【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末現在において判断したものであります。(1) 経営成績当第2四半期連結累計期間における当社グループの経営環境は、中国経済の回復の遅れ等により世界的に鋼材需要・市況は軟化傾向にあるなか、拠点によっては安価な中国材の流入の影響が増すなど、先行き不安が続いております。当社グループの主要製品であるH形鋼等の土木・建築用鋼材需要も総じて低調に推移しておりますが、各拠点において、鋼材マージン維持及びコスト低減等を図ることで収益確保に努めております。なお、円安及び米国金利上昇は当社グループ業績の押上げ要因となっております。
日本におきましては、大型建築案件向けや土木関連などの形鋼需要は底堅いものの、中小建築案件向けの荷動きは低調に推移しております。ヤマトスチールにおきましては、高炉メーカーが鋼板等の製品に注力するなか、新規顧客の開拓や大型サイズの生産・販売強化に製販一体となって取り組むとともに、主力の物件向けH形鋼のサイズエキストラ改定を行うなど販売価格の高値維持に努めております。営業利益につきましては、圧延設備の更新工事を計画的に順次実施している影響もあり、販売数量は減少しましたが、鋼材マージンの改善により、前年同期比で増益となりました。
連結子会社を有するタイ、また持分法適用関連会社を有する米国、バーレーン、サウジアラビア、ベトナム、韓国におきましては、いずれも2023年1月~6月の業績が当第2四半期連結累計期間に反映されます。
タイの連結子会社サイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッド(SYS)におきましては、タイ国内は5月の総選挙後の政治混乱の影響もあり、インフラ投資の遅れなど形鋼需要は低調に推移しました。またASEAN市場では昨年下期以降、安価な中国材の流入が増しており、厳しい競争環境が続いたことで、総販売数量は前年同期比で大幅に減少しました。営業利益につきましては、鉄スクラップ価格の下落もあり鋼材マージンは高水準を維持したものの、販売数量減の影響が大きく、前年同期比で減益となりました。
米国の持分法適用関連会社ニューコア・ヤマト・スチールカンパニー(NYS)におきましては、半導体や電気自動車関連などの大型工場建設案件を中心に形鋼需要は底堅いものの、金融引締めによる経済の先行き不安等により、流通顧客向けは引続き低調であり、一部サイズでは競合他社や輸入材との競争が高まっています。業績につきましては、販売数量の減少により、前年同期比で減益となりましたが、高水準の鋼材マージンを維持しており、引続き高収益を確保しております。
中東の持分法適用関連会社スルブカンパニー(SULB)におきましては、昨年の原油高以降、中東地域の建設活動は回復基調にあり、フル生産状態が続いております。一方、製品及び中間材の販売価格は、前年同期はロシアのウクライナ侵攻による鉄スクラップ価格の高騰等により高値圏で推移しておりましたが、年明け以降、安価な中国材の流入の影響を受け軟化しております。業績につきましては、高い収益を確保しているものの、前年同期比で減益となりました。
ベトナムの持分法適用関連会社ポスコ・ヤマト・ビナ・スチールジョイントストックカンパニー(PY VINA)におきましては、不動産不況が波及し、建設業界全体が低迷しており、また中国製鋼板を加工した建築材との競合も影響し、国内販売数量が伸び悩むなか、輸出強化に努めております。業績につきましては、一定の収益を確保しておりますが、前年同期比で減益となりました。
韓国の持分法適用関連会社ワイケー・スチールコーポレーション(YKS)におきましては、インフレと金利上昇の影響を受け鉄筋需要は落ち込み、販売数量は大幅に減少しました。業績につきましては、鉄スクラップ価格が下落するなか販売価格の維持に努め、高水準の鋼材マージンを確保したものの、前年同期比で減益となりました。なお、前連結会計年度において、YKSを含む韓国の鉄鋼会社が韓国公正取引委員会より課徴金の納付命令を受けた件に関して、2023年4月及び9月に地方自治体等が当該鉄鋼会社に対して損害賠償を求める民事訴訟を提起し、YKS及び当社の連結子会社であるヤマト・コリア・ホールディングスカンパニーリミテッド(YKH)においても訴状(約145億ウォン)を受領したため、当第2四半期連結累計期間に当社グループの損失見込額1,876百万円(持分法による投資利益のマイナス621百万円及び訴訟損失引当金繰入額(特別損失)1,254百万円)を計上しております。なお、YKS及びYKHは答弁書を提出し、反論していく予定です。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」をご参照下さい。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比14,399百万円減の80,373百万円となりました。利益につきましては、営業利益は前年同期比1,563百万円減の7,854百万円、経常利益は前年同期比740百万円減の50,621百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比1,532百万円減の36,342百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。① 鉄鋼事業(日本)大型建築案件向けや土木関連などの形鋼需要は底堅いものの、中小建築案件向けの荷動きは低調に推移しております。ヤマトスチールにおきましては、高炉メーカーが鋼板等の製品に注力するなか、新規顧客の開拓や大型サイズの生産・販売強化に製販一体となって取り組むとともに、主力の物件向けH形鋼のサイズエキストラ改定を行うなど販売価格の高値維持に努めております。営業利益につきましては、圧延設備の更新工事を計画的に順次実施している影響もあり、販売数量は減少しましたが、鋼材マージンの改善により、前年同期比で増益となりました。以上により、当事業の売上高は前年同期比208百万円増の36,507百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比2,452百万円増の5,659百万円となりました。
② 鉄鋼事業(タイ国)タイ国内は5月の総選挙後の政治混乱の影響もあり、インフラ投資の遅れなど形鋼需要は低調に推移しました。またASEAN市場では昨年下期以降、安価な中国材の流入が増しており、厳しい競争環境が続いたことで、総販売数量は前年同期比で大幅に減少しました。営業利益につきましては、鉄スクラップ価格の下落もあり鋼材マージンは高水準を維持したものの、販売数量減の影響が大きく、前年同期比で減益となりました。以上により、当事業の売上高は前年同期比15,410百万円減の38,616百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比4,120百万円減の3,342百万円となりました。
③ 軌道用品事業当事業の売上高は前年同期比772百万円増の3,629百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比403百万円増の450百万円となりました。
④ その他その他の売上高は前年同期比30百万円増の1,620百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比81百万円減の44百万円となりました。
(2) 財政状態当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末比66,830百万円増の581,830百万円となりました。 負債につきましては、前連結会計年度末比3,698百万円増の48,486百万円となりました。 また、純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加、配当金の支払による減少等により、前連結会計年度末比63,132百万円増の533,344百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが60,329百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが6,838百万円増加し、財務活動によるキャッシュ・フローが11,067百万円減少しました。これに資金に係る換算差額の増加14,291百万円を加えた結果、当第2四半期連結会計期間末の資金残高は、前連結会計年度末比70,391百万円増の204,250百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、営業活動による資金の増加は60,329百万円(前年同期は33,468百万円の増加)となりました。これは主に、当第2四半期連結累計期間において、税金等調整前四半期純利益が49,192百万円(前年同期は50,156百万円)及び、利息及び配当金の受取額が58,038百万円(前年同期は35,255百万円)であったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、投資活動による資金の増加は6,838百万円(前年同期は1,924百万円の減少)となりました。これは主に、当第2四半期連結累計期間において、定期預金の払戻による収入が18,330百万円(前年同期は1,422百万円)であったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、財務活動による資金の減少は11,067百万円(前年同期は7,702百万円の減少)となりました。これは主に、当第2四半期連結累計期間において、配当金の支払額による支出が9,509百万円(前年同期は6,340百万円)であったこと等によります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間において研究開発費は発生しておりません。