【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染状況の沈静化により、社会経済活動の正常化が進み、個人消費は緩やかな回復基調にあるものの、世界的な資源価格の高騰と円安による物価上昇などにより、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが属する手芸業界及び出版業界においては、原材料価格の高騰によるコスト上昇に加え、手芸コーナーの充実を図る百円ショップとの競合激化や趣味の多様化、愛好者の高齢化によるユーザーの減少など、予断を許さない経営環境が継続しております。
このような状況のなか当社は、「新中期経営計画」において黒字体質転換をテーマに、成長の3本柱に掲げた事業力強化、M&A・アライアンス推進、経営体質の強化に努めてまいりました。
事業力強化においては、戦略的な店舗網再編により、新規出店を北海道・東北地区1店舗、関東地区1店舗、中部地区3店舗、近畿地区1店舗、中国・四国地方1店舗、九州・沖縄地区1店舗の合計8店舗行い、不採算店舗の閉鎖を北海道・東北地区7店舗、関東地区11店舗、中部地区12店舗、近畿地区6店舗、中国・四国地区6店舗、九州・沖縄地区2店舗の合計44店舗実施し、当第3四半期連結会計期間末の店舗数は333店舗となりました。店舗数は減少しておりますが、EC事業の強化に取り組むことで効率的な運営を図るとともに、実店舗とECが一体となった購入環境の実現を進めております。M&A・アライアンス推進においては、2022年7月1日に手芸業界屈指の出版・教育事業を有する日本ヴォーグ社を完全子会社化して以降、グループ内協働を拡大しております。ソーイング定期刊行誌の発売、オリジナル生地の開発・発売と同誌による同生地を使用した作品提案といった提案型の顧客アプローチを強化し、手芸専門店の強みを活かしたソーイング中心の売場をさらに充実させました。また、新規事業として当社主要顧客層に関心の高い「美・健康」をテーマとした商品・サービス開発に取り組み、その第1弾として「眠り」に関する新たな商品取り扱いの準備を進めてまいりました。この分野では積極的にアライアンスを活用し、顧客開拓と販路拡大を目指してまいります。経営体質の強化においては、引き続き販売管理費の見直しによるコスト適正化を進めてまいりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における経営成績は、売上高130億円(前年同四半期比10.65%増)、営業損失15億20百万円(前年同四半期13億60百万円の営業損失)、経常損失15億78百万円(前年同四半期13億45百万円の経常損失)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損失は16億62百万円(前年同四半期17億52百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
なお第1四半期連結会計期間より、新たに出版・教育事業を行う日本ヴォーグ社及びヴォーグ学園がグループに加わったことから、報告セグメントに出版・教育事業を追加しております。セグメント別の業績は、次のとおりです。
(小売事業)
小売事業では、「クラフトハートトーカイ」ブランドを中心に全国を網羅する店舗ネットワークとECを展開する藤久株式会社(以下、「藤久」という。)を中心に様々な施策に取り組んでまいりました。商品戦略強化では、人気テキスタイルメーカーの有輪商店株式会社とコラボレーションしたオリジナル生地の販売を開始しました。同生地を使用した作品をソーイング定期刊行誌『CRA-SEW』(クラソウ)vol.4に掲載し、書籍と商品が連動したコーナー展開をさらに強化いたしました。商品・サービスの拡充では、1時間程度で手作りが体験できるワークショップが好調に推移し、新規顧客の取込みに寄与しました。エポック社のシルバニアファミリー人形の衣装やアクリルエコたわしの制作などで当第3四半期会計期間では45千名超のお客様にご参加いただきました。今後は手芸コア層ヘのシフトにつなげるべくソーイング関連のワークショップを強化予定です。EC強化では、オムニチャネル戦略を支えるシステム構築を進め、2023年4月にはECサイトをリニューアルオープンいたしました。また、店舗網再編にともなう閉鎖店舗からECサイトへの送客に資する顧客へのアプローチ強化やSNSの投稿運用体制増強、コンテンツ増加により、さらなる顧客流入を図りました。
これらの結果、小売事業の売上高は106億25百万円、営業損失は12億61百万円となりました。
(出版・教育事業)
出版・教育事業では、日本ヴォーグ社とヴォーグ学園を中心に様々な施策に取り組んでまいりました。出版事業では、春の季節におすすめの手作り作品を多数掲載した定期刊行誌『CRA-SEW』(クラソウ)vol.4を発売し、年間購読者数は順調に伸び14千名を超えました。また、日本ヴォーグ社編集部が主催するイベントが活況で、毛糸好きのためのマーケット「イトマ!」では前年を超える集客があり、「第6回キルトジャパンコンテスト作品展」では400点を超える作品応募がありました。教育事業では、昨今の物価高騰などを踏まえ、ヴォーグ学園の定期講座受講料改定を行いましたが、新型コロナウイルス感染状況の沈静化もあり、受講生数はコロナ禍前の水準にまで回復しております。人気ニット作家によるリアルとオンラインによるハイブリッド講習では多くの受講生にご参加いただきました。
これらの結果、出版・教育事業の売上高は24億47百万円、営業損失は30百万円となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ41億25百万円増加し、143億18百万円となりました。流動資産は14億17百万円増加し、89億45百万円となりました。流動資産の増加は、主に日本ヴォーグ社の連結子会社化により、現金及び預金が11億39百万円、受取手形及び売掛金が6億9百万円増加したことによるものであります。固定資産は27億7百万円増加し、53億72百万円となりました。固定資産の増加は、主に日本ヴォーグ社の連結子会社化により、建物及び構築物(純額)が7億90百万円、土地17億93百万が円増加したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ37億13百万円増加し、76億76百万円となりました。流動負債は13億89百万円増加し、45億42百万円となりました。流動負債の増加は、主に日本ヴォーグ社の連結子会社化により、支払手形及び買掛金が2億74百万円、短期借入金が4億30百万円、1年内返済予定の長期借入金が3億49百万円、契約負債が3億円増加したことによるものであります。固定負債は23億23百万円増加し、31億33百万円となりました。固定負債の増加は、主に日本ヴォーグ社の連結子会社化により、長期借入金が10億31百万円、退職給付に係る負債が3億96百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ4億12百万円増加し、66億42百万円となりました。純資産の増加は、主に利益剰余金が16億62百万円減少したものの、日本ヴォーグ社との株式交換により資本剰余金が20億79百万円増加したことによるものであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)従業員数
第1四半期連結会計期間において、日本ヴォーグ社及びヴォーグ学園を連結の範囲に含めたことにより、出版・教育事業において従業員数が102名増加いたしました。これらの結果、当第3四半期連結会計期間末における当社グループの従業員数は398名となりました。
(6)主要な設備の状況
第1四半期連結会計期間において、日本ヴォーグ社及びヴォーグ学園を連結の範囲に含めたことにより、国内子会社の主要な設備が増加しております。両社の連結子会社化に伴って増加した有形固定資産は35億40百万円です。
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