【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況当事業年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、ロシアのウクライナ侵攻による資源、穀物価格の高騰、グローバルなサプライチェーンの不安定化、米欧の相次ぐ利上げを受けた円安の影響が加わり、物価が大きく上昇しました。また日本銀行も金融緩和策を一部修正し、長期金利の上昇を認める上限を引き上げ、マーケットでは実質的な利上げと受け止められるなど、事前の想定を超える展開となりました。このような環境の中、当社は慶應義塾大学発ベンチャーとして、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする”をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼の治療に革新的なイノベーションを起こす」という目標のもと、新型コロナウイルス感染症の感染防止を第一に、自宅勤務、時差出勤、事務所及び研究室の衛生管理等を実施し事業活動を行ってまいりました。研究開発につきましては、引き続き新規知財の発見及び新規パイプライン追加の為の基礎研究、知財の導出及びアカデミアやパートナー企業との共同研究を強化してまいりました。またバイオレットライト技術を用いた近視進行抑制のための医療機器開発(TLG-001)の検証的臨床試験(治験)も継続しております。一方事業開発では、上記医療機器開発(TLG-001)の検証的臨床試験(治験)の開始に基づき、国内を対象とした実施許諾契約のマイルストーンを達成したほか、海外では北及び南アメリカ大陸を対象とした新規実施許諾契約を締結しました。また、近視進行抑制作用が期待される点眼薬TLM-003では、開発を進めている共同研究開発契約のマイルストーンを達成し、海外では米欧を対象とした新規実施許諾契約を締結しました。これらの結果、当事業年度における当社の経営成績は以下のとおりとなりました。なお、当社は研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は行っておりません。(単位:千円)
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
1株当たり当期純利益
当事業年度
954,693
167,031
144,221
90,181
3.66円
前事業年度
640,921
136,169
202,340
153,319
6.77円
増減
313,772
30,861
△58,119
△63,137
△3.11円
② 財政状態の状況
前事業年度
当事業年度
増減
資産合計(千円)
1,617,795
2,672,961
1,055,165
負債合計(千円)
873,442
722,588
△150,853
純資産合計(千円)
744,353
1,950,373
1,206,019
自己資本比率(%)
46.0
73.0
27.0
1株当たり純資産(円)
32.89
77.07
44.18
(流動資産)
当事業年度末の流動資産の残高は、2,568,615千円となり、前事業年度末に比べて1,053,488千円増加いたしました。これは、現金及び預金が986,087千円、売掛金が13,666千円及び仕掛品が46,582千円増加したことが主な要因であります。(固定資産)
当事業年度末の固定資産の残高は、104,345千円となり、前事業年度末に比べて1,677千円増加いたしました。これは、建物及び構築物が4,517千円、工具、器具及び備品が2,689千円、繰延税金資産が2,059千円、その他に含まれる敷金及び保証金が5,120千円増加し、特許権が3,382千円及び長期前払費用が9,175千円減少したことが主な要因であります。(流動負債)
当事業年度末の流動負債の残高は、607,728千円となり、前事業年度末に比べて66,373千円減少いたしました。これは、買掛金が15,199千円、未払金が5,242千円及び未払法人税等が20,451千円増加し、契約負債が102,630千円減少したことが主な要因であります。(固定負債)
当事業年度末の固定負債の残高は、114,860千円となり、前事業年度末に比べて84,480千円減少いたしました。これは、長期借入金が84,480千円減少したことが要因であります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、1,950,373千円となり、前事業年度末に比べて1,206,019千円増加いたしました。これは、公募増資及び新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ557,919千円増加し、当期純利益90,181千円を計上したことが要因であります。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、2,161,016千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は28,491千円(前年同期は654,914千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益144,221千円、減価償却費39,188千円、その他の資産の増減額27,685千円、仕入債務の増減額15,199千円、上場関連費用13,274千円及び株式交付費6,459千円の増加要因があった一方、契約負債の増減額102,630千円、棚卸資産の増減額46,582千円、売上債権の増減額13,666千円及び法人税等の支払額42,224千円の減少要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は54,027千円(前年同期は72,228千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出43,758千円、無形固定資産の取得による支出4,999千円、敷金及び保証金の差入による支出5,805千円の支出があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,011,623千円(前年同期は18,530千円の支出)となりました。これは、株式の発行による収入1,109,378千円の収入があった一方で、長期借入金の返済による支出84,480千円及び上場関連費用の支出13,274千円の支出があったことによるものです。
④ 生産、受注、仕入及び販売の状況
a. 生産実績当社は直接的な生産活動は行っておりませんが、製造原価の品目としては経費のみであることから、生産実績にはなじまないため、記載を省略しております。
b. 受注実績当社の事業による共同研究は受注形態をとっておりませんので、記載を省略しております。
c. 販売実績販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は、研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
研究開発事業
954,693
149.0
合計
954,693
149.0
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。なお、前事業年度のLaboratoires Théaに対する販売実績はありません。㈱ジンズホールディングスにする販売実績は当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。また、当事業年度のマルホ㈱に対する販売実績はありません。
相手先
前事業年度(自
2021年4月1日
至
