【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当第1四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年3月31日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の緩和により人の流れが回復し、経済社会活動の正常化から景況感の押し上げが期待される状況ですが、ウクライナ紛争等の影響を受けた資源・エネルギー価格の高騰と販売価格への転嫁が景況感を下押しする構図が続き、先行きは小幅の改善を見込みながらも影を落とす中で推移いたしました。国内化粧品市場においては、2022年後半から行動制限が解除されたことに加えて、円安とインバウンド需要の戻りが後押しした影響により、コロナ禍以前の消費水準には届かないものの高額品消費の伸びが見られました。また、3月中旬のマスク着用義務緩和の前後からはメイクアップ品の需要が伸びており、「脱マスク商戦」攻勢が見られます。一方で、コロナ禍による人々のライフスタイルの変容による巣ごもり需要等の消費行動の変化や消費構成の変化、販売チャネル構造の変化も見られることから、より一層の対応の工夫が求められる状況にあります。海外化粧品市場においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の混乱から経済社会活動は回復傾向にありますが、ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格の高騰や高インフレの常態化、欧米の急速な利上げによる金融不安など、経済・消費を下押しする様々な圧力が先行きの不透明感を助長しております。中国市場においては、ゼロコロナ政策の終了により経済活動が正常化へと向かい、人の流れが活発化してサービス消費に回復が見えるものの、雇用悪化が足かせとなりモノ消費の回復が鈍い状況にあります。このような市場環境のもと、2021年からスタートした中期経営計画(2021年から2023年)に基づき、「国内ダイレクトセリングの進化」「海外事業の利益ある成長」「育成ブランドの利益貢献」「経営基盤の強化」「新ブランド、“美”に関する領域拡張」を重点テーマに掲げ、取り組んでまいりました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間における業績は次のとおりとなりました。当第1四半期連結累計期間の売上高は、国内、海外ともにコロナ禍の混乱からの回復を受けて前年同期比11.9%増の42,136百万円となりました。営業利益は売上増加による粗利の増加により、前年同期比137.9%増の4,549百万円、経常利益は前年に計上した為替差益の影響により、前年同期比16.7%増の4,832百万円となりました。以上の結果に加え、前年に計上した法人税等調整額の減少の影響により、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比61.8%減の2,743百万円となりました。
[業績の概要]
前第1四半期連結累計期間(百万円)
当第1四半期連結累計期間(百万円)
前年同期
増減額(百万円)
増減率(%)
売上高
37,662
42,136
4,473
11.9
営業利益
1,912
4,549
2,637
137.9
経常利益
4,140
4,832
691
16.7
親会社株主に帰属する四半期純利益
7,180
2,743
△4,437
△61.8
[セグメント別の業績]売上高(外部顧客への売上高)
前第1四半期連結累計期間(百万円)
当第1四半期連結累計期間(百万円)
前年同期
増減額(百万円)
増減率(%)
ビューティケア事業
36,516
40,950
4,433
12.1
不動産事業
523
518
△4
△0.9
その他
622
666
44
7.1
合 計
37,662
42,136
4,473
11.9
セグメント利益又は損失(△)(営業利益又は損失(△))
前第1四半期連結累計期間(百万円)
当第1四半期連結累計期間(百万円)
前年同期
増減額(百万円)
増減率(%)
ビューティケア事業
2,026
4,359
2,332
115.1
不動産事業
189
161
△27
△14.7
その他
0
2
1
113.5
セグメント利益の調整額(注)
△305
26
331
-
合 計
1,912
4,549
2,637
137.9
(注) セグメント利益の調整額とは、グループの内部取引に伴う利益及びセグメントに含まれない経費などを連結時に消去・加算した金額であります。なお、セグメント利益の調整額の詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) 1 報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報(注2)」をご覧ください。
(ビューティケア事業)ビューティケア事業は、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」を、海外ブランドとして「Jurlique」を、育成ブランドとして「THREE」「DECENCIA」「FIVEISM×THREE」「FUJIMI」を展開しております。POLAブランドでは、エイジングケア・美白を中心とした高機能商品の投入による更なるブランド価値の向上と、中長期的な顧客基盤構築を進めております。国内事業では、オンラインとオフラインのチャネル融合(OMO:Online Merges with Offline)の推進により、顧客情報を統合して各チャネルをシームレスにつなぐ新ビジネスモデルを構築し、オンライン顧客を委託販売チャネルへ送客する施策等で、各チャネルの特性や強みを活かした高LTV事業の実現に取り組んでおります。行動制限の解除による人流の戻りに加えて、新商品やエステの好調により国内全ての事業が前年を上回る実績で推移しました。また、回復基調にある顧客数の反転とLTV向上に向けた先行投資として、オフラインイベントの充実やビューティーディレクターの採用育成の強化等による顧客接点の拡充や認知増に取り組んでおります。