【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響が縮小し、景気に緩やかな持ち直しの動きが見られた一方で、ウクライナ情勢の長期化による原材料やエネルギー価格の上昇に加えて、世界的な金融引締めや円安の急速な進行などにより、依然として先行きが不透明な状況が続いております。当社グループが属する情報通信機器業界におきましては、半導体の世界的な需給ひっ迫から製品の供給制約がみられるものの、経済・社会のデジタル化加速によって、ネットワークの強靭化やWi-Fi通信環境の更新需要は高まりを見せています。そのような状況の中、当社グループは、市場動向に基づく最新技術の開発を強化し、高付加価値製品やサービスの拡販を図ってまいりました。また、自社生産による柔軟な製品供給体制の強みを活かし、顧客ニーズに沿ったきめ細やかな対応で顧客満足度の向上を図るとともに、自社ブランドの訴求に努めてまいりました。当連結会計年度の業績は、年間を通して日本で売上が好調に推移したことに加え、設備投資再開によって海外の売上が好調となり、さらに円安進行によって円換算額が増加したことから、売上高は414億97百万円(前連結会計年度比24.7%増)と、大幅な増収になりました。利益面では、原材料価格の高騰や物流コストの増加などによる売上原価の上昇や、採用コストを含む人件費の増加に加えて円安進行による海外コスト全般が上昇しましたが、増収効果により、営業利益は18億85百万円(前連結会計年度比34.4%増)、また、外貨建資産負債の換算等による為替差益13億53百万円(前連結会計年度は90百万円の為替差損)を計上したことなどにより、経常利益は29億82百万円(前連結会計年度比207.8%増)、さらに、第1四半期(2022年1月~3月)に受取和解金86億12百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は86億5百万円(前連結会計年度比528.0%増)となりました。
当連結会計年度における当社グループの所在地別セグメント売上高の概要は以下のとおりです。■日本日本では、人員増強による営業・サービス体制の強化に取り組み、オンライン/オフライン双方のメリットを活かした積極的かつ効果的な各種プロモーション活動を展開してまいりました。そのような中、コロナ禍で先送りとなっていたIT設備投資が回復し、医療機関及び製造業などからの受注が増加するなど、年間を通してソリューションビジネスの売上が好調となりました。製品別では、主力製品であるxシリーズ・スイッチ製品群及び無線LAN製品に加え、サービス売上が伸長しました。この結果、日本での売上高は254億30百万円(前連結会計年度比15.2%増)となりました。■米州米州では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で先送りとなっていたITシステムの更新需要の高まりが見られ、米国ではパートナー企業からの受注が年間を通して好調に推移しました。中南米では医療機関や公共交通機関向けの大型案件を獲得し、また、在日米軍基地においては引き続き居住者向けの定額制インターネットサービスの売上が増加しました。製品別では、ネットワークインターフェースカード及びメディアコンバーターの出荷が増加しました。この結果、米州全体での売上高は74億93百万円(前連結会計年度比59.6%増)となりました。
■EMEA(ヨーロッパ、中東及びアフリカ)EMEAでは、IT設備投資再開からフランスやベネルクス三国などで政府系案件が好調となり、イタリアではパートナー企業との連携強化により売上が増加しました。また、中東では、スマートビルディングやビデオ監視システムなどの案件が好調となりました。製品別では、xシリーズ・スイッチ製品群やネットワークインターフェースカードなどの出荷が増加しました。この結果、EMEA全体での売上高は57億96百万円(前連結会計年度比29.2%増)となりました。■アジア・オセアニアアジア・オセアニアでは、人材の補強により営業・サポート体制を再構築し、パートナーの新規開拓でソリューションビジネスを推し進める一方、販売代理店の新規開拓による拡販に取り組んでまいりました。そのような中、公共案件が堅調となり、製品別では、xシリーズ・スイッチ製品群及び無線LAN製品の売上が好調となりました。この結果、アジア・オセアニア全体での売上高は27億75百万円(前連結会計年度比39.0%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は416億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ127億53百万円の増加となりました。流動資産は295億20百万円となり、前連結会計年度末に比べ109億87百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金が43億34百万円、商品及び製品が31億67百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度は受取手形及び売掛金)が22億28百万円増加したことによるものです。また、固定資産は121億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億65百万円の増加となりました。これは主に繰延税金資産が5億81百万円減少した一方で、使用権資産が8億99百万円、建設仮勘定が4億86百万円、土地が1億83百万円、建物及び構築物が1億70百万円増加したことによるものです。