【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済につきましては、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和以降、個人消費や民間設備投資を中心に緩やかに持ち直してまいりました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化により資源価格が高騰し、インフレ抑制のため世界的な金融引き締めが継続しており、先行きは不透明な状況となっております。
石油業界におきましては、国内需要はコロナ禍による落ち込みから回復の動きがあったものの、石油製品全体では本格的な回復には至らず前年をやや下回る需要となりました。
このような厳しい経営環境の下で、石油事業では、徹底した適正マージンの確保に向けた管理を行い収益の改善を図ってまいりましたが、計画したマージンレベルの確保には至りませんでした。一方、次世代液体エネルギーの供給企業への構造転換に向けた新規顧客の獲得を目的とし、シェア拡大により国内需要を上回る販売に努めてまいりました。また、ホームエネルギー事業では、増加した仕入コストの販売価格への転嫁に努める一方、将来の安定的な収益基盤構築のための新規投資と既存顧客の維持により供給戸数の拡大を図ってまいりました。レンタル事業では、かねてより取り組んでいた大手取引先への拡販政策が実を結び、売上、収益として実績を上積みすることができました。また、きめ細かい営業活動により顧客毎のニーズを捉え、販売に繋げるとともに、レンタル建設機材のラインナップ拡充に力を注いでまいりました。
また、当社グループの長期ビジョンである「お客様が必要とするエネルギーの安定供給と、エネルギーの効率使用や環境負荷の低減に資する商品の提供を通じ、よりよい社会づくりを支える企業でありたい」の実現に向けて、既存事業の周辺領域を念頭に置いた環境負荷低減に資する新たな収益の柱として、10月3日付で北海道北広島市にある環境開発工業株式会社(以下「環境開発工業」という)を当社のグループ会社(子会社)といたしました。北海道は当社グループの確固たる収益基盤を有するエリアであり、環境開発工業が手掛けている再生重油の拡販をはじめ、グループ内の経営資源を活かしたシナジー効果の取り込みに着手しております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、石油事業における原油価格高騰に伴う製品販売価格の上昇により前年同期比77億円(19.2%)増加の481億円となりました。損益面では、レンタル事業の好調などにより、売上総利益は、前年同期比182百万円(6.1%)増加の3,169百万円となりましたが、買収による取得関連費用139百万円の発生やのれんの償却21百万円等の影響もあり、営業利益は前年同期比35百万円(8.9%)減少の359百万円にとどまりました。また、経常利益は、賃貸料の減少等もあり、前年同期比65百万円(14.7%)減少の378百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、受取保険金の増加や前年には公開買付対応費用の計上という特殊事情もあったことから、前年同期比13百万円(5.0%)減少の257百万円となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間における業績の計画対比につきましては、石油事業と環境関連事業で計画を下回ったものの、ホームエネルギー事業、レンタル事業は計画を上回る業績をあげており、新たにグループに加わった環境開発工業の営むリサイクル事業を加えたグループ全体での営業利益は、買収にかかる取得関連費用とのれんの償却を除くと計画どおりに進捗しております。
セグメント別の業績の概要は、次のとおりであります。
「石油事業」
石油業界におきましては、ドバイ原油価格がロシアのウクライナ侵攻による需給ひっ迫懸念と産油国の減産維持等の要因によって、期初から100ドル/バーレルを超える高い水準で推移しておりましたが、9月以降、世界的な需要減少懸念から下落し、第3四半期連結会計期間末では70ドル/バーレル台に下落いたしました。しかしながら、為替は期初の120円/ドル台から上昇を続け第3四半期連結会計期間末ではやや円高に転じましたが、期を通じて円安で推移しました。
国内需要は一部の油種に回復の動きがあったものの、石油製品全体では本格的な回復には至らず前年をやや下回りました。また、当社グループの主力商品の一つである灯油については、前年を大きく下回る低調な動きとなりました。
当社グループの繁忙期となる第3四半期において、主力商品の一つである灯油につきましては、北海道では堅調な販売が出来たものの、その他の地域においては例年に比べ12月中旬まで気温が高く、消費者の節約意識の高まりもあり、需要期にも関わらず需要が伸長せず低調な販売となりました。さらに、社会全体のインフレに対する警戒感が高まる中、エネルギー価格の上昇については受け入れられにくい環境となり、原油価格の上昇局面において、産業用燃料のマーケットは上昇せずに横ばいで推移いたしました。また、原油価格の下落局面においてもマーケットにおいては小売マージンが圧縮する環境が継続いたしました。
