【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
(経営環境について)
当第2四半期連結累計期間は、2022年4月に保険償還価格の改定が行われたことにより、販売単価は多くの品目で前年同期と比べ下落しました。特に、リズムディバイスやEP/アブレーションの一部品目における保険償還価格の引き下げ幅は大きく、売上高及び売上総利益に対してマイナスの影響がありました。
新型コロナウイルス感染症の状況は、引き続き拡大と沈静を繰り返しており、拡大期には当社の取扱製品に関する症例数を抑制する形で業績に影響を与えました。第1四半期連結会計期間は、オミクロン株の感染の沈静期にあたり、症例数は全般的に想定を上回る増加となりました。第2四半期連結会計期間は、8月をピークとして、オミクロン株の変異種であるBA5型の感染が急拡大しました。医療現場では、感染者の増加に加えて医療従事者の感染や濃厚接触が多発し、医療提供体制がひっ迫したことから、当社の取扱製品に関する症例数は一時的に大きく減少しました。9月初旬以降は、感染状況は落ち着き、症例数は回復基調となりました。
当社の業績に特に影響度が大きい心房細動(AF)のアブレーション治療の症例数は、当第2四半期連結累計期間においては、前年同期比8~9%の増加と推計しており、ほぼ期初計画で想定していた水準で推移しました。
外国為替相場の状況は、日本円は対米ドルで大幅な円安となりましたが、損益に対しては大きな影響はありませんでした。当社の商品仕入の約70%が円建てであることや、売上原価の計算に移動平均法を用いており、一部の仕入商品や部材において一時的な調達コストの上昇が生じても、その影響は長期間にわたって平準化されること等が主な理由です。
(業績について)
当第2四半期連結累計期間の業績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
区分
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
増減
増減率
金額
構成比
(%)
金額
構成比
(%)
① 売上高
25,130
100.0
25,489
100.0
358
1.4%
② 売上総利益
14,292
56.9
14,546
57.1
253
1.8%
③ 営業利益
4,681
18.6
5,119
20.1
437
9.4%
④ 経常利益
4,812
19.2
5,113
20.1
300
6.2%
⑤ 親会社株主に帰属する
四半期純利益
3,591
14.3
3,702
14.5
110
3.1%
① 売上高
前年同期と比べ、358百万円増収の25,489百万円となりました。詳細は下段の「品目別売上高」に記載しております。
② 売上総利益
前年同期と比べ、253百万円増加の14,546百万円となりました。保険償還価格の改定の影響を受けたものの、自社製品比率が前年同期に比べ2.6pt上昇し、53.9%となりました。また、前年同期と比べ製品・商品在庫や原材料等の棚卸資産の廃棄損及び評価損が383百万円減少しました。これにより、売上総利益率は、前年同期に比べ0.2pt高い57.1%となりました。
③ 営業利益
前年同期と比べ、437百万円増加の5,119百万円となりました。販売費及び一般管理費は、研究開発費の増加や、新型コロナウイルス感染症の沈静化や新商品の導入に伴う旅費交通費や広告宣伝費等の営業関連費用の増加がありましたが、前年同期に一時的な費用として治験関連費用が290百万円発生したこと等により、前年同期を下回りました。これにより、営業利益率は前年同期と比べ1.5pt上昇し、20.1%となりました。
④ 経常利益
前年同期と比べ、300百万円増加の5,113百万円となりました。営業外損益の内容としては、営業外収益として受取利息や受取配当金等で194百万円、営業外費用として取引先への長期貸付金等に関する貸倒引当金繰入や自己株式の取得に伴う金融手数料等で201百万円をそれぞれ計上しております。
⑤ 親会社株主に帰属する四半期純利益
前年同期と比べ、110百万円増加の3,702百万円となりました。法人税等調整額について、前年同期に組織再編に伴い子会社株式の減損損失に係る繰延税金資産を計上しました。これにより、当第2四半期連結累計期間は税額控除の影響がありますが、税負担率は前年同期と比べ2.2pt上昇し、27.5%となりました。
(品目別売上高)
(単位:百万円)
区分
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
増減
増減率
リズムディバイス
6,577
6,293
△283
△4.3%
EP/アブレーション
12,332
13,012
679
5.5%
外科関連
4,409
4,922
513
11.6%
消化器/PI
1,810
1,260
△550
△30.4%
合計
25,130
25,489
358
1.4%
※各品目区分に分類される主たる商品は次のとおりです。
リズムディバイス
心臓ペースメーカ、T-ICD(経静脈植込み型除細動器)、S-ICD(完全皮下植込み型除細動器)、CRT-P(両心室ペースメーカ)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)、AED(自動体外式除細動器)、舌下神経電気刺激装置
EP/アブレーション
EP(電気生理用)カテーテル、アブレーションカテーテル、内視鏡レーザーアブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、食道温モニタリングカテーテル、高周波心房中隔穿刺針
外科関連
人工血管、オープンステントグラフト、ステントグラフト、塞栓用コイル
