【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、コロナと共存する行動様式も定着し、経済活動も正常化に向かいつつある中、ウクライナ情勢の長期化に起因する世界的な物価上昇やそれに対応した各国中央銀行による政策金利の引き上げに加えて、一部の欧米金融機関で金融不安が発生し、先行き不透明感は依然として拭えない状況です。
当社グループの事業の中核市場であるニュージーランドでは、2022年暦年での実質成長率は2.4%程度とみられています(IMF推計 2023年4月)。当連結会計年度の同国景気は、国境再開等を背景とした外需下支えもあり、年度前半は昨年度来の堅調を維持しましたが、年度中盤以降は、断続的な政策金利の上昇に加え、高水準のインフレの収束が見られないまま、主要国景気への不透明感の強まりにも影響される形で弱含みの様相を呈しています。また、同国の中古自動車市場は、断続的な利上げをきっかけとして、期初に導入された環境規制(クリーンカーディスカウント)前に積み増した市中在庫の調整局面が第2四半期から第3四半期にかけて続いたことが影響し、当連結会計年度における中古自動車輸入台数は、前年同期を下回る水準となっています。
このような環境下、当社グループは主力市場であるニュージーランドにおいて、年度後半の在庫調整局面からの回復需要を確りと捉えて成約台数を伸ばし、期中の停滞を挽回したものの、現地港湾の滞留、船腹不足から相当数の成約済み在庫の船積みが翌期にずれ込むこととなり、当社グループ中核会社・貿易セグメントの㈱日貿の当連結会計年度輸出販売台数は44,260台(前年同期比2.3%減)にとどまりました。また、これに伴い、物流セグメントの売上高の大部分を占める中核事業子会社 Dolphin Shipping New Zealand Limited のニュージーランド向け輸送台数も、35,551台(前年同期比14.6%減)にとどまりましたが、取引拡大に注力しているオーストラリア向け輸送台数は前年同期比46.7%増加し7,549台となりました。サービスセグメントでは、中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedで、販売台数は前年同期比で減少したものの、販売単価は前年同期比で上回り売上高は増収となりました。検査セグメントにおいては、ニュージーランド向けの船積前検査数量が61,257台と前年同期比16.0%減となりましたが、オーストラリアを含む他地域向け検査数量の増加と円安効果により売上の落ち込みをカバー致しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ83億63百万円増加し、503億75百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ61億32百万円増加し、334億92百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ22億31百万円増加し、168億82百万円となりました。
ロ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高549億53百万円(前年同期比20.7%増)、営業利益29億97百万円(同2.4%減)、経常利益27億2百万円(同12.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益23億12百万円(同9.1%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
貿易では、売上高386億59百万円(前年同期比18.4%増)、セグメント利益13億23百万円(同3.2%減)となりました。
物流では、売上高94億24百万円(前年同期比27.3%増)、セグメント利益9億17百万円(同10.9%増)となりました。
サービスでは、売上高103億67百万円(前年同期比8.4%増)、セグメント利益4億14百万円(同17.4%減)となりました。
検査では、売上高41億84百万円(前年同期比1.2%増)、セグメント利益3億83百万円(同23.1%減)となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動の結果減少した資金は35億17百万円(前年同期は21億85百万円の減少)となりました。
また、投資活動の結果減少した資金は8億40百万円(前年同期は17億62百万円の減少)となり、財務活動の結果増加した資金は70億45百万円(前年同期は54億76百万円の増加)となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、95億12百万円(前年同期比26億1百万円の増加)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
貿易
37,846,372
122.6
サービス
76,161
38.3
検査
2,379
86.7
合計
37,924,913
122.1
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.物流セグメントにおいては商品仕入活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ハ.受注実績
役務又は商品等の受注から完了又は納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ同額であるため、記載を省略しております。
ニ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
貿易
32,956,324
123.4
物流
8,338,651
130.5
サービス
10,265,816
108.5
検査
2,836,715
99.0
その他
556,454
436.2
合計
54,953,961
120.7
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して10%以上の相手先がありませんので、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に当たり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
(イ)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ20.8%増加し、440億55百万円となりました。これは主に現金及び預金が21億73百万円、売掛金及び契約資産が4億54百万円、販売金融債権が19億75百万円、棚卸資産が17億79百万円、短期貸付金が4億60百万円、それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ14.0%増加し、63億19百万円となりました。これは主に持分法適用会社であったオーストラリアのBlue Flag Pty Ltdを連結子会社化したことに伴い、投資有価証券が10億円減少するとともにのれんが18億21百万円増加したことによるものです。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ19.9%増加し、503億75百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ20.9%増加し、280億17百万円となりました。これは主に短期借入金が50億36百万円、1年内返済予定の長期借入金が7億44百万円それぞれ増加したことによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ31.0%増加し、54億75百万円となりました。これは主に長期借入金が12億8百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ22.4%増加し、334億92百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ15.2%増加し、168億82百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が15億28百万円増加したこと及び自己株式売却等により資本剰余金が6億4百万円増加し、自己株式が3億45百万円減少したことの他、為替レートが円高になったことにより為替換算調整勘定が2億81百万円減少したことによるものであります。
