【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末現在において判断したものであります。(1) 経営成績当第3四半期連結累計期間における当社グループの経営環境は、世界的な資源価格の高騰や中国経済減速の影響等により、世界的な鋼材需要・市況の落込みが見られました。しかしながら、当社グループの主要製品であるH形鋼等の土木・建築用鋼材は、主原料の鉄スクラップ価格が4月をピークに値下げに転じるなか、当社がグローバルに事業を展開している国・地域のうち、自国の需要が堅調であった米国・日本では需給が引き締まった状態が続き、鋼材マージンの改善により業績は順調に推移しましたが、ASEAN地域では下期以降、中国経済減速の影響が出てきております。
日本におきましては、都市再開発や物流施設、半導体工場などの大型建築案件を中心に形鋼需要は堅調に推移しております。ヤマトスチールにおきましては、高炉メーカーが鋼板等の製品に注力するなか、新規顧客の開拓や物件向け販売強化に製販一体となって取り組んでおり、主力の物件向けH形鋼を中心に受注量を確保し、販売数量は前年同期比で増加しました。営業利益につきましては、5月以降下落基調であった鉄スクラップ市況は8月に底を打った後、上昇基調をたどっており、エネルギー価格の高騰も続いておりますが、販売価格の押上げに努め、鋼材マージンが改善したことで、前年同期比で増益となっております。
連結子会社を有するタイ、また持分法適用関連会社を有する米国、バーレーン、サウジアラビア、ベトナム、韓国におきましては、いずれも2022年1月~9月の業績が当第3四半期連結累計期間に反映されます。
タイのサイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッドにおきましては、タイ経済はコロナ禍から回復基調にあるものの、建設資材価格の高止まり等により、大規模公共投資の一部先延ばしの動きも出てきております。また鉄スクラップ価格の下落に伴い、鋼材市況の先安を見越した顧客による買い控えの動きが見られるなど、国内販売数量は前年同期比で減少しました。輸出市場ではASEAN域内の建設活動が回復傾向にあるなか、中国・韓国製品の流入が比較的低水準であった上期において販売数量を伸ばしましたが、下期に入り、競争環境が徐々に厳しくなっております。営業利益につきましては、販売数量は減少したものの、昨年下期から今年上期にかけて、輸出市場における競争環境の緩和状態が続いたことに加え、段階的に販売価格への転嫁を行い、高水準の鋼材マージン維持に努めた結果、前年同期比で増益となっております。
米国の持分法適用関連会社におきましては、米国経済はウクライナ情勢や中国経済減速の影響は他地域に比べ限定的である一方、インフレが景気の押し下げ要因となっておりますが、良好な雇用環境が続く等、底堅く推移しました。形鋼市場の非住宅建設需要は堅調に推移し、需給が引き締まった状態が続いております。鉄スクラップ市況の下落等により、鋼板等の市況が軟化し、形鋼市況にも影響が出てきておりますが、高水準の鋼材マージンを維持しており、業績につきましては、前年同期比で大幅な増益となっております。
バーレーンの持分法適用関連会社スルブカンパニーBSC(c)におきましては、国際的に鉄スクラップ市況が上昇基調の間、鋼材市況の先高を見越した顧客からの引き合いが大幅に増加したことに加え、鉄鋼製品・中間材の販売価格は高値で推移したことにより、収益環境は大幅に改善しました。鉄スクラップ市況が下落基調になった局面でも輸出を含めた販売面の強化により、販売数量を確保しており、業績につきましては、前年同期比で大幅な増益となっております。
ベトナムの持分法適用関連会社ポスコ・ヤマト・ビナ・スチールジョイントストックカンパニーにおきましては、新型コロナウイルス関連の規制撤廃後、経済活動の回復に伴い形鋼需要も徐々に増加しておりましたが、中国経済減速の影響を受け、回復ペースは鈍化しており、下期に入り、販売数量は伸び悩んでおります。業績につきましては、鋼材マージンは改善したものの販売数量の減少により、前年同期比で減益となっております。なお、2022年8月に中国からの輸入H形鋼に対するアンチダンピング関税(22.09%~33.51%)の5年間延長措置が決定されております。
韓国の持分法適用関連会社ワイケー・スチールコーポレーション(以下、YKS)におきましては、住宅供給拡大政策により鉄筋需要は比較的堅調に推移しておりましたが、徐々にインフレと金利上昇の影響を受けております。業績につきましては、前年同期比で販売数量は減少したものの、販売価格の押上げは進み、高水準の鋼材マージンが確保され、営業利益ベースでは増益となっております。なお、前連結会計年度において、YKSが韓国公正取引委員会より審査報告書を受領しておりました件につきまして、当上期に追加費用1,791百万円(持分法による投資利益のマイナス593百万円及び公正取引法関連損失引当金繰入額(特別損失)1,197百万円)を計上しております。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」をご参照下さい。
