益事業へと再成長を遂げるため、ブランド差別性の創出によるプレゼンス、顧客ロイヤリティの向上と、エイジングスキンケアシリーズ「オルビスユー」を中心に据えたシワ改善・美白ケア等、スキンケア顧客の拡大を進めております。国内事業では、ブランド体験の基軸となるワンストップアプリにて顧客に寄り添う伴走型コミュニケーションの提供により、回復基調にある顧客数の更なる増加とLTV最大化を果たすべく取り組んでおります。直販チャネルでは、オルビスユーシリーズ最高峰である「オルビスユードット」の認知拡大による新規顧客獲得や、リニューアル発売したUVのスペシャルケア品の好評により、顧客数が前年超過となりました。また外部チャネルでは、ECプラットフォームを中心に前年同期より大幅に伸長し、顧客接点の拡大に寄与しております。海外事業では、重点市場の中国を中心に事業の成長加速と黒字化に向けた取り組みを進めております。顧客接点の拡大とブランド認知向上に向けた投資の強化に引き続き取り組んでおり、前年を上回る成長を実現しております。以上の結果、ORBISブランドは前年同期を上回る売上高・営業利益となりました。Jurliqueブランドでは、豪州及び中国とアジアを中心としたトラベルリテール市場での成長に向けた取り組みを継続しております。重点市場の豪州においてオフラインでの回復が進んだこと、また中国においては、新型コロナウイルス感染者数の再拡大に伴う影響を受けながらも、新商品の投入によるブランド価値の向上と顧客のエンゲージメント強化等により、前年を上回る実績となりました。また、2023年6月1日付でJurlique Internationalの新CEOを中心に新たなマネジメント体制をスタートさせており、経営の基盤強化も進めております。以上の結果、Jurliqueブランドは前年同期を上回る売上高となりました。一方で、販売管理費等が増加した影響により営業損失が拡大する結果となりました。育成ブランドでは、THREEブランドで2024年黒字化に向けた構造改革の取り組みを進めております。基幹スキンケアシリーズの新商品によりスキンケア売上が成長し、国内事業は前年を上回る実績で推移しております。以上の結果、育成ブランド全体では前年同期を上回る売上高となりました。また、各ブランドにおいて厳格な費用コントロールを実施したことが奏功し、営業損失は改善しております。なお、ビューティケア事業におけるブランドポートフォリオの改革と更なる収益性向上を目指す一環として、2023年3月6日付で「Amplitude」「ITRIM」の2ブランドの撤退を決定しております。以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は83,529百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益は8,713百万円(前年同期比66.1%増)となりました。
(不動産事業)不動産事業では、都市部のオフィスビル賃貸を中心に、魅力的なオフィス環境の整備による賃料の維持向上に取り組むとともに、子育て支援に特化した賃貸マンション事業も展開しております。当第2四半期連結累計期間は、前年にオフィスビルを一部売却した影響等により、前年同期を下回る売上高・営業利益となりました。以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は1,036百万円(前年同期比0.3%減)、営業利益は277百万円(前年同期比12.4%減)となりました。
(その他) その他に含まれている事業は、ビルメンテナンス事業であります。ビルメンテナンス事業は、主にビルの運営管理を行っております。当第2四半期連結累計期間は、契約件数の減少により、前年同期を下回る売上高・営業利益となりました。以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は1,270百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益は30百万円(前年同期比56.7%減)となりました。
(2) 財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,061百万円増加し、206,996百万円(前連結会計年度末比0.5%増)となりました。主な増減項目は、投資有価証券の増加7,213百万円、未収法人税の増加に伴う流動資産「その他」2,868百万円により増加し、一方で現金及び預金の減少4,485百万円、有価証券の減少4,190百万円により減少しております。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ1,466百万円増加し、35,942百万円(前連結会計年度末比4.3%増)となりました。主な増減項目は、未払法人税等の増加2,257百万円により増加し、一方で退職給付に係る負債の減少438百万円により減少しております。純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ405百万円減少し、171,053百万円(前連結会計年度末比0.2%減)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上7,404百万円により増加し、一方で剰余金の配当6,865百万円、為替換算調整勘定の減少1,092百万円により減少しております。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析当第2四半期連結会計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物の四半期末残高は、前連結会計年度末に比べ4,554百万円減少し、58,007百万円(前年同期比1.3%増)となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、9,255百万円の収入(前年同期比97.4%増)となりました。主な要因は、税金等調整前四半期純利益10,720百万円、減価償却費3,704百万円、売上債権の増減額1,828百万円により資金は増加し、一方で、為替差損益2,273百万円、法人税等の支払額3,701百万円により資金は減少しております。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、6,955百万円の支出(前年同期比43.2%減)となりました。主な要因は、有価証券の売却及び償還による収入6,299百万円により資金は増加し、一方で、有形固定資産の取得による支出1,330百万円及び無形固定資産の取得による支出2,231百万円、投資有価証券の取得による支出9,218百万円により資金は減少しております。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、7,371百万円の支出(前年同期比1.4%減)となりました。主な要因は、配当金の支払額6,896百万円によっております。
(4) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2,074百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7) 主要な設備当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。
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