【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結累計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態に関する説明
(資産)
流動資産は18,798百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,382百万円の増加となりました。これは、販売用不動産が4,486百万円増加し、現金及び預金が1,153百万円減少したことなどによります。現金及び預金の比率が高い理由は、ADVANTAGE CLUB販売時に何らかの経済危機が発生し、不動産在庫リスクが発生する場合に備え、継続的に経営を維持できるよう保守的な財務運営によるものであります。但し、ADVANTAGE CLUB用の不動産仕入については、不動産の仕入決済時にADVANTAGE CLUBを組成するなど不動産在庫リスクを極力発生させない方針を継続しております。
固定資産は6,183百万円となり、前連結会計年度末に比べて157百万円の減少となりました。これは、繰延税金資産が130百万円減少したことなどによります。
これらにより、資産合計は24,982百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,224百万円の増加となりました。
(負債)
流動負債は8,527百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,385百万円の増加となりました。これは、短期借入金が4,200百万円増加し、未払金が430百万円、未払法人税等が347百万円、それぞれ減少したことなどによります。なお、短期借入金のうち4,000百万円はSTO組成用の不動産の取得資金として6月末に借入を行っておりますが、当該不動産の売却に伴い、7月末に返済しております。現金及び預金比率の維持のため、機動的な資金調達を行っております
固定負債は7,786百万円となり、前連結会計年度末に比べて508百万円の減少となりました。これは、長期借入金が633百万円減少したことなどによります。
これらにより、負債合計は16,314百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,877百万円の増加となりました。
(純資産)
純資産合計は8,667百万円となり、前連結会計年度末に比べて347百万円の増加となりました。これは、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益により832百万円増加し、配当金の支払いにより534百万円減少したことなどによります。
これらにより自己資本比率は34.4%(前連結会計年度末は38.0%)となりました。
(2)経営成績に関する説明
当社グループは2022年からの3ヵ年を「拡大成長期」と位置付けた第三次中期経営計画を策定し、8つの「戦略的個別サービス」と「総合財産コンサルティングサービス」の両輪によるお客様サービスの品質向上と、量的拡大を実現する施策に取り組んでおります。
当第2四半期連結累計期間においては、世界的なインフレの進行や金利の上昇、急激な為替の変動など、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社のお客様である個人資産家や企業オーナーの財産コンサルティングサービスのニーズ、とりわけ資産保全や資産運用ニーズは大幅に増大しております。
金融機関等からのお客様の紹介は堅調に推移しており、お客様数は増加し続けております。既存のお客様のアカウントプラン(個社・個人別中長期コンサルティング計画)の年度実行に加え、新規のお客様のアカウントプランの策定および年度実行により当年度の財産コンサルティング収益の拡大と中長期的な財産コンサルティングの提案・受託を行ってまいりました。
また、8つの「戦略的個別サービス」についての進捗は以下の通りでございます。
ADVANTAGE CLUBについては、不動産の運用商品として長年にわたり信頼を得ており、積極的に組成をしてまいりましたが、当第2四半期会計期間にADVANTAGE CLUB組成用として取得を検討していた渋谷区神宮前の物件をSTO組成用に切り替えたことから3件の組成にとどまりました。しかしながら、ADVANTAGE CLUBについては募集開始から早期に募集口数に到達している状態が続いております。不動産を裏付けとした運用商品のニーズはますます高まっていることから、今後も積極的に組成を行っていく方針です。
STO事業においては、ADVANTAGE CLUBにつぐ第2の不動産を裏付けとした運用商品の柱となるべく準備を進めております。第1号案件となる渋谷区神宮前の案件については早期に募集口数に到達しました。STOもADVANTAGE CLUBと同様にニーズが高く、年内の第2号案件の組成に向けて積極的に取り組んでまいります。
購入コンサルティング事業においては、首都圏の不動産購入ニーズを持つ資産家に対して積極的に提案しており複数成約しております。特に当事業年度はADVANTAGE CLUBの連携を行っている地方銀行のお客様向けに提案を開始し、財産コンサルティングの受託に繋がっております。
