【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況①財政状態 当第1四半期連結会計期間末の総資産は1,105億円で前連結会計年度末比98億円増加しました。資産の部の主な増加項目は現金及び預金95億円です。 負債の部は513億円で前連結会計年度末比69億円増加しました。主な増加項目は支払手形及び買掛金4億円、有利子負債(1年内償還予定社債を含む)60億円です。純資産の部につきましては、591億円と前連結会計年度末比で28億円増加しました。主な増加項目は利益剰余金33億円、為替換算調整勘定4億円です。主な減少項目は退職給付に係る調整累計額11億円です。自己資本比率は53.2%で前連結会計年度末比2.4ポイント減少しました。
②経営成績 当第1四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行(5月)により経済活動の正常化が進みました。また、昨年秋の入国規制の緩和以降は外国人観光客による消費も活発化しております。一方で、欧州における紛争の長期化、世界的な資源価格の上昇や為替変動による物価上昇などにより、消費者の生活防衛意識が高まることが懸念されるなど、先行きが不透明な状況が継続しております。 このような状況のなか、当社グループは2024年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「未来への創造と挑戦」の最終年度として、「組織風土改革」「国内外構造改革の着手・完遂」「再成長の戦略や成長市場への種まき」を3本柱とする各種施策を着実に推し進めております。 国内の店舗・テーマパークは、様々な施策が順調に進んだことに加え、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により国内客が増加するとともに、昨年秋の入国規制の緩和以降に急増した外国人観光客が加わり、客数が大幅増となったことで、売上高を押し上げました。また、国内・海外のライセンス事業は、引き続き複数キャラクター展開などの戦略的な施策が奏功し新規ライセンシーの獲得に加え既存ライセンシーの商品展開が増え、売上高が伸長いたしました。 なお、サンリオファン会員向けアプリ「Sanrio+」の会員数は6月末現在で約153万人となりました。 連結営業損益に関しては、国内・海外ともに売上高が伸長したことに加え、構造改革を通じて営業費用を適正水準にマネジメントしたことにより収益性が向上した結果、大幅な増益となりました。 以上の結果、売上高は203億円(前年同期比46.9%増)、営業利益は59億円(前年同期比は150.2%増)、経常利益は63億円(前年同期比153.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は49億円(前年同期比525.9%増)となりました。 なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、当第1四半期連結累計期間の対象期間は、2023年1月~3月であります。
ⅰ 日本:売上高146億円(前年同期比52.2%増)、営業利益43億円(前年同期比145.6%増)1.国内営業本部(物販事業・ライセンス事業)2023年4月に、シナジー効果を発揮し全社利益最適化に貢献すべく、物販事業本部とライセンス営業本部を統合し、国内営業本部に名称変更いたしました。物販事業は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により、ゴールデンウィーク前後から国内人流がさらに活発化するとともに、昨年秋以降の外国人観光客の増加により、都心や観光地の店舗を中心に客数が大幅に増加いたしました。また、過去最多となる総得票数4,448万票を記録した人気投票イベント「2023年サンリオキャラクター大賞」(4/11~5/26)は、商品やイベントをいくつかの期間に分けて展開するなど期間中の鮮度維持に努めたことが奏功し、来店促進や商品購買に大きく寄与いたしました。なお、昨年12月に閉店した「Sanrio Gift Gateアドホック新宿店」は、今年4月に近隣施設に「Sanrio新宿店」として新たにオープンし、国内外のお客様からご支持いただき連日盛況に推移しております。ライセンス事業は、複数キャラクター戦略が引き続き奏功しており、新規ライセンシーの獲得に加え、既存ライセンシーの商品展開が増えるなど各カテゴリーが好調に推移し、売上高が伸長いたしました。商品化ライセンスは、「2023年サンリオキャラクター大賞」と連動した商品や、エンターテイメント性やコレクション性を取り入れた菓子類などが人気を博しました。また、人気のカプセルトイや、インバウンド需要の高まりにより、お土産品も好調に推移いたしました。これらの商品は、SNSの有効活用による情報発信も奏功し、認知度が向上したことが寄与いたしました。広告化ライセンスは、顧客課題に合わせたキャラクター提案が功を奏し、外食、菓子・食品、コスメ、消耗品など様々な業態のキャンペーンで採用されました。また、キャラクターグリーティングや展示会などのイベントも好調に推移いたしました。営業損益については、売上高の大幅増により大幅増益となりました。なお、売上増に連動し販管費も増加いたしましたが、コスト・コントロールが奏功し、販管費率は減少しております。
