【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①財政状態当第3四半期連結会計期間末の総資産は989億円で前連結会計年度末比151億円増加しました。資産の部の主な増加項目は現金及び預金104億円、売掛金40億円です。負債の部は452億円で前連結会計年度末比52億円増加しました。主な増加項目は支払手形及び買掛金13億円、契約負債16億円、有利子負債(1年内償還予定社債を含む)24億円です。純資産の部につきましては、537億円で前連結会計年度末比99億円増加しました。これは主に、利益剰余金が48億円、為替換算調整勘定が43億円増加したこと等によるものです。自己資本比率は54.0%で前連結会計年度末比1.9ポイント上昇しました。
②経営成績当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が急増した「第7波」に加え、11月以降も感染者数が増加傾向を示したものの、感染症対策を取りつつ社会経済活動の正常化が徐々に進められてまいりました。一方で、欧州における紛争の長期化、物価上昇、金融資本市場の変動などの影響により、引き続き先行きが不透明な状況が継続しております。このような状況のなか、当社グループは、2024年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「未来への創造と挑戦」の2年目として、「組織風土改革」「国内外構造改革の着手・完遂」「再成長の戦略や成長市場への種まき」を3本柱とする各種施策を着実に進めており、長らく赤字が続いていた国内物販事業及び北米においては1年前倒しで黒字化となる見込みであります。国内において、物販事業については、店舗が行動制限なく全期間を通じて通常営業できたことに加え、秋以降の入国規制の緩和による外国人観光客の増加などもあり客数が大幅増となりました。また、『シナモロール』20周年キャンペーンなどのイベントや他社キャラクターとのコラボレーション商品が人気を博し、売上高が大幅に増加いたしました。ライセンス事業は、複数キャラクター展開、社内連携が奏功し、売上高が大幅に伸長いたしました。テーマパーク事業は、入園者数の大幅増に加え、オリジナル商品が引き続き好調に推移し、売上高が大幅に伸長いたしました。海外において、アジアでは複数キャラクター展開が奏功し新規ライセンス契約の獲得が進行いたしました。また、北米はECが好調に推移いたしました。ほぼすべての地域が好調に推移し、大幅に売上が伸長いたしました。なお、今後のデジタル戦略における顧客基盤の更なる高度化を図る中で、サンリオファン会員向けアプリ「Sanrio+」の会員数は12月末現在で約126万人まで積み上がっております。連結営業損益に関しては、国内・海外ともに売上が伸長したことに加え、構造改革の進展により売上原価率が低減し販売収益性が向上した結果、大幅な増益となりました。以上の結果、売上高は516億円(前年同期比33.9%増)、営業利益は106億円(前年同期比420.7%増)、経常利益は110億円(前年同期比346.6%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、東京国税局による更正処分に対する追徴税額13億円(加算税及び地方税等を含む)を受け、この内12億円を過年度法人税等として計上したことにより、67億円(前年同期比114.0%増)となりました。なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、当第3四半期連結累計期間の対象期間は、2022年1月~9月であります。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。i. 日本:売上高378億円(前年同期比27.0%増)、営業利益78億円(前年同期比506.8%増) 1.物販事業昨年4月に、コンビニエンスストア関連事業とグローバル物販事業の2つの事業が物販事業本部に移管されました。商品企画と製造機能の集約によりグローバルでのサンリオブランドの価値向上を図っております。