【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(業績等の概要)
(1)業績当連結会計年度(令和4年1月1日~令和4年12月31日)における我が国の経済は、内閣府による令和4年12月の月例経済報告で、「景気は、緩やかに持ち直している。」としながらも、先行きについては同報告の中で「ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染動向に十分注意する必要がある。」と報告されており、依然として不透明な状況が続いております。このような環境の下、当社は当連結会計年度において以下の施策に取り組んでまいりました。なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。また、セグメント間の内部売上高又は振替高は、セグメントの売上高に含めております。
<Aplix IoT プラットフォーム事業>Aplix IoT プラットフォーム事業においては、引き続きロケーションビーコン「MyBeaconシリーズ」の拡販、Bluetooth Low Energy通信機能を搭載するハードウェアの試作開発支援等の組込み開発技術を生かしたシステム開発、また通信機能付きAIドライブレコーダー「AORINO」の取次店や販売代理店、OEM先の開拓等を行いました。
<エンジニアリングサービス事業>エンジニアリングサービス事業においては、顧客の基幹システムのクラウドリプレース開発をはじめ、クラウド関連システムの開発や顧客のニーズに応じたフロントエンドシステムやバックエンドシステムの開発支援やテクニカルサポート等を行いました。
<MVNO事業>MVNO事業においては、主に連結子会社であるスマートモバイルコミュニケーションズ株式会社における携帯電話やSIMカードの販売のほか、クラウドSIMを用いたモバイルWiFiルーターサービス「THE WiFi」の拡販に注力しました。また、収益の大半が月額利用料金等からなるストック性の高い事業であることから、顧客が満足して継続利用できるよう通信環境やサポート等のサービス品質の向上に取り組みました。
これらの結果、当連結会計年度のAplix IoTプラットフォーム事業の売上高は191,226千円(前連結会計年度の売上高174,621千円)、エンジニアリングサービス事業の売上高は431,909千円(前連結会計年度の売上高439,406千円)、MVNO事業の売上高は2,878,862千円(前連結会計年度の売上高2,891,007千円)となりました。営業損益につきましては、Aplix IoTプラットフォーム事業の営業損失は8,010千円(前連結会計年度の営業損失26,991千円)、エンジニアリングサービス事業の営業利益は122,145千円(前連結会計年度の営業利益108,935千円)、MVNO事業の営業利益は122,121千円(前連結会計年度の営業利益39,901千円)となりました。また、当連結会計年度においてセグメント利益又は損失の調整額が186,941千円(前連結会計年度のセグメント利益又は損失の調整額223,898千円)発生しております。セグメント利益又は損失の調整額は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は3,501,619千円(前連結会計年度の売上高3,504,680千円)となりました。営業損益につきましては、49,314千円の営業利益(前連結会計年度の営業損失102,053千円)となりました。経常損益につきましては、51,939千円の経常利益(前連結会計年度の経常損失104,204千円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、138,909千円の親会社株主に帰属する当期純利益(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失106,739千円)となりました。
当社グループの当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して55,270千円増加し、2,822,166千円となりました。これは、繰延税金資産が77,290千円増加し、売掛金が42,005千円減少したこと等によるものです。負債につきましては、前連結会計年度末と比較して85,872千円減少し627,126千円となりました。これは、短期借入金が100,000千円減少し、買掛金が25,854千円増加したこと等によるものです。純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して141,143千円増加し2,195,039千円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を138,909千円計上したことに伴い利益剰余金が増加したこと等によるものです。以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率につきましては、前連結会計年度末と比較して3.6 ポイント増加し、77.0 %となりました。
(2)キャッシュ・フロー当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して130,319千円増加し1,471,564千円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。営業活動の結果増加した資金は237,230千円(前連結会計年度は59,862千円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益48,753千円、のれん償却額60,360千円、減価償却費43,286千円や売上債権の減少42,005千円等によるものであります。投資活動の結果減少した資金は、17,864千円(前連結会計年度は34,746千円の減少)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出26,203千円等によるものであります。財務活動の結果減少した資金は、97,317千円(前連結会計年度は3,064千円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出300,000千円、短期借入れによる収入200,000千円等によるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 令和4年1月1日
至 令和4年12月31日)
前年同期比(%)
Aplix IoTプラットフォーム事業(千円)
162,515
12.3
エンジニアリングサービス事業(千円)
296,016
△5.0
MVNO事業(千円)
―
―
合計(千円)
458,532
0.4
(2) 受注状況当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
Aplix IoTプラットフォーム事業
179,433
△4.2
64,418
24.9
エンジニアリングサービス事業
399,190
△17.8
59,505
△35.4
MVNO事業
―
―
―
―
合計
578,624
△14.0
123,924
△13.8
(注) 1.IoTソリューション関連事業に関する受注について記載しております。