海外事業では、アフターコロナにおける事業回復と、最重点市場である中国でブランドプレゼンスの確立のための顧客接点の拡充に取り組んでおり、海外事業全体では前年を上回る実績となりましたが、特に中国にてゼロコロナ政策終了後の回復に遅れが見られる状況です。以上の結果、POLAブランドは前年同期を上回る売上高・営業利益となりました。ORBISブランドでは、高収益事業へと再成長を遂げるため、ブランド差別性の創出によるプレゼンス、顧客ロイヤリティの向上と、エイジングスキンケアシリーズ「オルビスユー」を中心に据えたシワ改善・美白ケアなど、スキンケア顧客の拡大を進めております。国内事業では、ブランド体験の基軸となるワンストップアプリにて顧客に寄り添う伴走型コミュニケーションの提供により、顧客情報分析の高度化の実現と1to1のコミュニケーションによるスキンケア+αの購買を促進し、回復基調にある顧客数の更なる増加とLTV最大化を果たすべく取り組んでおります。直販チャネルは「オルビスユードット」の伸長やリニューアル発売したUVのスペシャルケア品による新規顧客獲得も進み、顧客数は前年超過となりました。外部チャネルはECプラットフォームを中心に、前年同期より大幅に伸長しております。海外事業では、重点市場である中国での成長加速と黒字化のため、引き続き顧客接点の拡大とブランド認知向上に向けた投資の強化に取り組んでおり、2桁成長を実現しております。以上の結果、ORBISブランドは前年同期を上回る売上高となりましたが、売上増加に伴う販売管理費の増加の影響で営業利益は前年同期並みとなりました。Jurliqueブランドでは、引き続き、豪州及び中国とアジアを中心としたトラベルリテール市場での事業成長に向けて取り組みを進めております。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の混乱から回復傾向にある豪州市場や香港市場では早期の事業回復を進めるとともに、経済・消費の復調の兆しがある中国市場ではオンラインを中心とした成長を加速することに加え、更なる構造改革により損益分岐点を改善し、早期の黒字化を実現すべく取り組んでおりますが、トラベルリテールにて回復が遅れている影響により、Jurliqueブランドは前年同期並みの売上高となりました。一方で、販売管理費等が増加した影響により営業損失が拡大する結果となりました。育成ブランドでは、THREEブランドで2024年黒字化に向けた構造改革の取り組みを進めており、国内事業は前年を上回る実績で推移しております。以上の結果、育成ブランド全体では前年同期を上回る売上高となりました。また、各ブランドにおいて厳格な費用コントロールを実施したことが奏功し、営業損失は改善しております。なお、ビューティケア事業におけるブランドポートフォリオの改革と更なる収益性向上を目指す一環として、2023年3月6日付で「Amplitude」「ITRIM」の2ブランドの撤退を決定しております。以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は40,950百万円(前年同期比12.1%増)、営業利益は4,359百万円(前年同期比115.1%増)となりました。
(不動産事業)不動産事業では、都市部のオフィスビル賃貸を中心に、魅力的なオフィス環境の整備による賃料の維持向上と空室率の低下に取り組むとともに、子育て支援に特化した賃貸マンション事業も展開しております。当第1四半期連結累計期間は、前年にオフィスビルを一部売却した影響等により、前年同期を下回る売上高、営業利益となりました。以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は518百万円(前年同期比0.9%減)、営業利益は161百万円(前年同期比14.7%減)となりました。 (その他)その他に含まれている事業は、ビルメンテナンス事業であります。ビルメンテナンス事業は、主にビルの運営管理を行っております。当第1四半期連結累計期間は、工事契約の単価の上昇により、売上高、営業利益ともに前年同期を上回る結果となりました。以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は666百万円(前年同期比7.1%増)、営業利益は2百万円(前年同期比113.5%増)となりました。
(2) 財政状態の分析当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,919百万円減少し、202,015百万円(前連結会計年度末比1.9%減)となりました。主な増減項目は、投資有価証券の増加9,010百万円、未収法人税の増加に伴う流動資産「その他」2,287百万円により増加し、一方で現金及び預金の減少8,820百万円、有価証券の減少5,235百万円により減少しております。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ216百万円増加し、34,692百万円(前連結会計年度末比0.6%増)となりました。主な増減項目は、預り金の増加に伴う流動負債「その他」の増加823百万円、未払法人税等の増加463百万円により増加し、一方で契約負債の減少342百万円により減少しております。純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ4,136百万円減少し、167,322百万円(前連結会計年度末比2.4%減)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上2,743百万円、剰余金の配当6,865百万円により減少しております。
(3) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、972百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変動はありません。
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