【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、2022年12月期の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、遡及適用後の数値で前期比較を行っております。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度における売上高は11,775,448千円(前年同期比0.8%増)となりました。これは規制等の影響によるヘルスケア&ビューティ市場におけるKPI保証サービスの鈍化に対して、通販DXサービスや異業種展開(マーケティングDX)の成長で補うことを想定し、この点については概ね計画通りに推移した一方で、中国ロックダウン等による一過性の影響もあり、KPI保証サービスが想定以上に伸び悩んだことに起因するものであります。
売上総利益は、2,159,942千円(前年同期比10.3%増)となりました。これは粗利率の改善により売上原価が9,615,505千円(前年同期比1.1%減)と減少したことによるものであります。
営業損失は、110,771千円(前期は営業損失136,052千円)となりました。これは業容拡大に伴う人件費や営業経費の増加により、販売費及び一般管理費を2,270,714千円(前年同期比8.4%増)計上したことによるものであります。
経常損失は、131,470千円(前期は経常損失111,504千円)となりました。これは営業外収益として為替差益37,237千円及び補助金収入9,632千円を計上した一方で、営業外費用として投資事業組合運用損49,856千円、支払利息12,752千円及び持分法による投資損失9,244千円を計上したことによるものであります。
税金等調整前当期純損失は、276,395千円(前期は税金等調整前当期純損失255,387千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、232,577千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失259,815千円)となりました。これは主に、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定を減損処理したことなどによる減損損失145,903千円を計上したことによるものであります。
なお、当社グループはEC支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(2)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ121,025千円増加し、3,805,184千円となりました。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ290,687千円減少し、1,053,847千円となりました。
この結果、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ169,661千円減少し、4,859,032千円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ413,896千円増加し、2,870,001千円となりました。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ261,408千円減少し、378,416千円となりました。
この結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ152,488千円増加し、3,248,418千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ322,150千円減少し、1,610,614千円となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ180,223千円減少し、当連結会計年度末には2,136,064千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は157,256千円(前連結会計年度は430,205千円の資金の支出)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失276,395千円の計上に対して減価償却費の計上額を145,135千円、減損損失の計上額を145,903千円調整したことに加え、未払金の増加30,287千円及び未払消費税等の増加28,300千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は190,571千円(前連結会計年度は396,579千円の資金の支出)となりました。主な要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入130,782千円があった一方で、短期貸付金の純増額128,210千円及び無形固定資産の取得による支出146,945千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は204,011千円(前連結会計年度は515,059千円の資金の収入)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出312,549千円があった一方で、短期借入金の純増額530,000千円があったことによるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループ全体における生産及び受注実績の金額的重要性が乏しく、提供する主要なサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
(2)受注実績
当社グループでは一部個別の受託開発を行っておりますが、「(1)生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはEC支援事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービスの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