当連結会計年度末の負債合計は258億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億86百万円の増加となりました。流動負債は197億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億92百万円の増加となりました。これは主に短期借入金が13億円減少した一方で、未払法人税等が16億60百万円、契約負債(前連結会計年度は前受収益)が14億46百万円、支払手形及び買掛金が8億84百万円増加したことによるものです。また、固定負債は61億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億5百万円の減少となりました。これは主にリース債務が6億24百万円、固定負債のその他が4億58百万円増加した一方で、長期借入金が11億19百万円減少したことによるものです。当連結会計年度末の純資産合計は157億68百万円となり、前連結会計年度末に比べ95億66百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益86億5百万円の計上等による利益剰余金が増加し、為替換算調整勘定が8億31百万円増加したことによるものです。 以上の結果、自己資本比率は37.8%となり、前連結会計年度末より16.6ポイントの上昇となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ43億34百万円増加となる90億51百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。<営業活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度の営業活動による収入は84億6百万円となり、前連結会計年度に比べ58億67百万円の収入増加となりました。これは主に、売上債権の増減額が23億92百万円、棚卸資産の増加額が22億70百万円、為替差益が14億53百万円増加した一方で、和解金の受領額が86億12百万円増加したことによるものです。<投資活動によるキャッシュ・フロー> 当連結会計年度の投資活動による支出は14億54百万円となり、前連結会計年度に比べ10億31百万円の支出増加となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が9億7百万円増加したことによるものです。<財務活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度の財務活動による支出は42億45百万円となり、前連結会計年度に比べ26億20百万円の支出増加となりました。これは主に、長期借入による収入が14億67百万円減少、セール・アンド・割賦バックによる収入が4億31百万円減少、長期借入金の返済による支出が4億20百万円増加したことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
日本(千円)
-
-
米州(千円)
-
-
EMEA(注)1(千円)
-
-
アジア・オセアニア(千円)
9,184,330
140.4
合計(千円)
9,184,330
140.4
(注)
1
ヨーロッパ、中東及びアフリカ。
2
金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における商品仕入高、委託生産に伴う仕入高及び生産に伴う原材料・部品の仕入高の実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年1月1日至
2022年12月31日)
前年同期比(%)
日本(千円)
5,273,012
155.3
米州(千円)
779,072
145.8
EMEA(注)1(千円)
697,572
166.7
アジア・オセアニア(千円)
12,389,459
159.8
合計(千円)
19,139,116
158.2
(注) 1
ヨーロッパ、中東及びアフリカ。
2
金額は、仕入価額によっております。
b. 受注実績
当社グループの取扱品目は原則として全てが標準製品でありますので、個別受注生産は行わず、見込み生産を行っております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
日本(千円)
25,430,958
115.2
米州(千円)
7,493,974
159.6
EMEA(注)1(千円)
5,796,703
129.2
アジア・オセアニア(千円)
2,775,928
139.0
合計(千円)
41,497,564
124.7
(注)
1
ヨーロッパ、中東及びアフリカ。
2
セグメント間の取引については相殺消去しております。
3
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自
2021年1月1日至
2021年12月31日)
当連結会計年度(自
2022年1月1日至
2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
ダイワボウ情報システム株式会社
7,315,158
22.0
8,157,009
19.7