2.テーマパーク事業サンリオピューロランド(東京都)とハーモニーランド(大分県)は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により国内客が増加するとともに、昨年秋の入国規制の緩和以降に急増した外国人観光客が加わり、両施設ともに客数が大幅に増加いたしました。サンリオピューロランドでは、3年ぶりに同施設最大の人気エンターテイメント「Miracle Gift Parade」が6月に再開いたしました。また、キャラクターとの握手やハグも可能となり、連日多くのお客様で賑わいを見せております。人気エンターテイメントの再開により、有料席や関連商品が好調に推移するとともに、根強い人気のカチューシャやバースデー関連商品、シーズン限定商品・飲食メニューが人気を博し、客単価増にも貢献いたしました。ハーモニーランドは、新規イベント「HAPPY EASTER(3/27~5/30)」「とっておきのRainy Day(6/2~7/11)」の上演、キャラクターグリーティングの強化が客数増に貢献いたしました。これらのイベントと連動したオリジナル商品や昨年7月に値上げした入園チケットが客単価を押し上げ、売上増に寄与いたしました。営業損益は、両施設の売上高が大幅に増加したことにより増益となりました。
ⅱ 欧州:売上高5億円(前年同期比28.2%増)、営業利益79百万円(前年同期は営業損失63百万円) ライセンス事業では、フランスの有名ブランドとのコラボレーションや大手アパレル企業との取り組みにより、アパレルカテゴリーが伸長いたしました。また、フットウエアカテゴリーでは有名ブランドとのコラボレーションにてグローバル展開した『ハローキティ』のスニーカーが好調に推移し、ブランド価値向上にも寄与いたしました。デジタルカテゴリーでは、リズムに合わせて複数のキャラクターがダンスをしながらパレードするリズムゲームが昨年11月に配信され、認知度向上に寄与しております。『ミスターメン リトルミス』は、新規ライセンシー獲得により売上高が伸長したアパレルカテゴリーや、米国の既存ライセンシーと継続的に取り組んでいる玩具カテゴリーが好調に推移いたしました。営業損益は、売上高の増加に加え販管費の抑制により、黒字に転換いたしました。
ⅲ 北米:売上高19億円(前年同期比65.6%増)、営業利益6億円(前年同期比403.8%増)北米では、認知度及びブランド価値向上のために自社ECを有効活用するとともに、大手オンラインゲームのプラットフォーマーと協業することで顧客接点を増やし、エンゲージメントを高めております。また、売上高を継続的に伸ばすために主力ライセンシーと中長期契約を結んでおります。物販事業は、カメラやぬいぐるみ、コスメなどが売上を牽引した自社ECが、引き続き好調に推移いたしました。ライセンス事業は、既存ライセンシーとの取り組み強化により商品展開が増えたアパレルや玩具、ヘルス&ビューティーカテゴリーが好調に推移いたしました。特に玩具カテゴリーでは、既存ライセンシーの大手玩具メーカーと昨年12月に新たに中長期契約を締結し、同メーカーが持つ様々な玩具品でサンリオキャラクターが採用されております。また、フットウエアカテゴリーでは新規ライセンシーの人気ブランドとのコラボが大きな話題となり、売上高の増加に加え認知度向上にも寄与いたしました。売上高の大幅な増加により、営業利益も拡大いたしました。
ⅳ 南米:売上高1億円(前年同期比30.4%増)、営業利益33百万円(前年同期比14.9%増)南米全体では、ヘルス&ビューティー、バッグ、企業特販カテゴリーのライセンス事業が好調に推移いたしました。メキシコのライセンス事業では、衛生商品や香水が好調のヘルス&ビューティーカテゴリー、ハローキティカフェが人気の企業特販カテゴリーが好調に推移いたしました。ペルーのライセンス事業は、バッグカテゴリーが売上を牽引いたしました。南米では、ハローキティカフェによる認知度向上に加え、200以上のライセンシーが集まるイベントの開催や展示会などへの参加を通じて、新規案件獲得が進んでおります。営業損益については、売上高の大幅伸長により増益となりました。
ⅴ アジア:売上高30億円(前年同期比22.2%増)、営業利益13億円(前年同期比22.3%増)香港・マカオ地区は、ライセンス事業において、銀行との継続的なプロモーションにより企業特販カテゴリーが売上高を伸長いたしました。また、今年1月のコロナ規制緩和により、旧正月商品の売れ行きが好調で、特に雑貨・文具カテゴリーが売上高を牽引いたしました。台湾は、上海のロックダウンの影響で商品開発が遅れたものの、ライセンス事業において、新規ライセンシーを獲得したヘルス&ビューティーカテゴリーが好調に推移いたしました。韓国は、前期に実施した韓国大手芸能事務所所属のアイドルグループとのコラボレーションにより、ブランド価値が向上しており、新規ライセンシーの獲得に加え既存ライセンシーの商品展開が拡大いたしました。ライセンス事業において、大手菓子メーカーなどの新規ライセンシーを獲得したフードカテゴリー、入学入園品の品揃え・販路拡大した文房具カテゴリーが大きく伸長いたしました。中国は、2023年1月からマスターライセンス契約先をアリババグループのアリフィッシュへと変更したことにより、ライセンス事業において、ヘルス&ビューティー、アクセサリーカテゴリーが好調に推移いたしました。また、同国では複数キャラクター展開が奏功しており、『クロミ』、『ポチャッコ』など『ハローキティ』以外のキャラクターも多く採用され、新型コロナウイルス感染症が年末年始に拡大したことにより、1月はビジネス活動が鈍化したことに加え前期のMG収入の反動がありましたが、売上高は増加いたしました。東南アジアは、ライセンス事業において、タイ最大のコンビニエンスストアとのコラボレーションや、タイ・マレーシア・ベトナムのヘルス&ビューティーカテゴリーが売上高を牽引いたしました。営業損益については、アジア各国における全体的な売上高の伸びが寄与し、増益となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動 該当事項はありません。