【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末現在において判断したものであります。(1) 経営成績当第2四半期連結累計期間における当社グループの経営環境は、ウクライナ情勢の長期化による世界的な資源の価格高騰や中国のゼロコロナ政策の継続及び不動産不況による景気停滞等により、世界的な鋼材需要・市況の落込みが見られました。しかしながら、当社グループの主要製品であるH形鋼等の土木・建築用鋼材は、当社が事業を展開している国・地域によって状況は異なるものの、主原料の鉄スクラップ価格が4月をピークに値下げに転じるなか、自国の需要が堅調であった米国・日本を中心に、総じて需給が引き締まった状態が続き、鋼材マージンの改善により業績は順調に推移しました。
日本におきましては、中小建築案件が建設資材価格高騰の影響により低調であるものの、都市再開発や物流施設、半導体工場などの大型建築案件を中心にH形鋼等の需要は底堅く推移しております。ヤマトスチールにおきましては、昨年より高炉メーカーが鋼板等の製品に注力するなか、新規顧客の開拓や物件向け販売強化に製販一体となって取り組んでおり、主力の物件向けH形鋼を中心に受注は堅調に推移し、販売数量は前年同期比で増加しました。営業利益につきましては、5月以降値下げ基調であった鉄スクラップ市況は8月に底を打ち、エネルギー価格は上昇基調が続いているものの、販売価格の押上げにより、鋼材マージンが改善し、前年同期比では増益となっております。
連結子会社を有するタイ、また持分法適用関連会社を有する米国、バーレーン、サウジアラビア、ベトナム、韓国におきましては、いずれも2022年1月~6月の業績が当第2四半期連結累計期間に反映されます。
タイのサイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッドにおきましては、大規模公共投資を中心にコロナ禍からの回復の兆しはあるものの、タイ国内のH形鋼等の需要は力強さを欠いております。また、鉄スクラップ価格の下落に伴い、鋼材市況の先安を見越した顧客による買い控えの動きが見られ、販売数量は伸び悩みました。一方、輸出市場ではASEAN域内の建設活動が回復傾向にあるなか、中国・韓国製品の流入が比較的低水準であったことから販売数量は前年同期比で増加しました。営業利益につきましては、昨年下期以降、輸出市場における競争環境の緩和状態が続いたことに加え、鉄スクラップ価格及び諸コスト上昇を受け、段階的に販売価格への転嫁を行い、高水準の鋼材マージン維持に努めた結果、前年同期比では増益となっております。
米国の持分法適用関連会社におきましては、米国経済はウクライナ情勢や中国経済減速の影響は他地域に比べ限定的であったものの、インフレの影響など先行き不安が広がりつつあります。米国内でも鋼板等の市況は軟化傾向にあるものの、形鋼市場の非住宅建設需要は堅調に推移し、需給が引き締まった状態が続いており、販売価格の値上げが顧客に受け入れられる状況が継続しました。業績につきましては、鋼材マージンの拡大により前年同期比で大幅な増益となっております。
バーレーンの持分法適用関連会社スルブカンパニーBSC(c)におきましては、国際的に鉄スクラップ市況が上昇基調の間、鋼材市況の先高を見越した顧客からの引き合いが大幅に増加したこと等により、販売数量は高水準で推移しました。また、主原料である鉄鉱石価格の上昇幅が鉄スクラップ価格に比べ限定的であった一方、鉄鋼製品・中間材の販売価格は高値で推移したことで、業績につきましては、前年同期比で増益となっております。
ベトナムの持分法適用関連会社ポスコ・ヤマト・ビナ・スチールジョイントストックカンパニーにおきましては、新型コロナウイルス感染症対策のロックダウン措置が昨年10月に解除された後、経済回復の兆しが見られましたが、中国経済減速の影響を受け、回復ペースは鈍化しており、鋼材需要も低調に推移しました。業績につきましては、鋼材マージンの改善により一定の収益を確保したものの、前年同期比で減益となっております。
韓国の持分法適用関連会社ワイケー・スチールコーポレーション(以下、YKS)におきましては、住宅供給拡大政策により鉄筋需要は比較的堅調に推移しました。底堅い需要に支えられ、販売価格の押上げが進み、高水準の鋼材マージンが確保されました。業績につきましては、営業利益ベースでは前年同期比で増益となっております。なお、前連結会計年度において、YKSが韓国公正取引委員会より審査報告書を受領しておりました件につきましては、当第2四半期連結累計期間において、韓国公正取引委員会による最終審議内容を受けて、追加損失見込額として1,773百万円(持分法による投資利益のマイナス587百万円及び公正取引法関連損失引当金繰入額(特別損失)1,185百万円)を引当てております。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」をご参照下さい。
