【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日までの9ヶ月間)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における各種制限の大幅な緩和や政府の経済対策などにより景気回復の動きが見受けられましたが、変異株の出現による感染症再拡大に加え、エネルギー価格及び原材料価格の高騰、円安による物価上昇の継続など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。コーヒー業界におきましては、業務用市場の消費量が新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和により前年同期に比べて増加する一方、家庭用市場の消費量は巣ごもり消費が鈍化したことや、メーカー各社の店頭販売価格の引き上げなども影響し若干の減少となりました。また、業績に大きな影響を及ぼすコーヒー生豆相場は、ブラジルにおける2023年度の生産量予測の上方修正、コーヒー先物市場の認証在庫量の増加、世界的な景気後退による需要低迷への懸念などにより、高止まりは解消し落ち着きを取り戻しました。一方、為替相場は記録的な円安水準は一服したものの、依然として円安基調であり厳しい経営環境が続いております。このような状況の下、当社グループは「コーヒーを究めよう。お客様を見つめよう。そして、心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう。」という企業理念を果たすため、長年にわたり培った「品質第一主義」のもと、「事業構造の改革」、「収益力強化」及び「グループ総合力強化」を3つの柱とし、新たな需要の創出や生活者のニーズにお応えする商品開発、お取引先の業績に寄与する企画提案型の営業活動を推進してまいりました。また、2030年を見据えた新メッセージ「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」を制定し、喫茶文化の継承と持続可能なコーヒー生産の実現を目指すとともに、その一環としてコーヒー生産国との連携や品種開発などの多岐にわたる業務を行う専門部署「コーヒーの未来部」を創設し、サステナビリティ活動を推進しております。当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高473億62百万円(前年同期比11.1%増)、営業利益8億66百万円(前年同期比0.3%減)、経常利益9億98百万円(前年同期比28.8%減)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は7億19百万円(前年同期比31.1%減)となりました。
<連結経営成績> (単位:百万円)
前第3四半期連結累計期間
当第3四半期連結累計期間
前年増減
前年増減率
売 上 高
42,621
47,362
4,740
11.1%
営 業 利 益
869
866
△2
△0.3%
経 常 利 益
1,401
998
△403
△28.8%
親 会 社 株 主 に 帰 属す る 四 半 期 純 利 益
1,044
719
△325
△31.1%
セグメントの営業概況は次のとおりであります。 (単位:百万円)
事業区分
売上高
営業利益又は営業損失(△)
当第3四半期
前年増減
前年増減率
当第3四半期
前年増減
前年増減率
コーヒー関連事業
41,662
4,323
11.6
1,280
21
1.7
飲食関連事業
2,764
216
8.5
△182
111
-
その他
2,935
201
7.4
128
△124
△49.3
調整額
-
-
-
△358
△10
-
合 計
47,362
4,740
11.1
866
△2
△0.3
(注)調整額は主に、セグメント間取引消去、棚卸資産の調整額、報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。(コーヒー関連事業)業務用市場では、業務効率化のためにデジタルツール導入による顧客管理強化やWEB活用による受注自動化などに取り組みました。また、トアルコ トラジャや氷温熟成珈琲など差別性の高いコーヒーの販売を推進するとともに、業務用食材の取り扱いアイテム強化による拡販や、飲食店経営者及び開業予定者を対象に商品や提供サービスを紹介するWEBサイトの開設などを行いました。お取引先の活性化策としては、世界中の品質の優れたコーヒーを提供する月間企画などの提案やお取引先向けコーヒーセミナーの実施、また、シーズン販促企画では店舗のお薦めカレーをラインアップした「推しカレーフェア」などを実施しました。カフェ開業支援の施策として取り組む様々な立地環境に出店可能なパッケージカフェ「KEY’S CAFÉ」は4店出店となり、導入店舗数は74店舗となります。また、コーヒー生豆原料調達コスト及び仕入商材価格の上昇に伴い、前年度に続き10月からお取引先へのレギュラーコーヒー商品及び業務用商材の納入価格の改定を実施しました。売上につきましては、行動制限の大幅な緩和や外国人入国者の増加などにより、お取引先へのコーヒー及び業務用食材の販売量が増加し、前年同期に比べ大きく伸長しました。家庭用市場では、顧客へのプレゼン力の強化及び情報共有化、顧客グループ及びチャネル別の販売強化にデジタルツールも活用し取り組みました。商品展開では新商品として「グランドテイスト 甘い香りのモカブレンド」やコーヒーファンの意見を反映させた「ドリップ オン/インスタントコーヒー 期間限定(秋冬)」などを発売しました。また、業務提携契約を締結している京都の老舗喫茶店「京都イノダコーヒ」ブランド商品を、ドリップ オンやLP(豆)、リキッドコーヒーなどの様々な形態で拡充いたしました。
