【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
(当社グループを取り巻く環境)
当第1四半期連結累計期間における我が国経済につきましては、COVID-19の感染症法上の位置づけが5類感染症に引き下げられ、国内の行動制限や海外からの入国制限が緩和されたことにより、個人消費に持ち直しの動きが見られました。一方、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化によりエネルギー価格や資源価格の高止まりに加え、国内における人件費増加や急激な円安等により、物価は高騰しており、国内経済の先行きは不透明な状況が続いております。
エネルギー業界におきましては、世界的に地球温暖化対策への取り組みが、ますます加速する中、再生可能エネルギーや省エネルギーの推進、環境負荷低減に資する商品の提供などが期待されております。
(事業の経緯と成果)
当第1四半期連結累計期間につきましては、2022年10月にグループ会社となった環境開発工業株式会社(以下「環境開発工業」という)の統合効果を最大化させ、当社の企業価値向上を図るため、諸施策を実施致しました。双方向での積極的なコミュニケーションを図り、環境開発工業の営む業務や課題についての理解を更に深めると共に、当社グループにおける環境開発工業の役割についても議論を深め、意欲的な収益・投資計画を策定致しました。当第1四半期累計期間におきましても、当社グループの新たな収益の柱として実績を上げております。また、グループ会社としてのガバナンスにつきましては、各種規程を整備した上で徹底し、人的資本戦略につきましては、会社業績に応じたインセンティブの付与を組み込んだ給与体系を導入するなどして、従業員のモチベーション向上を図ってまいりました。
さらに、当第1四半期連結累計期間から、環境開発工業の取り扱う、CO₂排出量を実質ゼロカウントとみなすことが可能な「再生重油」について、「石油事業」の顧客向けにも販売を開始し、シナジー効果を生み出し始めております。シナジー効果の創出に関しましては、第2四半期以降も深耕していく計画であります。
当社グループが環境負荷低減に資する商品として、かねてより取り組んでおりました、高純度バイオディーゼル「B30燃料」(※1)(以下B30燃料)につきましては、オフロード・オンロードでの実証実験を2023年4月に開始いたしました。B30燃料は、軽油と比較してCO₂排出量を約30%削減することが可能であり、本実証実験において知見とデータを蓄積することにより、消費者の皆様に環境負荷の低減を可能とする商品をお届けできるよう品確法(※2)の登録を目指すものであります。
これら環境負荷低減に資する商品の社会的ニーズは、今後ますます高まることが予想されます。このような社会の要請に応えるため、当社グループは、エネルギーラインナップの拡充や安定供給を図り、エネルギーを取り扱う企業として、低炭素化社会の実現に向けた取り組みに積極的に貢献することにより、当社グループの成長と企業価値向上を目指しております。
※1 B30燃料は、軽油に高純度バイオディーゼル燃料「ReESEL」を30%混合した燃料
※2 品確法:揮発油等の品質の確保等に関する法律
また、セグメント毎の取り組みとして、石油事業におきましては、原油価格や為替、気温の変動などボラティリティの高い外的要因に左右されない安定的な販売基盤を確立するため、石油事業の周辺製品やサービスなどラインナップを拡充し、付加価値を訴求する提案型営業の強化・サポートを目的として、2023年4月より新規製品やサービスの企画及び販売管理等を専門に行う部署を新たに設置いたしました。新規製品の販売やサービスの提供の一部につきましては、すでに成果も出始めており、新規顧客の開拓にも貢献しております。今後も、さらに石油事業との相乗効果を高める提案型営業の拡大を推進してまいります。
ホームエネルギー事業におきましては、お客様へのサービス体制の充実と商品の提案営業により顧客の開拓に努める一方、増加した仕入コストの販売価格への転嫁により収益向上を図ってまいりました。
レンタル事業におきましては、レンタル機械の早期発注により安定導入・確保を図るとともに、きめ細かい営業活動により顧客ニーズを的確に捉え、販売の拡大や新規顧客の開拓に努めてまいりました。
リサイクル事業におきましては、再生重油の原料となる廃油の回収については、新規回収先の開拓と同業他社の事業縮小による回収先の取り込みにより回収先の拡充を図る一方、販売についてもグループ内の顧客への販売拡大に取り組むとともに、高採算販売先の開拓により、得意先ポートフォリオの見直しをすすめてまいりました。
ガバナンスの強化におきましては、サステナビリティ委員会を設置し、基本方針として、「地域のくらしと社会基盤を支えるエネルギーやサービスをお客様に安定的に提供する」という、私たちのミッションに基づく事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値の持続的な向上を目指してまいります。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、石油事業における販売数量の減少と製品販売価格の下落などから前年同期比19億円(12.9%)減少の131億円となりました。損益面では、レンタル事業が好調に推移したことや、新たに環境開発工業が当社グループに加わったことから、売上総利益は、前年同期比136百万円(14.5%)増加の1,081百万円となりました。営業利益は、前年同期比110百万円(172.8%)増加の174百万円となり、経常利益は、前年同期比109百万円(158.2%)増加の178百万円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比60百万円(75.7%)増加の140百万円となりました。
セグメント別の業績の概要は、次のとおりであります。
「石油事業」
