【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営成績の分析当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年6月30日までの3ヶ月間)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの分類変更や雇用情勢の改善、賃上げの広がり等により緩やかな持ち直しの兆候が見られたものの、資源価格の高止まりや円安の影響を受けた物価の上昇、欧米諸国の景気減速懸念もあり依然として先行きは不透明な状況で推移しました。コーヒー業界におきましては、業務用市場の消費量が新型コロナウイルス感染症の行動制限解除による人流の活発化や訪日客の回復等により伸長を続けるとともに、家庭用市場の消費量においても前年秋の店頭価格引上げもあるなか、前年同期並みとなりました。業績に大きな影響を及ぼすコーヒー生豆調達価格は、コーヒー生豆相場が最大の産地であるブラジルの収穫が順調に進んでいることを受け直近は落ち着きが見られるものの、円安傾向が継続していることから依然高値水準となっています。また、資源・エネルギー価格及び資材費の上昇などコーヒー製造コストは高止まりしており、厳しい経営環境が続きました。このような状況の下、当社グループは「コーヒーを究めよう、お客様を見つめよう、そして心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう。」という企業理念を果たすため、長年にわたり培った「品質第一主義」のもと、「事業構造の改革」、「収益力の強化」及び「グループ総合力の強化」を3つの柱とし、新たな需要の創出や生活者のニーズにお応えする商品開発、お取引先の業績に寄与する企画提案型の営業活動を推進してまいりました。当社は、従前から環境配慮や人権尊重に取り組んでおり、前年度には2030年を見据えた新メッセージ「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」を制定し、喫茶文化の継承と持続可能なコーヒー生産の実現を目指すために専門部署「コーヒーの未来部」を創設しましたが、更に本年度は「サステナビリティ推進室」を新設し、サステナビリティに関する施策をより広範に推進してまいります。当社グループの当第1四半期連結累計期間の売上高は、192億19百万円(前年同期比26.4%増)、営業利益は7億54百万円(前年同期比20.1%増)、経常利益は7億82百万円(前年同期比8.2%増)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、5億91百万円(前年同期比12.6%増)となりました。
<連結経営成績> (単位:百万円)
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
前年増減
前年増減率
売 上 高
15,205
19,219
4,013
26.4%
営 業 利 益
627
754
126
20.1%
経 常 利 益
722
782
59
8.2%
親 会 社 株 主 に 帰 属す る 四 半 期 純 利 益
524
591
66
12.6%
セグメントの営業概況は次のとおりであります。 (単位:百万円)
事業区分
売上高
営業利益
当第1四半期
前年増減
前年増減率
当第1四半期
前年増減
前年増減率
コーヒー関連事業
16,936
3,805
29.0
693
63
10.0
飲食関連事業
1,066
139
15.0
7
56
-
その他
1,216
68
6.0
198
57
40.9
調整額
-
-
-
△144
△50
-
合 計
19,219
4,013
26.4
754
126
20.1
(注)調整額は主に、セグメント間取引消去、棚卸資産の調整額、報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。(コーヒー関連事業)業務用市場では、デジタルツール導入による顧客管理強化やWEB活用による受注自動化の他、売掛金回収業務の効率化などに取り組みました。また、トアルコ トラジャや氷温熟成珈琲など差別性の高いコーヒーの販売を推進するとともに、酒類他業務用食材の取り扱いアイテム強化による拡販を行いました。お取引先の活性化策としては、世界中の品質の優れたコーヒーを提供する月間企画などの提案やコーヒーインストラクターが中心となったお取引先向けコーヒーセミナーの実施、シーズン企画としてアレンジメニューやご当地カレーをラインアップした「カレーフェア」を実施しております。また、カフェ開業支援の施策として取り組む様々な立地環境に出店可能なパッケージカフェ「KEY’S CAFÉ」を1店出店し、導入店舗数は73店舗となっています。