【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
(経営環境について)
当第1四半期は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類感染症」に変更されたことを背景に、病院の手術件数が増加し、当社の販売は概ね好調に推移しました。当社の業績に対して特に影響度が大きい心房細動(AF)のアブレーション治療の症例数は、当第1四半期は前年同期比で9%程度の増加と推計しており、期初で想定した水準(通期ベースで6%程度の増加)を上回りました。
一方で、EP/アブレーションの主力商品であった「RF Needle(アールエフニードル)」は前連結会計年度末で独占販売契約が終了し、当連結会計年度から、販売支援サービスを提供する契約をボストン・サイエンティフィック ジャパン社と締結したことにより商流が変更されました。本変更は減収要因となった一方、商品仕入を伴わないため、売上総利益率は改善する方向に寄与しました。
この結果、当第1四半期の業績は、売上高は前年同期比でわずかに減収ながらも各段階利益は前年同期比で大幅な増益となり、利益率も改善しました。
外国為替相場の状況は、日本円は対米ドルで乱高下しましたが、損益に対しては大きな影響はありませんでした。これは当社の商品仕入の約70%が円建てであることや、売上原価の計算に移動平均法を用いていることから、一部の仕入商品や部材において一時的な調達コストの上昇が生じても、その影響は長期間にわたって平準化されること等が主な理由です。
(業績について)
当第1四半期の業績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
区分
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
増減
増減率
(%)
金額
構成比
(%)
金額
構成比
(%)
① 売上高
12,969
100.0
12,954
100.0
△14
△0.1
② 売上総利益
7,458
57.5
7,887
60.9
428
5.8
③ 営業利益
2,707
20.9
3,176
24.5
468
17.3
④ 経常利益
2,674
20.6
3,244
25.0
569
21.3
⑤ 親会社株主に帰属する
四半期純利益
1,946
15.0
2,330
18.0
384
19.7
① 売上高
前年同期と比べ、14百万円減収の12,954百万円となりました。詳細は後段の「品目別売上高」に記載しております。
② 売上総利益
前年同期と比べ、428百万円増加の7,887百万円となりました。AF症例数の増加による自社製品の増収、「RF Needle」の商流変更による仕入商品の減収等により、自社製品比率は前年同期比で5.2pt高い59.8%となりました。さらに、棚卸資産の廃棄損・評価損が前年同期と比べ118百万円減少しました。これらを受け、売上総利益率は前年同期に比べ3.4pt高い60.9%となりました。
③ 営業利益
前年同期と比べ、468百万円増加の3,176百万円となりました。販売費及び一般管理費は、営業活動量の増加に伴う販売関連費用の増加があったものの、一時的な雑収入の発生や研究開発費の減少等があったため、前年同期並みで推移しました。この結果、営業利益率は前年同期に比べ3.6pt高い24.5%となりました。
④ 経常利益
前年同期と比べ、569百万円増加の3,244百万円となりました。営業外収益として受取利息等で132百万円、営業外費用として取引先への債権に関する貸倒引当金繰入等で65百万円を計上しました。
⑤ 親会社株主に帰属する四半期純利益
前年同期と比べ、384百万円増加の2,330百万円となりました。税額控除等の影響により、法人税等の負担率は28.1%となりました。
(品目別売上高)
(単位:百万円)
区分
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
増減
増減率
(%)
リズムディバイス
3,094
3,446
352
11.4
EP/アブレーション
6,662
6,272
△390
△5.9
心血管関連
2,611
2,853
241
9.2
消化器
599
381
△218
△36.4
合計
12,969
12,954
△14
△0.1
※各品目区分に分類される主たる商品は以下のとおりです。
なお、当第1四半期連結会計期間より、従来の「外科関連」を「心血管関連」に、従来の「消化器/PI」を「消化器」に名称変更しており、心房中隔欠損閉鎖器具は、旧区分の「消化器/PI」から新区分の「心血管関連」へ区分を変更しております。前第1四半期連結累計期間との比較は、変更後の区分に組み替えた数値で算出しております。
リズムディバイス
心臓ペースメーカ、T-ICD(経静脈植込み型除細動器)、S-ICD(完全皮下植込み型除細動器)、CRT-P(両心室ペースメーカ)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)、AED(自動体外式除細動器)
EP/アブレーション
EP(電気生理用)カテーテル、アブレーションカテーテル、内視鏡レーザーアブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、食道温モニタリングカテーテル、スティーラブルシース
心血管関連
人工血管、オープンステントグラフト、ステントグラフト、塞栓用コイル、血栓吸引カテーテル、心房中隔欠損閉鎖器具
消化器
胆管チューブステント、胆管拡張バルーン、胆道鏡システム、大腸用ステント、胃・十二指腸用ステント、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針
① リズムディバイス
ペースメーカ関連は、前年同期に比べ5.2%の増収となりました。他社の新製品の浸透や安価販売の影響が一巡するなか、手術時にリードの適切な植え込みをサポートするカテーテル等を用いた対面営業を増やした結果、前期を若干上回るシェアを確保しました。
ICD関連は、前年同期に比べ15.1%の増収となりました。当社はオンリーワンであるS-ICDを戦略的商品と位置づけ、全国的な拡販施策に注力してきました。当第1四半期は、新規採用施設の増加やリピート率の向上により、販売は市場の成長を上回るペースで推移しました。また、T-ICDについても、期初の販売計画では前年同期並みを想定していましたが、交換症例が想定より多く獲得できたことで、販売は好調に推移しました。
以上により、リズムディバイスの売上高は、3,446百万円(前年同期比11.4%増)となりました。
② EP/アブレーション
EPカテーテルは、前年同期に比べ12.3%の増収となりました。想定を上回るAF症例数の増加を背景に、心腔内除細動カテーテル「BeeAT(ビート)」、EPカテーテル「EP Star(イーピースター)」、食道温モニタリングカテーテル「Esophastar(エソファスター)」等の自社製品の販売が好調に推移しました。特に、「EP Star」については、他社製品の供給不足といった背景もあり、症例数の伸び率以上の増加となりました。
