【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)の国内景気は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴う行動制限の緩和等を背景に個人消費が回復基調を示しましたが、海外経済の低迷による輸出不振等の影響で本格的な回復には至りませんでした。このような状況のもと、当社グループの事業につきましては、化学品セグメントは、基礎化学品、ファインケミカルともに減収となりました。機能性材料セグメントでは、ディスプレイ材料は堅調でしたが、半導体材料は減収となりました。農業化学品セグメントは、減収となりました。ヘルスケアセグメントは、「ファインテック」(課題解決型受託事業)が堅調に推移しました。この結果、当期間における業績は以下の通りとなり、売上高、各利益ともに前年同期を下回りましたが、5月に発表した計画数値は上回りました。(単位:百万円、百万円未満切捨て)
2023年3月期第1四半期(実績)
2024年3月期第1四半期(実績)
前年同期比増減
2024年3月期第1四半期(計画数値) (注)
計画数値比増減
売上高
58,290
54,939
△3,350
54,800
+139
営業利益
17,266
14,998
△2,267
14,500
+498
経常利益
19,492
17,046
△2,445
15,200
+1,846
親会社株主に帰属する四半期純利益
13,869
12,236
△1,633
10,900
+1,336
(注) 計画数値は2023年3月期決算説明資料(2023年5月15日発表)Part2 P10に記載
セグメント別概況は以下のとおりであります。
化学品セグメント基礎化学品では、尿素・「アドブルー®*」(高品位尿素水)や硝酸製品(金属溶解・表面処理等)が増収となりました。メラミン(接着剤等)は、構造改革に伴い昨年第3四半期に販売を終了した結果、減収となりました。ファインケミカルでは、環境化学品(プール・浄化槽用殺菌・消毒剤等)は好調に推移しましたが、「テピック」(粉体塗料硬化剤、封止材材料等)は減収となりました。この結果、当セグメントの売上高は90億94百万円(前年同期比13億21百万円減)、営業利益は9億24百万円(同7億92百万円減)となりました。計画数値(注)比では、売上高は3億円の下ぶれ、営業利益は計画通りとなりました。* アドブルー®は、ドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です。(注) 計画数値は2023年3月期決算説明資料(2023年5月15日発表)Part2 P21に記載
機能性材料セグメントディスプレイ材料では、「サンエバー」(液晶配向材用ポリイミド)が増収となりました。半導体材料は、半導体用反射防止コーティング材(ARC®*)及び多層材料(OptiStack®*)が顧客の稼働低調を受けて減収となりました。無機コロイドは、「スノーテックス」(電子材料用研磨剤、各種表面処理剤等)は前年並みの売上となりましたが、オイル&ガス材料(シェールオイル・ガス採掘効率向上材)が堅調に推移しました。この結果、当セグメントの売上高は208億3百万円(前年同期比9億70百万円減)、営業利益は64億51百万円(同14億37百万円減)となりました。計画数値(注)比では、売上高は3億円の上ぶれ、営業利益は1億円の下ぶれとなりました。* ARC®、OptiStack®はBrewer Science, Inc. の登録商標です。(注) 計画数値は2023年3月期決算説明資料(2023年5月15日発表)Part2 P21に記載
農業化学品セグメントフルララネル(動物用医薬品原薬)は減収となりました。国内向け農薬は、「ラウンドアップ」(非選択性茎葉処理除草剤)や「アルテア」(水稲用除草剤)が減収となりました。海外向け農薬は、「グレーシア」(殺虫剤)は伸長しましたが、「ライメイ」(殺菌剤)は減収となりました。 この結果、当セグメントの売上高は187億95百万円(前年同期比9億33百万円減)、営業利益は65億71百万円(同2億54百万円減)となりました。計画数値(注)比では、売上高は4億円の下ぶれ、営業利益は計画通りとなりました。 (注) 計画数値は2023年3月期決算説明資料(2023年5月15日発表)Part2 P21に記載
ヘルスケアセグメント「リバロ」(高コレステロール血症治療薬)原薬は、国内、海外ともに減収となりました。「ファインテック」は、増収となりました。 この結果、当セグメントの売上高は19億51百万円(前年同期比2億97百万円増)、営業利益は10億89百万円(同3億31百万円増)となりました。計画数値(注)比では、売上高、営業利益ともに1億円の上ぶれとなりました。 (注) 計画数値は2023年3月期決算説明資料(2023年5月15日発表)Part2 P21に記載
卸売セグメント当セグメントの売上高は243億45百万円(前年同期比6億88百万円増)、営業利益は9億6百万円(同1億27百万円減)となりました。計画数値(注)比では、売上高は6億円、営業利益は2億円の上ぶれとなりました。 (注) 計画数値は2023年3月期決算説明資料(2023年5月15日発表)Part2 P72、73 に記載
その他のセグメント当セグメントの売上高は63億97百万円(前年同期比1億39百万円減)、営業利益は2億4百万円(同70百万円増)となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産や建設仮勘定が増加したことなどにより、前連結会計年度末比26億66百万円増の3,013億82百万円となりました。負債も短期借入金が増加したことなどから、前連結会計年度末比61億26百万円増の833億15百万円となりました。また、純資産は前連結会計年度末比34億59百万円減の2,180億66百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末比1.9ポイント減少し、71.2%になりました。
(3)キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益、減価償却費、運転資金の増減などから法人税等の支払額を控除した結果、122億93百万円の収入(前年同期は131億7百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、工場などの設備投資による支出などにより、50億78百万円の支出(前年同期は43億45百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローでは、配当金の支払などにより、105億68百万円の支出(前年同期は180億23百万円の支出)となりました。現金及び現金同等物の四半期末残高は、換算差額の増加額1億54百万円を調整した結果、前連結会計年度末に比較して31億98百万円減少し、264億49百万円(前年同期は293億66百万円)となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は37億74百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。