上記に加え、営業外収益では、当社が保有する外貨建資産(関係会社貸付金等)の評価替えにおいて、2022年9月末の為替レートが円安に動いたことに起因した為替差益を計上しております。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比27,080百万円増の94,773百万円となりました。利益につきましては、営業利益は前年同期比5,663百万円増の9,417百万円、経常利益は前年同期比30,244百万円増の51,361百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比23,032百万円増の37,875百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。① 鉄鋼事業(日本)中小建築案件が建設資材価格高騰の影響により低調であるものの、都市再開発や物流施設、半導体工場などの大型建築案件を中心にH形鋼等の需要は底堅く推移しております。ヤマトスチールにおきましては、昨年より高炉メーカーが鋼板等の製品に注力するなか、新規顧客の開拓や物件向け販売強化に製販一体となって取り組んでおり、主力の物件向けH形鋼を中心に受注は堅調に推移し、販売数量は前年同期比で増加しました。営業利益につきましては、5月以降値下げ基調であった鉄スクラップ市況は8月に底を打ち、エネルギー価格は上昇基調が続いているものの、販売価格の押上げにより、鋼材マージンが改善し、前年同期比では増益となっております。以上により、当事業の売上高は前年同期比11,375百万円増の36,299百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比2,701百万円増の3,206百万円となりました。
② 鉄鋼事業(タイ国)大規模公共投資を中心にコロナ禍からの回復の兆しはあるものの、タイ国内のH形鋼等の需要は力強さを欠いております。また、鉄スクラップ価格の下落に伴い、鋼材市況の先安を見越した顧客による買い控えの動きが見られ、販売数量は伸び悩みました。一方、輸出市場ではASEAN域内の建設活動が回復傾向にあるなか、中国・韓国製品の流入が比較的低水準であったことから販売数量は前年同期比で増加しました。営業利益につきましては、昨年下期以降、輸出市場における競争環境の緩和状態が続いたことに加え、鉄スクラップ価格及び諸コスト上昇を受け、段階的に販売価格への転嫁を行い、高水準の鋼材マージン維持に努めた結果、前年同期比では増益となっております。以上により、当事業の売上高は前年同期比16,546百万円増の54,026百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比3,552百万円増の7,463百万円となりました。
③ 軌道用品事業当事業の売上高は前年同期比829百万円減の2,857百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比344百万円減の47百万円となりました。
④ その他その他の売上高は前年同期比12百万円減の1,589百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比13百万円増の126百万円となりました。
(2) 財政状態当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末比92,477百万円増の507,406百万円となりました。 負債につきましては、前連結会計年度末比6,304百万円増の45,546百万円となりました。 また、純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加、配当金の支払による減少の他、為替換算調整勘定が増加したこと等により、前連結会計年度末比86,173百万円増の461,860百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが33,468百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが1,924百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが7,702百万円減少しました。これに資金に係る換算差額の増加19,070百万円を加えた結果、当第2四半期連結会計期間末の資金残高は、前連結会計年度末比42,912百万円増の138,379百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、営業活動による資金の増加は33,468百万円(前年同期は4,248百万円の増加)となりました。これは主に、当第2四半期連結累計期間において、税金等調整前四半期純利益が50,156百万円(前年同期は21,097百万円)及び、利息及び配当金の受取額が35,255百万円(前年同期は11,175百万円)であったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、投資活動による資金の減少は1,924百万円(前年同期は24,271百万円の増加)となりました。これは主に、当第2四半期連結累計期間において、有形固定資産の取得による支出が1,470百万円(前年同期は2,204百万円)であったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、財務活動による資金の減少は7,702百万円(前年同期は7,654百万円の減少)となりました。これは主に、当第2四半期連結累計期間において、配当金の支払額による支出が6,340百万円(前年同期は2,616百万円)であったこと等によります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は15百万円であります。