ECマーケティングテック
10,039,642
5.8
広告マーケティング
1,246,909
△36.9
その他
488,896
128.6
合計
11,775,448
0.8
(注)1.サービス間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
プレミアアンチエイジング㈱
2,080,458
17.8
1,677,054
14.2%
㈱アイム
1,214,934
10.4
1,086,666
9.2%
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(2)当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるわが国経済は、「ウィズコロナ」への転換が進み、正常な経済活動が戻りつつありました。一方で、ウクライナ情勢や中国におけるロックダウンの長期化等による原材料価格の上昇や物流の停滞、外国為替市場での急激な円安・ドル高及び物価高騰による影響で、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
国内EC市場規模は2020年20兆円から2026年には29兆円に拡大(「ITナビゲーター2021年版」発表データ)、世界の越境EC市場規模は2020年0.9兆ドルから2027年には4.8兆ドルに拡大することが予想(「ZION Market Research」発表データ)されており、国内外においてEC市場規模は急速に拡大しております。
当社グループの主要な事業領域であるヘルスケア&ビューティ及び食品市場においては景表法・薬機法等の規制が厳しくなるだけでなく、媒体側での審査も厳しさを増しており、今までであれば可能であった広告表現や法的に問題がないクリエイティブにも規制が入るようになり、違反広告が淘汰される一方で、広告効率の悪化が見られました。また、CPC(クリック単価)の高騰や、Cookie規制によるリターゲティング広告の減少により、Webマーケティング広告は粗利率の低下を余儀なくされ、当社グループの取引先である化粧品等を取扱うD2C企業においても、広告効率の悪化等により収益の停滞が見られました。
このような状況下において、当社グループは「全てがWINの世界を創る」という経営理念のもと、「Smart Marketing For Your Life」をビジョンに、クライアントのオールデータパートナーとなるべく、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場の通販DX事業を軸に、事業開発から商品開発、インフラ整備、ブランディング、オンライン・オフラインでの新規顧客の獲得から既存顧客の育成等を、一気通貫の専門ソリューションとして提供してまいりました。また、「通販DX」「異業種展開(マーケティングDX)」「新規事業」の3軸を成長戦略とし、さらなる成長を目指しました。
既存事業におきましては、前述の景表法・薬機法の規制強化やCPC(クリック単価)の高騰等の影響により、従来の手法でのヒット商品の創出が困難であり、成長戦略の1軸目である「通販DX」に注力しました。「通販DX」では、今まで主力であったWebでの顧客獲得施策である「KPI保証サービス」から、ブランディング広告やTVCM等にも事業領域を拡大し、オンライン・オフラインのデータを一気通貫で分析し広告効果を効率化します。分析環境の構築を実施しつつ、サービス別ではオフライン広告とWebを連動する「オフラインDXサービス」、ミドルファネル施策、インフルエンサー施策、LINEマーケティング施策に注力し「通販DXサービス」の売上は堅調に推移しました。各サービスと分析環境の構築を組み合わせることで、「KPI保証サービス」においても伸長しているクライアントが複数発生しています。2022年12月には効果を数値化しにくいトップファネルやミドルファネルの効果測定を可能にしたツール「PIALA Intelligence」を開発し、来期以降SaaSツールとして販売するための準備を進めました。
一方で、当社の主要取引先であるヘルスケア&ビューティを取扱うD2C企業は、広告効率の悪化等により売上の鈍化が見られ、広告予算が縮小され当社の業績に影響を及ぼしました。また、長期化した中国での厳重なロックダウンは、当社グループの中国での事業展開を鈍化させただけでなく、一部の取引先のサプライチェーンに影響を及ぼし、物流の遅延や商品不足等が一時的に発生したことから、マーケティングの縮小を余儀なくされました。
2軸目の成長戦略である「異業種展開(マーケティングDX)」につきましては、人材や金融、不動産市場等を中心に展開しました。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場のマーケティングは、異業種と比較し高速PDCAが実施されており、そのスピード感が優位性となります。当社が今まで培ってきたダイレクトマーケティングのノウハウや高い分析力が強みとなり、受注は堅調に推移しました。
また、以前取得した美容系メディアを活用した営業により、美容医療クリニックやジムへのマーケティング支援のニーズが顕在化し、今後の成長が期待できる分野として注力した一方で、広告費用を保有しつつも消化しきれていない中小企業に対して、メディア経由で営業することが効果的であったため、異業種メディアの開拓・開発を進めました。
3軸目の成長戦略である「新規事業」につきましては、エンタメDX事業のクリエイターエコノミー支援プラットフォーム「サイバースター」のグランドオープンに向けて機能やコンテンツの拡充を図りました。しかし、システムの大幅な変更等により開発が想定よりも遅延し、グランドオープンが後ろ倒しになり、投資が先行したことにより利益を圧迫する要因となりました。一方で、期間限定アウトレット催事イベント「FASHION BRAND STAGE by Cyberstar」を開催し、サイバースター経由で開場前に入場できるフライングパスの販売や入場時間の事前予約、抽選機能を活用したクーポンの配布等を実施しました。
