【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年1月1日~2022年9月30日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の行動制限解除後、社会・経済の正常化に向けた気運が高まる中、第7波の到来により、感染者数が増加に転じたことで一時的な人出の減少や国際社会の混乱によるエネルギー、原材料価格の高騰、大幅な円安等による物価上昇の圧力を受けましたが、個人消費は底堅く推移しております。未だ収束が見えないコロナ禍以外にも景気の下振れリスクを抱えており、先行きの不透明感は依然として強い状況と言えます。国内化粧品市場においては、コロナ禍以降、ECをはじめとする通販市場の拡大が継続しております。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の影響を受けやすい対面型販売とオンラインを融合したサービスの拡充は、アフターコロナを見据えたうえで引き続き重要な戦略になるものと見込まれます。海外市場においては、当社グループが重点市場に位置付けている中国ではゼロコロナ政策の一環としてロックダウン等の防疫管理措置が断続的に実施されており、経済成長は緩やかなものとなりました。今後も感染者数とその対策措置によって、経済・個人消費は大きく左右されることが見通されることから、国内同様、厳しい感染対策が講じられた場合の備えが重要になるものと見込まれます。このような市場環境のもと、2021年からスタートした中期経営計画(2021年~2023年)に基づき、「国内ダイレクトセリングの進化」「海外事業の利益ある成長」「育成ブランドの利益貢献」「経営基盤の強化」「新ブランド、“美”に関する領域拡張」を重点テーマに掲げ、取り組んでまいりました。その結果、当第3四半期連結累計期間における業績は次のとおりとなりました。当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比8.8%減の119,654百万円となりました。営業利益は売上減少による粗利の減少により、前年同期比37.4%減の7,668百万円、経常利益は円安に伴う為替差益の計上により前年同期比9.4%減の12,169百万円となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比50.5%増の13,035百万円となりました。
[業績の概要]
前第3四半期連結累計期間(百万円)
当第3四半期連結累計期間(百万円)
前年同期
増減額(百万円)
増減率(%)
売上高
131,164
119,654
△11,509
△8.8
営業利益
12,241
7,668
△4,572
△37.4
経常利益
13,432
12,169
△1,263
△9.4
親会社株主に帰属する四半期純利益
8,661
13,035
4,374
50.5
[セグメント別の業績]売上高(外部顧客への売上高)
前第3四半期連結累計期間(百万円)
当第3四半期連結累計期間(百万円)
前年同期
増減額(百万円)
増減率(%)
ビューティケア事業
127,834
116,231
△11,603
△9.1
不動産事業
1,581
1,561
△20
△1.3
その他
1,748
1,861
113
6.5
合 計
131,164
119,654
△11,509
△8.8
セグメント利益又は損失(△)(営業利益又は損失(△))
前第3四半期連結累計期間(百万円)
当第3四半期連結累計期間(百万円)
前年同期
増減額(百万円)
増減率(%)
ビューティケア事業
12,271
8,319
△3,951
△32.2
不動産事業
382
430
47
12.5
その他
26
68
42
162.2
セグメント利益の調整額(注)
△439
△1,150
△711
161.8
合 計
12,241
7,668
△4,572
△37.4
(注)
セグメント利益の調整額とは、グループの内部取引に伴う利益及びセグメントに含まれない経費などを連結時に消去・加算した金額であります。なお、セグメント利益の調整額の詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) 1 報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報(注2)」をご覧ください。
(ビューティケア事業)ビューティケア事業は、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」を、海外ブランドとして「Jurlique」を、育成ブランドとして「THREE」「DECENCIA」「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM×THREE」「FUJIMI」を展開しております。POLAブランドでは、さらなるブランド価値の向上、事業基盤の強化を進めるため、エイジングケア・美白を中心とした高機能商品の投入や重点市場に定める中国及び成長市場であるトラベルリテールへ注力しております。国内事業では、実店舗とオンラインでのチャネルシームレスな顧客獲得・定着、LTVの拡大に向けた取り組みを継続した結果、ECチャネルでの売上伸長がありました。また、回復傾向にはあるものの、委託販売チャネル(対面型販売)でのコロナ影響によるビューティーディレクターの稼働率低下及び顧客数減少の影響をカバーするに至っておりません。また、海外事業においては、重点市場に位置付ける中国においてブランドコントロールが可能なECプラットフォーム等でのプロモーションを強化し、新規顧客の獲得と共に顧客LTVの拡大を図ることで、中長期的なブランドロイヤルティの維持・向上に重点を置いたマーケティングに注力してまいりましたが、中国でのゼロコロナ政策の影響を大きく受ける結果となりました。