当第3四半期連結累計期間は、コロナ禍が継続する中、店舗が全期間通常営業できたことに加え、秋以降は入国規制の緩和により外国人観光客が徐々に増えるなど、来店客数が大幅増となりました。また、「美少女戦士セーラームーンExternal」「ちいかわ」などの他社有力キャラクターとのコラボレーション商品やトレンドに敏感な10代~20代向けに開発した「秘密のメロクロシリーズ」、アイドルグループ等の推し活をしている人を応援する「エンジョイアイドルシリーズ」などのオリジナル商品が人気を博しました。なお、サンリオファン会員向けアプリ「Sanrio+」を活用したイベント・キャンペーンも店舗への来店促進に寄与いたしました。これらの施策の結果、店舗やEC、コンビニエンスストアなど各販売チャネルの売上高が増加いたしました。営業損益については、売上の大幅増に加え、販売費及び一般管理費のコスト・コントロールが奏功し、大幅増益となりました。
2.ライセンス事業当第3四半期連結累計期間は、複数キャラクター展開、組織再編による部門間の情報共有や連携の強化が奏功し、売上高が大幅に伸長いたしました。商品化ライセンスビジネスは、雑貨・衣料等の大型専門店向けOEM商品や、エンタメ性、コレクション性を取り入れた菓子類、コラボレーション関連が大きく伸長いたしました。広告ライセンスビジネスは、既存取り組みが順調に推移するとともに、外食業界のキャンペーンなどに採用され伸長いたしました。また、商品化・広告ライセンスビジネスは、SNSなどの有効活用により、エンドユーザーとのタッチポイントが大幅に増え、認知度向上に寄与いたしました。前期のコロナ禍の反動で、キャラクターグリーティングや展示イベントなども伸長し、またインバウンド関連の売上高も増加いたしました。営業損益については、増収に伴う売上総利益の伸長により、大幅な増益となりました。
3.テーマパーク事業東京都多摩市のサンリオピューロランドと大分県のハーモニーランドはゴールデンウイークや夏休み、冬休みなどの繁忙期を含む全期間で通常営業が可能となり入園者数が大幅に増加いたしました。サンリオピューロランドでは、バーチャルイベント「Nakayoku Connect」の開催やアトラクション「キャラグリレジデンス」を7月に新設するなど、Z世代に響く施策が奏功し、オリジナル商品の売上が伸長いたしました。特にクリスマスなどのシーズン限定商品・飲食メニューが人気を博すとともに、根強い人気のカチューシャや今期から導入した入園チケットの価格変動制による客単価増が寄与し、売上高が大幅に伸長いたしました。営業損益は、売上高の大幅増に加え原価率の低減などにより大きく改善いたしました。ハーモニーランドでは、政府の旅行支援策により、行楽意欲が高まったことに加え、新たなオリジナルショー「シナモロールの青空楽団」の上演、アミューズメントエリアの新設、「世界クロミ化計画」のプロモーションなどの魅力的な施策が集客に寄与し、入園者数が大幅に増加いたしました。また、7月中旬に行った入園チケットの値上げやプロモーションに連動したオリジナル商品が好調に推移いたしました。これらにより客単価が増加し売上高が伸長いたしました。営業損益は、売上増に加え原価率の低減も進み第3四半期連結累計期間としては3期ぶりに営業黒字に転換いたしました。
ⅱ. 欧州:売上高12億円(前年同期比4.7%増)、営業損失1億円(同84百万円損失増)アパレル・食品カテゴリーにおけるライセンス事業が伸長いたしました。アパレルカテゴリーは、有名ブランドのコレクションが売上を順調に伸ばしました。食品カテゴリーは、「ハローキティキャンディ」が継続して人気を集め、売上を牽引いたしました。なお、デジタルカテゴリーでは、サンリオ初のNFTが発売され、話題を集めております。前期に50周年の特需で売上が伸長した『ミスターメンリトルミス』は、前期には及ばないものの出版・家庭用品カテゴリーにおいて好調に推移いたしました。出版カテゴリーでは英国の主要ライセンシーより書籍が発売され、家庭用品カテゴリーでは韓国の新規ライセンシーが日用品などを展開いたしました。営業損益は、売上高が伸長したものの販売費及び一般管理費の増加により、営業損失となりました。
