【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の概要「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高は、従前の会計処理と比較して減少しております。また、当連結会計年度末における財政状態に影響を及ぼしております。詳細については、「第5 経理の状況 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。
① 経営成績の状況当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの行動制限が緩和され経済活動が正常化に向かう中、景気は緩やかながら持ち直しの動きがみられました。一方、世界的な金融引き締めによる円安の進行やウクライナ紛争の長期化による資源高や物価高など国内経済は、先行き不透明な状況が続きました。このような経済状況にあってIT投資分野では、一部に慎重な姿勢もみられましたが、企業のデジタル化への対応や競争力強化を目的としたIT投資需要は底堅く推移しました。また、部材や半導体不足に加えサプライチェーンの混乱等により発生していた一部商品の供給制約については、改善の動きがみられました。以上のような環境において当社グループは、「お客様に寄り添い、DX・全商材で共に成長する」を2022年度のスローガンに掲げお客様接点の強化に努め、前年落ち込んだ新規顧客向け活動が回復に向かうなど営業活動は徐々に正常化へ向かいました。具体的には、DX推進に役立つ最新のソリューション提案に加え、改正電子帳簿保存法への対応などワークフローの見直しやデジタルドキュメントへの移行についても継続的な支援を行いました。また、中堅・中小企業のお客様でも手軽にAIの価値を享受できるソリューションの実現に努めました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は、8,610億22百万円(前年同期比1.1%増)となりました。利益につきましては、営業利益547億68百万円(前年同期比1.9%減)、経常利益566億39百万円(前年同期比1.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益400億22百万円(前年同期比0.2%増)となりました。なお、前述のとおり、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、当連結会計年度の売上高は365億44百万円減少しております。この減少額を当連結会計年度に足し戻した場合、売上高は8,975億66百万円となります。また、前連結会計年度に同様の基準を適用した場合、売上高の増減率は前年同期比5.2%増となります。
(システムインテグレーション事業)コンサルティングからシステム設計・開発、搬入設置工事、ネットワーク構築まで最適なシステムを提供するシステムインテグレーション事業では、前年のGIGAスクール需要に伴うパソコン販売台数の減少や一部商品供給不足の影響を受け、売上高は5,416億71百万円(前年同期比3.4%増)となりました。なお、前述のとおり、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、当連結会計年度の売上高は55億10百万円減少しております。また、前連結会計年度に同様の基準を適用した場合、売上高の増減率は前年同期比4.5%増となります。
(サービス&サポート事業)サプライ供給、ハード&ソフト保守、テレフォンサポート、アウトソーシングサービス等により導入システムや企業活動をトータルにサポートするサービス&サポート事業では、オフィスサプライ通信販売事業「たのめーる」やサポート事業「たよれーる(*)」などストックビジネスに引き続き注力し、売上高は3,193億50百万円(前年同期比2.7%減)となりました。なお、前述のとおり、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、当連結会計年度の売上高は310億33百万円減少しております。また、前連結会計年度に同様の基準を適用した場合、売上高の増減率は前年同期比6.6%増となります。
* たよれーる=お客様の情報システムや企業活動全般をサポートする事業ブランド。
(※) 参考増減率は、前期に収益認識会計基準を適用したと仮定した場合 (2022年1月1日~2022年12月31日)
売上高
(百万円)
増減率
(%)
参考増減率
(%)
売上高
861,022
1.1%
5.2%
システムインテグレーション事業
541,671
3.4%
4.5%
サービス&サポート事業
319,350
△2.7%
6.6%
② 財政状態の状況当連結会計年度末における資産は5,230億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ367億61百万円増加しました。負債は2,002億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ158億3百万円増加しました。純資産は3,227億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ209億58百万円増加しました。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ24億71百万円減少し、2,032億74百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動から得られた資金は291億96百万円となり、前連結会計年度に比べ286億77百万円減少いたしました。これは主に、「売上債権の増減額」が増加に転じたことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動に使用した資金は83億55百万円となり、前連結会計年度に比べ8億4百万円減少いたしました。これは主に、「有形固定資産の取得による支出」が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動に使用した資金は233億7百万円となり、前連結会計年度に比べ13億50百万円増加いたしました。これは主に、「配当金の支払額」が増加したことによるものです。
また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ278億72百万円減少し、208億40百万円となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績当社グループの主たる事業は、情報システムの構築から稼働までを行う「システムインテグレーション事業」とシステム稼働後のサポート等を行う「サービス&サポート事業」であります。これらは顧客の注文に応じてサービス及びサポートを提供するものであり受注形態も多岐にわたっております。このため数量の把握をはじめ生産概念の意義が薄く、生産実績を把握することは困難でありますので、記載を省略しております。
b. 商品仕入実績当連結会計年度の商品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
商品仕入高(百万円)
前年同期比(%)
システムインテグレーション事業
416,535
+8.2
サービス&サポート事業
146,592
+5.0
合計
563,127
+7.3
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.金額は仕入価格によっております。
c. 受注実績当社グループの生産業務の内容は、ハードウエア及びソフトウエアの保守メンテナンスといったサポート業務が主なものであり、個別受注生産の占める割合が少ないため、受注実績の記載を省略しております。
d. 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
システムインテグレーション事業
541,671
+3.4
サービス&サポート事業
319,350
△2.7
合計
861,022
+1.1
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高は、従前の会計処理と比較して減少しております。また、当連結会計年度末における財政状態に影響を及ぼしております。詳細については、「第5 経理の状況 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。
a. 経営成績の分析
(売上の状況)当連結会計年度における当社グループの売上高は、前連結会計年度に比べ91億28百万円増加し、8,610億22百万円(前連結会計年度比1.1%増)となりました。セグメント別では、システムインテグレーション事業の売上高は5,416億71百万円(前連結会計年度比3.4%増)、サービス&サポート事業の売上高は3,193億50百万円(前連結会計年度比2.7%減)となりました。