このような厳しい環境の中、当社グループは適正マージンの確保を最優先事項として販売に取り組んでまいりましたが、計画したマージンレベルの確保には至りませんでした。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、製品販売価格の上昇等から前年同期比69億円(18.7%)増加の439億円となりました。営業利益はマージンの改善に努めたものの、マーケットにおける小売マージン圧縮の影響を大きく受けたうえ、さらに買収による取得関連費用の負担が加わり、前年同期比219百万円減少して250百万円の損失となりました。
第4四半期以降につきましては、さらなる物価上昇によるインフレの継続が予想され、生活防衛意識の強まりから石油製品市況は一段と厳しい環境となるおそれがあります。当社グループといたしましては、従来から原油価格に連動した仕入価格の変動や気温による需要の急速な変化などにより、石油事業の販売価格は大きな影響を受けることから、事業収益を石油製品自体に依存するだけではなく、コア事業の周辺製品やサービスなどラインナップを拡充し、これらを用いた付加価値を訴求する提案型営業を強化することで、安定した収益を確保できる体制へ収益構造の転換を図ってまいりました。
その施策の一例として、AIシステムを活用した顧客の業務効率化を支援するツール・サービスの販売を開始し、成果も出始めておりましたが、現下の厳しい状況を踏まえ、組織体制の見直しも実施し、収益構造の転換をさらに加速してまいります。
また、新たにグループに加わった環境開発工業が取り扱う再生重油は、廃油から再生されたエネルギーとしてCO2排出量をゼロカウントとみなすことが可能であることから、CO2排出量削減に取り組まれている顧客へ再生重油を供給することにより、グループ全体として販売チャネルの拡大を図り、シナジー効果による事業基盤の強化を実施してまいります。
当社グループは再生重油の取り扱いを皮切りに、環境負荷低減に寄与する商品ラインナップの拡充に努め、エネルギーを取り扱う企業として環境負荷低減に資するエネルギーの供給を担い、これをリサイクル事業と併せて推進することで、低炭素化社会の実現に向けた取り組みに貢献してまいります。
「ホームエネルギー事業」
北海道道央地域に営業基盤を有するホームエネルギー事業(LPG・灯油など家庭用燃料小売事業)におきましては、前年から引き続き主力商品である燃料油の製品仕入価格が上昇し、その後高止まりで推移したことによる販売価格の上昇に消費者の節約志向も加わり、1世帯当たりの消費量が減少いたしました。また、商品、部材、工事費などの諸経費の上昇に加え、コロナ禍による一部商品の品不足や業務委託先の人手不足など厳しい環境が継続しております。
このような経営環境の下、当社グループは、上昇した製品仕入価格の販売価格への転嫁を行い、新規顧客獲得強化と既存顧客の維持により供給戸数の拡大に努めてまいりました。また、将来の収益獲得に向けた新規顧客獲得のための投資やお客様が安全にご利用いただくための保安投資に力を入れてまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は販売価格上昇により前年同期比169百万円(14.5%)増加の1,334百万円となりました。営業利益は増加した仕入コストの転嫁と投資経費の減少などにより前年同期比85百万円増加の70百万円となりました。
第4四半期につきましても、さらなるコスト削減に努めると同時に、上昇している諸経費の販売価格への転嫁を検討してまいります。また、投資効率の良い物件に係る新規顧客の獲得、新規提案による戸建住宅顧客の獲得並びに既存顧客の維持、自社ローリーを活用した灯油の増販などを継続し、供給先顧客と販売数量の増加に努めます。安全面では事故防止対策の徹底、灯油配送体制の強化、業務の再構築など保安投資に力を入れサービスの向上に努めてまいります。
「レンタル事業」
北海道道央地域に営業基盤を有する建設機材レンタル事業におきましては、事業と関係性の深い公共工事受注額が前期と比べて期首から大幅に減少しておりましたが、夏場以降増加に転じてまいりました。
このような環境の下で、当社グループは、公共工事の増加の機会を素早く捉え、レンタル建設機材需要の取り込みに最大限の注力をするとともに、かねてより取り組んでいた大手取引先への拡販政策が実を結び、売上、収益として実績を上積みすることができました。また、きめ細かい営業活動により顧客毎のニーズを捉え、販売に繋げるとともに、レンタル建設機材のラインナップ拡充にも努めてまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、前年同期比204百万円(13.7%)増加の1,694百万円となり、営業利益は、前年同期比59百万円(20.4%)増加の350百万円となりました。
第4四半期につきましては、引き続き新規顧客の獲得と顧客のニーズに沿ったきめ細かい営業活動を継続してまいります。また、例年、冬場は降雪により工事の発注が減少し、レンタル需要も減少する傾向にありますが、除雪需要の取り込みに努めるとともに経費の圧縮を進め、収益の確保を図ってまいります。
「リサイクル事業」