石油業界におきましては、ドバイ原油価格が、ロシアのウクライナ侵攻の長期化や産油国の減産維持等の要因によって、期初80ドル/バーレル台と高い水準にありましたが、物価と金利の上昇などから景気悪化による需要減少が懸念されたため、ゆるやかに下落し、当第1四半期連結会計期間末では70ドル/バーレル台となりました。国内の石油製品需要は、当社グループの主力商品である中間三品(灯油・軽油・A重油)は概ね前年並みで推移しました。一方、アスファルトや潤滑油については、前年を大きく下回る低調な動きとなりました。
このような厳しい環境に対応するため、当社グループは、安定的な収益基盤の確立を目的とし、新たに石油事業の周辺製品やサービスなどを活用して付加価値を訴求する提案型営業を開始いたしました。一方、従来型の販売については、販売エリアや販売形態別にきめ細かな価格管理を行い、マージンの改善を目指しましたが、高止まりする仕入価格に対して、マーケットはエネルギーコストに対する強い低減意識が反映されたことにより、計画したマージンレベルの確保には至りませんでした。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は製品販売価格の下落と販売数量の減少から、前年同期比23億円(16.8%)減少の115億円となりました。営業利益はマージンの改善が進まなかったものの、前年に買収による取得関連費用の負担があり、一般管理費が減少したことなどから、前年同期比9百万円増加して54百万円の損失となりました。
第2四半期につきましては、本社の需給・直売機能を強化し、事業所間の取引先の一部を本社に移管することにより販売の効率化を図るとともに、提案型営業の推進と環境開発工業とのシナジー創出に努めてまいります。
なお、石油事業は、冬季に需要が増加する灯油・A重油の販売が中心であるため業績に季節的変動があり、売上高・利益ともに第1・2四半期が少なく、第3・4四半期が多くなる傾向にあります。
「ホームエネルギー事業」
北海道道央地域に営業基盤を有するホームエネルギー事業(LPG・灯油など家庭用燃料小売事業)におきましては、資源価格や物価の高騰による消費者の節約意識の高まりに加え、暖房需要期終盤の春先の暖かさにより、一世帯当たりの家庭用燃料消費量が減少したため、販売数量については苦戦いたしました。一方、COVID-19の感染症法上の位置づけが5類感染症に引き下げられたことにより、感染防止対策と社会経済活動の両立を目指した取り組みが開始されるなど、明るい兆しも見えてきました。
このような経営環境の下、当社グループは対面での事業活動を強化し、サービス活動においては、お客様への点検活動・灯油配送体制を含むアフターサービスに力を注ぎ、サービス体制の充実を図りました。営業活動においては、新規提案営業に力を注いだ結果、新規顧客・新規取扱商品が増加いたしました。また、上昇を続けていた製品仕入価格並びに経費等諸コストの販売価格への転嫁に努めました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は販売価格の上昇、新規顧客の増加により前年同期比15百万円(3.8%)増加の426百万円となりました。営業利益は新規顧客の増加、仕入価格上昇分の販売価格への転嫁などにより前年同期比35百万円(261.3%)増加の49百万円となり、前年実績並びに計画ともに上回り順調に推移しております。
第2四半期につきましては、引き続き各種点検活動、アフターサービスの充実と灯油供給体制の維持に努め、「安全・安心・安定」の供給体制を柱に、きめ細かな新規活動並びに提案活動を展開し収益の拡大を図ってまいります。
「レンタル事業」
北海道道央地域に営業基盤を有する建設機材レンタル事業におきましては、例年に比べ3月の雪解けが早く、事業と関係性の深い公共工事の請負金額は、北海道全体で前年同期比21.8%増、営業基盤のある石狩地区では前年同期比61.1%増となりました。
また、建設機械と車両の導入につきましては、引き続き半導体不足並びに大手自動車メーカーによる排ガス検査数値偽装問題により、納期遅延が発生しております。
このような環境の下で、当社グループは、きめ細かい営業活動により顧客ニーズを的確に捉え、必要とするレンタル建設機材の早期発注をすることにより、安定導入と機材の確保を図るとともに、ラインナップ拡充に努めてまいりました。また、顧客のニーズを最大限取り込む丁寧な営業活動を継続して展開するとともに、新たなセグメントにおける顧客獲得活動を行い、売上高・利益の最大化を目指しました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、前年同期比13百万円(2.8%)増加の506百万円となり、営業利益は、前年同期比3百万円(7.9%)増加して46百万円と、前年実績並びに計画ともに上回り順調に推移しております。
第2四半期につきましても、引き続き顧客のニーズに応える営業活動を展開し、新規顧客の開拓および既存顧客の拡販に努め、収益の拡大を図ってまいります。
「リサイクル事業」
北海道道央地域に営業基盤を有するリサイクル事業におきましては、原油価格の高止まりや世界的なカーボンニュートラルへの動きが加速する中、資源のリサイクルに対する社会要請は一段と高まっており、産業廃棄物業界が静脈産業として、サーキュラーエコノミーに貢献すべき役割の重要性を増しております。
このような環境の下で、資源リサイクル事業においては、有価物売却に影響する金属スクラップ価格は下落したものの、半導体不足により停滞していたOA機器等の更新需要が改善傾向となる中、廃棄物の処理単価改善に取り組みました。オイルリサイクル事業においては、増加した物流コストや人件費等について、再生重油の販売価格への転嫁に取り組む一方、高採算販売先の開拓による得意先ポートフォリオの見直しを進め、再生重油の利益改善に取り組むとともに、原料となる廃油回収先の拡充を図ってまいりました。環境リサイクル事業においては、春先からの油漏洩事故に伴う土壌汚染対策工事の確実な受注に努めてまいりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高は再生重油の販売価格や資源リサイクル事業における処理単価の改善により357百万円となり、一般管理費とのれん並びに無形固定資産の償却額を差し引いた営業利益は66百万円となり、計画利益を若干下回りました。