ギフト商品では、「ドリップ オン」シリーズをはじめ、中元期には「氷温熟成珈琲アイスコーヒー」など人気の飲料ギフトを中心に全27アイテム、歳暮期には「トラジャ&氷温熟成 アロマフラッシュ缶」など多様な飲用シーンにあわせた全20アイテムをラインアップしました。また、前年度に続き10月からお取引先へのレギュラーコーヒー商品及びコーヒー関連商品のメーカー出荷価格の改定を実施しました。売上につきましては、商品のメーカー出荷価格の改定により前年同期並みの実績となりましたが、販売個数は減少しました。原料用市場ではお取引先への販売数量が伸長し、前年同期に比べ増収となりました。営業利益につきましては、業務用市場を中心に売上が大きく伸長しましたが、原価率の上昇や販売促進費の投下、システム導入費の発生などにより前年同期に比べ微増にとどまりました。この結果、当第3四半期連結累計期間におけるコーヒー関連事業の売上高は416億62百万円(前年同期比11.6%増)、営業利益は12億80百万円(前年同期比1.7%増)となりました。(飲食関連事業)株式会社イタリアントマトは、売上面では時間帯メニューの商品力強化、季節限定メニューの毎月投入、テイクアウト需要への対応等の施策展開を行いました。行動制限の緩和による人流の増加や、前年に比べ営業自粛店舗が減少したことなどから来店客数の回復が徐々にみられ前年同期を上回りました。利益面では売上状況の変化に応じた人員配置や食材の発注、管理を行うとともに、生産性の向上と廃棄ロスの低減に取り組み、人件費、原材料費の適正化を推進しました。また、原材料仕入価格や光熱費などのコスト上昇に伴い全メニューの価格改定を実施、付加価値の高いメニューの投入にも継続して取り組み改善が図れましたが、コロナ影響前までの客数回復には至らず営業損失となりました。同社店舗数は当第2四半期末比1店舗減の152店(直営店51店、FC店101店)となりました。この結果、当第3四半期連結累計期間における飲食関連事業の売上高は27億64百万円(前年同期比8.5%増)、営業損失は1億82百万円(前年同期は2億94百万円の営業損失)となりました。なお、営業外収益として各自治体からの営業時間短縮に係る助成金等の収入60百万円を計上しました。(その他)通販事業を営むhonu加藤珈琲店株式会社は、売上面では上期に引続き販売価格を引き上げ、また高付加価値商品を新たに投入するなどした結果、前年同期に比べ微増収となりました。利益面では、更なる販売促進費の引締め、業務の効率化により利益確保に取り組みましたが、大幅な減益となりました。ニック食品株式会社は、売上面では新型コロナ関連の行動制限緩和に伴う需要増により受注量が回復、年末にかけては価格改定の反動などにより伸びが抑制されたものの、総じて前年同期に比べ増収となりました。利益面では売上伸長に加え、高騰する原材料・資材価格やエネルギーコストを価格改定に反映させ、また製造原価の抑制や販管費の適正化に注力した結果、増益を維持しています。この結果、当第3四半期連結累計期間におけるその他事業の売上高は29億35百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は1億28百万円(前年同期比49.3%減)となりました。
(2) 財政状態の分析(資 産)総資産は前連結会計年度末に比べて70億68百万円増加し、504億98百万円となりました。流動資産は68億32百万円増加し、332億26百万円となりました。これは現金及び預金の減少(24億72百万円減)、受取手形及び売掛金の増加(37億54百万円増)、商品及び製品の増加(8億87百万円増)、原材料及び貯蔵品の増加(44億52百万円増)などによるものであります。固定資産は2億35百万円増加し、172億72百万円となりました。有形固定資産は償却が進んだことにより48百万円減少しました。無形固定資産は1億91百万円増加し、投資その他の資産は93百万円増加しました。(負 債)負債は前連結会計年度末に比べて64億9百万円増加し、193億57百万円となりました。 流動負債は前連結会計年度末に比べて64億86百万円増加し、174億53百万円となりました。これは支払手形及び買掛金の増加(68億25百万円増)、未払金の減少(2億72百万円減)などによるものであります。固定負債は77百万円減少し、19億4百万円となりました。これは退職給付に係る負債の減少(1億16百万円減)などによるものであります。(純資産)純資産は前連結会計年度末に比べて6億59百万円増加し、311億40百万円となりました。これは利益剰余金の増加(5億3百万円増)などによるものであります。(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1億36百万円であり、主要な支出はコーヒー関連事業であります。(6) 経営上の問題点と今後の取組みについて当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」中の「対処すべき課題」について、重要な変更はありません。