当第3四半期連結会計期間において、当社グループは、北海道道央地域に営業基盤を有するリサイクル事業を営む環境開発工業を子会社化いたしました。リサイクル事業には、潤滑油を主とした廃油を回収・再生し、ボイラー用燃料等に使用される再生重油として再資源化して販売する「オイルリサイクル事業」、廃プラスチック類を回収しRPFとするサーマルリサイクルと製品の原材料として再生利用するマテリアルリサイクルを行う「資源リサイクル事業」、油水分離槽や各種タンクの清掃、汚染土壌浄化等を行う「環境リサイクル事業」が含まれております。なお再生重油は、CO2排出量をゼロカウントとみなすことが可能であるため、ユーザーのCO2排出量削減に貢献しております。
世界的にカーボンニュートラルへの動きが本格化する中、リサイクルすることを前提とした処理方法やリサイクル燃料に対する社会的評価は一段と高まっており、当社グループでは「埋めない・焼かない」を目標としております。当社グループは、低炭素・循環型社会形成のために、リユース・リサイクルの循環処理品目と数量の拡大や新たな処理技術、処理機能の開発・技術習得・深耕拡大に努めるとともに、グループ各社とのシナジー創出に向けた新たな協業について検討を進めております。また、ガバナンス体制の強化・拡充にも取り組んでまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、349百万円となり、営業利益は54百万円となりました。
第4四半期につきましては、「焼かない」をさらに推進するため処理能力の増強や新たな処理方法の確立に向け、具体的な設備投資の検討を進めるとともに、グループ各社とのシナジー創出のため、再生重油の販売チャネルの拡大に向けた検討を加速し、早期の具現化を図ってまいります。
なお、リサイクル事業は季節的変動があり、冬季は廃油を含む廃棄物の排出が夏季に比べ減少し、降雪により回収効率が低下するため売上・利益が少なくなる傾向にあります。
「環境関連事業」
当社グループが取り組んでいる環境関連事業のうち、メガソーラー発電事業につきましては、パネルの経年劣化にともない発電量は前年同期を下回りましたが、計画を上回り順調に発電しております。また、グリーン商品であるアドブルーの販売につきましては、公共工事減少等による需要減少により販売数量が前年同期を下回りました。
当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、アドブルーの仕入コストの増加を販売価格へ転嫁したことにより、前年同期比107百万円(14.8%)増加の831百万円となりましたが、営業利益は、メガソーラー発電事業における設備保全経費の増加により前年同期比14百万円(9.9%)減少の133百万円となりました。
第4四半期のアドブルー販売につきましては、仕入先との良好な関係を維持・強化し安定供給を確立したうえで、更なる新規顧客の獲得に努めてまいります。
※アドブルー(AdBlue):ディーゼル車の排ガス中の窒素酸化物(NOx)を無害化する「SCRシステム」に使われる高品位尿素水。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,114百万円増加の21,118百万円となりました。この主な要因は、新たに当社グループとなった環境開発工業の資産及び負債の受入れとのれん計上によるものであります。科目別では固定資産の増加1,585百万円と受取手形、売掛金及び契約資産の増加1,117百万円などの増加要因の合計額が現金及び預金の減少1,788百万円などの減少要因の合計額を上回ったことによるものであります。
また、負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,597百万円増加の11,831百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の増加1,127百万円と短期借入金の増加530百万円などの増加要因によるものであります。
純資産合計は、配当金の支払いなどにより利益剰余金が489百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ483百万円減少の9,287百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動及び財務活動による資金の使用額が、営業活動による資金の増加額を上回り、当第3四半期連結会計期間末の資金残高は前連結会計年度末に比べ1,827百万円減少して2,210百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は669百万円(前年同期は77百万円の使用)となりました。これは仕入債務の増加額1,046百万円などの資金増加要因と減価償却費594百万円などの非資金項目の合計額が、売上債権の増加額909百万円などの資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は2,246百万円(前年同期は481百万円の使用)となりました。これは子会社株式の取得による支出1,606百万円や有形固定資産の取得による支出555百万円などの資金減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は249百万円(前年同期は1,004百万円の使用)となりました。これは配当金の支払額749百万円などの資金減少要因の合計額が、資金増加要因である短期借入れによる収入500百万円を上回ったことによるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当社グループは、研究開発活動を行っておりません。