第2四半期につきましては、資源リサイクル事業における処理単価改善の定着、市場動向を踏まえた有価物の適時売却を実施し、オイルリサイクル事業における廃油の着実な回収および再生重油販売の利益改善に継続して取り組み、環境リサイクル事業での土壌汚染対策工事の受注拡大に努め、収益の拡大を図ってまいります。さらに、多様化、複雑化する産業廃棄物に対応すべく、引き続き技術力の向上を図るとともに、積極的な設備投資と同業他社との連携強化に努めてまいります。
「環境関連事業」
当社グループが取り組んでいる環境関連事業のうち、メガソーラー発電事業につきましては、順調に推移し、ほぼ前年並みの発電量となりました。また、グリーン商品であるアドブルー(※)の販売につきましては、アドブルーを使用するSCR搭載商用車が増加する機会を捉え、ホームセンターなど小売向けの販売を拡大したことなどから、販売数量は前年同期比107%となりました。
一方、阿久根発電所につきましては、投資効率が低いため、2023年1月に売却しております。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、前年同期比11百万円(4.0%)減少の277百万円、営業利益は前年同期比4百万円(6.7%)減少の66百万円となりました。
第2四半期のアドブルー販売につきましては、仕入先との良好な関係を維持・強化し安定供給を確立したうえで、カーショップやホームセンターなど一般顧客向けの販売拡大への取り組みに努めてまいります。
※アドブルー(AdBlue):ディーゼル車の排ガス中の窒素酸化物(NOx)を無害化する「SCRシステム」に使われる高品位尿素水。
(2)財政状態に関する説明
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,153百万円減少し17,130百万円となりました。
この主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少1,077百万円や現金及び預金の減少82百万円などの減少要因の合計額が、有形固定資産の増加72百万円などの増加要因の合計額を上回ったことによるものであります。
また、負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,015百万円減少の7,944百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の減少761百万円や未払法人税等の減少135百万円などの減少要因によるものであります。
純資産合計は、配当金の支払いなどにより利益剰余金が138百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ138百万円減少の9,186百万円となりました。
なお、資産及び負債の減少は、主に季節的変動によるものであります。
また、2022年10月3日に行われた環境開発工業の株式取得による企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当第1四半期連結会計期間に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の金額を用いております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動及び財務活動により使用した資金が、営業活動により増加した資金を上回り、当第1四半期連結会計期間末の資金残高は前連結会計年度末に比べ84百万円減少して2,619百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は252百万円(前年同期は198百万円の使用)となりました。これは売上債権の減少額1,077百万円などの資金増加要因と減価償却費214百万円などの非資金項目の合計額が、仕入債務の減少額932百万円などの資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は59百万円(前年同期は209百万円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出79百万円や無形固定資産の取得による支出14百万円などの資金減少要因の合計額が、有形固定資産の売却による収入36百万円などの資金増加要因の合計額を上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は277百万円(前年同期は565百万円の使用)となりました。これは配当金の支払額276百万円によるものであります。
また、2022年10月3日に行われた環境開発工業の株式取得による企業結合について、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当第1四半期連結会計期間に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の金額を用いております。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当社グループは、経済産業省資源エネルギー庁へ軽油試験研究計画認定申請を行い、この度、経済産業大臣認定を受けたことから、CO₂排出量削減に寄与する軽油代替燃料である高純度バイオディーゼル B30燃料を大型貨物自動車の燃料として使用する日本初の実証試験を2023年4月20日より開始しました。
本実証試験では、これまでのバイオディーゼル燃料に関する情報や車両安全上の不具合事例を踏まえ、大型貨物自動車におけるB30燃料の安全性と燃焼後の排ガス性状を明らかにするため、異なる自動車メーカーの大型貨物自動車2台にB30燃料を使用し、車両に対する影響の有無を調査し、排ガス性状の分析を行います。
当社グループは、B30燃料の供給を皮切りに、今後も環境負荷低減に資するより多くのエネルギーの供給を担い、低炭素社会の実現に向けた取り組みに貢献してまいります。