【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、依然としてロシアによるウクライナ侵攻等の諸問題の先行き不透明感があるものの、世界的に新型コロナ禍から経済活動正常化へ向かいつつあり景況感は緩やかに持ち直しました。その一方で記録的なインフレを抑制するため、各国の中央銀行が利上げを行っていることや中国の不動産問題もあり、年後半以降の景気後退懸念が強まりました。
このような環境下、国内株式市場において、日経平均株価は期初28,203.35円で始まりました。賃金と物価の好循環期待、東証による低PBR改善に向けた経営改革の要請、世界的な金融引き締め局面のなかで日銀が金融緩和路線の継続方針を示していることなどを背景に日経平均株価は断続的に上昇し、6月19日には高値33,772.89円まで上昇する場面がありました。ETFの分配金捻出の売りなどにより、日経平均株価は7月12日に31,791.71円まで下落しましたが、米国の利上げ打ち止め観測が強まったことから海外投資家の買いが膨らんで上昇し、8月1日には33,488.77円を付けました。8月に入ると米国債の格下げや中国の不動産市場への懸念が高まったこと等があり、8月18日には31,275.25円まで下落しました。米ジャクソンホール会議通過後に米国の利上げへの警戒感は和らぎ、米中の経済統計の好調などを背景に上昇し、9月15日には33,634.31円を付けましたが、下旬にかけて米国の金融引締めが長期化するとの見方から米10年国債利回りが急上昇し、9月末の日経平均株価は31,857.62円で取引を終了しました。
米国株式市場において、主要株価指数であるダウ工業株30種平均は期初33,245.78米ドルで始まりました。一部 地方銀行の経営破綻や政府債務上限問題などを背景にリスク回避の地合いが続き、5月25日にダウ工業株30種平均 は32,586.56米ドルを付けました。その後、銀行救済のための買収が決定し、債務上限適用停止法案の成立等もあ り、徐々に不安が後退し、戻りを試す展開となりました。好調な企業業績の発表が続いたこともあり上昇を続け、 8月1日にダウ工業株30種平均は高値35,679.13米ドルを付けました。以後、大手格付け会社が米国債の格付けを 最上級から一段階引き下げたこと、金融引き締めの長期化が景気を冷やすとの懸念から、ダウ工業株30種平均は再 び下落基調となり9月末のダウ工業株30種平均は33,507.50米ドルで取引を終了しました。
当社が注力している中国・香港株式市場においては、主要株価指数であるハンセン指数は期初20,379.50ポイントで始まり、概ね下落基調が続きました。4月に発表された3月の経済指標が予想を下回って以降、経済指標が予想を下回る月が多く、特に7月の小売売上高は前年同月比+2.5%と、コロナ禍以降で最低の伸びとなりました。また、同月の消費者物価指数は前年同期比△0.3%になるなどデフレ懸念も生じました。不動産部門では、政府の住宅取引規制の緩和等にもかかわらず住宅販売の減少が続き、大手不動産会社の信用不安問題が高まりました。このように景気減速や債務不履行問題に対する懸念が高まったことから、金融当局は2回の利下げを含む金融緩和を実施しました。また、対外関係では、米中関係は対話が進みつつありますが、EUは中国製電気自動車の補助金に対する調査を開始したこともあり、経済摩擦が高まり、9月末のハンセン指数の終値が17,809.66ポイントと、ほぼ安値引けとなりました。
このような状況のもと、当第2四半期連結累計期間の当社グループの業績は、相場環境が好転したことにより、日本株、米国株、投資信託の手数料が増加しました。その結果、営業収益は57億9百万円(前年同四半期比40.1%増)、経常利益は5億51百万円(前年同四半期は10億24百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4億72百万円(前年同四半期は10億60百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)と前年同期と比較して改善しました。
なお、主な内訳は以下のとおりであります。
①受入手数料
受入手数料の合計は45億33百万円(前年同四半期比33.5%増)になりました。科目別の概況は以下のとおりであります。
(委託手数料)
当第2四半期連結累計期間の東証の1日平均売買代金は4兆2,205億円(前年同四半期比23.4%増)になりました。当社の国内株式委託売買代金は4,271億円(前年同四半期比20.6%増)、外国株式委託売買代金は260億円(前年同四半期比17.0%増)になりました。その結果、当社グループの委託手数料は18億36百万円(前年同四半期比36.4%増)になりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は株式の引受高の減少により6百万円(前年同四半期比54.2%減)になりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)
主に証券投資信託の販売手数料で構成される募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は株式投資信託の募集金額が598億円(前年同四半期比67.1%増)に増加したため16億7百万円(前年同四半期比63.1%増)になりました。
(その他の受入手数料)
証券投資信託の代行手数料が中心のその他受入手数料は株式投資信託の預り資産の平均残高が2,731億円(前年同四半期比5.0%増)に増加したため10億84百万円(前年同四半期比3.3%増)になりました。
②トレーディング損益
トレーディング損益は米国株店頭取引売買代金の増加等により株券等が7億41百万円(前年同四半期比90.7%増)、外国債券の売買損益の増加等により債券等が42百万円(前年同四半期は△0百万円)、中国株取引に係る為替手数料の減少等によりその他が1億15百万円(前年同四半期比23.4%減)で合計8億99百万円(前年同四半期比66.9%増)になりました。
③金融収支
