【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績に関する説明
当第1四半期連結累計期間の主要な取組み
スポーツイベントの開催が本格的に再開し、数年ぶりに人々の自由な移動が可能となるなど、社会経済活動の正常化が進んでおります。これを受けて、日本では、インバウンド需要が回復傾向にあります。
売上高は、1,522億円と第1四半期連結累計期間では過去最高(2014年の変則決算期を除く)となり、前年同期比で+44.6%、為替影響を除いても+35.0%の成長となりました。地域別では、インバウンド売上が回復傾向にある日本地域のアシックスジャパン株式会社では+61.9%、新型コロナウイルスの感染拡大から回復傾向にある中華圏地域で+41.2%、今後の成長ドライバーである東南・南アジア地域では+91.1%と、各地域で大きく伸長しました。
粗利益率は、仕入為替の悪化があったものの、販売価格の適正化などが奏功し、前年同期から0.3ppt改善し、50.2%となりました。これもあり、営業利益は第1四半期連結累計期間では過去最高の221億円となり、前年同期から2倍超の増益となりました。営業利益率は前年同期の9.5%から14.5%となりました。
◇デジタル
①OneASICS会員の継続的な増加(前年同期比+34.5%の約780万人)もあり、ECの売上高は222億円と前年同期比+45.1%でした。引き続き、ランナーとのタッチポイントを拡大することでOneASICS会員数を増やし、ランニングエコシステムの拡充を図ってまいります。
②フルマラソンでのサブ4(4時間未満での完走)を目指すランナーを対象としたフルマラソンレース「Challenge 4」に際して実施中のサブ4達成に特化したトレーニングプログラムにて、昨年グループ会社化した株式会社アールビーズのトレーニングアプリ「TATTA」を使用しました。専用プログラムをオンラインレースやWEBセミナーを通じてTATTAで提供するほか、トレーニング参加者同士の日々の交流も可能となっています。
当第1四半期連結累計期間から新たに開示をスタートしたランニングサービスチャネルの売上高は、レース登録会社の買収効果もあり前年同期の3億円から27億円と大幅伸長しました。
◇ランニングエコシステム
4月に開催されたULTRA-TRAIL Mt.FUJI2023と、高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソン2023で、アシックス・プレイシュア株式会社が怪我に加え特定の疾病を補償する保険をランナー・スタッフ向けに提供しました。ULTRA-TRAIL Mt.FUJI2023はアシックス・プレイシュア株式会社が株式会社アールビーズと協業した最初の大会です。
今後も保険事業のみならず、ランナーに向けた各種サービスを通じて、ランニングエコシステムの拡大を図ってまいります。
◇カテゴリー
・パフォーマンスランニング
①売上高は、779億円と全ての地域で増収となり、成長率は前年同期比+32.6%となりました。
②クッション性を重視したランニングシューズのロングセラーモデル「GEL-NIMBUS(ゲルニンバス)」シリーズから、最新モデル「GEL-NIMBUS 25」を発売しました。「GEL-NIMBUS」シリーズは、1999年から展開している、アシックスを代表する高機能モデルのひとつです。
当社独自の設計思想「アシックスデザイン」に従い、身体と心の両方にとって優れた構造設計を目指しました。また、かかと部に足にかかる負担を軽減する衝撃緩衝機能「PureGEL(ピュアゲル)」テクノロジーを内蔵しており、主要地域を中心に人気を博しており、販売は好調に推移しております。
・コアパフォーマンススポーツ
①売上高は、前年同期に生産影響があったこともあり、227億円と全ての地域で前年同期比2桁増収となりました。特に主要地域においては前年同期比2倍超の増収でした。
②陸上競技短距離のフレッド・カーリー(Fred Kerley)選手とアドバイザリースタッフ契約を締結しました。フレッド・カーリー選手は米国の陸上競技短距離選手で、100m9秒76の自己ベスト記録をもち、2022年にアメリカのオレゴン州で開催された第18回世界陸上競技選手権大会の男子100mで優勝するなど活躍しています。また、世界で唯一となる100m9秒80、200m19秒80、400m43秒80を切る記録をあわせもっています。
今後は同選手の意見を取り入れながら、当社の技術を盛り込んで作製した製品を提供するなどサポートを行い、「アシックス」ブランドのさらなる強化を図ります。
・スポーツスタイル
売上高は、前年同期に生産影響があったこともあり、154億円と前年同期比で+90.8%の大幅増収でした。地域別では、特に欧州地域が+124.2%、オセアニア地域が+87.2%、中華圏地域が+74.3%と高成長でした。
・オニツカタイガー
①売上高は、121億円とインバウンド売上高が回復傾向にある日本地域、成長著しい東南・南アジア地域の増収もあり、前年同期比+38.8%となりました。
②2023年2月に、ミラノファッションウィークにて、23年秋冬コレクションを発表しました。今回のコレクションテーマは、「重ね着」です。この「重ね着」と、オーバーサイズ感や流れるようなテーラリングが相まったコレクションとなっています。なお、23年秋冬コレクションから、オニツカタイガーのシグネチャーカラーであるイエローとブラックの新しいロゴが使用されています。
◇サステナビリティ
アシックスでは世界の人々の心身の健康とスポーツができる環境を守ることを掲げ、様々な取組みを進めております。
サプライチェーンを通じて気候変動対策に取組み、温室効果ガス排出量の削減活動を実施していることが評価され、国際的なNPOであるCDPから上位企業8%が獲得する「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード」に4年連続で選定されました。
今後も引き続き、事業のあらゆる場面でサステナビリティに配慮した取組みを推進し、持続可能な社会の実現に向け、更に貢献していきます。
◇ROAツリーマネジメント
ROAは15.0%となりました。ROAの構成要素である総資産は、好調な売上高に伴う売掛金の増加などにより前期末から増加しましたが、粗利益率は、高粗利益率商品へのシフトや販売価格の適正化などにより、前年同期から改善しました。
ROA(年率換算)=
2023年12月期第1四半期純利益
×4
(2022年12月期期末総資産+2023年12月期第1四半期末総資産)÷2
① 売上高
為替影響に加え、全てのカテゴリーで好調に推移したこともあり、売上高は152,297百万円と前年同期比44.6%の増収となりました。
② 売上総利益
上記増収の影響により、76,424百万円と前年同期比45.3%の増益となりました。
③ 営業利益
上記増収の影響により、22,120百万円と前年同期比119.9%の大幅増益となりました。
④ 経常利益
上記増収増益の影響などにより、経常利益は21,921百万円と前年同期比99.3%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する四半期純利益
上記増収増益の影響などにより、16,310百万円と前年同期比86.9%の増益となりました。
カテゴリー別の経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(カテゴリー)
売上高
カテゴリー利益
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額
