【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.経営成績
当連結会計年度における経営環境は、欧米などで緩やかな回復がみられるものの、新型コロナウイルス感染症の長期化やウクライナ情勢の影響により、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
当社グループが属する半導体業界におきましては、新型コロナウイルス感染拡大でのリモートワーク等のIT関連の販売増加による世界的な半導体不足の影響で、半導体メーカーの設備投資は堅調に推移いたしました。
このような状況のなか当社グループは、中長期的な成長に向けて、顧客ニーズに対応した装置の開発や生産活動に注力してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は243億56百万円(前年同期比10.7%増)となりました。利益面では、利益率の高い装置が売上計上されたことや、原価低減活動の効果により、営業利益28億6百万円(前年同期比34.1%増)、経常利益31億38百万円(前年同期比41.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益22億63百万円(前年同期比29.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(プロセス機器事業)
半導体装置部門につきましては、パワー半導体向け半導体装置の需要が伸びたことにより、売上高は59億97百万円(前年同期比30.3%増)となりました。
搬送装置部門につきましては、顧客である半導体装置メーカーからの受注が好調であり、売上高は71億36百万円(前年同期比29.1%増)となりました。
洗浄装置部門につきましては、装置の検収が遅れた影響があり、売上高は28億64百万円(前年同期比23.2%減)となりました。
コーター部門につきましては、フラットパネルディスプレイ関連のメーカーによる設備投資が鈍化していることから、売上高は31億93百万円(前年同期比12.9%減)となりました。
以上の結果、プロセス機器事業の売上高は191億92百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益26億35百万円(前年同期比32.3%増)となりました。
(金型・樹脂成形事業)
金型・樹脂成形事業につきましては、材料費の高騰によるコスト増加の影響などにより、売上高は14億00百万円(前年同期比11.0%減)、営業利益11百万円(前年同期比86.8%減)となりました。
(表面処理用機器事業)
表面処理用機器事業につきましては、車載用を中心とするプリント基板メーカーの設備投資が比較的堅調であることから、売上高は37億63百万円(前年同期比29.7%増)、営業利益1億75百万円(前年同期比1,191.6%増)となりました。受注においては、プリント基板メーカーの設備投資は回復傾向にあり、後半にかけて大幅に増加いたしました。
ロ.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は319億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ98億29百万円増加しました。これは、「現金及び預金」の増加18億73百万円、「電子記録債権」の増加6億67百万円、「原材料及び貯蔵品」の増加28億37百万円と「仕掛品」の増加37億72百万円があったことが主な要因であります。
有形固定資産は62億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億96百万円増加しました。これは、「建物及び構築物」の増加90百万円、「工具、器具及び備品」の増加1億39百万円と「建設仮勘定」の増加1億71百万円があったことが主な要因であります。
無形固定資産は1億98百万円となり、前連結会計年度末に比べ50百万円増加しました。これは、「その他」が50百万円増加したことが主な要因であります。
投資その他の資産は10億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億70百万円減少しました。これは、「繰延税金資産」の減少2億60百万円が主な要因であります。
これらの結果、当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度末に比べ100億6百万円増加し、393億97百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は184億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億5百万円増加しました。これは、「電子記録債務」の増加18億61百万円、「短期借入金」の増加21億7百万円、「契約負債(前受金)」の増加3億20百万円と「有償支給取引に係る負債」の増加5億77百万円があったことが主な要因であります。
固定負債は33億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億26百万円増加しました。これは、「その他」の減少53百万円があったものの、「長期借入金」の増加9億90百万円、「株式給付引当金」の増加37百万円と「資産除去債務」の増加22百万円があったことが主な要因であります。
これらの結果、当連結会計年度の負債総額は、前連結会計年度末に比べ60億32百万円増加し、218億47百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は175億49百万円となり、前連結会計年度に比べ39億74百万円増加しました。これは、公募増資による「資本金」の増加7億71百万円、「資本剰余金」の増加7億71百万円と「利益剰余金」の増加20億47百万円が主な要因であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ20億43百万円増加し、当連結会計年度末には50億24百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は15億13百万円(前年同期は3億36百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益32億3百万円、仕入債務の増加15億42百万円を主とする資金の増加と棚卸資産の増加64億15百万円を主とする資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6億69百万円(前年同期比15.7%減)となりました。これは、定期預金の払戻1億90百万円を主とする資金の増加と生産設備の新増設並びに更新による支出8億9百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は40億98百万円(前年同期比683.1%増)となりました。これは、短期借入金による17億円、長期借入金による30億円、株式の発行による15億30百万円を主とする資金の増加と長期借入金の返済による16億1百万円、社債の償還による3億円と配当金の支払による2億16百万円を主とする資金の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