(損益の状況)利益につきましては、営業利益547億68百万円(前連結会計年度比1.9%減)、経常利益566億39百万円(前連結会計年度比1.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益400億22百万円(前連結会計年度比0.2%増)となりました。
売上及び損益の状況については、「第2
事業の状況
3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1) 経営成績等の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。
b. 財政状態の分析
(資産の部)当連結会計年度末における資産は5,230億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ367億61百万円増加しました。流動資産は、「受取手形、売掛金及び契約資産」が増加したことなどにより、4,351億13百万円と前連結会計年度末に比べ340億79百万円増加しました。固定資産は、879億2百万円と前連結会計年度末に比べ26億82百万円増加しました。
(負債の部)当連結会計年度末における負債は2,002億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ158億3百万円増加しました。流動負債は、「支払手形及び買掛金」が増加したことなどにより、1,906億83百万円と前連結会計年度末に比べ204億1百万円増加しました。固定負債は、96億0百万円と前連結会計年度末に比べ45億98百万円減少しました。
(純資産の部)当連結会計年度末における純資産は、「利益剰余金」が増加したことなどにより、3,227億32百万円と前連結会計年度末に比べ209億58百万円増加しました。この結果、自己資本比率は61.1%となり、前連結会計年度末より0.3ポイント低下いたしました。
c. キャッシュ・フローの状況の分析キャッシュ・フローの状況については、「第2
事業の状況
3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1) 経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりであります。
2019年12月期
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
自己資本比率
(%)
56.2
58.8
61.4
61.1
時価ベースの自己資本比率
(%)
179.6
219.3
214.1
150.6
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
(年)
0.2
0.3
0.2
0.3
インタレスト・カバレッジ・レシオ
(倍)
1,019.0
725.3
1,295.2
663.6
自己資本比率
:
自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率
:
株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:
有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ
:
営業キャッシュ・フロー/利払い(注) 1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。4.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
d. 資本の財源、資金の流動性に係る情報当社グループの主要な資金需要は、事業活動における運転資金及び設備資金等であります。これらの資金需要につきましては、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。手許の運転資金につきましては、一部の子会社において当社のキャッシュマネージメントシステム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、当社において一元管理し、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。なお、重要な設備投資の予定はありません。
e. 目標とする経営指標の達成状況等当社グループは、安定的な事業拡大を通じて企業価値を継続的に向上していくことを経営目標の一つとしております。そのため事業の収益力を示す営業利益、営業利益率、売上高、売上高伸長率、営業キャッシュ・フローを中長期的な経営指標と位置付けております。当連結会計年度における売上高は前連結会計年度に比べ91億28百万円増加し、8,610億22百万円となりました。また、営業利益は前連結会計年度に比べ10億59百万円減少し、547億68百万円(前連結会計年度比1.9%減)となりました。その結果、売上高伸長率については1.1%(前連結会計年度比0.8ポイント減)となり、営業利益率については6.4%(前連結会計年度比0.2ポイント減)となりました。営業キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ286億77百万円減少し、291億96百万円(前連結会計年度比49.6%減)となりました。当社グループは、今後もこれらの経営指標を継続的に向上できるよう努めてまいります。
② 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載されているとおりであります。なお、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成に影響を及ぼす可能性があると考えております。
収益の認識「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しており、履行義務を識別し、履行義務を充足した時に収益を認識しております。
a.商品当社グループは、システムインテグレーション事業に含まれるコピー機、パソコン、サーバーやソフトウエア等のSI関連商品、及びサービス&サポート事業に含まれるオフィス機器関連消耗品や事務用品等のサプライ商品について、仕入先から調達しお客様へ提供することを履行義務として識別しており、当該資産に対する支配がお客様へ移転した一時点で収益を認識しております。ただし、当社及び連結子会社の物流センターより出荷される国内販売取引については、当該資産の出荷からお客様へ支配が移転するまでの期間が通常の期間であるため、出荷時点で収益を認識しております。当社グループは通常、顧客の商品の仕様や納期・納品場所の決定に関与し、メーカー又はメーカー指定の販売代理店(以下、「通常の仕入先」という)の中から仕入先を選定し、顧客に納品しております。取引によっては最終顧客に商品が提供されるまでに、複数の企業を経由するものの、商品現物は仕入先から自社を経由せず直送されるものがあります。このような取引の中には、例外的に通常の仕入先以外から仕入れて販売するものがあります。その場合、当社グループでは個別に取引実態を把握し、取引自体の実在性を確かめたうえで商流における自社の役割を特定し、履行義務を識別しそれに応じて本人と代理人の区分の判定を行い、代理人である場合には顧客から受け取る額から仕入先に支払う額を控除した純額で収益を認識しております。
b.役務当社グループは、システムインテグレーション事業に含まれる受託ソフト開発について、1.要件定義 2.設計 3.構築 4.運用準備・移行の4フェーズごとに履行義務を識別し、その単位で契約締結、検収を得ております。ただし、上記に該当する契約のうち、期間がごく短いものについては、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。また、サービス&サポート事業に含まれる保守等の取引については、システムインテグレーション事業で導入した機器やソフトウエア等について、メンテナンスやサポートを提供することを履行義務として識別しております。それらは契約によって一定期間にわたり履行義務が充足されるもの、又は、サービス提供量に応じて履行義務が充足されるものがあり、それぞれに応じて収益を認識しております。ただし、他の当事者が関与しているコピー保守や電気通信など一部サービスについては、当該他の当事者によりサービスが提供されるように手配することが、当社及び連結子会社の履行義務であり、代理人として取引を行っていると判断し、純額で収益を認識しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。
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