(ロ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて20.7%増加し、549億53百万円となりました。
当社グループの主力事業を担う貿易セグメントの中核事業会社である㈱日貿では、販売台数は減少したものの、仕入れ価格の高値圏での推移と環境適合車への需要増加を背景に販売単価の上昇がみられ、貿易セグメントの売上高は386億59百万円(前年同期比18.4%増)となりました。
物流セグメントでは、前述のように中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数は減少しましたが、輸送単価の上昇やオーストラリア向け輸送取扱台数の増加により、売上高は94億24百万円(同27.3%増)となりました。
サービスセグメントでは、前述のように中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedの販売台数は減少したものの販売単価上昇による売上増等により、売上高は103億67百万円(同8.4%増)となりました。
検査セグメントでは、前述のようにニュージーランド向けの船積前検査数量が減少したものの、他地域向け検査増加等で収益の落ち込みをカバーし、売上高は41億84百万円(同1.2%増)となりました。
(営業損益)
当連結会計年度の売上原価、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べてそれぞれ、23.6%増、11.8%増となりましたが、これは主に中古自動車仕入れ単価の上昇による商品仕入原価増、インフレ対応に伴う人件費増、オーストラリアで新たに連結子会社化したBlue Flag Pty Ltd株式取得に伴い発生したのれんの償却費等によるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて2.4%減少し、29億97百万円となりました。
(経常損益)
借入金増加による支払利息の増加や為替差損の発生等による営業外費用が増加したため、営業外収益で受取利息の増加はあったものの、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて12.0%減少し、27億2百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、オーストラリアで新たに連結子会社化したBlue Flag Pty Ltd株式の段階取得に係る差益があり前連結会計年度に比べ99百万円増加し、5億64百万円となりました。また、特別損失は、前連結会計年度に比べて9百万円減少し、3百万円となりました。これは、減損損失の減少等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べて7.4%減少し、32億63百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は、前連結会計年度比63百万円減少し9億17百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益の減少に連動したものであります。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて9.1%減少し、23億12百万円となりました。
(ハ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて26億1百万円増加(前年同期比37.6%増加)し、95億12百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果減少した資金は35億17百万円(前年同期は21億85百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益32億63百万円、減価償却費4億66百万円等の増加要因はあるものの、事業活動の拡大に伴う販売金融債権の増加21億28百万円、棚卸資産の増加18億5百万円や、法人税等の支払い12億68百万円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は8億40百万円(前年同期は17億62百万円の減少)となりました。これは主に短期貸付金の純増額5億51百万円、子会社株式の取得による支出4億8百万円等の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は70億45百万円(前年同期は54億76百万円の増加)となりました。これは主に短期借入金の純増額51億72百万円、長期借入金による収入36億円等の増加要因によるものであります。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しており、それらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは、中古自動車の仕入れ、自動車ローンの貸付資金及びその他の売上原価であります。運転資金の財源は、自己資金及び金融機関からの借入金によっています。
投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業買収等による投資であります。投資を目的とした資金は、自己資金を主たる財源としつつ、必要に応じて金融機関からの借入や社債及び株式の発行によって資金の調達を行う方針であります。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は301億19百万円となっております。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は95億12百万円となっております。
ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性及び効率性の観点から、連結営業利益額、連結経常利益額及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と考えております。
また、収益性の観点から、連結子会社である㈱日貿の中古自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として考えております。その理由は、同社における販売のみならず、物流、サービス、検査等が直接的に影響を受けるためであります。
当連結会計年度における連結営業利益額は29億97百万円(前年同期比74百万円減)、連結経常利益額は27億2百万円(同3億69百万円減)及び自己資本当期純利益率(ROE)は14.7%(前年同期は19.4%)となりました。また、㈱日貿の中古自動車販売台数は44,260台(前年同期比2.3%減)となりました。
ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(貿易)
貿易では、前述のように販売台数は減少したものの、仕入れ価格の高値圏での推移と環境適合車への需要増加を背景に販売単価の上昇がみられました。この結果、売上高386億59百万円(前年同期比18.4%増)、セグメント利益13億23百万円(同3.2%減)となりました。
(物流)
物流では、前述のように中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数は減少しましたが、輸送単価の上昇やオーストラリア向け輸送取扱台数の増加により、売上高は94億24百万円(前年同期比27.3%増)、セグメント利益は9億17百万円(同10.9%増)となりました。
(サービス)
サービスでは、前述のように中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedの販売台数は減少したものの販売単価上昇による売上増等により、売上高は103億67百万円(前年同期比8.4%増)、セグメント利益4億14百万円(同17.4%減)となりました。
(検査)
検査では、前述のようにニュージーランド向けの船積前検査数量が減少したものの、他地域向け検査増加等で収益の落ち込みをカバーし、売上高41億84百万円(前年同期比1.2%増)、セグメント利益3億83百万円(同23.1%減)となりました。
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