【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況①財政状態当第2四半期連結会計期間末の総資産は966億円で前連結会計年度末比128億円増加しました。資産の部の主な増加項目は現金及び預金112億円、商品及び製品13億円です。負債の部は462億円で前連結会計年度末比62億円増加しました。主な増加項目は支払手形及び買掛金15億円、有利子負債(1年内償還予定社債を含む)49億円です。純資産の部につきましては、504億円で前連結会計年度末比66億円増加しました。これは主に、利益剰余金が23億円、為替換算調整勘定が38億円増加したこと等によるものです。自己資本比率は51.9%で前連結会計年度末比0.2ポイント減少しました。
②経営成績当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、夏休み期間を中心に新型コロナウイルス感染症「第7波」の到来もありましたが、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果により緩やかに景気が持ち直しております。一方で、欧州における紛争の長期化、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響により先行きが不透明な状況が継続しております。また、世界的な金融引き締めが続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。このような状況のなか当社グループは、2024年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「未来への創造と挑戦」の2年目として、前期に引き続き「組織風土改革」「国内外構造改革の着手・完遂」「再成長の戦略や成長市場への種まき」を3本柱とする各種施策を実行しております。営業面においては、国内では7月から8月にかけて新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加したものの、実店舗においては3年ぶりに夏休みを含む全期間で通常営業ができたことに加え、キャラクター周年キャンペーン等のイベントによる店頭の活性化が奏功いたしました。テーマパークにおいては、オリジナル商品が引き続き好調に推移し、ピューロランドでは入場チケットの価格変動制による客単価の増加が寄与し、売上高が大幅に伸長いたしました。また、複数キャラクターでの展開が奏功し、国内外におけるライセンス契約の獲得が進み、事業全体の売上が大幅に伸長いたしました。連結営業損益に関しては、国内・海外ともに売上が伸長したことに加え、構造改革が進捗したことによる売上原価率の低減等により販売収益性が向上した結果、大幅な増益となりました。以上の結果、売上高は306億円(前年同期比28.7%増)、営業利益は53億円(前年同期比1,754.5%増)、経常利益は56億円(前年同期比781.3%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、東京国税局による更正処分に対する追徴税額13億円(加算税及び地方税等を含む)を受け、この内12億円を過年度法人税等として計上したことにより、30億円(前年同期比54.4%増)となりました。なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、当第2四半期連結累計期間の対象期間は、2022年1月~6月であります。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。ⅰ.日本:売上高224億円(前年同期比26.5%増)、営業利益40億円(前年同期は営業損失70百万円)1.物販事業本年4月より物販事業本部に移管したコンビニエンスストア関連事業とグローバル物販事業の2つの事業は、商品企画と製造機能の集約により、徐々にグローバルでのサンリオブランドの価値向上に繋がってきております。当第2四半期連結累計期間においては、上海のロックダウンにより商品発売の遅延が発生し直営店売上や卸売先への販売計画に影響がありましたが、国内人流の増加やイベントの再開、「シナモロール」20周年記念企画や話題性のあるコラボレーション商品による集客策が奏功し、直営店やEC、コンビニエンスストアなどの各販売チャネルにおいて売上高が増進いたしました。営業損益については、売上高の伸長に加えて、構造改革に伴うSKU削減や、在庫管理の厳格化等により売上原価率を適正化し、売上総利益が増大いたしました。また、店舗スタッフの店舗間勤務を導入するなど業務効率化により人件費を押さえ販売費及び一般管理費を抑制したことも寄与いたしました。
2.ライセンス事業当第2四半期連結累計期間は、組織再編により部門間の情報共有や連携を強化し、宣伝・販促や環境装飾、SNSなど、単なる商品化に留まらず複合提案したことが奏功し、課題であったZ世代の取り込みにも成功いたしました。カテゴリー別では、玩具・ホビー部門において、クレーンゲームの景品やカプセルトイの好調が継続し、知名度の高い大手取引先との新商品開発により売上を大きく伸ばしました。菓子・食品部門はキャラクターの強みであるキュートさに加え、複数キャラクター展開によるコレクション性やエンタメ性のある新商品が人気となりました。衣料・服飾部門では、流通大手向けに共通デザインを展開すると同時に販売促進を実施し話題を最大化したことが奏功いたしました。広告・宣伝・イベント関連は、各企業や自治体からの集客促進の依頼が増加いたしました。営業損益については、増収に伴い売上総利益が伸長したことにより、大幅増となりました。
