【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類移行により行動制限が緩和され、個人消費やインバウンド需要の回復などから経済活動は緩やかな回復が続きましたが、ウクライナ情勢の長期化、円安基調、原材料やエネルギー価格の高止まりといった様々な下振れリスクが残り、景気の動向は依然として不透明で厳しい状況が続いております。このような経済環境の中、当社グループが属するIT業界は、生成AIの登場に代表されるように新しい技術・サービスが常に生まれてくる業界となっています。業界を問わず各社にデジタル化の波が押し寄せる中、当社グループが得意とする人工知能(AI)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用・推進は、第1四半期から変わらず活況を呈しております。反面懸念材料としては、生成AIの活用方法によって発生の可能性がある権利侵害や情報漏えい、ITエンジニアを含むデジタル人材の不足が懸念されております。当第3四半期連結累計期間におきましては、特定の業界に特化することなく幅広い業界からAIソリューション事業への需要が拡大しており、当社グループの強みである一気通貫モデルの案件が複数並行で推進されております。
AIインテグレーションサービス 当社グループでは、第2四半期から生成AIに対するGPTサービスラインナップを徐々に拡充してきたことで、IoTを活用したエッジAI案件に加えて、顧客企業が保有している業務情報を活用した生成AI案件の受注が増加しております。建設業界、リテール業界に加えて製造業界や医療業界など幅広い業界から受注を獲得しており、AIインテグレーションサービス売上高は719,209千円(前年同期比148.4%増)となりました。顧客の要望に合わせたカスタマイズ開発を行うことでより業務にフィットしたAIソリューションを提供しております。顧客が社内利用するための生成AI導入に留まらず、顧客が外販していくためのサービスへ生成AIを利用するプロジェクトも始まっており、「生成AIプロジェクトラボ」では生成AIのハンズオン研修やアイデアハッカソンを行い顧客企業のデジタル人材育成や内製化支援も実施しております。
DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス スマートフォンアプリや顧客が提供するプラットフォームサービスの構築など、Microsoft Azureを中心としたクラウドサービスのシステム開発は、1案件あたりの売上規模が大きくなっていることもあり、3期連続で過去最高の売上高を記録しております。当第3四半期のDXサービス売上高は832,431千円(前年同期比44.4%増)となりました。旧来からの一般的なシステム開発に加えて、コンサルティング業務やプロジェクト支援業務による売上比率も徐々に増加しており、単価の押し上げと並行してパートナー推進チームの拡充や顧客企業の選択と集中を行いながら、売上総利益率の改善に努めております。
プロダクトサービス当第3四半期は、生成AI活用プラットフォーム「SyncLect Generative AI」を提供開始したほか、Azure MarketplaceでチャットボットサービスやPower Platformワークショッププランの提供を始めております。Microsoft 365を利用しているエンタープライズ系の顧客を中心に、効率化・内製化の支援を行うことで新規顧客からの問い合わせやマイクロソフト社からの紹介案件も安定的に獲得できております。その結果、プロダクトサービス売上高は79,037千円(前年同期比3.4%増)となりました。
OPSサービス AI、DXで実施される案件の運用保守を行いながら、随時採算性の悪い複数の案件を整理した影響により、当第3四半期連結累計期間のOPSサービス売上高は155,821千円(前年同期比24.7%増)となりました。当第3四半期においては、運用保守業務の引き継ぎに伴って一時的なコスト増となったほか、AIやDX案件に社員を集中させたことでパートナーへの依存度が高くなり生産原価を押し上げた結果、売上総利益率の改善が課題となっております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は1,786,500千円(前年同期比67.4%増)、営業利益は84,399千円(前年同期比247.7%増)、経常利益は85,581千円(前年同期比331.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は53,801千円(前年同期比353.1%増)となりました。当社グループでは、AIを活用し更なる顧客サービスの実現を目指すAIソリューション事業の単一セグメントで推進しております。
(2) 財政状況の分析(資産)当第3四半期連結会計期間末の総資産は、1,312,032千円となり、前連結会計年度末と比較して142,790千円の増加となりました。流動資産は1,241,851千円となり、前連結会計年度末と比較して138,747千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が129,986千円減少したものの、売掛金及び契約資産が249,587千円、仕掛品が6,738千円、前払費用が7,933千円増加したことによるものであります。固定資産は前連結会計年度末と比較して4,042千円増加し、70,180千円となりました。主な要因は、無形固定資産が2,255千円減少したものの、有形固定資産が6,696千円増加したことによるものであります。
(負債)当第3四半期連結会計期間末における負債合計は369,517千円となり、前連結会計年度末と比較して75,718千円の増加となりました。主な内訳は、買掛金が24,766千円、未払費用が20,193千円、未払消費税等が15,242千円、契約負債が5,101千円増加したことによるものであります。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は942,514千円となり、前連結会計年度末と比較し67,071千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が53,801千円増加したことによるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は11,305千円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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