土地有効活用コンサルティング事業においては、有効活用専門チームを組成し、地方銀行およびメガバンク2行との連携を昨年度から開始し、着実に案件を受託しております。
ファミリーオフィスサービス事業においては、メガバンクおよび有力な地方銀行と連携し、非財産分野のコンサルティングを超巨大企業の同族オーナー向けに行っております。ファミリーガバナンスのコンサルティングをきっかけとして財産承継や事業承継のコンサルティング案件も受託しており、超富裕層へのコンサルティング案件に繋がっております。
地域創生コンサルティング事業については、昨年度、敦賀市敦賀駅西地区土地活用事業『TSURUGA POLT SQUARE「otta(オッタ)」』の開業をむかえることができました。地方自治体においては、民間資金活用による地域創生ニーズが極めて高く開業式には国をはじめ様々な自治体の関係者が招かれ、不動産特定共同事業法による地域創生手法について高く評価を頂き、これを機に多くの自治体からの相談を受けております。また、国土交通省や地方銀行と連携して共同セミナーを行うなど当社が手掛ける地域創生事業の普及活動に積極的に取り組んでおります。結果的に多くの自治体から案件の紹介を受け、過去最大級の案件の受託をする予定です。
事業承継ファンド事業においては、第3四半期会計期間以降に2件の投資回収を予定しております。100を超えるM&Aブティックと連携しております。M&Aが成立せず縮小型のM&Aや廃業を選択肢に選ばざるをえない企業が増加していることから、多くの紹介案件を受けており、今後ますます投資の増加が見込まれると考えております。
IFAによる金融商品運用サービスについては、グループ会社の㈱青山フィナンシャルサービスによる金融資産コンサルティングを積極的に行ったことから、預かり資産残高は50億円を突破しました。従来、当社の財産コンサルティングは資産の半分程度を占める不動産に傾注しておりましたが、金融商品運用サービスの提供により、名実ともに総合財産コンサルティングを行える体制を整えることができました。特に円安に伴う海外分散投資意欲の高まりや、仕組債問題から発生する代替ニーズ、また、総合財産コンサルティングを行う上での金融資産のセカンドオピニオンを求める声が強く、それに対応することにて預かり残高が増加しております。
売上高につきましては、14,039百万円(前年同四半期は20,232百万円)となりました。不動産取引収益であるADVANTAGE CLUBとして当第2四半期会計期間に50億円相当の売上計上を予定しておりましたが、渋谷区神宮前の物件をSTO第1号案件用に提供したため、前年同四半期を下回る売上高となりました。なお当該物件は7月に譲渡が完了し、第3四半期会計期間の収益として計上を予定しております。また、財産コンサルティング収益については、お客様数が増加していることから、収益の柱である財産承継コンサルティングの売上が大幅に増加致しました。
営業利益につきましては、1,102百万円(前年同四半期は1,097百万円)となりました。財産コンサルティング収益の増加により財産コンサルティングの粗利は増加しましたが、不動産取引収益の減少により売上総利益は減少しました。営業利益についても渋谷区神宮前の物件をSTO用に提供したため計画を下回りました。費用面においては、積極的な採用活動を行ったことから人員が増加しており人件費は増加したものの、ADVANTAGE CLUBの組成額の減少に伴い租税公課が減少したことなどから費用が減少しております。
経常利益につきましては、営業外収益193百万円(前年同四半期は73百万円)、営業外費用49百万円(前年同四半期は126百万円)を計上したことから1,246百万円(前年同四半期は1,044百万円)となりました。為替差益169百万円(前年同四半期は62百万円)を計上したことから営業外収益が増加しております。
親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、832百万円(前年同四半期は713百万円)となりました。
以上の結果、当社グループの当第2四半期連結累計期間の経営成績は、下表の通り、売上高14,039百万円(前年同四半期比30.6%減)、営業利益1,102百万円(同0.5%増)、経常利益1,246百万円(同19.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益832百万円(同16.7%増)となりました。
(単位:百万円)
2022年12月期
第2四半期
2023年12月期
第2四半期
前年同四半期比
2023年12月期
通期業績
予想
通期業績予想に対する
進捗率
2022年12月期
通期実績
売上高
20,232
14,039
▲30.6%
39,500
35.5%
35,952
営業利益
1,097
1,102
0.5%
3,300
33.4%
2,629
経常利益
1,044
1,246
19.3%
3,050
40.9%
2,499
親会社株主に帰属する四半期(当期)純利益
713
832
16.7%
1,980
42.1%
1,694
当社グループは、財産コンサルティング事業のみの単一セグメントであります。売上高の区分別業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
2022年12月期
第2四半期
2023年12月期
第2四半期
財産コンサルティング
2,838
2,921
不動産取引
17,393