売上につきましては、新型コロナウイルスの分類変更やインバウンド需要の増加によりお取引先へのコーヒー及び業務用食材の販売量が増加し、前年同期に比べ大幅な増収となりました。家庭用市場では、発売45周年を機に「トアルコ トラジャ」シリーズを全面リニューアルするとともにコーヒーファンの意見を反映した期間限定「ドリップ オン」や「インスタントコーヒー」等を販売しております。また、主力商品グランドテイストシリーズの積極的な販売活動が奏功し売上を回復させました。ギフト商品では、中元期に向けて「ドリップ オン」シリーズをはじめ、定番の「氷温熟成珈琲アイスコーヒー」や「天然水プリズマ飲料」、大人から子どもまで楽しめる「アイスコーヒー&ジュース&ドリンク」など全27アイテムをラインアップしました。売上につきましては、上記各種の販売促進強化により前年同期に比べ大幅な増収となりました。原料用市場では、コーヒー相場連動のお取引であり販売単価上昇による増収となりました。コーヒー関連事業における営業利益は、コーヒー生豆調達価格等の製造コスト増及び人件費の増加等もあるなか、業務用市場、家庭用市場における大幅な売上増により前年同期比増益となりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間におけるコーヒー関連事業の売上高は169億36百万円(前年同期比29.0%増)、営業利益は6億93百万円(前年同期比10.0%増)となりました。(飲食関連事業)株式会社イタリアントマトは、売上面では新型コロナウイルス分類変更もあり人流が回復するなか、季節限定メニューの毎月投入、催事の開催等による来店客数の回復、デリバリーへの取り組み強化等により前年同期を大きく上回りました。利益面では売上状況の変化に応じた人員配置や食材の発注、管理を行うとともに、廃棄ロスの低減に取り組み、人件費、原材料費の適正化を推進しました。また、原材料調達価格や光熱費などのコスト上昇を受けた商品開発及び商品の価格改定を実施、付加価値の高いメニューの投入にも継続して取り組んだ結果、利益水準は大きく改善し営業黒字に転換しました。同社店舗数は148店(直営店50店、FC店98店)となりました。この結果、当第1四半期連結累計期間における飲食関連事業の売上高は10億66百万円(前年同期比15.0%増)、営業利益は7百万円(前年同期は49百万円の営業損失)となりました。(その他)ニック食品株式会社は、売上面では行動制限や経済活動の見直しに伴う需要回復により飲料製品を中心に伸長し前年同期に比べ増収となりました。利益面では売上の伸長に加え、製造原価の抑制及び販管費の適正化に注力した結果、増益となりました。通販事業を営むhonu加藤珈琲店株式会社では、売上原価が前年同期比大幅に上昇するなか、販売価格の引上げや販売促進費の抑制により売上高及び利益の確保に努めましたが、減収、大幅な減益となりました。この結果、当第1四半期連結累計期間におけるその他事業の売上高は12億16百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益は1億98百万円(前年同期比40.9%増)となりました。
(2) 財政状態の分析(資 産)総資産は前連結会計年度末に比べて30億16百万円増加し、547億85百万円となりました。流動資産は23億52百万円増加し、368億56百万円となりました。これは現金及び預金の増加(14億1百万円増)、受取手形及び売掛金の増加(24億2百万円増)、原材料及び貯蔵品の減少(10億82百万円減)などによるものであります。固定資産は6億64百万円増加し、179億28百万円となりました。有形固定資産は20百万円増加し、無形固定資産は23百万円増加し、投資その他の資産は投資有価証券の増加(7億4百万円増)などにより6億20百万円増加しました。(負 債)負債は前連結会計年度末に比べて24億33百万円増加し、236億71百万円となりました。 流動負債は24億33百万円増加し、218億18百万円となりました。これは支払手形及び買掛金の減少(5億75百万円減)、短期借入金の増加(31億78百万円増)などによるものであります。固定負債は0百万円減少し、18億53百万円となりました。(純資産)純資産は前連結会計年度末に比べて5億83百万円増加し、311億13百万円となりました。これは利益剰余金の増加(4億82百万円増)などによるものであります。(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題 当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は54百万円であり、主要な支出はコーヒー関連事業であります。(6) 経営上の問題点と今後の取組みについて当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」中の「対処すべき課題」について、重要な変更はありません。