【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による制限が緩和され、経済活動の正常化が進みました。一方で長期化するロシア・ウクライナ情勢や、世界的な金融引締め等の影響による円安の進行によりエネルギーコストや原材料価格をはじめとする様々な物価が上昇しており、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループが属する手芸業界及び出版業界においても、原材料価格の高騰によるコスト上昇に加え、手芸コーナーの充実を図る百円ショップとの競合激化や趣味の多様化、愛好者の高齢化によるユーザーの減少など、経営環境は一層厳しさを増しております。
当社は、グループ経営理念「手づくりを通して豊かな心を育み幸せを紡ぐ企業グループへ」と、その理念に基づいたサステナビリティ方針を掲げ、環境・社会・ガバナンス面での各種課題への継続的な取組みを通じて持続可能な社会の実現に貢献したいと考えております。このような考えのもと、足元の経営環境を踏まえ、中期経営計画において成長の3本柱として掲げた事業力強化、M&A・アライアンス推進、経営体質の強化に努めてまいりました。
事業力強化では、当社グループの小売事業が強みを有する手芸セットやワークショップ等をこれまでの店舗・ECサイトを通じたBtoCに加え、BtoBによりこれまでの販売チャネルだけではアプローチできない顧客層へ幅広く提供してまいります。新規顧客の獲得、販路拡大に向け小売事業において専担事業部を立ち上げ、BtoB事業の拡充を図り、業務提携先や取引先の顧客への商品・サービスの提供を進めております。
M&A・アライアンス推進では、7月に株式会社IKホールディングス(以下、「IKホールディングス」という。)との業務提携契約を締結し、主要顧客層の重なる両者で相互送客を進めるとともに、IKホールディングスが強い生協ルートを通じて当社グループの商品を販売する準備を進めております。今後もアライアンス先との協業を一層深化させ収益力を強化してまいります。
経営体質の強化では、黒字体質確立に向けた事業再構築にあたり、資産効率を追求した運営を継続し、業務効率化による経費の適正化を一層進めております。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における経営成績は、売上高35億53百万円(前年同四半期比10.2%減)、営業損失4億76百万円(前年同四半期は7億43百万円の営業損失)、経常損失4億68百万円(前年同四半期は7億43百万円の経常損失)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損失は5億31百万円(前年同四半期は6億47百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(小売事業)
小売事業では、「クラフトハートトーカイ」ブランドを中心とした店舗とECにおいて、集客増につながる様々な施策に取組んでまいりました。新たなソーイングファン獲得に向け、株式会社日本ヴォーグ社(以下、「日本ヴォーグ社」という。)と共同企画している定期刊行誌『CRA-SEW』(クラソウ)では、Vol.6を発売しました。vol.5に引き続き、こだわりのある美しい生地を作る老舗布メーカー有輪商店とコラボレーションし、季節に合わせた色や柄、着心地にこだわったオリジナル生地の取扱いを拡大しました。手芸を始めるきっかけ作りとして、気軽に参加できる短時間形式のワークショップでは、ハロウィーンの衣装など季節に合わせた衣装が作製できる人気のシルバニアファミリー人形のワークショップを全国で定期的に開催し、多くのお客様にご参加いただきました。お客様のライフスタイルに寄り添いさらなるファンを獲得するため、当社グループの主要顧客層の関心が高い「美・健康」をテーマとした、手づくり枕講習会の導入店舗を拡大しました。近年注目度の高い「眠り」に関する悩みを解決する、個々人に合うオリジナル枕及び枕カバーを作製できる講習会を開催しております。新規顧客獲得に向けては、Z世代にも人気でSNSやメディアでも話題の好きなアニメキャラクターやアイドルである「推し」をデフォルメ化したぬいぐるみ「推しぬい」に関連した商品の取扱いを拡大しました。また、これまでの店舗再編を一歩推し進め、エリア戦略の徹底により不採算店舗の閉鎖を進め、関東地区1店舗、中部地区1店舗、近畿地区3店舗、九州・沖縄地区2店舗の合計7店舗を閉鎖し、当第1四半期連結会計期間末の店舗数は311店舗となりました。
これらの結果、小売事業の売上高は28億32百万円(前年同四半期比16.2%減)、営業損失は3億61百万円(前年同四半期は6億18百万円の営業損失)となりました。
(出版・教育事業)
出版・教育事業では、日本ヴォーグ社を中心に様々な施策に取組んでまいりました。雑誌『キルトジャパン』より定期購読者増に向け、送料無料に加え誌上の通販商品の割引、オンライン講座『CRAFTING』の割引などサービスを拡充しました。販路拡大施策として、手づくりキットカタログ『手づくりマルシェ』では、IKホールディングスとの取組みにより、新たな生協ルートでの受注を開始しました。株式会社ヴォーグ学園(以下、「ヴォーグ学園」という。)では、春の新生活に合わせ受講者獲得施策として、「花のデザインを楽しむ」キャンペーンを実施したこともあり、月間の延べ受講生数が1万名を超えるなど順調に推移しております。
これらの結果、出版・教育事業の売上高は7億48百万円(前年同四半期比25.9%増)、営業損失は35百万円(前年同四半期は52百万円の営業損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1億67百万円減少し、125億45百万円となりました。流動資産は1億19百万円減少し、80億37百万円となりました。流動資産の減少は、商品及び製品が1億67百万円増加したものの、現金及び預金が2億18百万円、受取手形及び売掛金が1億37百万円減少したことによるものであります。固定資産は47百万円減少し、45億7百万円となりました。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ3億51百万円増加し、80億36百万円となりました。流動負債は4億3百万円増加し、54億16百万円となりました。流動負債の増加は、電子記録債務が1億21百万円、契約負債が1億10百万円、未払法人税等が1億76百万円減少したものの、短期借入金が10億円増加したことによるものであります。固定負債は52百万円減少し、26億20百万円となりました。固定負債の減少は、主に長期借入金が21百万円、社債が10百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ5億18百万円減少し、45億8百万円となりました。純資産の減少は、当第1四半期において親会社株主に帰属する四半期純損失5億31百万円を計上したこと等によるものであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当はありません。
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