【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、感染対策に万全を期し、社会経済活動の正常化が進む中で、個人消費や企業収益に持ち直しの動きがみられました。景気の先行きについては、世界的な金融引き締め等が続く中で、資源価格や原材料価格の高騰、円安による物価の上昇により、依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが属するエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の悪化以降、卸電力市場価格が高水準に推移しており、電力会社の財務状況の悪化や、電力小売価格への一部転嫁によるユーザーの電気料金負担額の上昇等の影響が顕在化しております。
長期的な観点でのエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、2021年6月18日に経済産業省より「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の具体案が公表され、脱炭素社会の実現に向けた現状の課題と今後の取組についての内容が示されました。また2021年10月22日には第6次エネルギー基本計画が閣議決定され、2050年のカーボンニュートラルを実現するために、世界的な脱炭素化に向けた動きの中で、国際的なルール形成を主導し、これまで培ってきた脱炭素技術、新たな脱炭素に資するイノベーションにより国際競争力を高めるためのエネルギー政策の道筋が示されました。グリーン成長戦略の中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、当社のベース市場である電力販売額が約13兆円(注1)へと拡大しており、2050年にはさらに最大40%程拡大し、約18兆円規模となることが見込まれております(注2)。また同基本計画において、電気自動車(EV)を始めとした乗用車の新車販売における電動車比率を2035年までに100%とする目標が掲げられる(注3)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要が高まることが見込まれております。
このような環境のもと、当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」において展開する「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスについて、自社チャネルで培った電力ガス切替プラットフォームのシステムを他社に提供するパートナー戦略の推進や、各種ユーザビリティの向上を目的とした新機能の開発に注力してまいりました。
「エネルギーデータ事業」においては、主に電力ガス事業者向けにクラウド型で提供する、デジタルマーケティング支援SaaS「EMAP(イーマップ = Energy Marketing Acceleration Platform)」及び電力スマートメーターデータ解析SaaS「SMAP(スマップ = Smart Meter Analytics Platform)」等のサービスにつき、継続的な新規機能開発と営業強化に努めてまいりました。とりわけ、電力需給ひっ迫に伴う節電の社会的要請の高まりにより、電力需要家に節電量に応じたインセンティブを提供する、デマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR(注4)」の営業促進に注力しました。
「EV充電事業」においては、「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」の充電インフラ整備事業に対応したチャージ2の積極的な営業展開を実施、同時にセールスを中心とした人員増強を図るなど、新規受注台数の積み上げに注力してまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの経営成績は、売上高2,820,108千円(前年同期比29.0%増)、営業利益△531,855千円(前年同期は営業利益137,758千円)、経常利益△528,740千円(前年同期は経常利益139,600千円)、親会社株主に帰属する四半期純利益△623,191千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益61,914千円)となっております。
なお、営業外収益で、持分法による投資利益14,430千円を計上しております。これは持分法適用関連会社であるJapan Energy Capital 1 L.P.及びJapan Energy Capital 2 L.P.への投資に係るものであります。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より開示情報の充実化を企図して、報告セグメントの区分を変更しており、新たに「EV充電事業」セグメントの経営成績を追加しております。同セグメントの前年同四半期比較については、前年同四半期における実績値がないため記載しておりません。
①エネルギープラットフォーム事業
「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭向けでは引っ越しに伴う電力契約時の獲得強化、法人向けでは新電力コム株式会社のM&A効果及び最終保障契約からの切替促進により、切替件数が堅調に推移し、継続報酬対象ユーザー数は前年同四半期比43.1%増の438,653件となりました。一方で、切替時に提携企業から受領する一時報酬単価の減少の影響により、四半期のARPU(注5)は前年同四半期比44.4%減の1,021円となりました。以上の結果、セグメント売上高は2,086,540千円(前年同期比30.9%増)、セグメント利益は256,547千円(前年同期比13.3%減)となりました。
②エネルギーデータ事業
「エネルギーデータ事業」においては、デジタルマーケティング支援SaaS「EMAP」、電力スマートメーターデータ解析SaaS「SMAP」等の既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入を進めた結果、顧客数は前年同四半期比10.6%増の52社となりました。他方、低単価プロダクトによる新規顧客の開拓により、四半期のARPUは前年同四半期比16.5%減の4,192千円となりました。以上の結果、セグメント売上高は730,675千円(前年同期比23.3%増)、セグメント利益は119,208千円(前年同期比25.0%減)となりました。
③EV充電事業
「EV充電事業」においては、事業の立ち上げと推進のために、エンジニア・セールス人員を中心とした採用の拡大による組織体制の構築や、積極的なマーケティングの実施等先行投資を進め、受注件数を積み上げてまいりました。また、ユーザーの利便性を高めるためのネイティブアプリや、オーナーの利便性を高めるためのダッシュボード等、各種ソフトウェアの開発を進める他、補助金の活用が可能な機器モデルの追加や、オーナーにとっての自社ブランディングが可能となるサービス設計等、事業拡大を見据えた各種施策に取り組んでまいりました。以上の結果、セグメント売上高は2,891千円、セグメント損失は406,510千円となりました。
(注)1.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」の電力販売額より算出。
2.経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2021年6月18日)。
3.経済産業省「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月22日)、電動車は電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)を含む。
4.SMAP DRより名称変更。
5.Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味する。
(2)財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は4,503,443千円となり、前連結会計年度末に比べ1,573,040千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が1,794,126千円減少したことによるものです。
また、当第3四半期連結会計期間末における固定資産は1,581,075千円となり、前連結会計年度末に比べ708,201千円増加いたしました。これは主に投資有価証券が537,758千円増加したことによるものです。
この結果、総資産は、6,084,519千円となり、前連結会計年度末に比べ864,838千円減少いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は1,000,114千円となり、前連結会計年度末に比べ184,775千円減少いたしました。これは主に未払法人税等が123,693千円減少したことによるものです。
この結果、負債合計は、1,997,942千円となり、前連結会計年度末に比べ137,551千円減少いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は4,086,576千円となり、前連結会計年度末に比べ727,286千円減少いたしました。これは主に為替換算調整勘定が68,303千円増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失623,191千円の計上及びその他有価証券評価差額金が155,444千円、収益認識に関する会計基準の適用により期首利益剰余金が64,231千円減少したことによるものです。
この結果、自己資本比率は67.0%(前連結会計年度末は69.2%)となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
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