消化器/PI
大腸用ステント、胃・十二指腸用ステント、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針、バルーンカテーテル、ガイドワイヤー、心房中隔欠損閉鎖器具、薬剤溶出型冠動脈ステント、血管内圧測定用センサ付ガイドワイヤー
① リズムディバイス
ペースメーカ関連は、競合他社の新製品や低価格戦略等の影響を受け、引き続き厳しい状況で推移しました。ペースメーカの販売数量は、計画をやや下回ったものの、リードの留置を補助するSSPC(サイト・セレクティブ・ペーシング・カテーテル)を新規に導入する等の施策の効果が一定程度あったことから、前年同期並みを確保しました。売上高については、保険償還価格の大幅な下落を受け、販売単価が下がったことから、前年同期に比べ大きく減少しました。
ICD関連は、T-ICDにおいて、電池の交換時期の到来に伴う交換症例の獲得によりシェアが増加したこと、さらにCRT-Dの販売も好調であったことなどを背景に、前年同期と比べ増収となりました。オンリーワン商品であるS-ICDの販売は、第1四半期連結会計期間はやや軟調に推移しておりましたが、第2四半期連結会計期間で若干上向きに転じ、第2四半期連結累計期間の売上高はほぼ前年同期並みとなりました。同商品については、引き続き重篤な合併症リスクを低減できるメリットの訴求等により、販売を強化してまいります。
以上により、リズムディバイスの売上高は、6,293百万円(前年同期比4.3%減)となりました。
② EP/アブレーション
EPカテーテルは、AF症例数の増加を受け、心腔内除細動カテーテル「BeeAT(ビート)」、EPカテーテル「EP Star(イーピースター)」、食道温モニタリングカテーテル「Esophastar(エソファスター)」等のアブレーション手術関連の自社製品の販売が好調に推移しました。EPカテーテルの各品目においても、保険償還価格の改定に伴い販売単価が下落しましたが、販売数量が大幅に増加したことで、前年同期と比べ大幅な増収となりました。
アブレーションカテーテルは、内視鏡レーザーアブレーションカテーテル「HeartLight X3(ハートライト・エックススリー)」について、世界的な原材料不足の影響でメーカーからの商品供給が遅延したことを受け、一時的に商品の販売ができなかったことにより、前年同期に比べ大幅な減収となりました。9月より販売を再開しておりますが、第2四半期連結会計期間末時点で、新規採用施設数は計画に対して遅れが生じております。なお、高周波を用いるアブレーションカテーテルは、やや軟調に推移しました。
その他については、高周波心房中隔穿刺針「RF Needle(アールエフニードル)」が、競合製品の影響を受け、販売数量・販売単価が前年同期と比べ減少したため、減収となりました。一方、スティーラブルシースの自社製品「Leftee(レフティー)」は、高い操作性が医療現場で評価されたことにより、2019年の販売開始以来、右肩上がりの成長を続けており、前年同期に比べ大幅な増収となりました。
以上により、EP/アブレーションの売上高は、13,012百万円(前年同期比5.5%増)となりました。
③ 外科関連
人工血管関連は、自社製品である人工血管の販売が堅調に推移したほか、オンリーワン製品であるオープンステントグラフト「FROZENIX(フローゼニクス)」も、緊急症例の増加等を背景に増収となりました。仕入商品である腹部用ステントグラフト「AFX2(エーエフエックスツー)」も、国内の大学病院で実施した臨床研究の結果が好感されたこと等を受け、大幅な増収となりました。また、前期に発売した腹部用ステントグラフトの新商品「Alto(アルト)」は、市販後調査(PMS)が順調に推移していることから、販売は計画を上回り推移しました。
その他については、前期に発売した塞栓用コイルが販売数量を伸ばし、売上高は計画を大幅に上回りました。同商品は、発売当初は腹部領域向けに限定して販売していましたが、2022年4月より、脳血管領域向けにも販売を開始し、以降、順調に新規施設を拡大しております。さらに、2022年8月には、Wallaby Medical社と脳血管内治療デバイス11品目について、10年間の独占販売契約を締結し、取扱商品のラインナップを大幅に拡充しました。新規商品については、2024年3月期以降、順次発売する予定です。脳血管領域は、年4~5%程度の市場拡大が見込めることから、今後重要な領域として注力してまいります。
以上により、外科関連の売上高は、4,922百万円(前年同期比11.6%増)となりました。
④ 消化器/PI
消化器関連は、大腸用ステント及び前期に発売した胃・十二指腸用ステントの販売が預託施設を拡大させたことを背景に好調に推移しました。さらに、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針も好調に推移しました。この結果、消化器関連は前年同期に比べ大幅な増収となりました。なお、当社は2022年10月より、胆膵内視鏡分野において、胆道鏡を中心とする「DRESシリーズ」など複数の自社製品を順次発売する予定であり、今後、消化器領域でのさらなるプレゼンスの強化を図ってまいります。
PI(経皮的インターベンション)関連は、症例数の回復ペースが依然として鈍く、さらに保険償還価格が改定毎に大幅に下落する等、非常に厳しい事業環境となっております。当社は、2022年6月に薬剤溶出型冠動脈ステント「Orsiro(オシロ)」の独占販売契約を早期終了しており、終了後は施設を限定して在庫の販売を継続しております。この結果、「Orsiro」は前年同期に比べ大幅な減収となりました。また、ガイドワイヤー及びバルーンカテーテルも、前年同期に比べ減収となりました。
