【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では底堅い消費に支えられ、経済活動は緩やかに回復しました。中国ではゼロコロナ政策の解除により景気は回復したものの、足元では鈍化傾向が強まっています。一方、国内においては、コロナ禍から経済活動が正常化に向かい、景気は緩やかに回復しました。今後、半導体不足解消による自動車生産台数の持ち直しはあるものの、欧米の金融引き締め政策による需要減や中国経済の減速など、海外経済の下振れ影響が懸念されます。
こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”が需要回復を受け販売を大きく伸ばしました。一方、新型コロナウイルス感染症の収束によりPCR検査用試薬の販売が大幅に減少し、包装用フィルムやセラミックコンデンサ用離型フィルムは需要の回復が鈍く、販売が振るいませんでした。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同期比40億円(3.9%)減の971億円となり、営業損失は1億円(前年同期は営業利益46億円)、経常損失は3億円(前年同期は経常利益43億円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は5億円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益78億円)となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
なお、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しています。以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
(フィルム)
当セグメントは、需要の回復が弱く、加えて原燃料価格高騰の影響が続き、減収減益となりました。
包装用フィルムは、原燃料価格高騰に対し製品価格の改定を進めましたが、流通在庫の調整が長引き、荷動きは低調となりました。
工業用フィルムは、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”の販売が大幅に増加しましたが、セラミックコンデンサ用離型フィルムはサプライチェーン全体での在庫調整が継続し苦戦しました。また、原燃料価格高騰に対し製品価格の改定を進めましたが、収益性の改善には至りませんでした。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比2億円(0.4%)減の390億円、営業利益は同12億円(49.7%)減の12億円となりました。
(ライフサイエンス)
当セグメントは、新型コロナウイルス感染症のPCR検査用試薬の販売が大幅に減少し、減収減益となりました。
バイオ事業では、診断薬用原料酵素は堅調に推移しましたが、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことにより、PCR検査用試薬の販売が大幅に減少しました。
医薬品製造受託事業は、FDA対応費用が継続して発生しましたが、2023年7月にFDAよりWarning Letterが解除されました。
メディカル事業では、人工腎臓用中空糸膜の販売が堅調に推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比5億円(6.3%)減の81億円となり、営業利益は同8億円(36.6%)減の14億円となりました。
(環境・機能材)
当セグメントは、電子材料、土木・建材での需要減退の影響を受け、減収減益となりました。
樹脂・ケミカル事業では、エンジニアリングプラスチックは、国内において原燃料価格高騰に対する製品価格の改定が進みました。工業用接着剤“バイロン”は、中国をはじめアジア向けの販売が減少しました。水現像型感光性印刷版用途の光機能材料は、北米と中国向けの販売が低調でした。
環境・ファイバー事業では、環境ソリューションは、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC回収装置の販売において、出荷のずれ込みにより販売が減少しました。高機能ファイバーでは、“ツヌーガ”は耐切創手袋、“ザイロン”は建築補強用途の販売が減少しました。不織布マテリアルは、土木・建材などでの需要減の影響を受け不調でした。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比29億円(10.5%)減の250億円、営業損失は7億円となりました(前年同期は営業利益9億円)。
(機能繊維・商事)
当セグメントは、エアバッグ用基布事業において、収益性の改善に至らず、減収減益となりました。
衣料繊維事業は、不採算商材からの撤退完了と製品価格の改定が進み収益が改善しました。
エアバッグ用基布事業は、自動車生産台数の回復に伴い販売量が増加しましたが、原料価格の上昇に対し、製品価格の改定が追いつかず苦戦しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比0億円(0.1%)減の222億円、営業損失は7億円となりました(前年同期は営業損失4億円)。
(不動産、その他)
当セグメントでは、不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービス等のインフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は前年同期比3億円(9.7%)減の28億円、営業利益は同1億円(15.4%)増の4億円となりました。
資産、負債及び純資産の状況
総資産は、前年度末比194億円(3.3%)減の5,695億円となりました。これは主として現金及び預金や受取手形及び売掛金が減少したことによります。
負債は、前年度末比179億円(4.9%)減の3,495億円となりました。これは主として支払手形及び買掛金や借入金が減少したことによります。
純資産は、利益剰余金などの減少により前年度末比15億円(0.7%)減の2,199億円となりました。
(2)事業上および財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は3,439百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。