金融収益は受取利息の増加等により2億45百万円(前年同四半期比114.2%増)、金融費用は信用取引費用の増加等により64百万円(前年同四半期比8.0%増)で差引金融収支は1億81百万円(前年同四半期比229.2%増)になりました。
④販売費・一般管理費
販売費・一般管理費は、減価償却費が26百万円(前年同四半期比88.8%減)となったものの業績の回復により賞与引当金繰入等が増加したため人件費が27億46百万円(前年同四半期比7.0%増)により合計で52億18百万円(前年同四半期比2百万円増)になりました。
⑤営業外損益
営業外収益は投資有価証券配当金の減少等により1億93百万円(前年同四半期比14.2%減)、営業外費用は子会社の為替差損の減少等により11百万円(前年同四半期比5.0%減)で差引損益は1億81百万円(前年同四半期比14.8%減)になりました。
⑥特別損益
特別利益は投資有価証券売却益等により1億3百万円(前年同四半期比239.2%増)、特別損失は投資有価証券売却損により44百万円(前年同四半期比420.3%増)、差引損益は58百万円(前年同四半期比168.6%増)になりました。
⑦資産の状況
資産合計は766億79百万円と前連結会計年度末に比べ104億88百万円の増加になりました。主な要因は、現金・預金が53億80百万円、顧客分別金信託が26億33百万円増加したことによるものであります。
⑧負債の状況
負債合計は408億46百万円と前連結会計年度末に比べ88億56百万円の増加になりました。主な要因は、その他の預り金が43億15百万円、顧客からの預り金が22億93百万円増加したことによるものであります。
⑨純資産の状況
純資産合計は358億32百万円と前連結会計年度末に比べ16億31百万円の増加になりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が12億2百万円、利益剰余金が3億5百万円増加したことによるものであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物の四半期末残高は280億66百万円と前年同四半期末に比べ14億35百万円の減少になりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、立替金及び預り金の増減額61億7百万円(前年同四半期比45億36百万円の増加)、顧客分別金信託の増減額△21億24百万円(前年同四半期比34億87百万円の減少)、約定見返勘定の増減額△11億23百万円(前年同四半期比11億94百万円の減少)、有価証券担保借入金の増減額18億20百万円(前年同四半期比13億44百万円の増加)、税金等調整前四半期純利益又は税金等調整前四半期純損失(△)6億10百万円(前年同四半期比16億12百万円の増加)等により57億99百万円(前年同四半期比47億66百万円の増加)になりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入15億49百万円(前年同四半期比15億45百万円の増加)等により17億48百万円(前年同四半期比23億29百万円の増加)になりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出△20億円(前年同四半期の計上はありません)、短期借入金の純増減額9億50百万円(前年同四半期の計上はありません)、配当金の支払額△1億66百万円(前年同四半期比3億33百万円の増加)等により△12億2百万円(前年同四半期比8億4百万円の減少)になりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」中の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「株式会社の支配に関する基本方針」について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
該当事項はありません。
(8)従業員数
著しい増減はありません。
(9)生産、受注及び販売の実績
当社グループの主たる事業区分は、「投資・金融サービス業」という単一の事業セグメントに属しており、当該箇所において記載できる情報がないことから、当該業務の収益の状況等については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
(10)主要な設備
著しい変更はありません。
(11)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの営業収益は、中核事業が金融商品取引業であることから国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受けるため、不安定な状況にあります。そのため、現在、預り資産の残高拡大を中心に顧客基盤の拡充を通して得られる安定的な収益の確保を目指しております。
(12)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが、立替金及び預り金の増加等により57億99百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが、定期預金の払戻による収入等により17億48百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが、長期借入金の返済等により12億2百万円の支出となりました。
この結果、当社グループの現金及び現金同等物の四半期末残高は前連結会計年度末に比べ67億20百万円増加の280億66百万円となり、十分に資金の流動性が確保されております。
また、不測の事態に備えるため、当社は取引銀行11行それぞれと当座貸越契約、連結子会社は取引銀行1行と当 座貸越契約を締結しております。このほか、緊急時対応についてもコンティンジェンシープランを策定し、全社的 な緊急時対応体制を構築しております。
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