(3) 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 令和4年1月1日
至 令和4年12月31日)
前年同期比(%)
Aplix IoTプラットフォーム事業(千円)
191,226
9.5
エンジニアリングサービス事業(千円)
431,909
△1.7
MVNO事業(千円)
2,878,484
△0.4
合計(千円)
3,501,619
△0.1
(注) 1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 令和3年1月1日至 令和3年12月31日)
当連結会計年度(自 令和4年1月1日至 令和4年12月31日)
金額(千円)
構成比(%)
金額(千円)
構成比(%)
スターサービス株式会社
1,392,331
39.6
1,681,521
48.0
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
1.重要な会計上の見積り及び当該見積に用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載するとともに、以下の点についても重要と認識しております。(繰延税金資産の回収可能性) 当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できること、また繰延税金資産の資産性があることを慎重に判断したうえで計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存することから、その見積額が減少した場合には、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
2.当連結会計年度における経営成績の分析前連結会計年度と比較して売上高は3,501,619千円(前連結会計年度の売上高3,504,680千円)と0.1%の減少となりましたが、営業損益は49,314千円の営業利益(前連結会計年度の営業損失102,053千円)、経常損益は51,939千円の経常利益(前連結会計年度の経常損失104,204千円)、また親会社株主に帰属する当期純損益は138,909千円の親会社株主に帰属する当期純利益(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失106,739千円)と、いずれの損益についても黒字化を達成しました。詳細については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。
3.当連結会計年度における財政状態の分析当社グループの当連結会計年度末における総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して55,270千円増加し、2,822,166千円となりました。これは、繰延税金資産が77,290千円増加し、売掛金が42,005千円減少したこと等によるものです。負債につきましては、前連結会計年度末と比較して85,872千円減少し627,126千円となりました。これは、短期借入金が100,000千円減少し、買掛金が25,854千円増加したこと等によるものです。純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して141,143千円増加し2,195,039千円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を138,909千円計上したことに伴い利益剰余金が増加したこと等によるものです。以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率につきましては、前連結会計年度末と比較して3.6 ポイント増加し、77.0 %となりました。
4.資金の流動性及び資本の源泉の分析(1)当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して130,319千円増加し1,471,564千円となりました。詳細については、「第3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(業績等の概要) (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
(2)資金需要の内容及び資金調達の方針本有価証券報告書提出日現在における当社の事業は、現在当社グループの柱となっているMVNOサービス等、安定的に収益獲得可能なストックビジネスを中心とした「ストックビジネス事業」と、当社が持つ「組込み開発力」をベースにアプリケーションからクラウドまで柔軟かつ多様な開発対応が可能な「システム開発事業」の2事業で構成されております。当社では、これら事業の発展に必要となる経営資源に必要な資金については、主として営業活動によるキャッシュ・フローによる資金を投入しておりますが、これら事業を更に推進するにあたり資金需要が増加した場合は、金融機関からの借入や必要に応じて新株式の発行による資金調達についても検討してまいります。
5.戦略的現状と見通し当社では、継続課金モデルの製品・サービス等の開発・提供を推進することで業績の安定化を図る「ストックビジネス事業」と、当社がこれまでの自社及び他社からの受託開発経験で培ってきた知見を最大限に活かすことの出来る「システム開発事業」の2事業を相互に連携させたビジネスを推進しております。「ストックビジネス事業」においては、現在当社グループの大きな柱となっているMVNOサービスについて市場上位レイヤーの契約者数を保有している点を生かした更なる契約件数の増加に向けた取り組みや、当社の開発力を活かした自社サービス・ソリューションの開発・提供や他社サービス・ソリューションの販売代理店になることによる取り扱い商材の増加等によるサービスラインナップの拡充など、当社グループの強みを活かしたビジネス展開を図るとともに、販売パートナーの増加等による販路拡大にも積極的に取り組むことで、収益基盤の安定化が可能となるストック収益の拡大を図ってまいります。また、「システム開発事業」においては、創業以来30年以上に渡り培ってきた「組込み」に関する経験や技術に加え、この「組込み開発力」や多数の顧客向けシステム・クラウド開発から得られた知見やノウハウ、またMVNO事業者として保有する通信技術等、これらを組み合わせた組込み&エッジからクラウドまでのワンストップ開発を可能とする点を強みとして、顧客のニーズに幅広く柔軟に対応することで収益の拡大を図るとともに、エンジニア稼働率の適正化やプロジェクト受注方針の見直し、また開発経験の蓄積に伴う経験曲線効果を増大させることによる開発コストの削減等に取り組むことで、事業粗利率の向上を図ってまいります。今後、これらの取り組みを更に強化することで、当社グループの中長期的な業績向上及び企業価値の向上が実現できるものと考えております。なお、当社には継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。当社はこうした状況を解消するため、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した施策を実施し、当該状況の解消又は改善に努めております。
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