11,118
合計
20,232
14,039
① 財産コンサルティング
当社グループは個人資産家および企業オーナーに対して財産承継及び事業承継コンサルティングを提供しております。また独自の商品を開発してお客様の財産運用及び財産管理のコンサルティングも手掛ける総合財産コンサルティングファームです。
財産コンサルティングの売上高の内訳は次の通りであります。
(単位:百万円)
2022年12月期
第2四半期
2023年12月期
第2四半期
財産承継
1,197
1,834
事業承継
724
470
商品組成等
916
616
合計
2,838
2,921
財産承継につきましては、個人資産家に対して相続の事前・事後対策、保有不動産の有効活用、広大地活用、不動産の購入・売却に関するコンサルティングなどから得られる売上を計上しております。当第2四半期連結累計期間においては、既存のお客様の案件に加え、昨年来からご紹介頂いたお客様の案件が堅調に推移しております。
事業承継につきましては、企業オーナーに対して後継者決定支援、組織再編・財務改善・成長戦略支援、転廃業支援、M&A後の財産承継支援やM&A支援、事業承継ファンドを活用したコンサルティングなどから得られる売上を計上しております。当第2四半期連結累計期間においては、本業である同族への事業承継プランニングについては売上が423百万円(前年同四半期は453百万円)、M&Aの売上が37百万円(同95百万円)、事業承継ファンドの売上が8百万円(同176百万円)となりました。年度の顧客向けアカウントプランが財産承継コンサルティングに比較して下期に偏重しております。いずれのセグメントにおいても年度アカウントプランの早期のクロージングに努めてまいります。
商品組成等につきましては、当第2四半期連結累計期間においては、昨年度に比べADVANTAGE CLUBの組成額が下回っていること、また、当第2四半期連結累計期間までにADVANTAGE CLUBの解散がなかったことから減少しております。
以上の結果、財産コンサルティングの売上高は2,921百万円(前年同四半期比2.9%増)となりました。また、財産コンサルティングの売上高、売上原価及び売上総利益は下表の通りです。
(単位:百万円)
2022年12月期
第2四半期
2023年12月期
第2四半期
売上高
2,838
2,921
売上原価
1,681
1,673
売上総利益
1,156
1,247
② 不動産取引
当社グループは財産コンサルティングの一環として、顧客の資産運用ニーズへの対応を図る目的から、不動産を仕入れ、不動産に関連した商品の開発を行い当社顧客等への販売を行っております。
不動産取引の売上高の内訳は次の通りであります。
(単位:百万円)
2022年12月期
第2四半期
2023年12月期
第2四半期
ADVANTAGE CLUB
15,507
10,687
その他不動産取引
1,886
430
合計
17,393
11,118
多くのお客様にご支持いただいておりますADVANTAGE CLUBは当連結会計年度において325億円の組成を目指しております。
ADVANTAGE CLUBにつきましては、当第2四半期連結累計期間においては3件組成し10,687百万円の売上を計上いたしました。前述の通り、当第2四半期会計期間で組成を予定していた50億円相当の渋谷区神宮前の物件をSTOにしたことから不動産取引収益は減少しました。しかしながら、当該物件の収益計上は第3四半期連結会計期間に計上を予定しております。ADVANTAGE CLUBは募集開始後、極めて短期間に申し込みが終了する状況が継続しており、多大なニーズがあることから第3四半期連結会計期間以降も積極的な組成を行ってまいります。
その他不動産取引につきましては、1棟ものの不動産の提供や不動産保有時の賃料収入等を計上しております。
以上の結果、不動産取引の売上高は11,118百万円(前年同四半期比36.1%減)となりました。また、不動産取引の売上高、売上原価及び売上総利益は下表の通りです。
(単位:百万円)
2022年12月期
第2四半期
2023年12月期
第2四半期
売上高
17,393
11,118
売上原価
15,880
9,798
売上総利益
1,513
1,319
(3)キャッシュ・フローの状況の説明
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,153百万円減少し、11,648百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前四半期純利益1,246百万円、棚卸資産の増加4,451百万円、法人税等の支払額653百万円等があったことから、4,151百万円の支出(前年同四半期は196百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出13百万円等があったことから、11百万円の支出(前年同四半期は194百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の増加4,200百万円、長期借入金の返済による支出1,016百万円等があったことから、2,961百万円の収入(前年同四半期は2,149百万円の収入)となりました。
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