上記に加え、営業外収益では、当社が保有する外貨建資産(関係会社貸付金等)の評価替えにおいて、2022年12月末の為替レートが円安に動いたことに起因した為替差益を計上しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比31,413百万円増の139,120百万円となりました。利益につきましては、営業利益は前年同期比5,041百万円増の13,573百万円、経常利益は前年同期比33,164百万円増の72,787百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比25,316百万円増の53,140百万円となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりです。① 鉄鋼事業(日本)都市再開発や物流施設、半導体工場などの大型建築案件を中心に形鋼需要は堅調に推移しております。ヤマトスチールにおきましては、高炉メーカーが鋼板等の製品に注力するなか、新規顧客の開拓や物件向け販売強化に製販一体となって取り組んでおり、主力の物件向けH形鋼を中心に受注量を確保し、販売数量は前年同期比で増加しました。営業利益につきましては、5月以降下落基調であった鉄スクラップ市況は8月に底を打った後、上昇基調をたどっており、エネルギー価格の高騰も続いておりますが、販売価格の押上げに努め、鋼材マージンが改善したことで、前年同期比で増益となっております。以上により、当事業の売上高は前年同期比14,669百万円増の55,538百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比4,816百万円増の6,235百万円となりました。
② 鉄鋼事業(タイ国)タイ経済はコロナ禍から回復基調にあるものの、建設資材価格の高止まり等により、大規模公共投資の一部先延ばしの動きも出てきております。また鉄スクラップ価格の下落に伴い、鋼材市況の先安を見越した顧客による買い控えの動きが見られるなど、国内販売数量は前年同期比で減少しました。輸出市場ではASEAN域内の建設活動が回復傾向にあるなか、中国・韓国製品の流入が比較的低水準であった上期において販売数量を伸ばしましたが、下期に入り、競争環境が徐々に厳しくなっております。営業利益につきましては、販売数量は減少したものの、昨年下期から今年上期にかけて、輸出市場における競争環境の緩和状態が続いたことに加え、段階的に販売価格への転嫁を行い、高水準の鋼材マージン維持に努めた結果、前年同期比で増益となっております。以上により、当事業の売上高は前年同期比17,032百万円増の76,127百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比961百万円増の9,231百万円となりました。
③ 軌道用品事業当事業の売上高は前年同期比662百万円減の4,727百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比335百万円減の194百万円となりました。 ④ その他その他の売上高は前年同期比374百万円増の2,726百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比84百万円減の38百万円となりました。
(2) 財政状態当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末比117,116百万円増の532,045百万円となりました。 負債につきましては、前連結会計年度末比8,762百万円増の48,005百万円となりました。また、純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加、配当金の支払による減少の他、為替換算調整勘定が増加したこと等により、前連結会計年度末比108,353百万円増の484,040百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが40,793百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが9,929百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローは16,837百万円減少いたしました。これに資金に係る換算差額の増加25,361百万円を加えた結果、当第3四半期連結会計期間末の資金残高は、前連結会計年度末比39,388百万円増の134,855百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第3四半期連結累計期間において、営業活動による資金の増加は40,793百万円(前年同期は4,865百万円の増加)となりました。これは主に、当第3四半期連結累計期間において、税金等調整前四半期純利益が71,555百万円(前年同期は39,597百万円)及び、利息及び配当金の受取額が41,874百万円(前年同期は14,483百万円)であったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第3四半期連結累計期間において、投資活動による資金の減少は9,929百万円(前年同期は71,343百万円の増加)となりました。これは主に、当第3四半期連結累計期間において、有価証券の取得による支出が4,000百万円(前年同期は21百万円)及び、有形固定資産の取得による支出が2,398百万円(前年同期は2,630百万円)であったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第3四半期連結累計期間において、財務活動による資金の減少は16,837百万円(前年同期は15,537百万円の減少)となりました。これは主に、当第3四半期連結累計期間において、配当金の支払額による支出が14,998百万円(前年同期は6,136百万円)であったこと等によります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は15百万円であります。