アブレーションカテーテルは、前年同期に比べ29.0%の減収となりました。内視鏡レーザーアブレーションカテーテル「HeartLight X3(ハートライト・エックススリー)」は、仕入先メーカーにて原材料不足の問題が発生しており、十分な商品供給が受けられない状況が継続しました。その結果、新規施設への拡販を抑えるなど、制約があるなかでの販売となったことが影響しました。
その他については、「RF Needle」の商流が変更されたことにより、前年同期に比べ66.1%の大幅な減収となりました。
以上により、EP/アブレーションの売上高は、6,272百万円(前年同期比5.9%減)となりました。
③ 心血管関連
人工血管関連は、前年同期に比べ5.6%の増収となりました。自社製品の人工血管「J Graft(ジェイグラフト)」及び仕入商品の腹部用ステントグラフトの着実なシェア増加が寄与しました。自社製品のオープンステントグラフト「FROZENIX(フローゼニクス)」は、前年同期の販売が特に好調であったため、当第1四半期は堅調な販売であったものの、若干の減収となりました。
脳血管関連は、前年同期に比べ約5.7倍の大幅な増収となりました。当社は脳血管領域の拡大を中期的な重点施策の1つとして掲げており、今後の数年で10品目程度の商品展開を予定しております。当第1四半期は、前期から本格販売を開始した塞栓用コイル「Avenir(アベニア)」に加え、血栓吸引用カテーテル「Esperance(エスペランス)」を新たに発売しました。両商品ともに医療現場で良好な評価を受けており、販売は計画を上回る水準で進捗しました。
その他については、前年同期に比べ12.5%の減収となりました。小児の心房中隔欠損症のカテーテル治療の症例数が低位で推移したことから、心房中隔欠損閉鎖器具は減収となりました。
以上により、心血管関連の売上高は、2,853百万円(前年同期比9.2%増)となりました。
④ 消化器
消化器関連は、前年同期に比べ61.6%の増収となりました。当社は消化器領域における自社製品の拡大を中期的な重点施策としております。当第1四半期は、前期に発売した胆管チューブステント「REGULUS(レグルス)」が医療現場から高い評価を受け、販売が好調に推移しました。また、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針「arfa(アルファ)」もジェネレータの販売を推進したことで、堅調に推移しました。
その他については、薬剤溶出型冠動脈ステント「Orsiro(オシロ)」を含むコロナリー・インターベンション(CI)関連の販売が縮小したことで、前年同期に比べ65.2%の減収となりました。当社は同事業領域からの撤退を決定しており、当連結会計年度中にCI関連製品の販売を終了する予定です。
以上により、消化器の売上高は、381百万円(前年同期比36.4%減)となりました。
(2)財政状態の分析
(四半期連結貸借対照表に関する分析)
① 資産
当第1四半期連結会計期間末の資産につきましては、流動資産が前連結会計年度末に比べ4,141百万円減少し、42,989百万円となりました。これは主として、配当金の支払い及び自己株式の取得等により現金及び預金が4,422百万円減少したことに加え、その他に含まれている前払金が1,281百万円増加、未収入金が1,011百万円減少したことなどによるものであります。
また、固定資産は前連結会計年度末に比べ821百万円増加し、28,332百万円となりました。これは主として、投資その他の資産のうちその他に含まれている繰延税金資産が716百万円減少した一方で、投資有価証券が1,568百万円増加したことなどによるものであります。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末から3,319百万円減少し、71,322百万円となりました。
② 負債
当第1四半期連結会計期間末の負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末に比べ1,989百万円減少し、12,392百万円となりました。これは主として、未払金が432百万円増加した一方で、未払法人税等が1,279百万円、賞与引当金が800百万円、支払手形及び買掛金が336百万円減少したことなどによるものであります。
また、固定負債は前連結会計年度末に比べ115百万円減少し、3,948百万円となりました。これは主として、長期借入金が117百万円減少したことによるものであります。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末から2,105百万円減少し、16,340百万円となりました。
③ 純資産
当第1四半期連結会計期間末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,214百万円減少し、54,981百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する四半期純利益を2,330百万円計上した一方で、剰余金の配当を2,965百万円実施したこと、ならびに自己株式が686百万円増加したことなどによるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、502百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当第1四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数に著しい変動はありません。
(8)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当第1四半期連結累計期間における生産実績を区分別に示すと次のとおりであり、著しい変動はありません。
(単位:百万円)
区分
前第1四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
増減率
リズムディバイス
5
2
△61.4%
EP/アブレーション
1,372
1,438
4.8%
心血管関連
240
273
13.5%
消化器
135
112
△16.8%
合計
1,753
1,826
4.1%
(注) 金額は製造原価によっております。
なお、当第1四半期連結会計期間より、従来の「外科関連」を「心血管関連」に、従来の「消化器/PI」を「消化器」に名称変更しており、心房中隔欠損閉鎖器具は、旧区分の「消化器/PI」から新区分の「心血管関連」へ区分を変更しております。前第1四半期連結累計期間との比較は、変更後の区分に組み替えた数値で算出しております。
② 受注実績
当社グループの事業形態は、原則として受注残高が発生しないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
販売実績につきましては、「2経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の分析」をご覧ください。
(9)主要な設備
当第1四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動又は前連結会計年度末において計画中であったものの著しい変更はありません。