以上の結果、POLAブランドは前年同期を下回る売上高・営業利益となりました。ORBISブランドでは、高収益事業へと再成長を遂げるため、ブランド差別性の創出によるプレゼンスの向上と今年リニューアルしたエイジングスキンケアシリーズ「オルビスユー」を中心に据え、スキンケアユーザーの獲得を進めております。国内においては引き続き、アクティブ顧客の増加に向けて、顧客セグメント別コミュニケーションを強化したことで既存顧客の稼働率向上及び休眠顧客の活性に繋がった一方で、顧客数及び顧客単価が減少する結果となりました。海外では、重点市場である中国において、オンラインではソーシャルセリングを活用したブランド発信、オフラインでは展開地域の拡大を進めておりますがロックダウンの影響を受ける状況が続いております。以上の結果、ORBISブランド全体では前年同期を下回る売上高・営業利益となりました。 Jurliqueブランドでは、最重点市場に位置付けている中国において、各省での断続的なロックダウンによるオフライン店舗の営業停止の影響を受けましたが、成長領域であるECチャネルを中心に二桁成長を実現しました。また、本国豪州においても、昨年ロックダウンの影響を受けたオフラインチャネルでの業績回復により、前年同期を上回る売上高となりました。費用面では、販管費の積極的な削減に取り組んだものの、為替の影響により、営業損失は微増となりました。 H2O PLUSブランドは、米国を中心に化粧品の製造・販売を行ってまいりましたが、同社を取り巻く事業環境は厳しく、計画を下回る業績で推移したこと、また、ビューティケア事業におけるブランドポートフォリオの改革と更なる収益性向上を目指す一環として、2022年4月28日付でH2O PLUSブランドが展開する全事業から撤退することを決定しております。育成ブランドについては、新規顧客・既存顧客ともに好調なFUJIMIブランドの成長があったものの、THREEブランドの苦戦の影響により、育成ブランド全体で前年同期を下回る売上高となりましたが、各ブランドにおいて状況に応じた費用コントロールを進めたことで、育成ブランド全体の営業損失は縮小する結果となりました。以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は116,231百万円(前年同期比9.1%減)、営業利益は8,319百万円(前年同期比32.2%減)となりました。
(不動産事業)不動産事業では、都市部のオフィスビル賃貸を中心に、魅力的なオフィス環境の整備による賃料の維持向上と空室率の低下に取り組むとともに、子育て支援に特化した賃貸マンション事業も展開しております。当第3四半期連結累計期間は、一部テナントの退去の発生により、前年同期を下回る売上高となりましたが、前年度に賃貸ビルの保全にかかる一時的な費用を計上したことによる影響で、前年同期を上回る営業利益となりました。以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は1,561百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益は430百万円(前年同期比12.5%増)となりました。
(その他) その他に含まれている事業は、ビルメンテナンス事業であります。 ビルメンテナンス事業は、主にビルの運営管理を行っております。当第3四半期連結累計期間は、工事受注件数が増加したことにより、前年同期を上回る売上高・営業利益となりました。以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は1,861百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は68百万円(前年同期比162.2%増)となりました。
(2) 財政状態の分析 当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ5,415百万円減少し、202,624百万円(前連結会計年度末比2.6%減)となりました。主な増減項目は、投資有価証券の増加8,421百万円、繰延税金資産の増加4,602百万円により増加し、一方で現金及び預金の減少20,073百万円、受取手形及び売掛金の減少2,032百万円、有価証券の減少1,891百万円により減少しております。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ3,854百万円減少し、30,918百万円(前連結会計年度末比11.1%減)となりました。主な増減項目は、契約負債の増加4,839百万円により増加し、一方で未払法人税等の減少1,271百万円、ポイント引当金の減少に伴うその他の引当金の減少1,950百万円、流動負債「その他」の減少4,979百万円により減少しております。純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,561百万円減少し、171,705百万円(前連結会計年度末比0.9%減)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上13,035百万円により増加し、一方で剰余金の配当11,516百万円、為替換算調整勘定の減少2,247百万円により減少しております。
(3) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、3,271百万円であります。 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。
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