2022年3月31日)
当事業年度(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
マルホ㈱
100,000
15.6
―
―
ロート製薬㈱
407,325
63.6
382,163
40.0
Laboratoires Théa
―
―
286,860
30.0
㈱ジンズホールディングス
―
―
207,964
21.8
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析当事業年度末の経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、主要な表示科目に沿った認識及び分析は次のとおりであります。
・売上高当事業年度の売上高は954,693千円(前期比313,772千円増)となりました。これは主に、国内を対象としたTLG-001(*1)の実施許諾契約による、マイルストーン・ペイメント200,000千円、日本及びアジアを対象としたTLM-003(*2)の実施許諾契約及び共同研究契約による、マイルストーン・ペイメント380,000千円、米欧を対象としたTLM-003の実施許諾契約締結による契約一時金286,860千円、合計866,860千円の計上によるものであります。*1 バイオレットライト技術を用いた、近視進行抑制のための医療機器開発*2 近視進行抑制作用を発揮する点眼薬開発
・売上原価、売上総利益当事業年度の売上原価は235,557千円(前期比151,654千円増)となりました。これは主に、TLG-001の治験等における研究費の計上によるものであります。その結果、売上総利益は719,136千円(前期比162,117千円増)となりました。
・販売費及び一般管理費、営業利益当事業年度の販売費及び一般管理費は552,105千円(前期比131,256千円増)となりました。これは主に、事業拡大による人件費191,616千円(前期比24,105千円増)、研究開発強化による研究開発費126,266千円(前期比9,294千円増)、特許費用25,694千円(前期比9,663千円増)及び減価償却費32,304千円(前期比4,045千円増)等の計上によるものであります。その結果、営業利益は167,031千円(前期比30,861千円増)となりました。
・営業外収益、営業外費用、経常利益当事業年度の営業外収益は4,311千円(前期比62,889千円減)となりました。これは主に、助成金収入2,641千円(前期比63,459千円減)の計上によるものであります。営業外費用は27,121千円(前期比26,090千円増)となりました。これは主に、上場関連費用13,274千円及び株式交付費6,459千円の計上によるものであります。その結果、経常利益は144,221千円(前期比58,119千円減)となりました。
・特別損失、法人税等合計、当期純利益当事業年度の特別利益、特別損失の計上はありません。当事業年度の法人税等合計額は54,039千円(前期比5,018千円増)となりました。これは主に、法人税、住民税及び事業税を56,098千円(前期比8,690千円増)計上したことによるものであります。これらの結果を受け、当事業年度の当期純利益は90,181千円(前期比63,137千円減)となりました。
② 財政状態財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容当社は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、各パイプラインの事業化(上市)を目指して実施許諾または共同研究開発を行うベンチャー企業であり、事業化後(上市後)のロイヤリティ収入を安定的に計上するステージにはまだありません。従いまして、当社は、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった経営指標を目的とせず、各パイプラインの進捗状況等を適時かつ正確に管理することを目標においた事業活動を推進してまいりました。当事業年度の達成状況につきまして、売上高については、国内を対象としたTLG-001の実施許諾契約によるマイルストーンを達成、日本及びアジアを対象としたTLM-003の実施許諾契約及び共同研究契約によるマイルストーンを達成、米欧を対象としたTLM-003の実施許諾契約を締結したことにより954,693千円となりました。また、研究開発費については、126,266千円となりました。当期の経営成績並びに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」並びに「第2 事業の状況 6研究開発活動」に記載のとおりであります。今後もパートナー企業とともに共同研究開発を行うため、基礎研究の強化を図るとともに、国内に展開している各パイプラインを海外へと横展開を推進し、各パイプラインの進捗状況等を目標に努めてまいります。なお、パイプラインの開発の進捗については、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 当社のパイプライン」に記載しております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性当社の資金の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社は、事業上必要な資金を手許資金で賄う方針でありますが、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資、補助金等を通して、安定的に開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。資金の流動性については、資産効率を考慮しながら、現金及び現金同等物において確保を図っております。資金需要としては、継続して企業価値を増加させるために、主に継続した研究開発や必要な設備投資資金となります。
⑥ 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、資産、負債、収益及び費用に影響を与える見積り及び判断を必要としております。当社は財務諸表の基礎となる見積り及び判断を過去の実績を参考に合理的と考えられる判断を行った上で計上しております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりであります。
(仕掛品の評価)仕掛品の貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しております。当該収益性の見積りには、マイルストーンの達成などの将来の未確定事象に係る見積要素が含まれており、パートナー企業における研究開発の進捗状況に大きく依存するものであります。そのため、翌事業年度において、研究開発結果によりマイルストーンの達成が困難となり共同研究開発が終了した場合には、損失が発生する可能性があります。
⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑧ 経営者の問題認識と今後の方針にあたって当社は、“ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする“をミッションに掲げ、「近視、ドライアイ、老眼の治療に革新的なイノベーションを起こす」ということを経営方針としております。この経営方針実現のために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の課題に対して取り組んでまいります。
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