(△は減)
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額
(△は減)
パフォーマンスランニング
58,779
77,913
19,133
13,285
16,913
3,628
コアパフォーマンススポーツ
10,223
22,741
12,517
1,540
5,779
4,239
スポーツスタイル
8,117
15,487
7,369
1,345
3,760
2,415
アパレル・エクィップメント
8,733
9,605
871
175
601
426
オニツカタイガー
8,735
12,124
3,388
1,852
3,026
1,173
① パフォーマンスランニング
売上高は、全ての地域で好調に推移し、77,913百万円と前年同期比32.6%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、16,913百万円と前年同期比27.3%の増益となりました。
② コアパフォーマンススポーツ
売上高は、全ての地域で好調に推移し、22,741百万円と前年同期比122.4%の大幅増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、5,779百万円と前年同期比275.1%の大幅増益となりました。
③ スポーツスタイル
売上高は、全ての地域で好調に推移し、15,487百万円と前年同期比90.8%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、3,760百万円と前年同期比179.6%の大幅増益となりました。
④ アパレル・エクィップメント
売上高は、主に日本地域や東南・南アジア地域での好調により、9,605百万円と前年同期比10.0%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、601百万円と前年同期比243.1%の大幅増益となりました。
⑤ オニツカタイガー
売上高は、全ての地域で好調に推移し、12,124百万円と前年同期比38.8%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収の影響などにより、3,026百万円と前年同期比63.3%の増益となりました。
報告セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
① 日本地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、36,356百万円と前年同期比35.0%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響や粗利益率の改善などにより、4,721百万円と前年同期比226.3%の大幅増益となりました。
② 北米地域
売上高は、パフォーマンスランニングやコアパフォーマンススポーツが好調だったことにより、26,154百万円と前年同期比23.9%の増収となりました。
セグメント損失につきましては、上記増収の影響はあったものの、ECの売上増加に伴う販売費及び一般管理費の増加などもあり、346百万円となりました。
③ 欧州地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、44,445百万円と前年同期比43.9%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、6,551百万円と前年同期比61.7%の増益となりました。
④ 中華圏地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、19,168百万円と前年同期比41.2%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、4,508百万円と前年同期比24.5%の増益となりました。
⑤ オセアニア地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、11,542百万円と前年同期比56.7%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、2,081百万円と前年同期比43.8%の増益となりました。
⑥ 東南・南アジア地域
売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、6,958百万円と前年同期比91.1%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、1,738百万円と前年同期比176.1%の大幅増益となりました。
⑦ その他地域
売上高は、パフォーマンスランニングやスポーツスタイルが好調だったことにより、13,038百万円と前年同期比41.3%の増収となりました。
セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、1,861百万円と前年同期比160.3%の大幅増益となりました。
(2)財政状態に関する説明
当第1四半期連結会計期間末の財政状態といたしましては、総資産442,080百万円(前連結会計年度末比4.0%増)、負債の部合計256,848百万円(前連結会計年度末比1.8%増)、純資産の部合計185,232百万円(前連結会計年度末比7.2%増)でした。
① 流動資産
受取手形及び売掛金の増加などにより、311,388百万円(前連結会計年度末比5.2%増)となりました。
② 固定資産
ソフトウエアの増加などにより、130,691百万円(前連結会計年度末比1.4%増)となりました。
③ 流動負債
償還期限が1年以内となった社債の固定負債から流動負債への振り替えによる増加などにより、176,716百万円(前連結会計年度末比17.3%増)となりました。
④ 固定負債
償還期限が1年以内となった社債の固定負債から流動負債への振り替えによる減少などにより、80,132百万円(前連結会計年度末比21.2%減)となりました。
⑤ 純資産
利益剰余金の増加などにより、185,232百万円(前連結会計年度末比7.2%増)となりました。
(3)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営成績の現状と見通し
2023年12月期連結業績予想につきましては、2023年2月10日に公表しました連結業績予想から変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は1,495百万円(前年同期比23.7%増)であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員の状況
当第1四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(8)生産、受注及び販売の状況
当社グループは、生産実績の割合が僅少であるため記載を省略しております。また、受注状況につきましても、受注生産を行っている割合が僅少であるため記載を省略しております。なお、販売実績につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご確認ください。
(9)設備の状況
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。
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