【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況肥料業界におきましては、世界的な食糧生産や人口増加に伴う旺盛な肥料需要のなか、ロシアのウクライナ侵攻等、世界有数の肥料輸出国の政治的問題を背景に世界的な需給が逼迫し、肥料原料の国際市況は一時史上最高値まで上昇しました。その後、穀物相場の下落や端境期での需給緩和により一部原料は国際市況が軟化しておりますが、原料相場全体は依然として高い水準で推移しております。加えて国内では、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られたものの、燃料価格の高騰や各国の金融引き締め政策等による急激な円安、物価の上昇等の影響により、市場動向は極めて不透明な状況で推移しております。このような状況をうけ政府は、肥料製造事業者の原料調達を支援する「化学肥料原料調達支援緊急対策事業」や、化学肥料の低減に取り組む農業者の肥料コスト上昇分の一部を支援する「肥料価格高騰対策事業」を実施する等、農業生産への影響軽減に向け対策を講じております。化学品事業においても、肥料業界同様に原料価格の高騰や金融資本市場の変動に注視していく必要があります。このような状況の下、当社グループは2021年度を初年度とする中期経営計画(2021~2023年度)に基づき、「日本が誇る農業ソリューションカンパニー」「世界へ向けて素材の機能性を創出する肥料・化学品メーカー」へと成長するための事業基盤・収益基盤を固めるべく各施策に取り組んでおります。肥料事業においては、持続可能な農業の実現に向け、プラスチックを使用した被覆肥料に頼らないペースト二段施肥技術の普及や、当社の技術力を活用した植物が本来持つ収量・品質等のポテンシャルを引き出すバイオスティミュラント資材の開発・拡販、未利用資源の活用及び資源循環に資する堆肥入り複合肥料の上市に取り組んでおります。さらに、昨年から続く特異的な原料情勢の中でも、国内トップクラスの肥料メーカーとして安定供給を果たすべく、在庫リスクがあるものの常時一定量の原料及び製品在庫を確保し、値上がりを見越した駆け込み需要等にも引き続き対応してまいりました。化学品事業においては、化粧品原料において“美と健康”を追求し開発した高機能素材や、海外需要の更なる獲得に向けHALAL認証を取得した製品の営業活動に努めるほか、無機素材において当社独自の技術力を活かし、脱プラスチックやリサイクルに関する環境規制が強まるなか、包材のバリア性向上に資する合成雲母や、有機化処理を施した親油性スメクタイト等、顧客ニーズに沿った素材の機能性創出に注力しております。
その結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は37,431百万円(前年同期比36.1%増)、営業利益3,179百万円(前年同期比335.4%増)、経常利益3,202百万円(前年同期比286.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,145百万円(前年同期比243.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下の通りであります。
肥料事業は、原価に占める原材料費の割合が高いため、原料価格が大きく上昇あるいは下落する会計期間においては、安定供給のため保有している原料及び製品在庫が損益に大きく影響を与えます。当第3四半期連結累計期間については、原料価格高騰に伴う6月及び11月の二度に亘る肥料価格値上がり、及び値上がりを見越した昨年以上の駆け込み需要により、売上高30,744百万円(前年同期比42.8%増)、利益面においては駆け込み需要に加え、肥料価格値上がりに伴う在庫益等により、セグメント利益は3,218百万円(前年同期比304.7%増)となりました。化学品事業は、原料価格高騰による工業用リン酸販売価格の見直し及び飼料の販売が好調に推移したことにより、売上高5,249百万円(前年同期比19.3%増)、セグメント利益は530百万円(前年同期比9.9%増)となりました。不動産事業は、渋谷駅前に有する物件のテナント変更等により賃料収入が増加し、売上高322百万円(前年同期比10.3%増)、セグメント利益は136百万円(前年同期比34.7%増)となりました。その他の事業は、食品農産物の販売及び設備工事等の受注が減少したことにより、売上高2,179百万円(前年同期比5.6%減)、利益面においては販売受託手数料等収入が増加したことにより、セグメント利益は42百万円(前年同期比18.6%増)となりました。
当第3四半期連結会計期間末の資産の合計は54,114百万円となり、前連結会計年度末(以下「前年度末」という。)に比べ11,048百万円増加しました。同じく負債の合計は29,419百万円となり、前年度末に比べ9,371百万円増加し、純資産の合計は24,695百万円となり、前年度末に比べ1,676百万円増加しました。この結果、自己資本比率は前年度末の53.3%から45.5%となり、1株当たり純資産額は前年度末の2,565.65円から2,750.53円となりました。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。また、新たな事業上及び財政上の対処すべき課題は生じておりません。
(3) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は211百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 生産、受注及び販売の実績当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績が著しく増加しております。これは主に、肥料事業の生産高において、燃電力料及び原料価格高騰による製造コストの上昇、及び同事業の売上高において、原料価格高騰に伴う6月及び11月の二度に亘る肥料価格値上がり、及び値上がりを見越した昨年以上の駆け込み需要によるものであります。なお、受注実績について当社グループは、製品の大部分について見込生産方式を採っておりますので、記載しておりません。