3.テーマパーク事業東京都多摩市のサンリオピューロランドでは、3年ぶりにゴールデンウィークや夏休みを含む全期間で通常営業が可能となり入園者数が大幅に増加いたしました。また、オリジナル商品が引き続き好調で、中でも「クロミ」のカチューシャが人気を博しました。今期から導入した入場チケットの価格変動制による客単価の増加も寄与し、売上高が大幅に伸長いたしました。営業損益については、売上高の大幅増加に伴い、当第2四半期連結累計期間としては3期ぶりに営業黒字に転換いたしました。大分県のハーモニーランドにおいては、オリジナルショー「シナモロールの青空楽団」の上演、シーズン毎に特色ある演出を加えたパレード、新たにアミューズメントエリアやキャラクタ-グリ-ティングの回数を増やす等が奏功し、入園者数が大幅に増加いたしました。また、プロモーションに連動したオリジナル商品の展開により客単価が増加したことも寄与し、売上高が伸長いたしました。営業損益については、売上高の大幅増加に加え、原価率の低減が進み当第2四半期連結累計期間では3期ぶりに営業黒字に転換いたしました。
ⅱ.欧州:売上高8億円(前年同期比6.4%増)、営業損失1億円(同28百万円損失増) 欧州では、ヘルス&ビューティー、食品カテゴリーが伸長いたしました。ヘルス&ビューティーのカテゴリーでは、新規ライセンシーによるハンドクリームやバスボール等のギフト商品が発売され、好調に推移いたしました。食品のカテゴリーでは、ハローキティのチョコレートやキャンディが人気を博しました。前期に50周年の特需があり売上が伸長した「ミスターメンリトルミス」のライセンス売上は、前期には及ばないものの想定以上の人気で好調に推移いたしました。営業損益については、売上高が増加となりましたが、販売費及び一般管理費も増加したことにより、営業損失が若干増加いたしました。 ⅲ.北米:売上高25億円(前年同期比90.7%増)、営業利益2億円(前年同期は営業損失3億円)中期経営計画に沿った構造改革を進める米国では、前期末までに卸・小売部門の外部委託が完了いたしました。物販事業では自社ECを通じた売上が前年実績を大幅に上回るなど、好調に推移いたしました。ライセンス事業ではアパレルと玩具のカテゴリーが引き続き好調だったことに加え、ヘルス&ビューティー、電化製品、食品、デジタルのカテゴリーも全体売上に大きく貢献いたしました。アパレルのカテゴリーでは新規ライセンシー獲得により販路が拡大され、玩具のカテゴリーでは既存ライセンシーとの取り組みを強化するとともに新規大手ライセンシーとの契約を締結し、売上が伸長いたしました。ヘルス&ビューティーでは取扱商品の種類増加に伴い、売上が増加いたしました。電化製品のカテゴリーではゲーミングアクセサリー商品の売上が大きく牽引いたしました。営業損益については、売上高の大幅伸長により黒字に転換いたしました。 ⅳ.南米:売上高2億円(前年同期比49.2%増)、営業利益33百万円(同73.7%増)南米では全体としてアパレル・アクセサリー、ヘルス&ビューティーのカテゴリーが好調に推移いたしました。メキシコでは、ヘルス&ビューティーの既存ライセンシーの売上が大幅に増加し、大手小売チェーンのアパレルが引き続き好調に推移いたしました。また、メキシコシティにオープンしたハローキティカフェが盛況となりました。チリではアパレル・アクセサリーのカテゴリー売上が大きく牽引しており、新規市場である中米地域も全体売上に貢献いたしました。営業損益については、売上高の大幅伸長により増収、増益となりました。 ⅴ.アジア:売上高46億円(前年同期比21.4%増)、営業利益18億円(同32.8%増)アジアでは各拠点で売上高が伸長いたしました。香港・マカオ地区については、「シナモロール」や複数キャラクターのイベントが好調を博し、売上が好調に推移いたしました。台湾では、上海のロックダウンの影響で商品開発が遅れたものの、コンビニエンスストア等でのキャンペーンにより新規契約の獲得が進んだことで売上が好調に推移いたしました。韓国では、複数キャラクターでの展開を拡大したことが奏功し、特に、前期より展開中のキーホルダー付きキャンディが、食品部門の売上を牽引いたしました。中国では、上海のロックダウンの影響を受けましたが、ヘルス&ビューティーカテゴリーにおける現地有名化粧品ブランドとの新規取り組みや既存ライセンシーにおける複数キャラクターでの商品展開の他、銀行向けのクレジットカードやノベルティ等の企業特販案件により売上を大きく伸ばしました。また、当社とAvex Asia Pte. Ltdとの合弁会社SANRIO SOUTHEAST ASIA PTE.LTD(以下、SSEA)が当期より連結子会社となりました。SSEAでは、タイにおいてアパレルやバッグ、インドネシアにおいてはアクセサリーが好調を博し、売上を牽引いたしました。営業損益については、アジア各国における全体的な売上高の伸びが寄与し、増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比17億円増の335億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは26億円の収入(前年同期比4億円の収入増)となりました。これは、税金等調整前四半期純利益が56億円(同25億円増)、減価償却費が8億円(同0.1億円の収入減)、契約負債の増加額が7億円(同6億円の収入増)であった一方、棚卸資産の増加額が14億円(前年同期は1億円の収入)、その他の負債の減少額が10億円(同0.4億円の収入)、法人税等の支払額が23億円(前年同期比19億円の支出増)であったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは9億円の収入(前年同期比45億円の収入減)となりました。これは主に、定期預金の預入払戻による差である9億円の収入(前年同期は5億円の支出)であったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは39億円の収入(前年同期は11億円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の借入・返済の差額52億円の収入(前年同期比3億円の収入増)であった一方、社債の償還による支出が2億円(同0.3億円の支出減)、配当金の支払額6億円(同6億円の支出増)、財務活動その他の収支による2億円の支出(同0.3億円の支出減)等によるものです。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動該当事項はありません。