ⅲ. 北米:売上高42億円(前年同期比96.6%増)、営業利益6億円(前年同期は営業損失3億円)物販事業は、自社ECが前年実績を大幅に上回るなど引き続き好調に推移いたしました。特にぬいぐるみが売上を伸ばしました。ライセンス事業は、アパレルや玩具、ヘルス&ビューティーカテゴリーが好調に推移いたしました。アパレルカテゴリーは、既存ライセンシーとの継続的な取り組みが売上実績に繋がるとともに、新規ファストファッションライセンシーの獲得により販路が拡大されました。玩具カテゴリーは、コラボレーション商品を含むぬいぐるみを中心とした商品展開により売上高が伸長いたしました。ヘルス&ビューティーカテゴリーは、新規ライセンシーによりキャラクター露出を高めるとともに、既存ライセンシーの取扱商品数の増加に伴い、売上高が比例的に増加いたしました。またデジタルカテゴリーは、事業全体のシナジー効果を生み出しており、売上の好循環に繋がっております。営業損益については、売上高の大幅伸長により黒字に転換いたしました。
ⅳ. 南米:売上高3億円(前年同期比37.6%増)、営業利益45百万円(同31.3%増)南米全体では、ヘルス&ビューティー、アパレルのカテゴリーのライセンス事業が好調に推移いたしました。メキシコにおけるライセンス事業では、ヘルス&ビューティーカテゴリーの生理用品の売上高が大幅に増加し、アパレルカテゴリーは幼児から10代をターゲットとしたブランドや大手小売チェーンの売上高が引き続き好調に推移いたしました。また、メキシコシティに2号店をオープンしたハローキティカフェが引き続き好調に推移いたしました。ペルーでは文具の売上が好調に推移いたしました。営業損益については、売上高を大きく伸ばしたことにより増収、増益となりました。
ⅴ. アジア:売上高79億円(前年同期比53.8%増)、営業利益32億円(同71.4%増)アジアでは各拠点で売上高が伸長しました。香港・マカオ地区は、鉄道会社の路面電車装飾や現地アーティストとのコラボレーションアートイベントなどの企業特販カテゴリーのライセンス事業が売上を伸ばしました。また、ヘルス&ビューティーカテゴリーのハンドクリーム・リップクリーム等ボディケア用品が人気を博すなど好調に推移いたしました。台湾は、上海のロックダウンの影響で商品開発が遅れたものの、インテリアカテゴリーのライセンス事業が好調に推移するとともに、グローバル展開しているゲームアプリとのコラボレーションにより、デジタルカテゴリーが売上を牽引いたしました。韓国は、複数キャラクターでの展開を拡大したことが奏功いたしました。特に、流通を強化しているライセンシーの衛生商品や韓国大手芸能事務所所属のアイドルグループとのコラボレーションにより、売上高の大幅な伸長に加え、サンリオブランドの価値向上にも繋がりました。中国は、ロックダウンの影響を受けたものの、各カテゴリーが好調に推移し、売上高が大幅に伸長いたしました。旧物販事業会社の統合による経営のスリム化に加え、オンラインイベント期間の売上高の大幅増、マスターライセンシーから未払いであった契約期間内における最低保証金不足分の回収、ヘルス&ビューティーカテゴリーの好調継続、雑貨カテゴリーの現地有名ブランドとの取り組み拡大や既存ライセンシーにおける複数キャラクターでの商品展開、トイホビーカテゴリーのスポーツ関連アクセサリーやぬいぐるみの好調継続などが寄与いたしました。なお、当社とAvex Asia Pte. Ltd.との合弁会社SANRIO SOUTHEAST ASIA PTE.LTD.(以下、SSEA)が当期より連結子会社となりました。SSEAは、タイにおいてアパレルやバッグ、インドネシアにおいてはアクセサリーが売上を伸ばしました。また、タイ最大のコンビニエンスストアとのコラボレーションにより、食品・雑貨のプライベートブランド開発や店舗装飾など多角的なブランドプロモーションが実現いたしました。営業損益については、アジア各国における全体的な売上高の伸びが寄与し、増益となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動該当事項はありません。