プロセス機器事業 (千円)
13,119,216
103.5
半導体装置部門 (千円)
3,166,930
118.9
搬送装置部門 (千円)
4,917,503
129.8
洗浄装置部門 (千円)
2,228,638
75.0
コーター部門 (千円)
2,806,143
86.1
金型・樹脂成形事業 (千円)
1,168,301
93.2
表面処理用機器事業 (千円)
2,861,952
123.2
合 計 (千円)
17,149,470
105.5
(注)金額は製造原価によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
プロセス機器事業
24,525,453
86.5
29,634,591
121.9
半導体装置部門
10,938,492
129.9
10,310,023
192.0
搬送装置部門
9,043,873
122.6
6,018,824
146.4
洗浄装置部門
3,519,363
40.8
8,644,258
108.2
コーター部門
1,023,724
26.2
4,661,485
68.2
金型・樹脂成形事業
1,378,989
79.9
326,462
93.9
表面処理用機器事業
9,450,949
222.5
8,364,134
312.5
合計
35,355,391
103.0
38,325,188
140.3
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
プロセス機器事業 (千円)
19,192,709
109.5
半導体装置部門 (千円)
5,997,578
130.3
搬送装置部門 (千円)
7,136,578
129.1
洗浄装置部門 (千円)
2,864,595
76.8
コーター部門 (千円)
3,193,956
87.1
金型・樹脂成形事業 (千円)
1,400,275
89.0
表面処理用機器事業 (千円)
3,763,252
129.7
合 計
(千円)
24,356,236
110.7
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
a.財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 ロ.財政状態」に記載のとおりであります。
b.経営成績
経営成績の分析につきましては、「(1)経営成績等の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 イ.経営成績」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。
(プロセス機器事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は191億92百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益26億35百万円(前年同期比32.3%増)となりました。
半導体需要は堅調に推移しており、以前から取り組んでいるコスト削減活動やパワー半導体向け半導体装置の需要が伸びたことなどから、当初の計画数値に対し売上高は計画を下回ったものの、利益は計画を上回ることができました。
また、受注面では前年実績を下回った部門もありますが、当セグメント全体では前年実績を上回る受注残高を確保できております。
(金型・樹脂成形事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は14億00百万円(前年同期比11.0%減)、営業利益11百万円(前年同期比86.8%減)となりました。
材料費の高騰によるコスト増加の影響などにより、当初の計画数値に対し売上、利益ともに計画を下回りました。また、受注面においても前年を下回る受注残高となっております。
(表面処理用機器事業)
当セグメントの当連結会計年度における売上高は37億63百万円(前年同期比29.7%増)、営業利益1億75百万円(前年同期比1,191.6%増)となりました。
車載用を中心とするプリント基板メーカーの設備投資が比較的堅調であったものの、当初の計画数値に対し売上、利益ともに計画を下回りました。一方、受注面においては回復傾向にあり、前年実績を上回る受注残高を確保しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性にかかる情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、装置を生産するにあたり、原材料、外注費などの資金需要に対して、自己資金を基本としておりますが、不足分は金融機関からの借入金により調達しております。製造設備等の設備資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入金を基本としておりますが、金利動向や市場環境、資本の効率化に配慮し、株式・社債の発行により資金調達を行っております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、期末日の資産・負債の計上及び会計期間の収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや仮定を行う必要があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております要因が考えられます。特に、当社グループの主要事業でありますプロセス機器事業及び表面処理用機器事業におきましては、業界の設備動向に大きく影響を受け、経営成績は不安定な状況で推移しております。
このような状況を脱するために、半導体関連装置、液晶製造装置等以外の事業の確立を目指し、日々研究開発に取り組んでおります。事業の多角化と競合他社との差別化を図り、さらなる成長を目指してまいります。