以上により、消化器/PIの売上高は、1,260百万円(前年同期比30.4%減)となりました。
(2)財政状態の分析
(四半期連結貸借対照表に関する分析)
① 資産
当第2四半期連結会計期間末の資産につきましては、流動資産が前連結会計年度末に比べ3,234百万円減少し、41,918百万円となりました。これは主として、現金及び預金が1,932百万円、棚卸資産が1,136百万円減少したことによるものであります。
また、固定資産は前連結会計年度末に比べ1,410百万円増加し、29,455百万円となりました。これは主として、無形固定資産が631百万円、長期貸付金が710百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末から1,823百万円減少し、71,373百万円となりました。
② 負債
当第2四半期連結会計期間末の負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末に比べ640百万円減少し、13,570百万円となりました。これは主として、短期借入金が300百万円、1年内返済予定の長期借入金が322百万円減少したことによるものであります。
また、固定負債は前連結会計年度末に比べ204百万円減少し、4,214百万円となりました。これは主として、退職給付に係る負債が170百万円増加した一方で、長期借入金が334百万円減少したことによるものであります。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末から844百万円減少し、17,785百万円となりました。
③ 純資産
当第2四半期連結会計期間末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ979百万円減少し、53,588百万円となりました。これは主として、剰余金の配当を3,041百万円実施した一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益を3,702百万円計上したことにより利益剰余金が661百万円増加、ならびに自己株式の取得と消却により資本剰余金が1,079百万円減少、自己株式が868百万円増加したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,932百万円減少し、14,126百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、6,000百万円(前年同期は4,887百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前四半期純利益が5,109百万円あり、キャッシュ・フローの増加要因である棚卸資産の減少額が1,156百万円、減価償却費が724百万円となった一方で、キャッシュ・フローの減少要因である法人税等の支払額が1,354百万円となったことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、1,951百万円(前年同期は1,088百万円の支出)となりました。これは主として、無形固定資産の取得による支出が814百万円、長期貸付けによる支出が525百万円、有形固定資産の取得による支出が319百万円、投資有価証券の取得による支出が314百万円となったことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は、6,030百万円(前年同期は4,583百万円の支出)となりました。これは主として、配当金の支払額が3,038百万円、自己株式の取得による支出が1,948百万円、長期借入金の返済による支出が642百万円、短期借入金の返済による支出が300百万円となったことによるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、1,131百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8)従業員数
当第2四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数に著しい変動はありません。
(9)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当第2四半期連結累計期間における生産実績を商品区分別に示すと次のとおりであり、著しい変動はありません。
(単位:百万円)
区分
前第2四半期連結累計期間
(自
2021年4月1日
至
2021年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自
2022年4月1日
至
2022年9月30日)
増減率
リズムディバイス
7
8
10.5%
EP/アブレーション
2,214
2,591
17.0%
外科関連
745
636
△14.7%
消化器/PI
179
228
27.7%
合計
3,147
3,464
10.1%
(注) 金額は製造原価によっております。
② 受注実績
当社グループの事業形態は、原則として受注残高が発生しないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
販売実績につきましては、「2経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績の分析」をご覧ください。
(10)主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動又は前連結会計年度末において計画中であったものの著しい変更はありません。