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の業績は、売上高は414億97百万円(前連結会計年度比24.7%増)、営業利益は18億85百万円(前連結会計年度比34.4%増)、経常利益は29億82百万円(前連結会計年度比207.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、86億5百万円(前連結会計年度比528.0%増)と、大幅な増収増益となりました。<売上高>
売上高は、年間を通して日本で受注が好調に推移したことに加え、設備投資再開によって海外の売上が好調となり、さらに円安進行によって円換算額が増加したことから、前連結会計年度(332億65百万円)から82億32百万円増加し、414億97百万円と、大幅な増収となりました。
地域別では、日本では、人員増強による営業・サービス体制の強化に取り組み、オンライン/オフライン双方のメリットを活かした積極的かつ効果的な各種プロモーション活動を展開してまいりました。そのような中、コロナ禍で先送りとなっていたIT設備投資が回復し、医療機関及び製造業などからの受注が増加するなど、年間を通してソリューションビジネスの売上が好調となりました。製品別では、主力製品であるxシリーズ・スイッチ製品群及び無線LAN製品に加え、サービス売上が伸長しました。この結果、日本での売上高は254億30百万円(前連結会計年度比15.2%増)となりました。
米州では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で先送りとなっていたITシステムの更新需要の高まりが見られ、米国ではパートナー企業からの受注が年間を通して好調に推移しました。中南米では医療機関や公共交通機関向けの大型案件を獲得し、また、在日米軍基地においては引き続き居住者向けの定額制インターネットサービスの売上が増加しました。製品別では、ネットワークインターフェースカード及びメディアコンバーターの出荷が増加しました。この結果、米州全体での売上高は74億93百万円(前連結会計年度比59.6%増)となりました。
EMEAでは、IT設備投資再開からフランスやベネルクス三国などで政府系案件が好調となり、イタリアではパートナー企業との連携強化により売上が増加しました。また、中東では、スマートビルディングやビデオ監視システムなどの案件が好調となりました。製品別では、xシリーズ・スイッチ製品群やネットワークインターフェースカードなどの出荷が増加しました。この結果、EMEA全体での売上高は57億96百万円(前連結会計年度比29.2%増)となりました。アジア・オセアニアでは、人材の補強により営業・サポート体制を再構築し、パートナーの新規開拓でソリューションビジネスを推し進める一方、販売代理店の新規開拓による拡販に取り組んでまいりました。そのような中、公共案件が堅調となり、製品別では、xシリーズ・スイッチ製品群及び無線LAN製品の売上が好調となりました。この結果、アジア・オセアニア全体での売上高は27億75百万円(前連結会計年度比39.0%増)となりました。
<売上総利益>
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度(206億29百万円)から35億82百万円増加し、242億12百万円となりました。これは、原材料価格の高騰や物流コストの増加などによる売上原価の上昇で増加幅は控えめとなったものの、増収に伴って増加したことによるものです。<営業利益>
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度(14億2百万円)から4億82百万円増加し、18億85百万円となりました。これは、採用コストを含む人件費の増加に加えて円安進行による海外コスト全般が上昇したことなどから販売費及び一般管理費が増加したものの、増収により十分な利益を確保したことによるものです。
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの借入を基本としており、設備投資資金の調達につきましては自己資金及び一部は金融機関からの長期借入を行う等、資金調達の多様性を図っております。
なお、当連結会計年度末現在における重要な資本的支出の予定はありません。
当連結会計年度末における有利子負債の残高は69億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は90億51百万円となっております。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。海外の連結子会社は、各国の会計処理基準に準拠しております。連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末における資産、負債及び偶発債務並びに連結会計年度における収益、費用に影響を与える見積りを行っておりますが、実際の結果と異なる場合があります。有形固定資産は取得原価により計上し、見積り耐用年数に基づき減価償却を行っております。自社利用ソフトウェアについては見込利用期間に基づき償却を行っております。投資有価証券については時価又は実質価額が著しく下落した場合には、回復する見込があると認められる場合を除き減損処理をしております。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる事項」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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