【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかに持ち直しています。ただし、世界的に金融引締めが進む中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。当社グループを取り巻く障害福祉業界においては、わが国の障害者の総数は964.7万人となり、障害者数全体は増加傾向にあります。障害福祉サービスの利用者も年々増加しており、2020年10月から2021年10月までのサービス利用者数の伸び率は全体で6.0%となっております。このうち、当社グループの主なサービス対象である精神障害者の伸び率は7.5%、障害児の伸び率は11.7%であり、とりわけ高い伸び率となっております(厚生労働省「障害福祉分野の最近の動向」、2022年)。これらの増加傾向は中長期的に継続していくものと考えております。さらに、民間企業に義務づけられている障害者の雇用率について、厚生労働省は障害者の働く場をさらに確保するため現在の2.3%から、2024年4月には2.5%に、2026年7月には2.7%に引き上げることを2023年1月18日の労働政策審議会(障害者雇用分科会)で決定したことに鑑み、更なる障害者雇用に対する高いニーズが見込まれます。このような事業環境のなか、当社グループでは、障害福祉事業において、引き続き全国規模で事業所の継続拡大を進めていく中で、当連結会計年度においては、新たに就労移行支援事業所を11拠点、療育事業所を9拠点開設しました。また、2022年10月には群馬県に療育事業を6拠点運営している株式会社ハピネスカムズを株式取得により子会社化した結果、当社グループの拠点数は、就労移行支援事業所が99拠点、療育事業所が66拠点となりました。さらに、2022年12月に福岡県に介護事業を4拠点運営している株式会社ナオン及びその子会社である株式会社クロヤマを株式取得により子会社化しました。なお、ヘルスケア事業の撤退に伴い、特別損失として事業整理損2,618,636千円を計上しました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりになりました。
a. 財政状態当連結会計年度末における資産の残高は8,246,100千円(前連結会計年度末残高11,244,050千円)で、前連結会計年度末に比べ2,997,950千円減少しております。当連結会計年度末における負債の残高は4,857,467千円(前連結会計年度末残高5,245,233千円)で、前連結会計年度末に比べ387,766千円減少しております。当連結会計年度末における純資産の残高は3,388,633千円(前連結会計年度末残高5,998,817千円)で、前連結会計年度末に比べ2,610,184千円減少しております。
b. 経営成績当連結会計年度における経営成績は、それぞれの事業所において利用者数及び稼働率が向上するとともに、就労移行支援事業所においては前年以上の定着実績を残せたことによりサービス単価が上昇したことで、売上高は堅調に推移しましたが、新規事業所開設等における先行投資コストの増加、ヘルスケア事業撤退における事業整理損の計上により、売上高10,663,127千円(前年同期比7.8%増)、営業利益1,766,147千円(前年同期比30.1%減)、経常利益1,834,318千円(前年同期比31.0%減)、親会社株主に帰属する当期純損失1,370,085千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益1,828,748千円)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
[障害福祉事業]障害福祉事業におきましては、それぞれの事業所において利用者数及び稼働率が向上するとともに、サービス単価が上昇したことにより、売上高は堅調に推移しました。これらの結果、当連結会計年度における売上高は10,421,252千円、セグメント利益は1,711,861千円となりました。[ヘルスケア事業]天然アミノ酸の一種である5-アミノレブリン酸(「5-ALA」)の商品販売を行っておりましたが、障害福祉事業へ注力するため、2022年10月に事業撤退いたしました。これらの結果、当連結会計年度における売上高は241,875千円、セグメント利益は55,887千円となりました。
また、当連結会計年度においてセグメント利益の調整額として1,601千円の損失が発生しております。セグメント利益の調整額は、主に各報告セグメントに配分していない販売費及び一般管理費となり、当連結損益計算書の営業利益と一致しております。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて1,161,913千円減少し、1,683,140千円となりました。当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、獲得した資金は1,441,386千円(前連結会計年度末は1,225,241千円の使用)となりました。これは主に、収入として減価償却費179,631千円(同167,000千円)、事業整理損2,618,636千円、棚卸資産の減少1,150,619千円(同2,111,569千円の増加)等によるものであります。支出としては税金等調整前当期純損失892,826千円(前連結会計年度末は税金等調整前当期純利益2,506,020千円)、売上債権の増加169,857千円(同207,945千円)、未収入金の増加1,025,027千円(同423千円の減少)、法人税等の支払による支出782,170千円(同539,134千円)等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、使用した資金は729,260千円(前連結会計年度末は2,278,730千円の使用)となりました。これは主に、支出として新規事業所開設等に伴う有形固定資産の取得による支出403,381千円(同265,262千円)及び敷金及び保証金の差入による支出92,882千円(同83,708千円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出204,464千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、使用した資金は1,874,039千円(前連結会計年度末は3,724,250千円の獲得)となりました。これは主に、支出として長期借入金の返済による支出510,080千円(同325,882千円)、社債の償還による支出128,400千円(同78,400千円)、自己株式取得による支出999,935千円、配当金の支払233,291千円(同551,225千円)によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績当社グループでは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注状況に関する記載をしておりません。
c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
期末拠点数
販売高(千円)
前年同期比(%)
障害福祉事業
170
10,421,252
113.2
ヘルスケア事業
-
241,875
35.0
合計
170
10,663,127
107.8
(注) 当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年4月1日至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
