【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の分析当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日~2022年12月31日)の国内景気は、行動制限の緩和等を受けて個人消費が回復基調を示しましたが、原燃料価格の高騰や物価の上昇に加え、海外経済の失速を背景とする輸出の下振れ等が影響し、本格的な回復には至りませんでした。このような状況のもと、当社グループの事業につきましては、化学品セグメントは、硝酸プラントトラブルの影響はあったものの、基礎化学品、ファインケミカルともに増収となりました。機能性材料セグメントは、ディスプレイ材料が減収となりましたが、半導体材料は上期までの好調を受けて増収を維持しました。農業化学品セグメントは、増収となりました。ヘルスケアセグメントは、売上が減少しました。この結果、当期間における業績は以下の通りとなり、売上高、各利益ともに前年同期を上回りました。11月に発表した業績予想に対しては、営業利益は上回ったものの、経常利益では下回りました。また、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は2年連続で過去最高益を更新しました。
(単位:百万円、百万円未満切捨て)
2022年3月期第3四半期(実績)
2023年3月期第3四半期(実績)
前年同期比増減
2023年3月期第3四半期(計画数値)
計画数値比増減
売上高
141,337
159,234
+17,897
159,200
+34
営業利益
33,935
38,811
+4,875
38,100
+711
経常利益
35,779
41,341
+5,562
41,800
△459
親会社株主に帰属する四半期純利益
25,640
30,760
+5,119
30,800
△40
セグメント別概況は以下のとおりであります。なお、当社は、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントを変更いたしました。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 セグメント情報等」をご参照ください。
化学品セグメント基礎化学品では、原燃料価格や運賃の上昇に伴う価格改定などが寄与し、尿素・「アドブルー®*」(高品位尿素水)が増収となりました。メラミン(合板用接着剤等)は、2021年8月に発表した構造改革に伴い当第3四半期に販売を終了した結果、減収となりました。ファインケミカルでは、「テピック」(粉体塗料硬化剤、封止材材料等)や環境化学品(プール・浄化槽用殺菌・消毒剤等)、ファインオキソコール(化粧品原料等)の売上が増加しました。この結果、当セグメントの売上高は298億54百万円(前年同期比22億97百万円増)、営業利益は14億89百万円(同9億68百万円減)となりました。計画数値(注)比では、売上高は9億円、営業利益は5億円の下ぶれとなりました。* アドブルー®は、ドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です。
(注) 計画数値は2023年3月期第2四半期決算説明資料(2022年11月11日発表)P22に記載
機能性材料セグメントディスプレイ材料では、「サンエバー」(液晶配向材用ポリイミド)が減収となりました。半導体材料は、当第3四半期は顧客の稼働低調を受けて半導体用反射防止コーティング材(ARC®*)の販売が落ち込みましたが、上期までの稼働好調を受けて、増収を維持しました。無機コロイドは、「スノーテックス」(電子材料用研磨材、各種表面処理剤等)やオルガノシリカゾル・モノマーゾル(各種コート剤、樹脂添加剤)、オイル&ガス材料(シェールオイル・ガス採掘効率向上材)が堅調に推移しました。この結果、当セグメントの売上高は625億68百万円(前年同期比20億53百万円増)、営業利益は208億14百万円(同1億5百万円増)となりました。計画数値(注)比では、売上高は21億円、営業利益は12億円の下ぶれとなりました。* ARC®はBrewer Science, Inc. の登録商標です。
(注) 計画数値は2023年3月期第2四半期決算説明資料(2022年11月11日発表)P22に記載
農業化学品セグメントフルララネル(動物用医薬品原薬)は昨年度に顧客在庫調整が終了し、増収となりました。国内向け農薬は、「ラウンドアップ」(非選択性茎葉処理除草剤)や「アルテア」(水稲用除草剤)、「グレーシア」(殺虫剤)が堅調な売上となりました。海外向け農薬は、「グレーシア」や「ライメイ」(殺菌剤)、「パーミット」(除草剤)が好調に推移し大幅な増収となりました。この結果、当セグメントの売上高は487億59百万円(前年同期比118億78百万円増)、営業利益は151億86百万円(同52億70百万円増)となりました。計画数値(注)比では、売上高は18億円、営業利益は15億円の上ぶれとなりました。
(注) 計画数値は2023年3月期第2四半期決算説明資料(2022年11月11日発表)P22に記載
ヘルスケアセグメント「リバロ」(高コレステロール血症治療薬)原薬は、海外向けの出荷が減少しました。「ファインテック」(課題解決型受託事業)は、出荷時期のずれ等により減収となりました。この結果、当セグメントの売上高は48億42百万円(前年同期比4億21百万円減)、営業利益は21億24百万円(同1億75百万円減)となりました。計画数値(注)比では、売上高、営業利益ともに1億円の下ぶれとなりました。
(注) 計画数値は2023年3月期第2四半期決算説明資料(2022年11月11日発表)P22に記載
卸売セグメント当セグメントの売上高は746億52百万円(前年同期比160億29百万円増)、営業利益は29億41百万円(同8億4百万円増)となりました。計画数値(注)比では、売上高は32億円、営業利益は5億円の上ぶれとなりました。
(注) 計画数値は2023年3月期第2四半期決算説明資料(2022年11月11日発表)P79,80に記載
その他のセグメント当セグメントの売上高は191億26百万円(前年同期比26億42百万円増)、営業利益は3億43百万円(同1億50百万円増)となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、商品及び製品や原材料が増加しましたが、受取手形及び電子記録債権が減少したことにより、前連結会計年度末比30億79百万円減の2,766億8百万円となりました。 負債も短期借入金が減少したことなどから、前連結会計年度末比113億9百万円減の603億68百万円となりました。 また、純資産は前連結会計年度末比82億30百万円増の2,162億40百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末比3.5ポイント増加し、77.1%になりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益、減価償却費、運転資金の増減などから法人税等の支払額を控除した結果、377億67百万円の収入(前年同期は350億8百万円の収入)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは、工場などの設備投資による支出などにより、134億70百万円の支出(前年同期は67億81百万円の支出)となりました。 また、財務活動によるキャッシュ・フローでは、借入金の返済、配当金の支払、自己株式の取得による支出などにより、375億6百万円の支出(前年同期は355億5百万円の支出)となりました。現金及び現金同等物の四半期末残高は、換算差額の増加額13億64百万円を調整したことにより、前連結会計年度末に比較して118億45百万円減少しており、これに連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額31億16百万円を加味した結果、259億28百万円(前年同期は251億55百万円)となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は118億87百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。