投資関連では、連結子会社である株式会社ピアラベンチャーズにおいて設立したファンド「ピアラベンチャーズ1号投資事業有限責任組合」よりSOELU株式会社(以下、「SOELU」)に投資を実行いたしました。SOELUは、オンラインフィットネスをサブスクリプション型で提供している企業で、当社からは資金援助だけでなくマーケティング支援も提供します。これにより、投資先企業の成長の最大化及び当社の既存事業への収益寄与が期待できます。
また、連結子会社である株式会社P2C(※)においては、来期以降の本格稼働に向け、複数の商品企画や販売準備を進めました。
※ 株式会社P2C P2C(個人が自身で企画・生産した商品を、流通業者を介さずに、消費者へ直接販売する取引形態)やD2C(メーカーやブランドが、自社で企画・生産した商品を、流通業者を介さずに、自社サイトで直接消費者に販売する取引形態)を支援する会社
一方で、成長を加速させるため、一部の子会社において不採算事業の見直し・縮小を実施しました。
連結従業員数については、2021年12月末191名に対して180名(2022年12月末現在)と推移している他、報酬制度を含む人事制度の運用の改善を図るとともに、専門学校、大学及び大学院の学生を対象に、新たな人材の育成を目的としたインターンシップを推進しております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は11,775,448千円(前年同期比0.8%増)となりました。これは規制等の影響によるヘルスケア&ビューティ市場におけるKPI保証サービスの鈍化に対して、通販DXサービスや異業種展開(マーケティングDX)の成長で補うことを想定し、この点については概ね計画通りに推移した一方で、中国ロックダウン等による一過性の影響もあり、KPI保証サービスが想定以上に伸び悩んだことに起因するものであります。
売上総利益は、2,159,942千円(前年同期比10.3%増)となりました。これは粗利率の改善により売上原価が9,615,505千円(前年同期比1.1%減)と減少したことによるものであります。
営業損失は、110,771千円(前期は営業損失136,052千円)となりました。これは業容拡大に伴う人件費や営業経費の増加により、販売費及び一般管理費を2,270,714千円(前年同期比8.4%増)計上したことによるものであります。
経常損失は、131,470千円(前期は経常損失111,504千円)となりました。これは営業外収益として為替差益37,237千円及び補助金収入9,632千円を計上した一方で、営業外費用として投資事業組合運用損49,856千円、支払利息12,752千円及び持分法による投資損失9,244千円を計上したことによるものであります。
税金等調整前当期純損失は、276,395千円(前期は税金等調整前当期純損失255,387千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、232,577千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失259,815千円)となりました。これは主に、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定を減損処理したことなどによる減損損失145,903千円を計上したことによるものであります。
(3)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ121,025千円増加し、3,805,184千円となりました。主な要因としましては、現金及び預金の増加180,223千円によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ290,687千円減少し、1,053,847千円となりました。主な要因としましては、投資有価証券の減少208,465千円、ソフトウエア仮勘定の減少87,935千円及びソフトウエアの減少44,612千円によるものであります。
この結果、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ169,661千円減少し、4,859,032千円と なりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ413,896千円増加し、2,870,001千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が55,002千円減少した一方で、短期借入金が530,000千円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ261,408千円減少し、378,416千円となりました。主な要因としましては、長期借入金の減少257,575千円であります。
この結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ152,488千円増加し、3,248,418千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ322,150千円減少し、1,610,614千円となりました。これは主に、これは主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上232,577千円及び利益剰余金の配当34,781千円により利益剰余金が267,358千円減少したことに加えて、その他有価証券評価差額金の減少41,700千円及び自己株式の取得20,433千円によるものであります。
(4)キャッシュ・フローの分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりです。
当社グループは、必要な資金を主に自己資金及び金融機関からの借入で賄っております。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための外注費及び人件費です。投資を目的とした資金需要は、設備投資及び業務提携による関係強化等を目的とした戦略的投資によるものです。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
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