埼玉県国民健康保険団体連合会
2,016,703
20.4
2,173,430
20.4
神奈川県国民健康保険団体連合会
1,261,104
12.7
1,375,141
12.9
東京都国民健康保険団体連合会
1,053,515
10.6
1,038,575
9.7
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
(流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は5,901,274千円(前連結会計年度末残高9,658,703千円)で、前連結会計年度末に比べ3,757,428千円減少しております。主な増加要因は、未収入金の増加1,007,907千円等によるものであります。主な減少要因は、現金及び預金の減少1,161,913千円、商品の減少1,869,945千円、原材料及び貯蔵品の減少243,988千円、前渡金の減少1,076,116千円、貸倒引当金の増加565,996千円等によるものであります。
(固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は2,344,825千円(前連結会計年度末残高1,585,347千円)で、前連結会計年度末に比べ759,478千円増加しております。主な増加要因は、有形固定資産の増加438,045千円、のれんの増加297,510千円、敷金及び保証金の増加68,414千円、繰延税金資産の増加15,899千円等であります。主な減少要因は、投資有価証券の減少77,356千円等であります。
(流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は1,452,537千円(前連結会計年度末残高1,493,825千円)で、前連結会計年度末に比べ41,287千円減少しております。主な増加要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加40,320千円、未払金の増加29,004千円、未払費用の増加56,341千円、賞与引当金の増加96,878千円等であります。主な減少要因は、未払法人税等の減少261,210千円等であります。
(固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は3,404,929千円(前連結会計年度末残高3,751,407千円)で、前連結会計年度末に比べ346,478千円減少しております。主な減少要因は、長期借入金の減少232,812千円、社債の減少115,400千円等であります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は3,388,633千円(前連結会計年度末残高5,998,817千円)で、前連結会計年度末に比べ2,610,184千円減少しております。主な減少要因は、当期純損失の計上による利益剰余金の減少1,370,085千円、配当金の支払いによる利益剰余金の減少233,182千円、自己株式の増加による減少999,935千円等であります。
b. 経営成績の分析
(売上高)当連結会計年度における売上高は、10,663,127千円(前連結会計年度9,894,487千円)となり、前連結会計年度と比べ768,639千円増加(前年同期比7.8%増)いたしました。これは、障害福祉事業における既存事業所の単価及び利用者数の上昇、新規事業所の開設等による事業拡大に伴うものであります。
(売上原価及び売上総利益)売上原価は、7,308,461千円(前連結会計年度6,074,193千円)となり、前連結会計年度と比べ1,234,267千円増加(前年同期比20.3%増)いたしました。これは、主に、新規事業所開設等による事業拡大に伴う人件費や地代家賃等の先行投資コストの増加、ヘルスケア事業による商品の仕入等の増加によるものであります。この結果、売上総利益は3,354,666千円(前連結会計年度3,820,294千円)となり、465,627千円減少(前年同期比12.2%減)となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)販売費及び一般管理費は、1,588,519千円(前連結会計年度1,293,283千円)となり、前連結会計年度と比べ295,235千円増加(前年同期比22.8%増)いたしました。主な内訳は、人件費576,011千円、租税公課336,045千円、広告宣伝費233,179千円等であります。この結果、営業利益1,766,147千円(前連結会計年度2,527,010千円)となり、760,863千円減少(前年同期比30.1%減)となりました。
(営業外損益及び経常利益)営業外収益は、87,577千円(前連結会計年度155,570千円)となりました。主な内訳は、受取利息33,627千円、助成金収入34,769千円等であります。また、営業外費用は、19,406千円(前連結会計年度23,267千円)となりました。主な内訳は、支払利息16,029千円等であります。この結果、経常利益1,834,318千円(前連結会計年度2,659,312千円)となり、824,994千円減少(前年同期比31.0%減)となりました。
(特別損益及び当期純利益)特別利益は、12,000千円となりました。主な内訳は、新株予約権戻入益11,865千円等であります。特別損失は2,739,145千円(前連結会計年度153,292千円)となりました。主な内訳は、投資有価証券評価損77,356千円、事業整理損2,618,636千円、減損損失43,152千円であります。また、法人税等は477,259千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,370,085千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益1,828,748千円)となり、前連結会計年度と比べて3,198,834千円減少となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの分析当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資金需要の主なものは、当社グループが運営する事業所の運転資金、事業所を新設するにあたっての設備投資資金、成長を加速するためのM&Aや新規事業開拓に伴う資金等であります。資金需要に対しては、手許資金から充当することを基本としますが、事業拡大に伴い資金需要が発生した場合には、銀行等からの借入及び増資等、状況に応じた最適な資金の調達方法を選択します。また、グループ各社の必要資金については、主に親会社が資金調達をし、親会社から他のグループ企業に融資していく方針であります。株主還元については、長期に亘る安定的な経営基盤の確保を目指し、健全な財務体質の維持及び将来の事業拡大に備えるための内部留保とのバランスを図りながら、各期の経営成績及び財政状態を勘案し、株主に対して業績に応じた利益還元を行うことを基本方針としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準により作成されております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の計上については、会計基準及び実務指針等により見積り及び仮定を行っております。
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